ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【最悪なる災厄人間に捧ぐ】感想

【男性主人公全年齢】



2018年08月23日発売
KEMCO』※リンク先公式HP
最悪なる災厄人間に捧ぐ】(Switch) ※リンク先Nintendo Store
以下感想です。








透明人間の少女クロと、クロ以外の生き物の姿と声が聞こえない少年、豹馬。互いの孤独を埋める為、共に歩み生きていく物語。
最高の「二人の世界」を有難う。



『「透明人間」の少女と歩む物語
 透明人間の少女・クロと、透明人間しか見えない少年・豹馬。
 互い違いの孤独を埋めるため、寄り添って生きる2人に、
 やがて“災厄”は牙を剥き、残酷な世界が立ちはだかります。

 パラレルワールド。透明人間。神隠し。全知の石板。
 繰り返される滅びと別れの果て、完全なる絶望が訪れる前に、
 不条理な世界の謎を解き、救いに至ることはできるでしょうか?

 必然にして未然だった出会いから始まる、悲しみと超克の物語。』
(公式より引用)



発売日はPS4版を記載していますが、私はPS4が無いので09月20日発売のSwitch番を購入。
現在はiOS版とAndroid版もあるみたいです。
レイジングループ』(※リンク先感想)を生み出したKEMCOと『一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう』(※リンク先感想)を生み出したウォータフェニックスの合作作品。
どちらも大好きな上に、私の好みを熟知していらっしゃる方からの推奨で、絶対に面白いと確信し、プレイさせて頂きました。


設定は『レイジングループ』のループを都市伝説に落とし込んだ上でパラレルワールド化し。
キャラや世界観は『一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう』の儚いヒロインと漢気溢れる主人公、その二人だけの世界に「周りの人物が見えない、聞こえない」という設定を付属する事で更に尊い世界観を作り上げていました。
どちらも好きな人には美味しい部分を詰め込んだたまらない作品でした。



『システム、演出』
結構小難しい世界観を持つ本作ですが、メッセージウィンドウの色が細かく設定されて、頭がゴチャゴチャにならずに済みました。
チャートも分かりやすく。
この辺りは流石、KEMCO…と思いました。
他のゲーム会社にも近い具合にカスタマイズして頂きたい一品です。


『音楽』
突飛つした印象は実は少ないのですが、BGMとしては良いバックグラウンドミュージックでした。
音関係の中でも声が…クロ役の小鳥遊ゆめさんが本当に素晴らしかったです。
同じ人間でありながら違う存在であるクロを多種多様に演じ分けされます。
しかも成長後まで。
同じクロは全く存在しませんでした、貴女様がクロの役で本当に良かったです!


『絵』
絵がとことん細かいです、ビックリしました。
頷いたり、首を振ったり、とにかく動く動く。
ソフトクリームを食べてる時、食べた後、かぼちゃの煮物を差し出す立ち絵が存在するとは…恐るべし。
手を振る、後ろを向く、振り向く。
必要な立ち絵は全て揃っていたと思います…お話と絵を両方担当するからこそ出来た事か…とも思いますが、一緒に担当される事が多いフリゲでもここまでの立ち絵枚数はあまり見ないので、Rさんが異端な気もします…
CGも効果的に使われますが、立ち絵が豊富で見てて飽きませんでした。
背景も美しく、欲しい時に欲しい背景が入り大満足。
洋服屋のマネキンがアサギリだと気付いた時には嬉しかったです(笑)


『物語』
面白い確信は本当に…大当たりで…
まず、一言言わせて下さい、最ッッッ高でした!!
とにかく二人の関係図が素晴らしい。
豹馬はクロが居ないと周りの生き物を認識できず、生きていく事が出来ない。
クロは豹馬が居ないと誰からも認識されずに孤独になってしまう。
だから二人は助け合わないといけない。
この「二人の世界」を築く為にある設定がまず最高です。
どう足掻いても二人は寄り添わないと生きていけない…その具体的に構築された世界観。
この設定があるからこそ二人が共に進もうとする、二人は離れられない。
しかし、二人は触れ合えず、でも、触れ合えないからこそ変えの効かない関係があり…
離れられない中で、主人公、豹馬とクロがあまりにも素晴らしかったです。


