ひっそりと群生

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【キッキングホース★ラプソディ】感想

【男性向け18禁】



2010年11月26日発売
ALcotハニカム』※リンク先公式HP(18禁)
キッキングホース★ラプソディ】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








保住圭さんの単独作に触れるのは4作目、「キッキングホース★ラプソディ」に。
プレイ時間は約9時間くらい。
システム面は7でもインストール可。
ディスクレス起動も可。


保住圭さんとミヤスリサさんのコンビで送られる本作、実質Sirius。
保住さんの単独作『魔法はあめいろ?』『めいどさん☆すぴりっつ!』『こいびとどうしですることぜんぶ』(※リンク先感想)を続けてプレイして来ましたが、正直申し上げますと保住さんの文章は最初、個人的に凄く読みにくさというのを感じていて…
文章の切り所なのか表現なのかは分かりませんが、文章には合う文章と合わない文章というのがあると思っている中で、自分には合わない方だなーとは少し思っていました。
が…「こんぶ」辺りから自分にも読みやすいかも…となり、そして今作の「キッキン」ですがなんか、いきなり読みやすい文章になっていて…
サクサクと読めて驚きました、自分が文体に成れたのか、もしくは書かれている方の力量が上がったのかは分かりませんが、物凄く読みやすい文章でした。
なによりも、今までは恋愛>物語だったというか…イチャラブは確かに凄くイチャラブしていたのですが、物語よりもイチャラブ前提で。
個人的にイチャラブに乗る為にはキャラとの交流や物語…関係性を書いてくれないと乗り切れない関係性萌え持ちとしては、その関係性を描く前に「俺の最高の推しカプを見ろー」とばかりにイチャラブ展開になってしまうのでどうも乗り切れなかったのですが、今作は4人の関係性がしっかりと描かれた上で恋愛に発展して行ったので物凄く受け入れられた所があり。
特に各ヒロインも、今まではルート分岐をすると他のヒロインは攻略ヒロインと主人公を囃し立てるだけの存在になっていたのですが、今作ではしっかりとそれぞれの想いを抱えた上で障害として立ちはだかったりして、分岐後も他ヒロインが置物になって居ないのが大変良く。


その上で、超弩級のメインはのばらではありますが他ヒロインも差が出ないくらいにそれぞれ魅力的で…今まで正直イチャラブになると同じ様なノリが続くので飽きが発生していた所があるのですが、今作は各ヒロインで恋愛の方向性が変わり、それぞれの抱えている物が大きく変わるので読んでいて飽きる事が全く無く大変楽しめたのと、今作はそのヒロイン同士の感情がとても良かったです。
完全ルート分岐型ではなく途中ルート分岐型の構成なのもあり、徐々に変わっていく4人の関係がとても分かりやすく描かれており。
確かに主人公の事も好きだけど、同じくらいに主人公と結ばれるヒロインが好き!という感情を抱えていて、ヒロインが主人公に救われるのはギャルゲのお約束として通る道ですが、今作はヒロインがヒロインにも助けられている部分があって。
だからそれぞれのヒロインがそれぞれのヒロインに対して感謝というか救われた感情を抱えていて…言ってしまえばクソデカ感情を抱えている部分があるんですよ…それが実質感覚的百合にもなっている。
分岐後に主人公と選ばれるヒロインの二人の世界だけで完結しておらず、分岐後に他ヒロインもしっかりとそのクソデカ感情を向けてくる所が最高に最高でした。


恋愛により変わっていく人間関係という物が細かく描かれ、そして「馬に蹴られてしまえ!」という言葉の馬になるべき存在達が蹴られる側の恋愛のおじゃま虫になってしまう…という構図がなによりも面白く。
今までの作品ではグッとくる言葉は正直無かったのですが、本作ではかなり響く言葉があり。
特に出穂さんの
『うらやましいっていう感情は、それがいいなと……』
『そのものの価値を認めていないと、沸き起こってこない』
『その対象が、好きじゃないと』
『……好きな相手なら―』
『祝福してあげられた方が、ずっと嬉しいよねー……』
という言葉が凄く好きでした。
誰かに対して抱える「うらやましい」という感情を悪い物とせず、「羨ましいという事はそれを向ける相手を認めているという事である」と負の方で語られる感情をある種肯定をしている所が凄く良かったです。
ラストのタイトル絵でも分かりますが、今作はある意味で裏主人公は出穂さんで、出穂さんの事が作中で語られる事は殆ど無いのですが、彼女も周りの人間に何らかの「うらやましい」を抱えていて、それを肯定し、肯定した上で羨ましい気持ちを抱えながらも祝福し合って仲の良いままで居続ける事が出来る存在を見届けたかったのでしょうし、そういう存在も居ると信じたかったのだろうな…と思っています。
分岐後も主人公が介入せず恋仲にならなくてもややこしい展開にはならず、ヒロイン達が自らの陽のポテンシャルで問題を解決する姿がつまり「仲が良いままで居続ける事ができる存在」の証明で…
主人公と恋愛にならなくてもルート分岐によっては強く逞しく生きているヒロイン達が眩しかったです。


