ひっそりと群生

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【セカイノミカタ】感想

【女性主人公全年齢】



2015年02月04日配信
sugiya』様 ※リンク先公式HP
セカイノミカタ】(PC) ※リンク先ふりーむ!
以下感想です。








「すべてが誰かとつながるミステリー」…というジャンルですが、壮大なミステリーというよりも「世界は広いけれども世間は狭い」そんな言葉を凝縮したようなちょっとだけワクワクするご近所ミステリー。



『すべてが誰かとつながるミステリーノベル

 主人公の新山直は、誕生日に姉の言いつけで紅茶店へ行く。

 そこで出会ったのは
 姉の知り合いだという美しい少年、法条宝だった。
 彼は、新山直の姉が言っていた「世界を救う方法」を知りたがる。

 未来予知ができるにもかかわらず、震災で死んだ姉。
 6年前のマンホール爆破騒動。
 人気の宗教団体、【アルベルト・アガペー】の存在。
 身近で起きたバラバラ殺人事件。

 その果てには、どんな真実が待っているのか。』
(公式より引用)


選択肢無しの一本道。
私はディスク版でプレイしましたが現在はフリー版となっているみたいです。


物語はあらすじではかなり大きな事件が起こりそうな上にタイトルが広大さを感じるので、
「世界を巻き込んだ大きな争いが!?」
と思いそうになりますが、実際はそんな事はなく。
ミステリーというよりも身内やご近所レベルの小さな出来事を少しずつ解決していく感じです。
殺人事件もそんなに重々しかったり怖い雰囲気にはならずに関わってきます。


この作品の見所はやっぱりあらすじでもあるように、
「すべてが誰かと繋がる」
という部分です。
偶然出会った人達がどんどん繋がっていく過程がメインで、
「世界は広いけども世間は狭い」
を体現したような作品です。


ですが、若干駆け足気味だとも感じたり…
キャラの配置と関係性に拘るあまり、キャラ個人個人の心情はイマイチ分かりませんでした。
立ち位置がどんどん繋がっていく過程は面白く「おお!」となるのですが、その繋がっていく部分以外は話ではそんなに印象が無かったり…
サクサクと「次!はい、次!」みたいな展開の印象を受けました。
キャラ同士の交流の過程もゆっくりと交流する感じではなく、気がついたらいつの間にか仲良くなってるので、皆コミュ力高いなと感じるのと同時に、
「キャラが配置されていく」
ような感覚も感じました。
そのサクサク進む小気味よさが良いと思いつつも、キャラ自体は魅力的なのでもう少し一人一人を描いても良かったのになぁという気持ち。


あと、少し変わった例えが多かったです。
「領主に話しかけられてしまった忍者のように」
「金魚が私の顔を見るなり寄って来てくれたかのような」
「気づいてほしくない部分を指摘された、政治家のような顔」
「子供から花をもらったときの軍人を想像させた」
などなど、?となるような例えられてもピンと来ない例えが結構ありました。


システムが最低限、セーブ、ロードしか無いので潔いです。
文字が若干細くて読みづらかったり、文字表示速度の変更や音量の設定は出来ません。
文字表示速度は速寄り固定なので遅いのが好きな人には若干辛いかも(ノベルで「遅」を選ぶ方は少なそうですが…)。
音量は自分のパソコンでの調節になります。
オートモードやスキップも無いです。
一本道なのでそんなに重要ではないですが、一周クリア後に好きなシーンに飛ばす際には、Ctrlキーでのスキップになります。
あと履歴モードはなく、マウスロールでの履歴表示の上、少し前までしか履歴が残らないので、ずっと前の文章を読んだりは出来ませんでした。


展開がスピーディーだったり、キャラが配置型だと感じたり、システムが最低限だったり、色々と言いましたがこの作品、雰囲気がかなり良かったです。
上手く言えませんが、ゲーム画面の全てから凄く透明な感じが伝わってきて。
ツールは正直上記の通りコンフィグなど充実していませんが、メッセージウィンドウの枠組みのデザイン、写真加工。
その「人物を掘り下げない」部分をもう少し書いて欲しかったとも思いつつも、その掘り下げなさ、まだ謎があるからこその独特の雰囲気…
言ってしまえば画面全体から感じる独特の透明さ、淡白さ…そんな雰囲気が凄く好みで。


