ひっそりと群生

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【242polyrhythm】感想

【BL(ガチゲイ)18禁】



2015年08月30日発売
快晴ボディビル部』様 ※リンク先公式ツイッター
242polyrhythm】(PC)(18禁) ※リンク先DLsite.com(18禁)
以下感想です。








楳下という男の行動、蒲田という男の存在感、そしてある男の狂った信念。
それぞれの物語が圧倒される文章で描かれた同性愛作品。



『青春群像サウンドノベル『242polyrhythm』。
「怪物」と呼ばれる謎の奇病が東京に現れてから数ヶ月、世界は漠然とした不安を抱えたまま平静を保っていた。
 しかしある朝、二つの出会いが東京の片隅、西日暮里で起こる。夏目マコトと記憶を失った少年の出会い。
 そして蒲田と瞬の出会い。
 その他にも調査のために学園に潜入した「エージェント」の楳下や、TARSと呼ばれる写真部のオタクたちなど、数人の主人公たちを中心に物語は展開していく。
 彼らの織り成す群像劇と、刻まれる“ポリリズム”。
 過去と現在の回路が繋がれた先で、彼らが見出したものとは――――。』
(公式より引用)



凄まじい物語でした。
上記で書いた通り男×男の性描写が多々あります。
むしろ性的描写はそちらでしかありません。
しかも同性愛表現が少年×少年や美男子での絡み合いの様なBL的描写ではない方向性でした。


背景と音楽と文字だけで絵などは無いですが、表現として性的描写はかなりあります。
しかも性転換、大小両方のスカトロ、レイプ、痴漢、女装、etc…
入り口から濃いですが中身も濃かったです。


システムは履歴、メッセージ速度変更などがなく決して読みやすいとは思いません。


ですが、それがあっても先に進めたくなる文章力でした。
とにかく圧倒される「力」を感じました。


構成、展開などで「どうしてこうなった」と思いつつも圧倒され、進めてしまう文章力にはただ脱帽。
群像劇形式なのですが、色々ツッコミがある中でも登場人物たちの独特な独自の価値観。
その価値観を魅せる為の独特の文章には理解は出来ないながらも彼らから目を逸らす事が出来ませんでした。


楳下とそしてTARSが出てきた時には本当に「学生青春」な感じが出てきて読みやすく、そして楳下の格好良さにサクサク進み。
中盤の物語は読みにくさはありながらも一文一文は狂ってはいない、けれども全体を見渡すと確実におかしい思考を持つとあるキャラの価値観に。
後半は前半と中盤の人物達のそれぞれの今までの行動や想い、立場が錯綜する様はツッコミ所が有るのは分かっていながらも面白いと言えるものでした。


群像劇でありながらもキャラの活躍に差があったり。
色々な設定での矛盾や構成、収集の付け方には思う所がありますが、濃いキャラクターや、その濃さでの独特な心理描写にはただ圧倒されました。


特に蒲田の言動と楳下の死生観などは理解は出来なくとも「彼らはこういう生き物なんだ」と納得してしまったり。
同性愛作品ですが、世界観が同性愛を許容しているわけでなく、許容されない世界の中で自分達の愛を信じる姿は強烈でした。
彼らの愛を貫く姿、信念を貫く姿にとにかく「圧倒される」そんな一言が似合う作品でした。



『システム、演出』
操作性は悪いです。
セーブ、ロード、メッセージを隠す、スキップのみ。
履歴が無いのは辛かったです。
起動が遅く、文字速度を選べません。
一応文字速度は速いのでイライラはしません。
ですが履歴が無い為、とある場所でおそらく演出で自動で次のページに行くのですが何と言ったか分からない箇所がありました。
スキップは遅いですが、選択肢無しの一本道の為おそらく大丈夫かと思われます。
演出は音楽の使い方が妙に上手だったと思います。
余韻が欲しかったので最後にスタッフロールは欲しかったです。


『音楽』
とにかくBGMの使い方が上手な印象でした。
この曲がかかるとこのキャラが出る~みたいなのが分かりやすく。
盛り上がる箇所、雰囲気が出る箇所は音楽で。
特に蒲田が出る時の曲は「あ、この曲は蒲田の話だ」と曲だけで分かりました。


『絵』
写真背景です。
暗めの背景が多いので少し見づらくも感じました。
雰囲気は加工も相まって気色の悪い雰囲気が出ていました


『物語』
誰の物語かとかは分かりやすかったですが、台詞が続くと誰の台詞か分かりづらかったり。
特にTARSの一人一人の台詞は誰が誰なのかわからない部分が多かったです。
台詞の「」が終わり、次に「」が挿入されても前話してたキャラが話してたりした部分があり、閉じずにそのまま続けて話して欲しいと思った所が何ヶ所かありました。
あと、夏目や楳下、TARSの時は読みやすいのですが、中盤から大分読みにくく、独特な価値観が展開される所は進みは遅かったです。
構成は色々繋がりの部分では凄いのですが、全体で見るとガタガタしている気がします。
色々謎やモヤモヤが残りました。
色々残りつつも瞬間瞬間には文章、キャラクターに引き込まれました。
引き込み度は凄かったです。
TARSが学生をしている部分はとても読みやすく、リアルな男子高生感が面白かったです。
あと、独自性の部分で。
男性の同性愛が許されない独特な空気を纏う世界での不思議な、けれどもそれぞれの愛を貫く同性愛でした。
蒲田の濃さが凄かったと思ったのと楳下さんが好みでした。
良くも悪くもキャラゲーに近い部分はあるので濃さが合えば楽しめます。


