ひっそりと群生

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【Dear world -the one-】感想

【男性主人公全年齢】



2007年10月01日発売
non color』様 ※リンク先公式HP(18禁)
【Dear world -the one-】(PC)
以下感想です。








大切な人が居て、大切な場所があって、大切な思い出があって、そんな大切なものが沢山ある世界を守る為に戦う。



『主人公、皆守和哉はごくごく平凡な学生。
 多少、怠惰でだらしない面を除けばその辺の人となんら変わりない。
 同様に彼自身の生活も、至極普通でありきたりなもの。

 そんなある日、事件がおきる。
 日常から非日常へと反転した瞬間、すべては始まった。』
(公式より引用)



選択肢はありますがおそらくその時の文章が変わるくらいで一本道だと思います。


non color作品どころか、はとさんの作品初プレイでした。
現在商業の方に行かれていて、色々とお名前だけは存じ上げていました。
そのはとさんの処女作で色々と伝説級である「Dear world -the one-」に触れる事が出来、大変感激です。
いや、本当に、一生ゲームをお目にかかれないと思っていました。
今回その伝説級の作品に触れられた、その事だけでも嬉しさで胸がいっぱいです。


物語的には合う部分と合わない(というか細かく分からない、理解出来てない)部分がありましたが、それでも「世界を賭けた戦い」という異能バトル系の王道の展開や、失いたくないかけがえのない日常が独特で個性的な文章で描かれ、他では味わえない体験が出来たと思います。



『システム、演出』
NScripter製。
読む速度や基本的な機能は良いのですが履歴で戻れる範囲が少ないと感じたのと、セーブは出来ても殆ど意味を成さなかったのでそこは辛かったです。
ロードして始めると文字にルビが振られる箇所で必ず停止してしまいます。
公式から回避方法が出てるのですが、その方法が最初からプレイする事なので実質セーブ出来ません。
一気読み出来る集中力を持たないので、こまめに切る際にゲームとパソコンを起動しっぱなしだったので地味に熱がこもりました。


『音楽』
オリジナル曲みたいです。
そしてまさかのライターさんが曲を担当という。
同人でもあまり見かけないので新鮮でした。
プレイした事があるサークル様でライター兼作曲で知ってるのは郷愁花屋さんくらいかなと。
商業の方に行かれてライター業に専念されていらっしゃるみたいですが、良い曲が多いのでライターだけになるのは残念だなぁと少し思いました。
そして良い曲が多いのに音楽鑑賞モードが無いのは残念です。
CG鑑賞モードはあるのに何故…


『絵』
3人の方がキャラクターを担当していらっしゃるらしく。
実際、立ち絵はメインの方とそれ以外の方の絵柄がハッキリと違うと分かるくらいにはかなり差がありました。
私はあまり絵に関してこだわりやセンスが無い方なので読んでいて気にはなりませんでしたが、メインイラストの方とその他の方の立ち絵が並んだ時にふと「あ、全然違う」と思ってしまう箇所はありました。
でも戦闘などで格好いいシーンは格好良く描かれるので、話にノる事が出来ればそんなに気にならないかとは思います。


『物語』
噂に違わず、独特な文章でした。
特にギャグシーン。
ノリきれない所はとことんノリきれず「何を言ってるんだ…???」と思う箇所も確かに多かったのですが、ノレて感性に合う箇所は本当に面白く、とにかく独特のテンションで進んでいきます。
テンションが常に高いか?と言われたらそうでもなく、不条理ギャグか?と聞かれてもそうでもなく…
まさしく個性の塊という言葉そのものの文章でした。
その個性的な文章の中でキャラクター達がイキイキとしていて、どんどん全てのキャラに愛着が湧いてきて。
異能バトル物なのですがあまりにも日常が楽しく、「彼らとのワイワイ騒がしい日常がずっと続けば良いのに…」と強く思いました。


『好みのポイント』
上記で書きましたがノリがピッタリと合致した時のギャグシーンです。
合わない時はとことん合わず「スーー」っとなるのですが合った時には破壊力が凄まじいです。
そして、ギャグでの応酬が連発し始める中盤以降、主人公の元に居候が集まるシーンは面白すぎてたまりませんでした。
もっと平和な世界でワイワイガヤガヤして欲しかったです。





