ひっそりと群生

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【幼馴染と十年、夏】感想

【男性向け18禁】



2012年08月11日発売
夜のひつじ』様 ※リンク先公式HP(18禁)
幼馴染と十年、夏】(PC)(18禁) ※リンク先DLsite.com(18禁)
以下感想です。








いつも十年、恋をする。



『夏休みは、ずっと二人でいちゃいちゃ過ごそう。

 まだ無垢で何も知らず、一緒に宿題をしてお祭りに行ったあの夏も。
 お互いを意識していたのに、なかなか素直になれなかったあの夏も。
 ふたりでいることが当たり前になって、冷房の効いた部屋でだらだら
 えっちなことをしたあの夏も。
 全部思い出して、今年もまた最高の夏休みにしよう。
 いちゃらぶあまずっぱい、ノスタルジック幼馴染ノベル。』
(公式より引用)



夜のひつじさん作品5作品目プレイ。
こちらは再プレイになります。
プレイ時間はゆっくり読んで3時間30分くらい。
分岐無し、EDは1つ。


当時はサクサクっと読んでいたのですが…今読むと印象が変わりました。
当時は展開しか読んでなかったんですね…こんなに素晴らしい文章だったなんて…
今の自分で再プレイして良かったです。


読んでいて…ため息しか出ないとは、この事。
ほんとうに、ただひたすら幼馴染の二人がH.11年とH.14年とH.16年でイチャコラする話。
それ以上でもそれ以下でもありません。
途中で物凄く大きな事件も無く、途中で誰かが介入する事も無く、途中で茶々が入る事も無く…
だがしかし、そこが良い!それが良い!
二人の世界が丹念に丁寧に描かれていて、大きな事件は起きないけれど、二人の間ではとても大きな心の移り変わりや小さな大事な事が積もっていき、いつの間にか大きく大切な物になっていて…
大切な関係を築き上げていき、小さな頃の物事が心の中で重要な位置を締めて、それがしっかりと成長しても大事な事として描かれている…
幼馴染系が好きな人にはほぼ好きな物が詰め込まれた間違いなくたまらない作品だと思います!
夜のひつじさん作品を再プレイ含めて最初からプレイして来ましたが、男女カプ18禁で特に不穏な空気も無く純粋に純愛作は今作が初なのではないでしょうか?
背景に不穏な空気を感じる事も無く、ただ純粋に、二人の心の変化を描いていく。
…18禁さえ大丈夫なら全ての人に満遍なくオススメできる珠玉の一作でした。



『システム、演出』
吉里吉里製。
システムでは本編中不便に思う所は無し。
でもフルスクリーンを想定してあるのか、ウィンドウモードで起動しているとアイキャッチ部分でタイトルが隠れたり、履歴で一部文章がはみ出る所は少しだけ残念でした。


『音楽』
madetakeさん、いつも最高の音楽を有難うございます。
どの曲も穏やかでとても素敵ですが…最後に流れるタイトル画面のオルゴール曲は最高です。
使われるシーンも相まって、あそこでタイトル画面のオルゴールアレンジは本当に反則だと思います。


『絵』
原画は「親友が美少女になって帰ってきた。」のコリタさん。
枝梨の成長がとにかく可愛らしいです。
身体の成長に髪型に洋服に…見たい!と思った成長は全て揃ってます。
H.11年の立ち絵で花の髪飾りにちゃんと差分があるのは流石でございます…
CGも見たいと思った物は全て揃ってる+表情差分が最高でございました!!


『物語』
どうしてこんなに素敵な文章を書けるのか…
一度でも物語の文章を何らかの形で書いた事があって夜のひつじさんの文章を読んだ事がある人なら分かると思うのですが、夜のひつじさんの文章は「分かりやすい、けれども一番欲しい言葉で大切な事が届く文章」の到達点だと思っています。
どのシーンのどの文章も美しくもスッと入ってきて。
展開もどれも痒いところに手が届くような流れで。
幼馴染物で大事な物が全て詰まった、そんな作品でした。


『好みのポイント』
どれも好みなんですよね…全体が、好き。
強いて言うなら固定カプ物として、嫉妬や妬みなど周りからの茶々が無く、本当に二人の世界で完結していた所。
H.11年での絶妙な性の芽生えにより感じる罪悪感とそれをずっと引きずっている主人公の葉人が良かったです。
ヒロインの幼馴染の枝梨が可愛いのは当然として、主人公の葉人も良い子で優しくて…
単純に男の子として見てて可愛いな…と思いました。
可愛い二人が可愛くイチャコラする…こんなん最高に決まっています。
3時間くらいで凄い充足感が味わえる素晴らしい作品でした!





