ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【彼女は時のねじを逆向きに回した】感想

【男性主人公全年齢】



2018年06月05日配信
羊おじさん倶楽部』様 ※リンク先公式HP(18禁)
彼女は時のねじを逆向きに回した】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








未来→過去の彼女は時のねじを逆向きに回した。



『生きる気力の無く屋上で授業をサボる主人公、有街笹斗の前に突然、春子という少女が表れる。
 彼女は「レトログレーダー」という時間逆行体質で、自分の記憶は死んだ時に始まり、生まれた時に終わる体質なのだと主人公に告げる。
 未来からやって来たわけではなく、記憶、精神が未来から過去に向かっている彼女は、主人公に主人公の未来と、そして、彼の無気力な生き方を諭す。』



最初は、「レトログレーダー」や「時間逆行」など、SF的に見て、少し小難しい要素が入っているように感じました。
「彼女にとって過去が未来で、未来が過去で、未来の事を過去と認識しているから…つまりは…???」
など、めちゃくちゃ難しく頭を働かせてました。


…が、ラストまで行くと、そのような設定の理論付けは殆ど必要無く。
もし、最初にSF的な要素で???となり、挫けそうになった方がいらっしゃったら、気にせず、是非そのまま進めて頂きたいです(短いので気にせずに終わりそうですが)。


上記で書いた通り、プレイ時間は短く15分程。
読むのが遅い私でもそれくらいなので、すぐに終わります。
…が、流石は「羊おじさん倶楽部」様。
等間隔の黒い透明』(※リンク先感想)でもそうでしたが、短い中でもしっかりと嫌な気持ち、鬱な気持ちを味あわせて下さいました。


でも、嫌な気持ち、鬱な気持ちだけではなく。
その中でも、生きる事が少しだけ前向きになる要素があり、15分で様々な感情を揺さぶられました。



『システム、演出』
ティラノ製。
基本操作は揃っていました。
ただ、音量調整しても起動の度に元の音量に戻るのは頂けませんでした。


『音楽』
ジムノペディ
前のゲームでも聞いた気がするのですが、サークル様お好きなんでしょうか?
気怠げで綺麗で、良い曲ですよね。


『絵』
CG無し。
立ち絵は影絵一枚のみ。
そして、屋上と廊下と廊下への階段のみ。
必要な所に必要な分でシンプルです。


『物語』
雰囲気が好きです。
短いですが、それぞれの世界への絶望感が出ています。
鬱と救い。


『好みのポイント』
最後の焦燥感、たまらないです。
救いと未来は諦めれば無い、けれども救いと未来は諦めなければ有る…そんな気持ちになりました。





以下ネタバレ含めての感想です





あぁ、どんなSF設定も、どんな未来も、主人公の為に作られた物であって。
何もかもが嘘で、主人公への気持ちだけが本物で、彼女は死んでしまった…


未来の話が何もかも嘘だった分、過去の思い出だけは本物な所がまた辛かったです。
例えば、もし、彼女が本当に「レトログレーダー」だったとしても、未来を消す道を選んだ事になり…
そして、近い内に病で亡くなってしまう彼女は「レトログレーダー」ではなく。
そんな設定を作り出してでも、主人公を励まそうと、生かそうとした彼女の想いがあまりにも切ないです。
そして、彼女は主人公を救ったけれど、主人公は彼女を救えないのもまた…辛い。


「彼女は(主人公の為に)時のねじを逆向きに回した(設定を作った)」のですね…
そして、その設定が生まれた事で、
「未来から過去に進む」
「死から生へと進む」
そんな彼女は、自ら死を選び「死から生へと進む」人生を逆向きに…「彼女は時のねじを逆向きに回した」。
タイトルに何重にもの意味があり、タイトルの意味に気付いた時には凄いタイトルだなと思いました。


主人公は「未来」で彼女に出逢える事を信じて、生きる道を選びました。
生きてれば可能性があるから、彼女にも、もしかしたら生きていたら道があったかもしれないのに…
主人公への救いの言葉が、彼女自身を救う事が無かったのが悔やまれます。


でも、25歳の未来では会う事は叶わなくなったけれども、死の先で出逢える可能性もあるかもしれない…という見方も出来、ある種のSF味を感じました。
死後に世界があるのかは分かりませんが。
前向きになった主人公がその先で彼女に出逢える可能性も思いつつ、けれども、こちらのサークル様の趣旨から、二人の線は交わらない事も感じて。


主人公を見つめていただけの彼女との接点や思い出も過去には無く、彼女と結婚する事がなくなり未来が交わる事も無く、けれども想いだけは通じ合ってしまったまま、主人公は辛い想いと彼女の励ましを胸に生きていくのだなと思いました。


短い中で失った深い喪失感と生きる事への一縷の希望を胸に感じる事が出来た良作でした。