ひっそりと群生

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【蜥蜴の尻尾切り】感想

【男性向け18禁】



2015年11月27日発売
CYCLET』※リンク先公式HP(18禁)
蜥蜴の尻尾切り】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








CYCLETの「蜥蜴の尻尾切り~切れないしっぽ~」のパッケージが欲しく「CYCLET5周年記念No.2 血どろパック」を購入。
ようやくお目当ての一歩手前、「蜥蜴の尻尾切り」にまで辿り着く事が出来ました。
プレイ時間は約4時間30分くらい。
でもこまめに休憩挟みまくりました。
二次元グロの耐性ありますが、自分から身体を差し出すリョナ系連続でするのは体力使うなーと。


絵は凄まじく好きでした。
他作品未プレイですが、椎咲さんの絵はとてつもなく好みです。
欠損系の絵が多いのですが…流石、BLACKCYCで描かれていらっしゃるだけあります。
痛いシーンは「あいたたた」となったので、リョナイラストがお上手だなと思いました。


音楽はCYCLETは毎回BGMは使い回されるので、「血どろパック」他作品プレイ済みだと聞いた事ある曲ばかりでした。
EDテーマは「血どろパック」の中では今回が初かも。
好みとは若干違いますが、作品には合ってました。
声はエロシーンや何よりもヒギィ!系の演技がお上手だったので問題無し、良かったです。


話は「人間の身体は再生する事が出来るのか?」というトンデモ理論から始まるCYCLETお得意の欠損系になります。
「人間の身体を再生させる実験を行う」というトンデモ理論から始まって確かにエロのプレイはほぼ血どろになるのですが、今作はそれ以上に、「狂ってしまった人間達が出会ってしまった事で狂いを突き詰めていくお話」に感じました。
一人の少女は弟を失った事により、大切な物を失う事を恐れた。
一人の少女は家庭の教育により、自分が開放される道を望んだ。
一人の少女はバスケの道が閉ざされた事により、破滅を願った。
三者三様の心の傷と狂いを抱えた少女達が、幼馴染を失った事により彼女の再生を求める為に「人体も再生する」と信じ、狂った少年と偶然にも出会ってしまう物語。
そして、どこまでも少女達の願望"のみ"叶えられて、少女達"のみ"救済されるお話。


あり得ないトンデモ理論を掲げながら、それでも彼らはその理論を信じます。
それは、自分達の空いた穴が埋まるかもしれないと信じたから。
叶は好きだと気付き自分の領域に入った秀を失いたくない一心で身を捧げます。
智秋は自分を傷付けて貰う事で抑圧され続けた自意識を性欲と共に解放します。
真菜香は自分を傷付けて貰う事でもうどこまでも堕ちた自分を壊して貰います。
三人の歪んだ願いは本来は叶うはずが有りませんでした、そのまま狂いに気付かないまま普通の人として生きていくはずでした。
けれども、叶えてしまう存在が現れてしまったからさぁ大変。
彼女達の願いは叶えられてしまいます。
偶然にも3人の少女達が深層心理にある叶うべきではない願いを叶えられる相手(主人公)と出会ってしまい、狂いが正当化されてしまう物語でした。


秀の指に関してはどうして治ったのかは分かりません。
それこそ何億分の1の確立の再生する人間だったのかもしれません。
だから、彼の指は治った。
でも、皮肉なのは彼の指が治っても彼の周りの人間で治る人間が居なかった事。
彼が望むのは幼馴染の再生であって自分の再生では無いのに…他人の再生は叶わない所が物凄い皮肉だと思います。
正直、エピローグを見るまでは「何で人にばっかり足を切らせておいて自分の身体で大きい部位を試さないんだコイツ…」と思ってましたが、秀は幼馴染との再会の為に、自分の身体で大きな欠損をしてはいけないんですよね…だから自分では大きな部位は試さないと。なんて奴だ。
それを踏まえて見ると、秀はどこまでも幼馴染の事しか考えておらず、ヒロイン達の事は幼馴染を救う為の通り道くらいにしか思ってなかったのだなぁとつくづく思います。
まぁそこは、各エロシーン後のヒロインへの対応を見ても明らかか。


