ひっそりと群生

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【さよセン(さようならセンター試験)】感想

【男性主人公全年齢】



2019年08月14日配信
ゴールドレリーフ』様 ※リンク先公式HP
さよセン(さようならセンター試験)】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








10人中8人が首を傾げ1人が静かに頷き1人が商業では無いノリに「好き!」となるタイプのまさに怪作。



『ゲーム史上初!
 「大学入試センター公認作品」 (※公認…名称使用認可)

 『さよセン』(さようならセンター試験

 ・あなたは大切な人を失った時
  大金を失った時
  友達全員に嫌われた時
 『あなたなら、どう復活しますか?』

 『さよセン』はそのひとつのアンサーとして製作されました。

 ・ゲーム史上初!
  世界初の『大学入試センター公認のゲーム』作品!
  ゲームの中でも、とても珍しい存在です!

 ・このゲームはプレイするのに、かなりお得な作品です!!
  さよセンの製作には…
 ・塾・プロ家庭教師等、教育業界のプロフェッショナルとの数年にわたる綿密な話し合い
 ・数百人におよぶクライアント調査
 ・構想 4年
 ・話の元ネタ代 数億円
 ・世界史上初の『大学入試センター』の認可・最後のセンター試験記念作品
  それらが組み込まれ反映されています!

 普通のゲームと違いすぎる、かなりお得な内容を
 無料でお楽しみください!!

 ・「さようならセンター試験」というSNSでつぶやくイベントも開催中!
  みんなでセンター試験
  「さようなら」や「ありがとう」を好きにつぶやこう!!

 原作「メンタルフェニックス」。(学研よりアマゾンにて発売予定)
 史実をもとにしたフィクションのノゲルゲームです。

 今までに1600万人の人が受験したセンター試験……
 この作品は、
 これまで全ての受験生、
 今年の受験生、
 これからの受験生……
 『がんばるみんなにおくる「あなたのための物語」』。

 「さよセン」(「さようならセンター試験」)をどうぞお楽しみください!』
(公式より引用)



選択肢は有りますがEDに影響は無く一本道シナリオ。


はい、上記が公式の紹介文なのですが…ハッキリ言って物語は全く伝わりません。
HPでも物語の説明も無く、キャラクター紹介も無い。
タイトル画面からも物凄い「圧」を感じたり、スタート画面もお世辞にも見やすいとは言えません。
全ての見た目が様々な要素、情報で溢れかえっており、一見さんお断りの空気が凄まじいです。
文章も()注釈が多く、展開は早めなので熱量とスピーディーさとノリとテンションに乗れないと合わず、文章が読みやすいとは言い難い所はあります。
それでも、この作品からは溢れ出る熱量がとにかく凄かった。
熱量が溢れ出すぎて見栄えの情報量が多くなっていると言うか…もうなんかこう…熱の塊でした。
こういう作品が出てくるからフリゲや同人ゲームなど個人制作は本当に面白いです。
HPや紹介文やタイトル画面などから全く内容が予想できない所がネックだと思いつつ、その溢れ出る熱量で分かりにくい部分もクリアした今ではこの作品らしさだと思ってます。


上記で書きましたが、10人中8人が首を傾げ1人が静かに頷き1人が商業では無いノリに「好き!」となるタイプ。
そして自分は「好き!」となるタイプでした。
万人受けは…難しい方かと思いますが好きな人にはヒットするので、そんな方に届いて欲しい作品です。



『システム、演出』
ティラノ製。
ティラノの基本機能は付いてます。
ただ履歴にゲーム中と改行が同じではなく文字が密集していたので若干履歴が見づらかったです。


『音楽』
ラテン系というか…民族系の曲が多いのが印象に残りました。
おそらくフリー素材だと思いますがあまり日常系のゲームでは聞かない選曲だったので凄く新鮮でした。
(あと、とある2曲がマイベストゲーで魂でもあるとあるフリゲと同じ曲だったので懐かしい気持ちになりました。)


『絵』
作画はお一人なのかな?
名前があったり台詞があるキャラにはほぼ全員に立ち絵があります。
タイトル画面でズラッと並んでいますが、台詞が一言しかないようなキャラにも立ち絵があったり。
やっぱり熱意を感じます。