『好みのポイント』
二人きりの世界の上に、ヒロインと主人公が魅力的。これだけで既に3億点。
私は、主人公とヒロインの二人きりの世界に弱いので、この開始だけで心を掴まれました。
パラレルワールドについては正直今でも???状態なのですが、それでもどの世界の豹馬もクロの事を大切に思っているのが伝わり。
豹馬は豹馬の世界のクロを本当に大切にしているんだと全てのイベントで痛い程に伝わり。
「二人きりの世界」はこうあるべき!!とお手本のような世界を見せ付けてくれました。
「二人きりの世界」が完璧に描かれ、しかし進めるとそれだけではなく。
「二人きりの世界」の中で見えてくる自分の本質、世界は本当は二人だけではない、他者を見つめる事。
自分の弱さ、信じることの強さと脆さ、愛と執着とはどう違うのか、そして自立。
その全てが詰まっていたと思います。





以下ネタバレ含めての感想です





クロの過去はネタバレになるのでこちらで書かせて頂きますが、クロが本当に素直な性格で、可愛らしく、素直で素直で…
悲惨な過去のせいで自己評価が低いどころではなく、無に近いような子ですが、だからこそ彼女が豹馬を必要だと大事だとしている姿がヒシヒシと伝わり。
豹馬も、本当に格好良い主人公で、自分よりもとにかくクロを最優先に考える姿。
怒る前にまず、どうしてそうなったのかの理由を聞く所、そしてクロの事を大事に大事にしていく姿に胸を打たれました。


豹馬の8歳から18歳まで、クロの6歳から16歳までの10年間が描かれるのですが、10年間が丁寧に丁寧に描かれ。
一つ一つのイベントで豹馬とクロの二人が可愛らしくて可愛らしくて…
見てて何度もこそばゆく、むず痒い感じに絶えられず、一つのイベントを進めては深呼吸し、そしてまたイベントを見ては深呼吸を繰り返し、正直悶えに悶えて進みませんでした(笑)
だからこそどの災厄も辛く。
「どうにか二人が幸せになれる道」が無いものかと殆ど介入できない読み手の自分がもどかしいほどでした。


最後の決断も…
個人的には最初に連続で「話しかける」を選んだ世界も魅力的だと思いますが、成長モノとしてはこちらの選択がしっくり来るとも思います。
最後はある意味では切ない選択ですが、「生きている」んです、きっと二人に希望があると信じています!!



以下感想は章毎に思い出しながら。



【I】
とりあえず、攻略を見て、従いながらトロフィー回収の為に少女に声をかけ続けました。
(後に気付いたのですが、スイッチなので特にトロフィー関係なかったですね…EDリストが埋まったので良しとします。)
すると、突然70年後に。…浦島太郎かな?
幸福そうな主人公とは裏腹に、『老衰死の男性が血濡れで発見』と物騒な展開になり、BAD ENDへ。
ED後に見ると…なるほど…
自己を見つめはしないし、触れ合う事も離れる事も出来なかったけれど、これはこれで幸せそうだと思います。


別の選択肢を選び再スタート。
一周クリアすると、なるほど…この選択が全ての引き金だったのだと気付きます。


そして、何事も無かったかのように、彼女に声をかける世界へ。
回りも、自分も含めて全てが透明人な世界、何も見えない、自分の存在も確認出来ない世界。
そんな世界で唯一普通の人間の少女と出会う。
……正直申し上げると、某ゲームの設定を思い出しました…いや、未プレイなのですが、有名過ぎてて設定だけは存じ上げてて。
でも某ゲームと違う所は、自分も透明人間で狂っている事。
自分含めた狂った透明な世界で少女と少年が出会う…ロマンです。
少女には世界の声と姿が見え、そして主人公に通訳をしてくれます。
干渉できないお互いの世界で唯一の繋がりを得る主人公。
あぁ、これは彼女の事が必要になるなと強く思いました。
「とうふ」「キナコ」「みそ」「納豆」「豆乳」のソフトクリームラインナップでしたが、主人公は強制的に「とうふ」を選択。
全体的に豆豆しい…と思ってました。


そして「とうふ世界」のスタート。
彼女、クロと交流する内に退院できるようになった豹馬。
ここからの描写が本当に丁寧で丁寧で…
クロが欠かすことの出来ない存在として、胸に刻まれて行きました。
クロ一人では豹馬の生活を支える事が出来ないと思ったクロは、なんと次の日5人に分裂をしていた。
正しくは、分裂ではなく、ソフトクリームを選ぶ際に、「キナコ」「みそ」「納豆」「豆乳」を選んだ世界のクロが揃ったとの事。


