ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【CODA】感想

【百合全年齢】



2019年09月29日配信
Summertime』様 ※リンク先公式HP
CODA】(PC) ※リンク先公式ページ
以下感想です。








世界に自由などなく管理されていた、けれどきっとコーダが居た日々が彼女達の「青春」だったのだ、と。



『2XXX年、遠未来。海内都市東京は過去の戦禍を二度と起こさぬよう、個人の行動を逐一観察する超監視社会となった。
 娯楽は制限され、家族は解体された。子供達は初等教育までの記憶を消され、親を持たずに生きる。
 人々はそれなりに幸せに暮らしているが、主人公・コーダはなんとなく馴染めずにいた。友人のレガート、気の合わないパートナーのリフとだけ顔を合わせる日々。
 コーダはたまに会うプラチトという暗く寡黙な女子学生になんとなくシンパシーを感じていた。
 だがある日、大学生初の処刑者がプラチトだということが発覚する。公開処刑される彼女。沸き起こる喝采
 これをきっかけに、コーダの身の回りでおかしなことが起き始める。』
(公式より引用)



MINDCIRCUS』『真昼の暗黒』(※リンク先感想)のSummertime様の作品。
一応CODA編1~6、???編1~4、そしてHP上隠し編1、2を読んだ上での感想になります。


まず最初に今作は1、2話までは公式様やふりーむでダウンロードする事が出来ますが、それ以降は公式様のログイン機能を使いゲームクリア後に開放されていくパスワードを入力してダウンロードしていくというHP連動式の作品になっています。
連動はしていますがHPの挙動がかなり怪しく、正しいパスワードを入れても反映されない事が多々ありました。
そのためパスワードを入力し新しい情報を開示していく時にはChromeではなくInternet ExplorerでHPを開く事をオススメします。
Chromeでは全く反映されない部分もIEでは普通に開けたのでコチラの方が対応されていると思います。


物語は…ふりーむのジャンルに「SF百合ディストピアインタラクティブノベルゲーム」とあるようにまさにディストピア
個を持つ事が許されず人が群で居る事が義務付けられている時代の日本、全ての事が政府に管理され自由など無い世界。
そんな中、少し変わり者の主人公コーダは政府によって消された自分の過去や周りの友人達の過去に触れていく。
周りの少女達の過去が明かされていく度に少しづつこのディストピアで大規模な何か行われようとしている事に気付く。
そして起こるアニュス・デイ、ディストピア崩壊の日。


管理された世界を描くだけでなく登場人物達のどこか暗く鬱寄りな側面、そして個性的な絵柄で形作られる世界はこのサークル様からしか生み出せない物だと思います。
「幸福は義務です」を地で行く世界がSummertime様節で見事に描かれていました。
このサークル様特有のどこか機械的な作品の雰囲気はディストピアの世界にとても合致していて素晴らしい世界観でした。
公式様から「百合」と出ているので伏せる事では無いのですが、主人公コーダも少女です。
ただ、1、2話の時点で彼女視点の上、一人称が僕なのと言動が完全に少年なのも相まって彼女は本当に少女なのか…?という所から始まったのが面白く。
この世界での生殖関係の事柄など、この世界ではもう性別はあまり関係が無い物として存在していたり、公式で作られているコーダのツイッターでも「便宜上百合としているけどこの世界の人達はそういうの気にする」ような事が呟かれている部分などでコーダの肉体面では確かに百合と当てはめるジャンルなのですが、精神面では決して百合とは言えない…そんなある意味未来の価値観のジャンルが備わった作品だと思いました。


上記でも書きましたが、今作はHPと連動していて未来のコーダがこの時代に自分の記憶を飛ばしてプレイヤーに未来の事を知ってもらうという構図になっています。
危険なディストピアの時代を今、現代に知ってもらおうという構図が面白く、HPと連動したタイムスリップ系の作品が大好きな人にはたまらない作風なんじゃないかな?と思います。
パスワードを取得し自分で解除し新たな記録を得る、という行程は間違いなく今しか出来ず、完全にリアルと一体になっているのはこのHPがある現在にしか出来ない作風なので是非このタイプの作品が好きな多くの方に今楽しんで頂きたいです。