自分の周りで「切れないしっぽ」の評価が高く、ネタバレに触れない程度に「切れないしっぽ」の公式を見た後にプレイしたのですが…幼馴染の描写がエピローグまで全く無いので、ドウイウコトナノ???と思いながらプレイしていたのですが、エピローグで出てきて安心しました。
しかし…エピローグだけでしか出ない辺りに、秀が狂ってしまったという事実が顕著になっていたと思います。


基本この作品は各ヒロインに分岐して違う物語が展開する…という流れではなく、叶ルートを主軸にして、カニバリズムEDを主軸に置きながら、智秋と真菜香の視点を見る事になる…ほぼ完全に群像劇の方式を取っているのですが、中盤から主人公の秀ではなく、ヒロインの視点になり、痛みを受ける側の視点になるのが見てて痛々しくもそれぞれの狂いがヒロイン視点で描かれていて効果的だったと思います。
秀も最後の最後でのみ狂った原因が描かれるので、それまで「よく分からないけれども狂ってる人」という常識を越えた気持ち悪い人間という異様さが出てて良かったです。
実際にエロシーンでも所々描写やCGで主人公が気持ち悪くて…良い感じに拒否反応が出ました。


叶は分かりやすく独立していますが、智秋と真菜香が血や切断をオナネタに使い自分を傷付けるという所で若干似ている部分やwikiでも「(真菜香は)立ち位置の近い智秋のルートと内容が似ている」とありますが、智秋は自傷する事で得られる快楽で家族の教育により抑圧されてきた部分を解き放つ「自己解放」であり、真菜香は唯一の生きがいだったバスケを左腕の故障で失った事により人生に意味を見いだせず自傷していく「自己破壊」だと思うので、「有る点において決定的な違い」はそこなのかもしれないと思っています。
二人の辿る道…血と切断により興奮して行う自慰から自傷までは同じですが、そこから辿り着く結論は智秋は「自己解放」であり「自由」なのに対して真菜香は「自己破壊」であり「死」なので大きく異なっていると感じました。
少なくとも真菜香よりも智秋の方が若干ポジティブかなと…まぁ…死んでしまうのでなんとも言えませんが…
それに…二人のルートが似通っていたって、秀にとっては誰もが幼馴染の代わりで幼馴染の為に使う存在で。
彼にとってはヒロインの3人共誰が身体を切り離されようが「幼馴染の欠損」に辿り着くと思うので、違いがない=全員幼馴染の代わりで同じ様な存在であるという意味で違いが無いというか…
秀からすれば変わらない、彼女達は全員一緒で取るに足らない事なんだろうなとも感じました。


三者三様に狂っていた少女達と、幼馴染の死の瞬間に狂ってしまった主人公。
出会わなければ彼女達は「普通」のまま生きていられたのに、出会ってしまったから「狂い」が正当化して死に向かってしまった。
けれど、出会ってしまった事で本来叶うはずの無い心の底にある本当の望みを叶える事が出来た…
面白いのは少女達の願いは叶うのに、主人公の願い…幼馴染の再生は叶わない所かと。
本作はヒロイン3人の救済ではあっても、主人公の救済では無いんだなぁと思いました。
ヒロイン3人は自分の深層心理の望みに気付きある意味では望みを叶えながら死んで行くのに対し、主人公だけは幼馴染の幻影に囚われたまま死にます。
主人公の救済は幼馴染が再生するなどして幼馴染が存在しないと救われないんだなぁと。
そう考えると本作は主人公の話と言うよりも3人の少女達の救済物語だと感じました。


