ひっそりと群生

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【falling】感想

【男性主人公全年齢】



2014年08月18日配信
にんじゃはなんにんじゃ』様 ※リンク先公式HP
falling】(PC) ※リンク先ふりーむ!
以下感想です。








雪の街、淡い世界観。世界観と雰囲気が単純に好み。
それを踏まえても起承転結、文章の読みやすさ、絵の美麗さなど完成度が高く感じ、同時にノベルゲーム的な懐かしさを感じた物語でした。



『数年前に父親を亡くし、莫大な遺産を引き継いだ青年マクビーは、
 しかしやりたいこともなく、その金と美貌を持て余しながら自堕落な生活を続けていた。
 そんな中、彼の家に突如不思議な少女が現れる。

 「マクビーがあたしを誘拐したんだからね!」

 自分が少女を家に連れ込む姿が録画されたレコーダー。
 少女はそれを持ち出してマクビーを「脅し」にかかる。
 しかしマクビーに少女を連れ込んだ記憶はない。

 マクビーは経験したことのない事態に翻弄されていき、
 少女を取り巻く「厄介事」に巻き込まれていく。

 ――俺が本当に誘拐したのか?

 マクビーと少女が出会った意味とは?
 そして世間を騒がす「連続児童誘拐事件」とは。

 まるで「降って湧いた」かのような奇怪な運命は、
 やがてマクビー自身をも変えていくことになる……。』
(公式より引用)



一言で言うなら何というか…懐かしい雰囲気でした。
フリーノベルゲーム黄金期というか。
今はホラーRPGが異様に流行っているフリゲ界隈ですが、それ以前のフリーノベルが流行っていた時の雰囲気というか、あの時代の雰囲気…
と言っても分からないような雰囲気語りから初めてしまうくらいには懐かしさを感じました。


お話も起承転結、どこを見ても凄く綺麗で童話を読んでいるような世界観。
何か引っかかった点を言うとしても粗探しになるくらいには素敵でした。


その上であえて言うなら、コンフィグなどで一部思う所があり…
テキストウィンドウより文字表示が若干上な感じが少し気になったり、主人公マクビー視点で進みますが、主人公が画面に現れたり、こちら側が主人公視点になったり忙しいと感じたので画面に表示なら常に表示して欲しかったです。
それと、シャロンの身長的にシャロンが上側に表示され、身長差で違和感が…
身長差があるのなら画面の上下移動や、別枠でシャロンの立ち絵、もしくは遠近感での身長差が欲しいかなと。
右クリックでコンフィグ表示ですが、コンフィグ内のBACKでのみゲームに戻れる為、もう一度右クリックでゲームに戻れるようにして欲しかったです。
あと、他のセンスが良い分、コンフィグのボタンをもう少し凝って欲しかったなぁと…
他が諸々綺麗過ぎる故に若干気になりました


サブキャラが素敵なので、もう少しサブキャラに焦点を当てて欲しかったり。
マクビー関連で若干好みとはズレがありましたが本当に美しく…
そういう一部個人的な好みで諸々思う所があっても、
「素敵だった」「良かった」
と思える…厳しい出来事も確かにある、けれども最後には優しく淡い世界の物語でした。



『システム、演出』
吉里吉里製。
上記に上げたコンフィグ関連のボタンが若干ダサいと感じた事以外は得には…
あ、でも初回起動のサークルロゴ、ローディングで若干モタつきます。
ED後、章毎に読み返せるのはとても良かったです。
演出というか…シャロンの身長差にはもう少し見せ方が欲しかった…
選択肢は最後の最後でドンと来ますね…
一個しか無いですが、一個の選択で大きく変化するタイプ好きです。
クリア後にタイトル画面が変わる系は好きです。
片方でしか変わらなかったりクリア後のオマケも片方のその後しかないので実質あちらがメインだとは思いますが…
もう片方も捨てがたいので是非オマケで見たかったです。


『音楽』
BGMは特に印象深い曲は無かったですが…
過去などで流れるオルゴールっぽい曲は好きです。
SEは話が変わった時と、血が出た時の水滴音が印象に残ってます。
特にマロンのシーンは痛そう…
印象は薄いですが、BGMは雰囲気には合っていたと思います。
どの曲も基本柔らかい。


『絵』
一枚絵の枚数は少なめですが、欲しい時に欲しい絵がありました。
少女漫画寄りの絵柄ですが、塗りなど綺麗でした。
背景はお店などは写真加工。
部屋の背景のイラストが綺麗なので、スーパーマーケットとかが若干気になりました。
立ち絵はシャロンの身長関係の見せ方以外では特に思うことは無いです。
表情豊富でコロコロ動きます。
淡い物語に淡い絵柄で話と絵が綺麗にマッチしてました。


『物語』
ノベルゲームとしてとても読みやすかったです。
無駄なく分かりやすく、変な言い回しもなく、本当にどの層が読んでも読みやすい文章だと思います。
シャロンの件で義理の父関係で色々とあったのだろうな…と思わせつつも、そこをしっかりと書きすぎるとおそらうエグくなり過ぎて、この世界観が崩れてしまうと思うので、ボカシて読者の想像で補わせていたのはとても良かったと思います。
上記でも書きましたが起承転結どれも綺麗で、話も一話一話で区切られているのでとても読みやすかったです。
淡い世界観が好きなのもありますが、最初から最後まで止まること無く読んでました。
大笑いなどはしませんが、マクビーとシャロンがとにかく微笑ましいです。
猫とゴミ箱のシーンなどはクスリとしました。
そして、本当にサブキャラが個性的なんでしょ…
正直マクビーよりもシドさんやマロンが好みなくらいに。
これは二人の物語なので仕方はないし、蛇足になると思いますが、サブキャラに焦点を当てたのも見たかったなぁと思ってしまいました。
特にシドさんの苦労時代とマロンの過去話。


