ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【Collage】感想

【群像劇全年齢】



2004年05月01日配信
『Homegorosi PROJECT』様 ※公式HP閉鎖
Collage】(PC) ※リンク先DL可能ページ
以下感想です。








話、絵、音楽、全てがスタイリッシュの一言で表せるような作風には格好良さを感じ。
プレイ画面を彩る装飾は正直、ゴチャゴチャと必要無いもので溢れているけれども、それでも邪魔には感じず。
むしろ格好良さが先に出る所にはセンスの良さを感じました。



『世の中そんなに甘くはない。
 「社長の娘と結婚することになったから、別れてくれないか」
 と言われ恋人と別れた佐々木由子(ささきゆうこ)。
 彼女はある日、変わらない日常や様々な苛立ちの限界から今まで自分をいびり倒してきた会社の部長の横領を暴き会社を辞める。
 居酒屋で吐きそうになるまで飲んでいた由子の前に高校の同級生であった前島純子(まえしまじゅんこ)が現れる。
 酔って大変そうな由子を見かねた純子は由子に自分の家に来ないかと誘いをかけ――』


選択肢はありますが実質一本道。
間違えたら即ゲームオーバーなのでこまめなセーブ推奨。


一言で言うならとてつもなくスタイリッシュなゲームでした。
起動画面からその格好良さに驚かされました。
プレイ画面もノベルゲームではよく見かけないタイプの構造。
正直言ってしまえば、画面の表示にとにかく不必要な物が多いのです。
でも、不必要だと思いつつも、読みにくいわけではなく、むしろ、そのゴチャゴチャした感じが一つの作品、こう言うと堅苦しそうですが、芸術性として完成されていて、完成された上でスタイリッシュで格好良く纏まっていて、他にはない味をだしていました。
普通あそこまで装飾過多にすれば、ノベルゲームとして読みにくくなりそうなのに全く読みにくくなく…
本当に、画面の見せ方での構成のセンスを感じました。
キャラ絵などは無く、実写背景のみですが、立ち絵などが無いからこその落ち着いた雰囲気があります。


お話もそのスタイリッシュさ落ち着きに合う大人っぽさ…オシャンティさがあり、所々に大人の女性の駆け引きの雰囲気を感じました。


色々と進んで行く中で、あれやこれやと物語は進んでいき、万々歳で終わる…かと思いきや!
実は様々な出来事が入り組んでおり…
最初で語られる、
「世の中そんなに甘くはない」
を体現したお話で、楽しかったです。



『システム、演出』
上記でも書きましたけど、とにかく最初の電車といい、画面の切り替えといいそのスタイリッシュさが素晴らしいです。
スキップも地味に凝っていてサクサクとスキップ。
選択肢もあって無いような即分岐系選択肢で、考えれば直ぐに正解が分かり、分岐を考えるストレスはありませんでした。
ただ、セーブが選択肢前で始まるのではなく、日付の最初からの始まりなのでそこは若干面倒だったり。
あとこんなにもスタイリッシュなのにセーブロード画面は凝ってないのが少し残念でした。


『音楽』
どれも例えるならドラマのBGMの様な曲が多く、作品に似合うスタイリッシュな音楽ばかりで良かったです。
音楽鑑賞モードも充実しており、どこの素材かハッキリと分かるのは好きです。
特に「jopling」はかかる時のシーンもシーンで3分間クッキングっぽく好きです。


『絵』
人物は無く写真背景のみ。
ですが、逆に良かったと思います。
この話で人物を付けるなら絵ではなく実写の方が合うと思うほどドラマっぽい話だったので。
どの背景も欲しい時に欲しい絵があり、最初の電車や、酔ってトイレに駆け込む所など凄く好みでした。


『物語』
上記に書いた通り、
「世の中そんなに甘くはない」
であり、一人の視点では、
「上手く行っているようにみせかけて、実はそんな事は全然無いんだよ」
と上々に見えた事が裏では全く上々では無かったのがよく分かるお話でした。
ある意味では佐々木さんの可哀想物語。
ザッピングが凄く好きなので凄く楽しめましたが、欲を言えばその後の佐々木さんの、
「良い事に出会えた部分」
も知りたかったです。


『好みの部分で思った所』
ザッピングは好きですが、
「選択肢が反映し合い、出来事が変わっていく系」
が好きで、そういうタイプでは無かったのが少しだけ残念でした。
これで、選択肢で大きく物事が変わる系だったら更に物凄く好みでした。





以下ネタバレ含めての感想です





佐々木さんが上手く行く!…と思わせて「世の中そんなに甘くはない」作品でした。
彼女だけの視点で見るなら、もう間違いなく良い方向に進んでるように見えるのですが…
ところがどっこい、他の人の立ち位置、裏側では全くそんな事はなく、それぞれが別々の方向を向いている話でした。
ネタバレになるかな~と思ったので上記には書きませんでしたが、この3人のザッピングにより見えてくる新しい人間関係。
佐々木、吉村、西野とそれぞれの視点で見ていけば何となく分かりますが、確かに佐々木さん、全体像が分かるとあんまり恋愛で応援したいとは思えないんですよね。
自信満々というか…他視点でようやく分かりますが、仕事は出来て、テキパキはしてるけども、ズイズイ入って来るというか…
その点、西野さん視点になると、西野さんの方が応援したくなるタイプで、この辺りが中々に面白いですよね。


一人の視点だけでは見えてこない真実というか…一人だけでは見えない人間関係もですが、本人の視点だけでは分からない、本人の欠点などなど…完璧に見えるけどダメな所もあるんだよと。
そういう所がリアルで…そのリアルさに実写が重なりドラマみたいな雰囲気を出していて良かったです。


いやぁ、でも吉村さんはちょっと優柔不断過ぎて良い男ではないですよね…
適当に告白OKするこの男の何処がいいのか…とは思ったり。
西野さんが良い人なので、西野さんを応援する意味ではくっついて良かったですが、
「この男で大丈夫?」
みたいな気持ちにはなってました…まぁ娘がしっかりしてるから大丈夫だと思いたい。


佐々木さんもこのあと良い事が…とあるので、描かれてはいませんが、良い事あると信じています。