「画竜点睛ADV」、4人の物語全てを見るまではただの「狂人」だけれど、全ての物語を読み終えた時に、案外狂う要素は日常の中に簡単にあって、すぐ隣に有るのかもしれない…と感じるそんな作品でした。



プレイ順は
叶→智秋→真菜香
の順で攻略



『美濃町叶 ルート』
「自己犠牲」
人気は一番低そうだな…と感じてましたが公式の人気投票見て、若干納得してしまいました…
この手のヒロインは確かに…うん……
でも、個人的に一番抉ってくる…というか分かりが発生した台詞を放ったのは彼女でした。
「謝って同じ立ち位置に降りて来ないで」
自分はこれだけ身を捧げたのだから、貴方は永遠に私と一緒に居ないといけない…そういう主張が凄く分かってしまって。
自分が行った自己犠牲は自分が欲しい物を得る為に行って来た事で、謝って欲しいわけでも許すわけでもない。
「これだけの事をしたから貴方は私の側に居ないといけない」…足を二本奪うという本当にその通りの事をしてるので何とも言えないのですが、彼女が行った自己犠牲は全て彼女が欲しい物や失いたくない物を側に置く為に行ったというのが…凄く人間的でした。
一番他人を巻き込むエグい狂い方してるんじゃないかなーと思ってます。


『物部智秋 ルート』
「自己解放」
ED分岐的に秀と肉体関係を持たず自分の腕でオナるのが正史なのかなと。
家庭環境の歪みによって性欲が倒錯していってしまった少女。
自傷で満たされたり自慰で満たされたり…自傷に関してはネットでよく見かける方々が居るので彼女の狂いは馬鹿には出来ないかと。
学年トップから落ちて秀を憎んでいたり、憎んでいる中で意識してしまっていたり。
二次元的な可愛さだと一番可愛い方なのではないかな?と思ってます。


『和泉真菜香 ルート』
「自己破壊」
ED分岐的に秀と肉体関係を持たずに腕を切って切った腕で致してレイプされるのが正史なのかなと。
基本的に智秋も真菜香も自分の意思で正しく恋愛方面では秀と肉体関係を持たないのが正史な部分が叶思いというか…友達思いではある所がギリギリ人間やってて好きです。
唯一の物を失って自分を壊してくれる存在を探している所が儚さがあります。
過去に自分を想ってくれていた男子バスケ部の少年に一度だけ流れで抱かれてる所が…個人的に最高でございました、ビッチや非処女大好き!
そういう流れに流れて非処女になってる点も自傷的で…痛々しくて…ヒロイン3人の中では一番好きです。
(というか叶も智秋も男性的な経験は無くても自分で痛々しい自慰の中で処女膜破ってる所が…最高でございました…)
真菜香はどうあがいても本人が救われる気が無く、彼女の救いは=崩壊なので3人の中では一番救えないヒロインだなと思ってます。
どちらのEDでも最後には満足して安らかにこの世を去りそうで…ある意味で一番救われる気はします。



どうあがいても、どんなにヒロインが3人居ても、失った幼馴染を追い続ける幼馴染ゲーだったと思います。
…死んだ人には勝てない。
「無くなった尻尾は再び生えるのか」
失った尻尾を再生させようとしているというよりも、失った尻尾そのものを無意識に探し続けているようなお話で。
もし仮に、たとえ生えても同じ物には決してなり得る事は無く。
最後に幼馴染が言っていますが、「壊れてしまった心は元には戻らない」そういう物だと思います。
出会わなければきっと息苦しい世界でしょうが生きてはいた彼ら。
出会った事で狂気が正当化され己の欲望を叶え死んでいった彼ら。
…どちらが正しかったのか…それは分からないけれど、この作品の中で、せめて彼らは…彼女達は自分の欲望が満たされ狂った心の中で満足感を得られていたと…そう思いたいです。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
 参考攻略サイト様:エロゲー廃人速報改 様
http://erogehaijin.com/
 蜥蜴の尻尾切り ページ
http://erogehaijin.com/archives/1994203.html