『物語』
話は簡潔に言うなら「一人の男性が苦悩や挫折をしながら塾講師をして様々な子供達と出会い、彼らに学びセンター試験を目指すお話」…だと思います、多分…
「多分」なのはこの物語がそれだけだと断定出来ない所。
だってこの物語はおそらく今も続いている話だから。
これは…「物語」「フィクション」などで見る人には絶対に合わない気がしますし、基本そうやって物語を見てる人が殆どなので…
なので8人が首を傾げるというのはこの部分です。
それでもラストのあのまさかの展開はノベルゲームではあまり見かけたことが無いタイプでした。
向き不向きは大きいですが、私は好きです。


『好みのポイント』
熱量、そしてさり気に主人公が好きです。
この物語で主人公が好きと書くと物語に向けるべきか現実に向けるべきか色々と複雑ですが、物語として良い主人公だと思います。
周りが酷い状況でも人のせいにせず、ただ怒るのではなく良い方向に向かうように考えて話し、自分が教えるよりも自分が教わるのだという事を一番に考えて行動している点が凄く良いなと思いました。
私も、誰かに何かを教える時が来たらこんな風に教えたいです。





以下ネタバレ含めての感想です





これはラストで分かる事なのでネタバレの項目に書きますが、本作品は半フィクションで半自伝的作品だった事に驚きました。
作中()の注釈などいたる所で作者の心境が浮き彫りになるシーンがあったので「変わった表現だな…」と思っていましたがなるほど…
ノベルゲームは今まで完全に「フィクション」や「物語」ばかりをプレイしていたので、こういう表現もあるのか…と素直に驚きました。
「自伝」読んだ事は無いにしても本の媒体では見かけますが、ノベルゲームの媒体で使ってくる方が居るとは思って居ませんでした…
でも完全にノンフィクションというよりも半フィクションで半自伝…なのでしょう。
表現は色々とあると思います、私は有りだと思います。
きっと作中の中で作者様が実際に体験された事も、フィクションとして描かれた事もそれぞれであるのでしょう。
それが一つの物語になる…良いじゃないですか、夢と現実の狭間な感じがしてとても好きです。
「東大入学という夢を目指す」物語(事象)としてこれほどまでに夢と現の表現が似合う事も無いです。
最後が「未完」なのはきっと…そういう事。


この夢と現実をまたぐ独自性と、現実が関わるからこそ熱の入り方が凄まじく溢れ出る熱量で描かれるテンションはある意味ギャグの感性に近く、合う合わないにかなり個人差が有りすぎるタイプだと思います。
自分は合う方面で、このノリと勢い好きです。
ノリと勢いと、何よりも…勉学に対する熱意が凄かった。
どんなに歳を重ねても勉強は出来るし大学にも挑戦出来る!!そんな熱意。
自分もあまり学校関係に対しては一般が通る道を通って来れなかった所があるので、主人公の境遇とかに共感してしまったり熱意が眩しかったりしました。
個性の主張が激しいけれど、話としてはかなり分かりやすく現実を織り交ぜた上でとても熱血物だと思います。


ノンフィクション部分がどこまでかは分かりませんが、途中のみさきさんとの交流は胸が温かくなりつつもみさきさんとの最後は凄く切なかったり…
途中の主人公のクソ親やクソ兄、そんな家族が居て勉強が上手く出来ない境遇に苛立ちを覚えたり(後で改心しますが、あのシーンではギリリと歯ぎしりしました)。
個性的過ぎる生徒達との交流も、勉強に励む人は皆真っ直ぐで頑張っていて見ていてその努力する姿が凄く澄んでいたり。
単純に「物語」として見た時もけっこう好きなシーンがありました、自分が努力家ではない方なので自分と戦い努力をする方々は物語でも見ていて輝いて見えます。
あと偉人の格言や、センター試験関係の豆知識、奨学金制度の話など知らない事が多かったので読んでいて面白かったです。
勉強の部分も、自分が無知なので「へー」と思いながら読んでいました。


最後まで読んで思ったのは今年でセンター試験は終わりらしく、それがタイトルの「さようならセンター試験」だと思うのですが、あとがき(?)が真実なら是非作者様には頑張って頂きたいです!
誰でも東大を受験していい、いくつになっても大学には通えるし可能性はある、そんな希望を感じました。
センター試験は今年で終わりでセンター試験自体はこの感想を書いている時には既に終了していますが、この物語のラストがノンフィクションなら作者様は東大…もしくは何らかの大学を受けられていらっしゃるのかな?と思います。
合否は分かりませんが、勉学に励まれた作者様の人生は素晴らしいと思います。
進まれる道を応援しています!!