以下ネタバレ含めての感想です





正直、異能バトル物としての戦闘シーンはノリやテンション、勢いは良いのですが、同人の中では普通なイメージです。
(というか同人界隈の異能バトル物はちょっと色々とレベルが高すぎる気が…)
そして、分からない箇所が多いとも思いました。
和哉の過去がしっかりと明かされてなかったり、同時にカズヤの腕の過去も分からないまま入れ替わる理由も分からず、ラストでマズルカが味方側に来るまでの過程が描かれて無かったり(読み飛ばしてないなら過程が無かったはず…)。
人工のエヒトだとは分かりますが真紀先生の事とかもう少し語られても良かったり。
和哉の妹を名乗った少女やリラをコチラの世界に連れてきた存在も分からないまま。
冒頭の女性を殺すシーンも謎のまま。
あとはジーグを倒す際にどうして和哉とカズヤが出会う事が出来たのか、そしてジーグとの戦闘…ラスボス戦は端折られるという…
別作品なんですが吟遊詩人がタイトルの某同人ゲームでもラスボス戦が端折られたり…
同人業界ではラスボス戦は端折るというのが流行っていたのでしょうか…そんな事は無いはず。
個人的にラスボス戦はしっかりと描いて欲しい派なのでそこが凄くモヤりました。


あとは完全に私怨なのですが、郁海や詠ニなど好きなキャラが尽くお亡くなりになったのが凄く悲しかったです!!
ラスト、味方側では生きているキャラが多いので余計に…
存在自体の抹消という…郁海や詠ニもとにかく生き方が美しく逞しく大好きなキャラの中、なんかもう、散り際も強く美しくも切なかったです。


世界構造や時系列などに関しては全く分かってないです。
構造考察系が大の苦手なので。
エヒトが居る理由なども分からず…
でも、世界そのものが一人の人間の肩にかかっている(物理)という状況は凄く好きです。
例え中二的と呼ばれようともロマンを感じます。
あの…魔◯騎士レイ◯ースを思い出しました。
世界は一人の柱によって支えられている…みたいな、ロマンですよね。
でも、例の少女漫画はお姫様が攫われる~というような内容だったのですが(正確に言えばそれ以外の部分もありますが…)、それよりも世界の内政というか…政府自体との争いが発生したり、世界の中で戦いが起きるのが血生臭くて、人間の闇があり、ロマンはある中で残酷で人間的な話だったと思います。
あさひがエヒトとして覚醒し力を手に入れた辺りから力を好き放題使い出す所とかもう…THE・人間の欲望という感じで好きです。
ずっと和哉の事をどう思っているのか気になってたんですよ…恋愛感情は微妙ですが、案の定、玉置さんに奪われた事は尺に触ってたんだなと。
あの辺りで女の醜い欲望がダダ漏れで最高でした…人間は醜さを出した瞬間に(キャラクターとして)美しくなる。
あさひのあの行動を見ると叶がいかにエヒトとして気高かったのかが分かります。
同じような力を持っているだろうに誰に対しても送還以外の能力を使う事は無かったのだから。
叶さん、エメ◯ード姫みたいなお方だ…


異能バトル物でありながらも途中から異世界パートが来ると、「現実世界パートが早く来ないかな…」と待ち遠しくなるほど正直日常パートが一番楽しく、4人で疑似家族を形成しだす辺りが最高潮でした。
疑似家族要素など好きな部分もある中で(自分の理解力の低さもあり)分からない部分がかなり多いので、はとさんの個性的な文章に触れられた事と処女作に触れられ伝説の作品をプレイできた事は感無量なのですが、全力で楽しかったか?と聞かれると少々首を傾げる所があるのが素直な気持ちです。
ですが、続編である「Dear world -Re.-」をプレイすると一気に面白さが跳ね上がるともお聞きしているので、そちらの方もこれから触れてみたいと思います。
二つが合わさった時、どんな化学反応を起こすのか、楽しみです!!