大きな事件を解決する系ではなく、身内レベルの小さな謎を少しづつ解決し、少しづつ自分達の繋がりが明らかになる。
「実はこんな所で繋がっていた!」
そういうタイプの謎解き、紐解き、ミステリーが好みなので楽しく、雰囲気もとても好みで、色々と謎は残りましたが、この作品の雰囲気だけでもとても楽しめました。


あ、あと女主人公で他のキャラがほぼ男性(絵柄は独特ですがほぼイケメン揃い)なので若干女性向けの雰囲気はあります。
恋愛要素は皆無ですが。



『システム、演出』
Artemis Engine製。
ゼーブロードのみで本当に最低限。
一本道なのとメッセージスピードはデフォルトで早めなので苦にはなりませんでしたが、音量設定などはやっぱり欲しい…かも。


『音楽』
雰囲気に合った選曲でした。


『絵』
オリジナル、そして独特の絵柄です。
下手ではないですが、塗りで若干キャラ数名白目を向いてるように見えました…
セカイさんは最初盲目の人かと思ったほど。
女性も女の子もおじさんも男性も、上手ではあり、私は好きですが癖があり好みが分かれる絵柄です。


『物語』
本当にご近所レベルの謎というか。
ミステリー部分に期待をすると悪い意味で裏切られそうです。
「横の繋がり」の要素が好きな人向け。
アガペーやセカイと宝の関係も明かされないので、モヤモヤが残るのが苦手な人には向かないかなぁと。


『好みのポイント』
とにかく雰囲気、世界観が好みでした。
個人的に凄く透明な感じがするんですよこの作品…
そこが好きなので人には中々に勧めにくいですが、プレイ後にこの透明な空気に触れられて良かったとなった作品でした。





以下ネタバレ含めての感想です





主人公は直と見せつつ実は山岸兄妹と保坂先生の物語なんですよねコレ。
作中で分かるのは、

「保坂先生と恭太が親子」
「6年前の犯人が保坂先生」
「オーナーに蜂蜜氷を教えたのが保坂先生」

あと???で補完された部分では6年前の真相、

「姉が宝とペットボトルを集めた理由」
「保坂先生がマンホール爆破事件の犯人だった理由」
「山岸兄妹の過去」

などなど、これが解答編みたいな感じですがそれでも色々と謎は残っていて、色々と確実な繋がりを見せつつ、結構謎は残ってるんですよね…
アガペー全体や宝とセカイの関係など。
アガペーに関しては本当に何一つよくわからないままですが、春人と咲良が義兄妹だった事と二人の父の話。
それと恭太の母の話を見るとおそらく咲良の母は浮気していた恭太の母?
恭太の母が浮気していた相手は山岸兄妹の父ではないかなと。
あと、宝とセカイの関係もわからないままですが、セカイの「子供を救う事が世界を救う事」の理論から、宝という名前でセカイの息子?
子供二人を預かれる時点でセカイさんは成人なので。
でもコレは流石に年齢的にいくらセカイさんが若作りでも無理かな。
二人が同じ画面に出る事が無いので同一人物説も考えましたがそれは流石に突拍子も無さ過ぎるか…


色々と考察しようとしても要素が足りず考えが纏まらない部分も大きいのですが、もう既に居ない姉が大きな存在感を放っていたり。
淡白のような…透明のような…独特の雰囲気はとても好みだったり。
話としては答えに辿り着けない部分が多くても、雰囲気は本当に好みでした。



タイトルは、

「子供を救うという意味の『世界の味方』」
「視点が違えば見る物も変わるという意味の『世界の見方』」
「セカイに陰ながら味方した直の姉という意味の『セカイの味方』」

色々とありそうですね。
かなり壮大なタイトルなのでこのタイトルだけで始めると肩透かしを食らいそうですが、「セカイ」と「ミカタ」の部分が何に成るかで大きく意味合いが変わりそうなので、個人的にはこのタイトルで大正解だとは思ってます。