『好みの部分で思った所』
間違いなく万人に勧められる名作だと思いつつも、若干自分の好みと合わないなーと感じた所があり。
その理由ですが、マクビーが王子様王子様しすぎてた!
すいません、完全にカップリングの、男性キャラの好みの問題です…





以下ネタバレ含めての感想です





諸々と思う所というのは、
シャロンは未就学児らしいけど、彼女視点で若干小学生前とは思えないな~」
とか思ったり…
でもコレは育った環境もあるかもなので、あの環境ではかなり達観した視点を持ってても納得出来ます。
多分、義理の父関連で、精神的な成長をしなければいけないくらいには諸々あったのだろうな…と。


あと、超個人的なのとして…2つあるENDの片方の癪が短く感じ、こっちが凄く好みなシチュエーションだったのでコレでもう少し(おまけでもいいから)見たかったな~という部分がありました。


で、ここからED語りになりますが、おそらくおまけがある事からメインは「wish on a falling star」だとは思います。
これは「家族になる」物語だと思うので、実際「wish on a falling star」では良い家族だと思います。
でも、「KAGO NO NAKA」では「wish on a falling star」ではおまけでも描かれないシャロが大人になった姿(といっても十代だと思うがバイトという表現からある程度の年齢)が出て来ます。
この辺りに別の意味での「家族になる」…「男と女になる」が含まれてるという深読みをせずには居られません。
いや、シャロって未就学児で4、5歳、マグビーが「はじめに」の説明文上での未成年として17~20。
世間的に見たら多分10~15は確実に離れてる上で前科者…これ結構難しいと思います(生活的に)。


で、このタイトル「falling」「落ちる」。
「落ちた」のはどっちかな…と考えると「KAGO NO NAKA」かなぁと。
おそらく「wish on a falling star」ってシドさんが育てる以上、シャロンとマクビーって男と女にはならないと思うんですよ…
でも「KAGO NO NAKA」はどうか。
言ってしまえば2人の世界の中で、シャロンも成長すればするほど幼少時代の事で責任感を感じ、
「自分を選んで貰ったからこそ、マグビーの側に居なければいけない、幸せに笑って居ないといけない」
となり、マグビーも、
「なんで男の一人もできないんだ」「まだ男は作らないのか」
と言いつつも、
「特定の人と仲良くなるのを禁止」
な程にお互い離れられず「籠の中」に篭ってしまう。
娘として見てきたけれども女性として見てしまってるからこそ何度も男の話題を出して何とか男女である事を誤魔化してる感じがして、この…落ちた先で、でもこれ以上落ちないように一線はせめて越えない様にどうにかギリギリ踏み止まってる感じ…
一部層にはたまらないシチュエーションですね…
(いや、マジでギリギリでシャロンがバイトしてるから何とか世間的な繋がりは何とかなってますが、しなくなったら本当に2人の世界ですよ…金もあるし…問題無いし…)


「落ちた」のはどっちのエンドなのか…
どちらのEDもあるからこそ、光と闇が有るからこそ、片方のEDが映え、どちらが正しいという訳ではないですが、タイトルから考えると「落ちた」のは「KAGO NO NAKA」で「wish on a falling star」は「這い上がった」という気持ちに…
個人的にタイトルとシチュエーションを踏まえた上で「KAGO NO NAKA」が好みだなぁと。


各話サブタイトル必ず「falling」という単語が入っていて、「落ちる」という意味で使われてるのに「wish on a falling star」だけ落ちるでなく「星に願いを」なんですよね…
「wish on a falling star」にだけ「落ちる」を使わない定型文が有るが本当に…
だからこそ「KAGO NO NAKA」はfallingを使ってない分、もう落ち切った感じがありました。


世間的には幸せにも見えるENDと、そして二人の世界に引きこもるEND…両方設けるのが憎い憎い。
父と娘になり家族になったEND、男と女になり家族になったEND。
両立が中々に難しそうですが綺麗に表現し、そのどちらも設けた、読み易く分かりやすい素晴らしい「家族になる物語」でした。


と…色々方って素晴らしい出来と言いつつ、面白いと思いつつ、若干好みじゃ無かったのは…コレ、シャロンのお姫様物語だからだよぅ!!
私は個人的に男性側も土臭い思いをして這い上がって欲しいので、物理的な解決方法は何もかも完全に最初から持ってるマクビーにどうしても魅力を感じられなかったのだと思います。
正直男性キャラ的な好みで言うならシドさんやマロンだったので…
ですが、メインENDで自ら勉学に励もうとする姿はとても好きでした。



『以下サブタイトル意訳』

【The sky is falling】「空が落ちている」
【with a feeling of falling】「落ちていく感覚と共に」
【falling into the trap】「罠に落ちてゆく」
【Stop guns from falling into the wrong hands】「落ちてくる銃が間違った人の手の中に入るのを止めろ」
【avoid falling】「落ちるな」
【falling away with you】「貴方から外れ落ちる」
【wish on a falling star】「星に願いを」


最後の「星」ってシャロンかなとかは思いましたが、空にいるマクビーが初めて周りにある「星」に目を向け、他の何かに懇願するというという事を考えたら、何となくシドさんやマロンなど、周りの人物の事に感じました。
正直マクビーが目を向けていないだけで、シドさんもマロンも…登場人物マクビー以外有能なんですよね…
少し周りを見渡せば星にいっぱい願える位置にいるマクビーは本当に救われていると思います。