エロシーンも全体的に丁寧で、お互い初めてなのもありかなり初々しいエロシーンが描かれていました。
まぁ、エロシーンに関しては「まほあめ」の頃からお上手だなと思っていたので、安定感があったり。
ただ、「こんぶ」が開始5分でエロシーンになったのに対し、今回はかなり時間をかけてエロに入ったので、そこは安心しました。
じっくり段階と順序を踏んでエロシーンに入って行ったので「え!?もうエロなの!!?」と置いて行かれる事も無かったです。


音楽は流石のManackさん、BGMはコレ!というのは無かったのですが全体的に良曲です。
EDの「ビタミンラブ」が好きです。
声はALcot恒例のフルボイスな上で全員お上手。
特にやっぱり民安さんは特徴的な声と演技が群を抜いて良かったです。
ツッコミの部分とか最高でした。
今作ではのばらと志乃が荒い話し方というか…男言葉というか…少年的な話し方なのが凄く好みでした。
荒い話し方するヒロイン大好き教なので。


絵はビックリするくらい好みに!
今までと同じ方なのですが…なんか…一気に…お上手に…
3年もあれば変わるのかもしれませんが、かなり良い方法で進化されてて驚きました。
絵柄も好みなら、ゲーム中の立ち絵もコロコロ動くしエフェクトの使い方も上手いし。
この辺りはスクリプターの腕な気はしますが、演出など見てて飽きが無かったです。
…というかツールが吉里吉里で…吉里吉里のポテンシャル流石とも思いました。


総合的に好みに合っていた作品で、萌え系の中でかなり楽しめました。
「まほあめ」ではヒロインのノリが合わない上に主人公が合わず何故主人公がモテるかが分からず、「めいすぴ」ではあまりにもヒロインが偏りすぎててメインヒロイン以外が置物ヒロインと化し他ルート同じノリでかなり退屈に感じ、「こんぶ」は初っ端から合体したのと速攻で同棲と結婚をしたのでデートも少なくカップル感が薄く感じ…
勿論、「面倒な事は良いんだよ!イチャラブさえあれば!!」という方もいらっしゃると思うので作品自体は否定はしませんが、合うか合わないかで言えば合う方では無かった中で、「キッキン」は文体も自分に合っていたのか読みやすくなった上で「恋愛」と「人間関係」を細かく描いて個人的にとても好みの方向性でした。
かなり時間を忘れてプレイ出来たので、とても楽しかったです!!



プレイ順は
志乃→聖→のばら
の順で攻略


『辻志乃 ルート』
一番最初に分岐するルート。
ある意味では突発的、ある意味では衝動的。
でも、それが志乃らしいルート。
志乃がのばらに甘えているのもだけど、のばらも志乃に甘えているという二人の関係が百合好きとして心をくすぐられました。
途中でのばらと志乃を取り合うシーンは好きオブ好き、可愛い。
グイグイと引っ張っていこうとするけどそれよりも引っ張られたりする方が合っている実は受け身なところも良い。
お姉さんが居て、お姉さんをリスペクトしまくりだけど、主人公に懐くと主人公に委ねていく姿は可愛い、ワンコ系ヒロイン。
自分の女の部分に無自覚な所は「めいすぴ」のリーチェに近いところを感じました。
エロシーンは脇と太腿…一番責め方がマニアックな気はする…
処女が童貞と罵るプレイは大変そそります。
分岐の構造的に聖が若干出ないのが寂しいですが、そこは構成的に仕方ない。


