ひっそりと群生

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【冬蟲禍草】感想

【乙女全年齢】



2018年08月31日配信
アメシコウ』様 ※リンク先公式HP
冬蟲禍草】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








どうあがいても、あらひとがみ様。
冬虫夏草
彼の為にある村で、彼の為に咲き誇り、彼の為に散る。



『私たちは寄生される。

 近代化を急ぐ都市から遠く離れた場所に、その村はある。
 未だ前時代の色を濃く残し、緑溢れるその村を人々は―

 山の神に呪われた村だと言った。

 本来足で踏みしめる地べたに生えるはずの草花が、蔓が、苔が、村人たちの体を苗床にこの世の春を謳歌する。
 まるで山の一部となるように息絶えていく 禍草 と呼ばれるその呪いは、等しくすべての村人たちの上に降りかかっていた。

 たった一人をのぞいて。』
(公式より引用)



体から草木が生える奇病で死を迎える事が約束された村。
そこに住む奇病に侵された少女と幼馴染と奇病を唯一癒せる神のような青年の物語。
田舎と和の雰囲気、飽きる事無い動く演出。
そして神のような青年、あらひとがみ様の人を越えた行動に恐れ慄きました。


主人公が女性であり乙女ゲーに見えつつ、他の要素もかなり有り「何でも許せる人向け」な所が若干あります。
魅せる演出や全年齢でありながら仄かに感じ取れる淫の気配を持つ和の雰囲気。
そして人の姿を持ちながら人の領域には決して居ない絶対に敵わぬ存在に翻弄されたい方にオススメです。



『システム、演出』
とにかく画面の動かし方が凄かったです。
クリックする毎に画面が動く程に動きますが、煩わしさは全く感じませんでした。
ちゃんと計算しつくされた動きで、あらひとがみ様と一緒に居る時に視線を泳がせる主人公の気持ちとリンクしました。
システムはシンプルにノベルゲーム、ツールはティラノ。
デフォルトではなく、作風に合わせてカスタマイズされていました。
ただ、一部、既読スキップにしてても未読部分が飛んだのが少し困りました。


『音楽』
和の世界に合った良い選曲でした。
たまに入る鈴の音が恐怖を駆り立てます。


『絵』
美しい、とにかく美しい。
キャラのイラストの淡い美しさもですが、世界に合った絵の全体的な統一感が凄いです。
背景やメインの3人以外は素材らしいのですが、加工や魅せ方で統一感が素晴らしかったです。
ホダカがキャラ的に良かったので立ち絵見たかったです…


『物語』
文章が凄く綺麗だったと思います。
比喩が凄く上手で、和と植物とを絡めた比喩が入るので、世界観との調和を感じました。
話は、どこか淫靡で、そしてこの村から、あらひとがみ様からの逃れられなさを感じ、ホラーでは無いのですが若干の恐ろしさを感じました。


『好みのポイント』
どうあがいても、あらひとがみ様。
最初から最後まで彼の為にある世界のブレなさが好きです。





以下ネタバレ含めての感想です





何が凄いかって、やっぱり青年(?)、あらひとがみ様の描き方。
とにかく彼が人知を超え過ぎて神聖であり不可侵であり、どこか気持ち悪い…人の姿を模しながら人を越え過ぎると怖くて気持ち悪さ…気色悪さを感じますが、まさにそれ。
彼の行動、思考、何もかもが本当に「わかりません」。


一周目は世界観に触れるために進めましたが、後半彼が出る度に「ヒエッ」と声が漏れてました。
そして、一周目はおそらく一番行きやすいBAD扱いであろうED2へ。
二周目から攻略に頼りましたがその気味の悪さから幼馴染のルートを先に行こうと決めたほど。
しかし、流石のあらひとがみ様、何を選んでも、どこをどうえらんでも、どうあがいても、あらひとがみ様に直通するのはきっと仕様なのでしょう…
冬蟲禍草の世界の全てを味方に付けたあらひとがみ様の「わからなさ」に頭を抱えていました。


少しだけ分からなかったのは、あらひとがみ様が幼い日の記憶以外の部分でどうして主人公のアオイを気に入ったかですが…
まぁ、深くは「わからない」ところもあらひとがみ様らしいとは思ってます…
きっと、何か、よく分かんないけど、気に入っちゃったんだよ、多分……
あとは、もう少しあらひとがみ様の事を知りたかったです。
ボカしにボカして、何者か分からない所もまた魅力なので、知りたいという気持ちとこのままでいい気持ちが綺麗に別れています。


上記でも書きましたが、既読スキップ選んでましたが未読部分も飛んだのが若干残念…しかもナズナルートで。
なので、システム面で残念に思いつつも、そういう部分にもあらひとがみ様パワーを感じ若干ビビりました。


あらひとがみ様「ナズナとの会話なんか未読でも飛べばいいと思うよ^^」


ED1では主人公はあらひとがみ様を受け入れていますが、ED1の主人公の気持ちとプレイヤーの気持ちの乖離は凄まじいものだと思います。
あらひとがみ様が恐ろしくて、正直、受け入れることは不可能で、ED1の主人公の気持ちとノットイコールでした。


あらひとがみ様の圧倒的人外っぷり、あらひとがみ様に目をつけられた主人公、アオイは、もう、きっと、逃れられないのだという事を芯から感じ、閉鎖された村から感じる恐ろしさとおぞましさに、夏に良い感じに背筋が凍る思いを体感出来ました、有難うございます。