ひっそりと群生

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【あいからの鎖SS】感想

【女性主人公全年齢】



2019年09月08日配信
鳥那狐蘭』様 ※リンク先公式HP
あいからの鎖SS】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








過去とそして、これからを集めたショートショート集。



『向き合うべきものと向き合い、それを乗り越えた、あるいは乗り越えるまでの物語。』
(公式より引用)



あいからの鎖』(※リンク先感想)のSS…FDのようなものになります。
8つの小話で構成されていました。
1話約30~1時間ほど。
本編で気になってはいましたが本編に入れるにはテンポが悪くなっていた各物語が綺麗に入っていたと思います。
それぞれの視点で語られる過去や現在、そして各々の価値観。
皆大変な物を抱えていたり、共感したり果ては全く共感できなかったり十人十色の物語でした。
特に本編主人公の浪榎の成長っぷりは素晴らしかったです。
本編開始数分で死を選ぼうとしたのが嘘のように本編後、true後の彼女は逞しく。
そんな彼女を見れただけでも満足でした。
本編に触れて本編が好きだった方には是非そのままの流れてプレイして頂きたいSSです。



『システム、演出』
ティラノ製。
デフォルト設定です。
ウィンドウメッセージのデザインが変わり、本編で感じていたPC版の方での漢字とひらがなの文字の大きさの違いは解消されていました。
その分コンフィグがかなり小さめになっていて、ブラウザからだとプレイし辛いのかもしれないとは思いました(PC版でのみのプレイなので未確認ですが)。
クリア後のおまけモードなどが無しになっていたのは若干残念でした。


『音楽』
本編同様素材曲でピアノでの統一感が良かったです。
しんみりするような曲が多く、心情を多々語るこの物語に合っていました。


『絵』
本編と同じくオリジナル。
今回は本編主人公だった浪榎も別視点から描かれていて、彼女の立ち絵が何度も見れたのが良かったです。
本編後の物語だと笑顔が多くて安心しました(ただしtrueの方)。


『物語』
心の奥の奥を探っていくような、やっぱり理知的な会話だと思います。
今回本編後は皆、もうある程度心を開いている中で、包み隠さず自分の気持を語っていくのが印象的でした。


『好みのポイント』
本編で見たかった部分はほぼ見れました。
納得できなかったり全く同情出来ないキャラも数名居ますが、彼らの今後が幸多からん事を願います。





以下ネタバレ含めての感想です





『SS1.瑛と綽の話』
瑛と綽の仲良くなった過程。
嘘の殺人鬼と本当の殺人鬼の物語。
やっぱり葦阿君はどこか、「終わっている」タイプの人を惹きつける素質がある話し方をするなと感じました。
否定せず、拒否せず、話を聞いてくれる、そんな葦阿君を信頼しているもう戻れない都筑君が印象的でした。


『SS2.残された者の話』
うん…本編の感想で毒親否定をしましたが…
梢枝さんにも事情はある事は分かりました。
ただ、納得は…
寄りかからないと生きていけない、寄りかかれないと子にあたる人間は親に成るべきではないと思っているので、産む選択をした部分は納得しかねます。
一番の原因は旦那の達だけど…
最終的に清則さんに寄りかかってますし。
浪榎が本当に成長していたので、一人で立つという部分では成長しない梢枝さんには何とも言えない感情を抱きました。
まぁ私も一人で立つのは難しいタイプなので同族嫌悪なのだと思いますが。
いつか梢枝さんにも強く逞しくなって欲しいと願いました。


『SS3.兄の話』
本編の浪榎視点では母と一緒に邪険にしていると思っていた兄ですが、思った以上に気にかけてて。
本編でも彼が普通に話しかけていたらどれだけ浪榎は楽だったのだろうか…とも思いますが、そうだったら本編始まらないのでこれもまた仕方ない運命なのでしょう。
真面目に生きようとして融通だけが効かない人間に成ってた部分とかは身につまされるものがあり辛かったです。
結構世の中容量が良い人間が勝ちの部分があるので…くっ…
でも最後に家族3人で仲良く誕生日開いてて良かったです。
なんだかんだ板挟みだった彼にも安寧が訪れると良いと思いました。


『SS4.軽い背中』
浪榎の父、達の物語。
クズ、本当にクズ、ビックリするくらいにクズ。
まさに諸悪の根源。
こんなに人間クズな事ってある???というくらいにクズっぷりを発揮していました。
な~にが「平穏な日常は嫌だ」だ!!!
そのせいでどんだけの人が大変な目にあったと…
しかも駆け落ちした女性はおそらく瑛の母…なんて運命だ…
既婚黙って一緒に暮らそうとか言ったり、自分の事しか本当に考えず。
普通一人称ってもう少し視点側に共感できたり視点側が正しく描かれる事が多いのですが、全っっっく共感出来ませんでした。
彼の行動は分かりましたが事情は全く分かりません。
本当に、地獄に堕ちて欲しい男でした。


