TRUE REMEMBRANCEをn週目している人のネタバレ記録 その28
※この記録は里見しば様制作のTRUE REMEMBRANCE-remake-をn週目する人間の記録です。
※軽く片手の指以上の数の周回をしているのでネタバレ込み、伏線に触れまくりの記録になります。
※好き過ぎてスクショ撮り放題です。
※また、同作者様作『送電塔のミメイ』もプレイしてるのでその辺りにも触れています。
前置きは コチラ
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TR記事まとめは コチラ
【七話 雨と仔猫と終わってしまった話】その⑦
廃教会に辿り着く黒目。
煉獄庭園様製作「聖なる亡時-SeinaruBoutoki-」が不安を煽るように鳴り響きます。
奥の教壇に居るのは黒目が探し回っていたアナライの姿が。
アナライはいつもと変わりなく黒目に問いかけます。
黒目のこの態度から黒目が何に気付いたのか、何を聞かれるのかも既に分かっているのでしょう。
好々爺、だけれども狡猾、その二つの言葉がとても似合うお人です。
この『教壇に斜めにもたれた』という部分に、先を知っているとアナライの身体の辛さを感じます。
アナライはもう立っているのもやっとなのでしょう。
それでも、悪い事柄に関しては感が鋭い黒目にそれを気付かせない辺り流石というか…
察しが良い黒目さえも欺けるアナライ。
TRの中で誰が一番頭が良いか、最も凄いかを聞かれたら私はアナライだと答えると思います。
年の功とも言えそうですが、やっぱりアナライの影響力が一番大きいと思うので。
少女が何を行う事で封士の能力を使えるのか、アナライだけでは分かりませんでした。
歌をうたう事で人を癒やす『S級封士』。
それが明かされる少女の真実。
『S級封士』だからこそ、少女を育てているアナライ。
黒目は初めて『S級封士』とは何なのか、アナライは何者なのかをアナライ自身に問いただします。
門の向こう、この街の真実に触れた事があるという黒目。
TR、大好きで、全ての伏線が華麗に回収される神作品だと思っているのですが、個人的にこの部分だけはちょっと唐突に感じている所があります。
三年前、アナライに出会ってから黒目が門の向こう側に入った伏線があまり張られて居ないんですよ。
張られていないはず…私の見落としがあれば教えて頂けると嬉しいです。
キョウが門の向こう側に忍び込もうとしたあの時は、黒目とキョウは訓練生だったので、三年よりも前になりますし。
今まで伏線が満遍なく張られに張られていたから逆に何もない所に不安を感じてしまうのかもしれませんが…
黒目が門の向こう側に入った事の伏線がもう少しあって欲しかった…とも少し思ってしまいます。
門の向こう側、白く真っ直ぐ続く道。
その両側にいくつもある小部屋。
その小部屋に居る小さな子ども…
素直に、怖いです、ホラーだと思います。
ホラーというと真っ黒をイメージしますが、真っ白なイメージのホラーや恐怖に異様さを感じます。
ただ、上記で書いた黒目が門の向こうに忍び込んだこの部分だけはちょっと唐突に感じていると書きましたが、理由を考えれば理由が無いわけでは無く。
黒目はここで『S級封士』の少年に出会い、そして『頭がぼんやりとして、何も考えられなく』なりました。
ここで、六話ラストのように記憶を若干封じられ、アナライに言われるまで思い出せなかった…そういう解釈も出来るのです。
『記憶封士』の能力を見れば分かりますが、『錆色の記憶』だけを消せる訳ではなく、応用が効き様々な記憶を封じる事が出来ます。
ここに居る子ども達は、ここに来た人物のここで見た記憶を消すように教育されているのかもしれません。
もしくは、そういう教育すらさせてもらえず、目が合った人物の記憶をただ吸い取り自分の「虚」を埋めているだけ。
黒目がここで見た衝撃的な記憶をただ吸い取っただけなのかもしれません。
一度『S級封士』から記憶を封じられると、自力では六話の時のように余程強い意志がないと思い出せないのだと思います。
その時の事をアナライから言われ、外からの情報がありようやく門の向こう側の事を思い出した…そう考えると私は納得出来ます。
実際黒目も一話にて、
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とあるように、『A級以下の封士』と『S級封士』の違いを心の中で語るので、アナライから言われ思い出した門の向こう側の事は覚えていたのかもしれません。
この『A級以下の封士』と『S級封士』の違いは訓練生時代に教わるものらしく、A break timeにてキョウが、
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と言っていて『S級封士』の事は『記憶封士』の間での共通認識だと思われます。
なので、一話の文だけでは、『A級以下の封士』と『S級封士』の違いを知っているだけで、門の向こう側を知ってる訳では無いのでは…?