『システム、演出』
ティラノ製。
コンフィグなどは無く文字速度変更や音量調節も出来ません。
音量調節は個人のパソコンで個別にしないといけないです。
ゲームとしてはどうかな?とは思いますが、調整出来ない部分も未来から送られてきた記録を見ているという部分ではコンフィグなど「ゲームである」という部分を主張するシステムをは無くて良かったのかもとは思いました。
CODA編2のウィンドウメッセージだけ妙に文字サイズが小さくて読むのに困ったのと、履歴はあるのですがCODA編1の履歴の白い部分が読み辛かったです。
HPとの連動作としては物凄く面白い試みで楽しかったのですが、もう少しChromeでの連動が上手くいっていればなとは思いました(IEでも見れるので問題ないと言えば問題ないですが)。


『音楽』
後半で明らかになる事で、音がかなり重要視されていると思います。
音というか音楽というか…
その辺もあり、選曲は凄く良かったです。
近未来で色々と進化しているけれどもどこか危うくて…そういう印象の音楽が多かったです。
あと、東方のアレンジをフリゲで初めて聞きました(笑)


『絵』
「MINDCIRCUS」「真昼の暗黒」とプレイして来ましたが、本当にSummertime様の絵は良い意味でズルいです。
この絵柄だけで既に世界観が構築されます。
CODA編2話の一部分など少し粗目に感じる絵もありましたが、所々で入るアニメーションが上手く機能していて、「これはコーダの記録である」と思うとその粗さも彼女の記録の一部なんじゃないかな?と思うようになりました。
絵柄での吸引力が毎度とにかく凄いです。
背景も近未来的で無機物で覆われていて…絵で惹き付ける世界観がまず凄かったです。


『物語』
話は一話20分程、切りどころは良いのでテンポは凄く読みやすく間違いなく凄かったのですが…同時にかなり難しい物語ではありました。
この世界の設定を完全には全く理解出来ていません。
「記録を追う」という物語の為、CODA編はかなり飛び飛びで色々な出来事が降りかかります。
おそらくコーダが現代の私達に重要な情報しか与えていないという設定なのだとは思います。
その為、コーダに巻き起こった大きめのイベントしか我々プレイヤーは見る事が出来ず、コーダの細やかな学園生活やその大きな出来事に至るまでの道筋などはあまり描かれておらず、情報をかなり断片的に見る事になり…
そういう情報を組み立てられる方がきっとこの情報(物語)を受け取れる適正があるのだと感じました。
自分にはあまりその適性は無いので面白かったのですが、合うか合わないかと言えば合わない方だったなと思います。
作風的には…Summertime様の作品で言うなら「MINDCIRCUS」の前半…みたいな。
「MINDCIRCUS」の前半が好きな方は絶対に好きです!(そういう方は既にプレイ済みだとは思いますが…)
ただ、分からない事は沢山ある中で???編はとても好きでした。
失った「青春」を探すカタルシス…最高です。


『好みのポイント』
HPとの連動が一番面白かったです。
IEにするまで躓きまくりましたが(笑)
情報を入れる事により手に入れた新たなデータをはめ込んで行くのがパズルのようで楽しかったです。
ブラウザ上でしか見れないゲーム(というか記録データ)もあったりして、凝りに凝った作品だと思いました。





以下ネタバレ含めての感想です





ネタバレ項目なので攻略…とまではいかなくても詰まった人用に。
まず絶対条件としてChromeではなくIEでパスを入力する。
パスワードは基本それぞれゲーム終了後に出てきます。
黄色の最初のパスワードはFile_3にパスを入れた後に出ます。
コンテンツの解放 パスワードを入力 参照(薬マーク)のPASSは既にツイッター上で仰っている方が居るので辿り着く方法は省きますが画像を見ても最初の1文字目は?になると思うので一応書いておくと最初の1文字目は「H」です
CODA編、???編以外にもとあるキャラのデータが2作ありHP上のギャラリーで2つとも手に入ります。
以上、こんな感じでしょうか…基本ツイッターを鬼検索すれば言及されていらっしゃる方々に辿り着きます。


