ひっそりと群生

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【大きなのっぽのメイドロボ】感想

【女性主人公全年齢】



2018年04月28日配信
武蔵野モーツァルト』様 ※リンク先公式HP
大きなのっぽのメイドロボ】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








私の人生は貴女のもの。
おばあさんといっしょに、チクタクチクタク。



『お婆様のお屋敷で暮らすことになった女の子。
 彼女は、お婆様に仕えるメイドロボット「リーシャ」が苦手でした。
 時の止まったようなお屋敷で紡がれる、ヒトとモノの穏やかなお話。』
(公式より引用)



プレイ時間は10分程。
しかし、その短い中でリーシャとマーサさんの絆が強く強く描かれていました。
丁寧に丁寧に描かれるカレンの心情とマーサさんとリーシャの関係。


ロボットとは何か?
リーシャには心は有るのか?
10分という短くも感じる時間の中で、しかし、カレンの、マーサさんの、リーシャの沢山の想いが詰め込まれた作品でした。



『システム、演出』
ティラノ製。
選択肢がとにかく印象深く。
主人公がリーシャに冷たく当たろうとする時に冷たい言葉の選択肢が出ます。
選択肢は毎回一択。
その冷たい言葉が主人公が意地でもリーシャに優しくするものかと捻くれた決意を表しているようで…
それをプレイヤーが一つ一つ選ぶ事でリーシャに冷たく当たっている姿が自分が選び取った結果だと強調され、とても辛い気持ちになりました。
後にそれが後悔に繋がり、とても良い演出だったと思います。


『音楽』
素材曲が数曲。
どれも雰囲気を損なわず、良かったです。
最後はマーサさんの人生が流れる演出も合わさり、涙ぐんでしまいました。


『絵』
メイドロボのリーシャのみ。
立ち絵はおそらく「えもふり」を使われているのかコロコロと表情がアニメで動きます。
リーシャの笑顔しかない立ち絵が彼女のロボットとしての全てと、隠していた本当の想いを感じさせて切なくて好きです。


『物語』
シンプルに、素直に、真っ直ぐに、良い物語です。
流れはタイトルと元ネタの曲名から察せられますが、それでも、先が分かっていても素敵だなと感じさせる話運びには脱帽。
主人公の境遇やリーシャの言葉など、掴む所でしっかりと掴むお話でした。


『好みのポイント』
「私の人生は貴女と共にある」
そんな物語が大好きです!
マーサさんもリーシャもお互いを本当に大事に思っているのが伝わって来ました!!





以下ネタバレ含めての感想です





分かってました、分かっていたんです、リーシャがマーサさんを失ったら生きていけない事は。
リーシャがマーサさんの願いを叶えて、「大きなのっぽの古時計」の歌詞と…物語と同じ行動を起こす事は。
この「生きていけない」という言葉はロボットに使う言葉ではないのかもしれません、けれど、リーシャは紛れもなくマーサさんと共に「生きていた」と思います。
ロボットで常に笑顔しか作れなくて、命令には逆らえなくて、きっと自殺も出来ないだろうに、それでもこの道を選択したリーシャ。
間違いなく彼女はマーサさんの為だけのメイドロボでした。


エピローグでおそらくマーサさんとリーシャは天国で出逢ったのでしょう。
そしてもう、リーシャは笑顔で居なくても良くて…笑顔以外の顔でマーサさんと出逢えたリーシャを思うと涙が出ます。
ずっと笑顔で居た彼女の内側がこんなにもマーサさんとの「願い」で溢れているなんて…
リーシャ、貴女は強いロボットです。


マーサさんとリーシャの強い絆で結ばれた物語でありながらも、主人公、カレンの成長もしっかりと描かれていて。
「リーシャはロボットだから全ての言葉は嘘」と信じていなかったカレンが、最後はリーシャの言葉がどの言葉も真実だった事に気付く。
そして、リーシャから貰った言葉を信じ、新しい家に引き取られ強く生きていく姿は輝かしく。

シンプルですが掴む所は掴み、涙腺を刺激する。
人とロボットの絆と、無機物かもしれないけれど、そこに確かに存在した自分を思いやってくれる言葉や想いを信じて前に進む。
とても前向きな気持ちになる一作でした。