『SS5.拡がりゆく世界』
亜美と葦阿君が出会うお話。
亜美と葦阿君、浪榎が自立するtrueでは全く反りが合わず。
浪榎と亜美と葦阿君、3人からするととても気まずい空間でしたが、プレイヤーから見ると浪榎を巡って亜美と葦阿君が対立しているようにしか見えず、とても微笑ましかったです。
二人はかなり腹の探り合いしますが、「あ、どちらも今の自立した浪榎に惹かれているんだな」と感じてニヤニヤしてしまいました。
自立した浪榎見ててカッコいいですもんね…分かる。
亜美と葦阿君、反りは合わないでしょうが「近所の人」くらいのノリで浪榎を中心に仲良くして欲しいなと思いました。


『SS6.綽の話』
選択肢有り。
「動揺した様子はなかった」を選ぶと綽の家族との過去。
「ひどく怯えていた」を選ぶと綽とある少女との過去が描かれます。
家族との過去話しは…父親が本当にクズでクズで…クズ2号でした。
というかこの作品基本大人で精神的に強い人居ない気が…
とにかく綽の殺人衝動の絶対的原因であり、とんでもないクズ野郎でした。
ただ、こちらのお話、二つに分岐するのですが、最初の殺人が片方では普通に歩いていて何度も刺した人で、片方がとある少女の母親の愛人で分かれます。
父に人殺しが見つかった時の状況も違いますし。
果たしてどちらが綽の本当の過去なのか…
基本分岐によって綽は謎だらけになります。
思考や行動は狂っていないように見えて、そういう部分が殺人鬼らしくハッキリせず、結構好きです。
どこからが本当でどこからが幻覚なのか…そういう所が綽らしいとも思いますが、おそらく父がクズなのは本当でしょう。
「被害者家族に製薬会社から声がかかっている」という単語をSS7で聞くのですが、綽の父の影が見えるだけでヒエっとなります。
いやぁ本当に…いつか綽の父の行動も全て公になって綽の父も地獄に堕ちて欲しいです。


『SS7.after & after』
最初の選択肢「another」と「true」を選ぶことにより、本編のそれぞれのその後を見れます。
「another」は…最初の警告文見た時から察しましたが、うん、まぁ…そう、なるよねーという気持ち。
共依存EDでしたが長く続く事無く。
葦阿君が現実に気付き共依存が崩れ、一人で立てないメンがヘラったままの浪榎は葦阿君と仲良くなってしまった亜美を殺してしまう。
浪榎が独り立ち出来ない場合に亜美と葦阿君が出会うと反りが合ってしまうのがなんとも皮肉というか…
浪榎のメンタルによって二人の立ち位置は大きく変わるのだなと思いました。
浪榎が強くならないと、二人は浪榎に惹かれて衝突しないんですね…
共依存好きなので共依存のままとか大好きなのですが、どうしても最後の最後を考えると明るくはならない所がまた共依存だとも思っています。
「true」はもう、なんというか、ご馳走さまです。
浪榎と葦阿君の年相応の会話を見る事が出来ました。
「普通」の付き合いをした事無い二人が「普通」に付き合う、それだけでもう微笑ましいです。
大学の先輩で過去の男は…まぁうん、話し合う日が来るかもですが、もう浪榎には強く信頼出来る意味で葦阿君が隣に居るので大丈夫だと思っています。
あの合理的な葦阿君が嫉妬し恋愛方面で慌てだしただけでもうニヤニヤしました。
trueの二人には末永く幸せになって欲しいです。


『SS8.完走御礼』
これぞ同人!これぞお約束!!なキャラの掛け合い本編解説コーナー。
凄く同人的です…こういうのを見ると個人制作だと強く感じます。
ほぼ作者様の代弁だったりしますが、色々と設定イラストを見れたり裏話が聞けて楽しかったです。
基本は「話し合える」人間で構築されている世界という設定があったり(一部除く)。
特に達の「全てを捨てて自由に生きるという選択も切り捨てられた側は殺されたも同義で殺人である」という考えには納得しました。
いやぁ本当に…達には地獄に堕ちて欲しいですね、あと一緒に綽父も。



本編で気になった部分はほぼ全てSSで語られたのでとても良い補足だったと思います。
次回作の構想もあるらしく…今作のようにまたキャラクター達が自己を分析していくような会話が繰り広げられるかは分かりませんが楽しみにしています。