とも思われますが、キョウが『S級封士なんて本当にいるのか』と疑問に思っている中、黒目はアナライの存在は覚えており、『その能力自体が異なる』という事も知っています。
なので、一話の段階で黒目はキョウのように疑う事もなく『S級封士』の存在を知っていた=過去に『S級封士』の存在を納得できる形で見た事がある…と受け取れるのですが…
深読みのし過ぎでしょうか…
好きすぎて伏線や何らかの理由を探したいだけなのかもしれませんが、私はそういう風に解釈しています。
…色々と考えましたが、物語を進めます。
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涙が出るのは『悲しいからじゃない』。
何度もラやアナライに言われた涙の理由。
誰かが側に居ると泣き出す子ども。
『自分の虚』を埋める為に周りの人間の感情を受け取る子ども。
それがこの街の真実。
『錆色の記憶』を癒やす為に「虚」を持つ子どもを利用する街。
最早「癒やす」という言葉すら間違いで、本当は辛い記憶を子どもに押し付ける街。
大人に守られるべき子どもが利用され、大人を守る為に消えて行かなければならない。
そんな地獄の縮図のような街。
そんな地獄のような街の小さな部屋で、アナライは自分が自分であるという事に気付いてしまいました。
他人の『錆色の記憶』を吸収し、溜め込んでしまう事で消えてしまう子ども。
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『S級封士』が、アナライが、ラが、『「まずは、自分が自分であるということを知らなくてはいけない」』理由。
他人の感情を、記憶を吸収してしまう『S級封士』は他人の感情や記憶で埋め尽くされてしまうから。
他人に成らない為に、消えてしまわないない為に、自分を強く持たなければなりません。
部屋から逃げ出したアナライは捕まってしまい、けれども意思を持った『S級封士』の扱いづらさから部屋を出ることが出来るようになりました。
『記憶封士』のシステムを研究するために。
きっと、その中で生み出されたのが三話の『trigger device』なのでしょう。
屋敷の中で、自分の中の大切な思い出と一緒に生きていける『懐古蝶』。
他の人の『錆色の記憶』ではない自分の中の明確な「大切な記憶」を知るためのデバイス。
最終的にアナライにとっては、『悲しみも喜びも』どんな大切な思い出も『あるのはこの狭い小部屋の中』じゃなく、
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そう気付いたからアナライにとってはもう、あの『trigger device』は必要が無くなり、お屋敷にそのままにされたのだと思います。
アナライはこれから辛い選択を黒目と少女に委ねますが、アナライの中ではもう大事な物が何か、何を選ぶかは決まって居たのではないかと思います。
だから、これからの願いはきっと、最後のアナライの我儘。
態勢を支えなおすアナライから、体調の悪さを感じ取れます。
そして、真っ白な『封士』を、少女をアナライは見つけ出しました。
彼女に自分が背負った他人の『錆色の記憶』を受け継いで貰うために。
これが、アナライが言っていた『利用するために育てている』という事。
アナライが少女を愛していると言わない、言えない理由…
黒目は銃を取り出しアナライに突きつけます。
※
三年前、受け取った銃でアナライを殺す為に。
黒目がアナライを殺すのが先か。
少女がアナライを癒すのが先か。
…一人勝ちをする賭けなんてアナライはズルい人です。
けれど、最後には黒目と少女が幸せになる選択を取るアナライ。
TRの世界は皆、優しい人ばかりで涙が出て困ります。
『ひねくれ者の生徒』の気持ちも分かります。
彼の大事な人はずっと病気がちで入院しているのだから。
アナライは黒目に委ねます。
殺してくれるか、殺さないか。
※
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…アナライは、どこまでも優しく、嘘つきです……
黒目は…アナライを殺す事が出来ませんでした。
どこまでも冷静で居られるのに、どこまでも優しい黒目。
これが黒目の真実。
※
アナライを撃った黒目はどこにも存在しませんでした。
少女はきっと『錆色の記憶』を自分が背負っても癒やしてしまう。
けれど、黒目はアナライを殺せない。
どうする事も出来ないまま廃教会から立ち去る黒目。
雨に濡れ、帰った家に少女の姿はなく。
黒目はそのままベッドへ倒れ込みます。
黒目はそのまま眠りにつきます、何の解決も考えられないまま。
今話はセーブタイトルが変わる事は無いのですが、長いのでここで一旦〆ます。
『S級封士』の真相、そして、少女の真相が語られました。
あとは、ただ、静かに彼らの真実の過去の終わりを見届けるだけ。
アナライの願い、少女の願い、黒目の願い、それぞれの想いが絡まり、ゆっくりと終わりに向かっていきます。
次回 →→→