さて…物語をネタバレ込みで語ろうと思いますが…難しい!難しいよこの物語!!
一応ディストピアとそして崩壊の物語である事だけは分かるのですが、それ以外の世界の設定などがかなり難しく。
…というか基本コーダの視点でのみ語られるので、見えて来ない箇所が多々あります。
HP上で見れる情報で青い血と赤い血を持っている人間が居て、赤い血の人間は旧人類。
そして青い血を持っている人間は作られた人間(アンドロイド的な?)であり、このディストピア化した世界において政府に管理される様々な弱点を持っている…という事だけはなんとなく察せました。
あと、アニュス・デイ(革命?)が起こり、このディストピアは殆ど崩壊してしまうのがコーダ編の後。
そしてコーダも同時に消え、社会人になったリフ編がスタートする。
…で良いのかな?
理解できてない所が多数あるので自分の中では結構雰囲気を楽しむ作品になってしまっていて申し訳ないです。
とは言っても、こう…「このディストピアの、世界の真相を探る!」というお話では無いとは思っています。
確かにディストピアの情報は連動先で得られると言えば得られますが、それが本筋ではないというか…
あえて言うならこの物語はコーダ編ではディストピア世界を語りながらコーダの学生時代の記録という名の思い出が私達の元に届くお話で、リフ編では失ったコーダを探す物語。
なんというかどちらも「学生時代に居た管理された世界では明らかに変わった少女、コーダを追い求めるお話」に見えて。
管理されて自由が無かった時代でもコーダは彼女達の中で特別な存在であったと、そしてコーダも学生時代を大切に思っていて失いたく無くて私達の時代にデータとして送っているのだと。
まるで「青春を取り戻す」みたいなお話だなと感じました。
「あの時代が一番輝いていた…」みたいな。
ディストピアで独特な世界を築いていて、その世界設定が面白く政府のご要人とも確かに出ては来ますが基本名前が無く。
キャラ達はコーダ、リフ、レガート、プラチト、スタックくらいで、コーダの学生時代に出会ったキャラしか重要人物は居なくて基本彼らだけで物語が進む所から、重要なのは「彼ら」のみであるようにも見えて。
そうなった時にこのディストピア世界よりも一番コーダ編で語られリフ編で追い求められる「学生時代のコーダ」が中心なんじゃないかな?と思いました。
なんだかんだ自由は少なかったかもしれないけれど学生時代が一番輝いていてそれを追い求める…なんか今の年齢になると刺さります。
リフ編最後の選択も、失ったコーダを取り戻す事が「青春」であると。
ディストピアが崩壊した今でも学生時代に出会ったあの不思議な少女、コーダを追い求める姿が…やっぱ学生時代はちょっと特殊な時期にあるのかもしれないと、自分も学生時代が一番楽しかった為、そんな風に思いました。
百合とありますし、彼女達の肉体面で言えば確かに百合にはなりますが、それ以上に「自分の輝いていた過去を永遠に残したい、色んな人に知って欲しい」「過去の青春を取り戻す為に奔走する」、そんなお話で。
「自分達の学生時代、青春の記憶に刻まれた変わり者の少女、その少女を大人になって青春と共に取り戻す」とかロマンだなぁとは思います。
ってか「永遠の少女を取り戻す」って字面、最高じゃないですか?私は好きです。


基本的な物語はコーダ編、リフ編で終わるのですが、この世界そのものと関わってきそうなのはプラチト編で。
プラチト編、2話まで配信されているのですが、まだ続くのかこれで終わりなのか…この作品の公開方法が特殊なのでまだなんとも言えず…
とりあえずプラチト編は不思議ちゃんだったプラチトが全く不思議ちゃんではなく、むしろ女帝だった所に大変悶ました。
あとスタックとラルゴの関係も。
よく考えたら百合が成立するのですからBLも成立しますよね…なるほど。
おそらくアニュス・デイ(革命の日?)の物語…ここで途切れるには続きが気になる終わりではありますが今後どうなるのか。
コーダ自体の物語は終わっているので、ここで終わり!でも大丈夫といえば大丈夫なのですが…うぅん…
もしかしたら何らかの資料もまた出てくるかもなのと、今作が「未来からデータが送られている」という設定なので気長に未来からのデータを受信したいと思います。