『好みのポイント』
楳下さんが好みなのと、文章から溢れ出る独特の気持ち悪さと狂気、そして力強さが好きでした。
特に狂気の部分は完全に「狂ってる」みたいな書き方ではなく。
一文一文を見れば理路整然としているのに、画面全体の文を読むと「どこかおかしい…」みたいな感じになる所は凄かったです。
特に中盤あたりのキャラクター達の独特な価値観は凄まじかったです。
色々独特な部分が力強い作品でした。





以下ネタバレ含めての感想です





ただ、色々構成で気になった部分はありました。


・夏目とボロが活躍が薄い
・夏目がボロに性的興奮を感じた理由
・楳下関係の話の中の「妖力」などの急展開
・その後「妖刀」「妖力」が全く出なかった
・「怪物」の特効薬が精液とあっても特に「怪物」を止めてはいなかった
・学校が「怪物」対抗の研究機関でありながらホモ育成所という「ホモ」の部分は要らないのでは?と突飛過ぎる部分
・蒲田から「怪物」が移った瞬が「怪物」化せずに何故死んだのか
・結局諸悪の根源の宮本はどうにも出来ていない
・宮本は結局「怪物」を作って何をしたかったのか


探せば色々???な部分は出てきます。
それでも本当に彼らの愛や信念の描き方は本当に力強く。
特に蒲田の痴漢部分や、宮本の性への倒錯、楳下が生死へ向ける思い、信念の書き方には、終わってから色々思う所が有る中でもプレイ中はツッコミつつも楽しかったです。



キャラはとにかく楳下さんが好きでした。
彼が格好いい格好いい。
彼とTARSがメインの時の文章は読みやすいのと盛り上がるので凄く楽しかったです!
エージェントと聞いたてので20くらいで潜入してるかと思ったら本当に16歳で、修行し武芸を身に付け強く、髪はボサボサロングで眼鏡だけれどしっかりとすれば美形。
色々詰め込み過ぎな気もします(最高)。


個人的に彼の死生観があったとしても刃奮君を諦めて欲しくなかったです。
刃奮君の死により彼の死生観が語られるのは良いのですが、
「彼の死により行動面で何かを突き動かされる」
みたいな人が少ないのが何とも…
アキさんは当然廃人になりますが、彼女(彼?)は特に過去以外での活躍は無いので関係性以外重要ではなく、瞬も蒲田が「怪物」になったのなら同時に怪物になりますし、楳下さんもエージェントなのでおそらく刃奮君が死んでも死ななくても学校を守る行動はしたと思うと、刃奮君の境遇といいかなりいたたまれませんでした。
同性愛がある作品なので分岐などで楳下さんと刃奮君の愛や愛まで行かなくてももっと近づいた姿も見てみたく、二人が海に行った姿も見たかったです。


あと、前半でキャベツを抱えて「にゅ~にゅ~」言ってたのって彼だったのですね。
まぁしかしアキさんも「刃奮」とか付ければイジメられるだろうに何を思って付けたのか。
片方は瞬なのに…読み方が完全にいじめられるような読みなので名前に対する理由とかも欲しかったです。


蒲田、宮本、アキの過去の物語も突っ込みどころはありながらも重苦しく特にオカマに対しての、

「男言葉は政治を語るのには向いているが、人生を語るのには向いていない。
 女言葉は愛情を与えるのには向いているが愛を語ることはできない。
 オカマ言葉だけが愛や人生、その他の語りえぬものをかたることができるんだな」

という台詞は蒲田の女装癖やオカマタルトの時などを振り返るととても印象深かったです。


しかし宮本は作中生きて逃げてしまいましたね…諸悪の根源なのに。
でも腹が立つというよりも信念が独特過ぎるのと行動や思考が狂ってるからか脈絡が無さ過ぎて、
「「怪物」を作って何がしたかったのか」
という気持ちも先に来ます…
刃奮の件といい「完全な人」を作りたかったのでしょうか?
良く分からなさの中に「信念が強すぎて下手な行動では太刀打ち出来ないなぁ」みたいな部分もあったり。
逃げ去っても、
「腹が立つから倒さなきゃ!!」
よりも、
「また「怪物」を作って何かするのか?」
という気持ちが混じり逃げた事に対して怒りなど楳下達ほど沸かなかったのが正直な気持ちでした。
彼がまだ居る以上、続くのかもしれませんが…


夏目とボロも、もう少し彼らの話が見たかったです。
最初に夏目から始まるので「彼がメインか?」と思っていましたが完全に楳下さんが表主人公、蒲田がラスボスの構図になってしまい…
夏目とボロがメインで居る理由は?みたいな気持ちに。
ボロも本名「飛鳥」で今まで出てきていないキャラで宮本との接点や因縁も特に無く、ただ「怪物」だっただけ。
夏目とボロのコンビがかなり薄い印象ですね。


ラストもスタッフロールなどが始まるかとおもいきやENDの一文のみで、本当に終わったのか分からず何度もクリックし続けました。
もう少し余韻が欲しかったです。



振り返ると群像劇系でありながらも出番に偏りがあったり、色々謎や構成での凹凸、ラストの呆気なさは確実にありました。
ですが色々濃い部分も相まってプレイ中にはとにかく先に進めたい楽しさがあったので文章に「力」を感じた作品でした。