『芹摘聖 ルート』
非凡を求める平凡。
心情的に一番締め付けられたキャラ。
「なにをやっても平均値」「お邪魔団に居るのは持ってる人達が羨ましく、他の団員も自分と同じ立場だと思うから」などなど。
本気で恋愛が憎くてお邪魔をしたいというよりも「持ってる側を羨ましい」と思っているからという…
出来の良い兄に比べられてきた所といい、話が話なら凄く暗いお話になってそう…今作だから明るく纏まってたけど。
そんな中で主人公と出会い、主人公に特別として扱ってもらえて…特別として扱って貰える嬉しさという点では凄く胸に染みました。
しかし、何をやっても平均値とは言ってたけど、エロに関しては平凡じゃなく非凡…というのがまたエロい。
一点だけ非凡な所がエロ方面なの、ギャップが凄くエロいです。
初っ端から青姦とかどこが平凡やねん!と思いつつ、そういう非凡な部分も主人公に大事にされていくと良いなと思いました。
そして、黒髪ロングの髪コキは良いものだ、とも思いました。


『織奈のばら ルート』
このフワフワお嬢様な見た目で実は貧困系キャラなのが大変ギャップ萌えがあります。
今までの分岐、他ヒロインは彼女達を助ける事を含めて主人公が告白するという流れがある中で、のばらだけは若干違う位置に居ました。
最終ルートなのもありますが、彼女は救うではなく対等なんですよね。
他ヒロインを自立させ自分で道を拓かせた上で、自立しているのばらと結ばれるという構図が凄く良く、まさにメイン!正史!という感じがしました。
のばらルートでもそういう対等さが顕著に描かれていて。
基本的に今作のキャラは自立出来る、自分の足で立つ事が出来る陽のポテンシャルの持ち主ばかりなので、ルート分岐しても暗くなる事は無く、どの道を辿っても明るいのが凄く清々しくて。
その中で、のばらはリアリストなわけですが、最終ルートがのばらになるのも納得で。
支える事で頑張っていた主人公を「頑張らせない」事が出来るのはのばらで…対等、主人公が受け止めるのではなく主人公を受け止めるという構図が「あぁ、メインヒロインだ…」と思わされる部分でした。
エロも最も初々しく…エロまでのスパンに色々と研究したり理解し合ったり悩んだり、こう…サクッとエロに行かない所が見ていてもどかしくも、そのもどかしさでニヤけてしまいとても良いドキドキを感じる事が出来ました。
他ヒロインがエロシーン3つの中でのばらだけ4つなのも流石メインヒロインの貫禄だなと。
4人の構図が最も面白いのもこのルートで、お邪魔しようとするけれど上手く邪魔を出来ず、邪魔があればあるほど燃え上がるという恋愛のセオリーもあったり。
色々と助けてくれた主人公の事も好きだけど、同じように助けてくれたのばらの事も大好きな志乃と聖の二人が見ていてとても百合を感じ最高で。
『大好きな人と大好きな人が一緒になるのは嬉しい事なはず…なのに全力で祝福出来ない!!』という矛盾した感情がしっかりと描かれていて、とても人間らしさを感じました。
最終的には、「それでも、自分達は相手の事が好きなのだから矛盾した気持ちを抱えているかもしれないけれど大好きな気持ちを大事にして一緒に笑い合って行きたい」という姿が描かれ…暗い方面の人間の矛盾した気持ちを描きながら、それでも陽のキャラ達が笑い合い凄く爽やかに幕を下ろしたのがとても良かったです。
(あと、土手ネタは「まほあめ」からでしょうか?「まほあめ」で土手で致したのにビビったので懐かしかったです。)



「負の感情」として描かれがちな「うらましい」という感情を見事に陽の気質で描き続けた良作だと思いました。
保住さん作でプレイした他3作よりもキャラクター達から人間らしさが垣間見えたのが凄く良く、大変好みでした。


次回のこの流れでは「ろけらぶ」をプレイ予定です。
多分固定ヒロインのイチャラブになるのだろうなーとは予想していますが、文章が自分に合ってきたので楽しみたいと思います。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:愚者の館(アーカイブ) 様
http://sagaoz.net/foolmaker/
 キッキングホース★ラプソディ ページ
http://sagaoz.net/foolmaker/game/k/kickinghorse.html