以下ネタバレ含めての感想です





大きく二人の関係が動く!大きく周りが動く!みたいな展開は無い為に別にネタバレでもなんでもないのですが…
始まりの二人の親密になり方にイジメがあって、助けて、そのせいで周りから二人だけ孤立して…
二人だけの友達になって…この段階で「あ、もう、これは二人の世界が作られていくぞ…」という安心感半端なかったです。
H.11年の性に恐れる姿とかは見ていてドキドキしました。
作中で一番ドキドキしてたのH.11年かもしれない…(ロリコンショタコンかな?)
いや、でも、こう…性を自覚してないからの罪悪感とか、無知シチュ?そういうの最高じゃないですか!!
それにプラスして葉人の精通も枝梨に捧げているというのが…「はじめて大好き教」を殺しにかかってますね…死にそう。
精通し、それに枝梨を巻き込み、自分の欲望を枝梨にぶつけてしまったという、別に大人になってからだと何も感じ無さそうな事を幼少期の繊細な心故に抱え込んでしまい、それがきっかけで疎遠になり葉人の性に対する感覚も他の男子よりも罪悪感が前に出るようになり。
他の男子よりも落ち着いてて格好良いとか言われてるけど本当はそういうわけではなく、枝梨への性への罪悪感が常に付き纏いそういう性格が形成されていて…幼少期の出来事によって性格が形成されるの…たまらんです(エロ本にすらも罪悪感を持つ◯学生男子、最高かよ)。


そしてH.14年になり、ふとしたきっかけで枝梨と話すようになり…
徐々に近づいて行き…倉庫の流れはもう…流石です。


『知らないことは許されることなのか。
 戻れるところはいくらでもあったんじゃないか。
 どうして戻れなかったのか。
 あの時の自分は、枝梨は、何を考えていたのか。

 答えはでない。
 答えを探るための道筋を知りたいとも思えない。見たくないものもきっとある。怖いものが隠れている。』


という文は本当に好きで好きで…
「知らない事は怖い」「知るのも怖い」という思春期特有…と言ってしまえば簡単ですが、きっと誰しもが昔に悩んだであろう「知らない事の多さ」というのが情景としてビシバシ伝わってきて。
「好きという事を理解しているか分からない、だって他の人に対して思った事のない感情で初めての感情なのだから、でも、きっと好きなのだと」
そう想い合い告白する流れは…「はじめて大好き教」の自分は二度目の死を迎えました。
それをしっかりと支えるように、エロシーンもはいキス!はい挿入!!みたいな事は一切無く。
軽いキスから深いキス、ペッティングに拙い挿入…と一つ一つ区切って来て…もう…最高かよ…
「エロシーン段階大好き教」の皆様、欲しいものはここにあります!!と強く主張したい流れでした。


H.16年では最早熟年夫婦か?と言わんばかりの落ち着きっぷり。
エロもガッツリ!ではなく二人らしい緩やかなもので、お互いをゆっくり知っていくような緩やかなエロで…愛しさが募りました。
何よりも、きっと葉人の前でしか見せないであろう枝梨のだらけっぷりが良いですね!
でも熟年夫婦か?と思えるような二人の空気の中でも若さはあって…幼少期の事から自分をセーブしている葉人と、それをどこか察してて「したいことをしてもいい」と言う枝梨。
この、幼少期のトラウマも確かにあるけれど、相手の女の子の事をどこまでも想ってる男の子と、それをどこか察してて相手の欲を沢山受け止めたいと思ってる女の子…想い想われしてる二人がいじらしくも可愛く…見ててニヤニヤしました。
美術館での、


『いつかこの絵を本当に良いと思える日が来るのだろうか。
 理解はできないにしてもしっかりと目に焼き付ける。また見たくなる日が来るように。

 好きな人を見ていたい。
 好きな人が好きなものも見ていたい。』


の文章が好きで…いつか二人、そう遠くない未来にそれが来そうだなーと思います。
最後のフェラも…幼少期のトラウマはしっかりと反映されてるのは幼馴染物の醍醐味!
幼少期の一件に向き合うように、二度目だけれど、今度は意味をしっかりと理解した「はじめて」のフェラで…そういう対比が!そういう対比が良すぎました!!
そして初めての時に味わった何にも拒まれない挿入…初めてのあの感覚を忘れられないというのがまた…
なんかさ…中出しするけどさ…「この二人はどうせ結婚するんだし、大丈夫じゃない?」みたいな安心感がありました。
中出しする際にちゃんと「世間に対しての申し訳無さ」も感じてる所が…完全に自分達だけで完結してなくて良いなぁと思ったり。
まぁ、高校生だと大変そうだけどさ、大学生くらいになればもっと世界も広がるし、許される事も増えるし…この二人なら大丈夫でしょう!という安心感。


大事にしているからこそ傷付けたくない、でも、傷付けたい…
大事にしているからこそ優しくされたい、でも、全部ぶつけてほしい…
作中で何度か出てきますが、まさに二律背反な想い。
人間のそういう大切な物に対する二面性が凄く丁寧に描かれていて…
そういう人間の心情もですが、枝梨の家が葉人の母の言葉や枝梨が葉人の家の方が居心地良さそうな所から「あ…」と察せるくらいには「家族仲が悪そうだなー」と思えたり、葉人の幼少期による性のトラウマや仄暗い想いなど。
闇ひつじ…ではないですが、読んでるとどこかほのかに暗い部分も察する事が出来、明るい中でもそっとそういうのを描けるのが流石でございました。


あぁ…読んでいて幸福でした。
夜のひつじさんの純愛ゲーは幸福感ハンパないです…闇ひつじは闇ひつじでどこまでも心を抉ってくる感ハンパないですが(笑)
とても幸せな時間を、有難うございました。


次は圧倒的闇ひつじ、「純情セックスフレンド」です。
再プレイになりますが、間違いなく読んだ当時の自分の心を抉った作品で…
中々再プレイに踏み切る事が出来ませんでしたが、感想を書きたい気持ちもあるので再プレイ…したいと思います。