ひっそりと群生

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【遠い海のアリア】感想

【百合全年齢】



2019年08月29日配信
Paper Moon』様 ※リンク先公式HP
遠い海のアリア】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








語らなくとも、言葉は無くとも、そこに愛は確かに在った。



『恋をして陸に上がった人魚と、呪いの短いお話。』
(公式より引用)



プレイ時間は1時間ほど。
人魚が人間に恋をし人間に成る。
普遍的な人魚姫物語を下地にしながらも恋した先は儚げな美しい女性という人魚姫×百合という要素に仕上げ、美しい絵と音楽、分かり易く読み易いからこそ心に響く文章で短くも圧巻の世界を作り上げていました。



『システム、演出』
ティラノ製。
メッセージスピードだけは変更しても反映されませんでしたが、それ以外は不備はありませんでした。
波打つ海のシーンから始まるムービー好きです。


『音楽』
オリジナル曲らしいです。
ピアノを弾くという要素が重要になるのですが、失敗した時の音源まで用意されていて、その妥協の無さに驚きました。
どのピアノ曲も良い中で、やっぱりオリジナル曲の「深き淵より」は流れるシーンも相まって涙無しでは聞けませんでした。
あの流れはズルいです…


『絵』
『霧と太陽の王』『虚ろ町ののばら』(※リンク先感想)とプレイして来ましたが相変わらず絵はため息が出るほど美しく。
「青い世界」を作らせたなら右に出る方は居ないだろうと自信を持って言えるほど、読む側も青い海の底に沈んでいきそうな感覚に陥りました。
美しい絵でのゲーム世界への吸引力が凄まじいです。
涙までも麗しく、涙を流す立ち絵はまさに錦上添花。
背景写真も西洋要素溢れる画像そのものも綺麗なのですが、加工技術の高さが半端ないです。
見目麗しいキャラクターに引けを取らない加工のされ方で…
背景写真に映り込む埃すら輝くように加工されていらっしゃました。
埃まで美しいとは…その洗練された美に恐れ入ります。


『物語』
文章は上記でも書きましたが難しい表現などもなく、分かり易い文章でサクサクと読めました。
物語に関しては結構大きくネタバレ禁止令が出ているのでネット上では広くは語れませんが、王道で分かりやすいながらも王道だからこその良さを噛みしめる流れでした。
4章への入り方はもう…正直自分はアリアの方にばかり集中してて予想していなかったので驚きました。
(気付く方は直ぐに気付きそうですが…)


『好みのポイント』
人間に成った代償とその結末、どのシーンを切り取っても綺麗でため息しか出ません。
上手くは言えませんが「語らずの愛」などが好きな人にはたまらない作品だと思います。
言葉で伝えずとも、ただ寄り添い一緒に居る中でも愛がある…
そんな彼女達が大切に寄り添う儚く切ないラブストーリーでした。





以下ネタバレ含めての感想です





この項目を設けては居ますが、ネタバレ禁止令が公式様から出ているので深くは語りません。
一時間以内のお話なのとフリーゲームなので是非沢山の方に触れて欲しい、そう強く思うばかりです。


ですが最後に。
唯一の選択肢が出た時にその選択肢がとても残酷で残酷で…
どちらを選ぶのも胸が締め付けられ苦しかったです。


そして、「霧と太陽の王」「虚ろ町ののばら」でも思いましたが自分はPaper Moon様の色々と秘めた物を抱えていながらもそっと優しく見つめ続けラスト方面で静かに想いを心の中や他の人物に語る男性キャラ好きだなと思いました。
とても重いものを抱えながらも穏やかに佇んでいる姿が凄く好きです。