ここでまず驚きました。
公式HPも見ずにプレイしていたので、パラレルワールド系だとは知らず。
世界の構造を知ったときに、なるほど…なるほど??となってました。
しかし、増えた事で豹馬をしっかりとサポート出来るようになったクロ。
彼女は豹馬の為に、幼い体を全力で使いサポートしてくれます、豹馬も言っていますが、クロ本当に可愛いです。



【Ⅱ】
ここからは各世界の豹馬が入り乱れますが、上記で書いた通りメッセージウィンドウの色分けがしっかりとされて居たため、分かりやすかったです。
公式HPも見てない状態だったので、途中までは気付かなかったのですが、公式を見てなくても気付けるくらいにはシステムがしっかりとしていました。


こちらのイベントも…何もかもが尊い
イベントが進む度に顔を覆っては、一度深呼吸して開始し、また顔を覆うを繰り返していました。
お祭りの雨が降った時にようやく他人を認識できる空虚な世界も演出も相まって、豹馬の孤独を映し出していて。
母親を騙す為の女装演技も何もかもクロを中心に回っている世界がいっそ清々しい程でした。


クロも11歳に成長し、その中で母親と対峙する…
各世界のクロに各世界の豹馬が説得をするシーンは必見、どの世界の豹馬も自分の世界のクロを大事にしていて胸が熱くなりました。
トラウマと向き合う姿、首輪を外す姿、そのどれもが良イベントでテンションが最高潮。
母親…というか毒親と、「結局は理解し合えない」という結論に至ったのは好きです。
あんな事をする親と相互理解は不可能だと思うので…パスワードを聞き出す事で解決したのは納得でした。



【Ⅲ】【Ⅳ】
「とうふ世界」
そして厄災が訪れる…
とにかく絶望、どうあがいても絶望…
どうすりゃ良いんだよ…と頭を抱えました。


攻略を見ていて選択肢は把握できましたが、全ED&スチル回収の為、全て選びました。
全て選びましたが、全く苦にはならず…
むしろ他の世界のクロの事を知れたのと様々な服のクロを見れたので、満足です。クロ本当に可愛いです。


明かされるリーダーの存在と幽霊の存在、そして自分が災厄を呼ぶという事実。
ただ、パラレルワールドやリーダーに関しては???でした…
すいません、複数世界系は理解するのに時間がかかるタイプなので…



【Ⅴ】【Ⅵ】【Ⅶ】【Ⅷ】【Ⅸ】
「とうふ世界」が崩れ「キナコ世界」へ。
「キナコ世界」から「みそ世界」へ。
「みそ世界」から「納豆世界」へ。


もう、この辺りはマジで絶望的でした…
もう既に死ぬ事確定しているようなもんじゃん…と。
昔のキャッキャウフフしてた時にもどして…と思ってました。
そして、戻ると言えば戻るのですが、「ちがう、そうじゃない」という戻り方をしてるのが歯がゆく。


この、厄災による世界の切り替わりは絶望的で【ⅩⅠ】の事を考えると必要な過程ですが、正直言うと、若干ダレました…
「絶対何かで不幸がある…」という事が分かってる上で、「また繰り返す」というのが分かってるので、テンションや読むスピードが遅くなりがちで。
救わなかった同級生や母親の一件など…来るぞー来るぞー、はい、来たー!!な感じで不幸が訪れるので、パターン化してて辛く…


ただ、恋愛による歪は見てて興味深かったです。
「恋愛ごっこ」と「恋じゃなく執着」、あの辺りの描写は好きです。
クロに対して恋じゃない…いや、もう恋とかそういう感情じゃないと思います、正直。
親愛でもあり、友愛でもあり、恋愛でもある…あらゆる言語化出来ない愛だと思うんです。
執着もまた間違いではなく…
「納豆世界」の二人が、執着と割り切ってしまったのが凄くもどかしかったです…
違う、きっと執着だけじゃ無いよ…と何度も言いそうになりました。


そして二人の感情により訪れる災厄。
「自分達しか見ておらず、周りを見ていないからダメだ」と結論づけてしまい、死んでいくクロ。
この辺りから「あ…これ…「二人の世界」系だけど、「二人の世界」じゃダメだという結論になりそう…」という予感がしていました。
私は「二人の世界」の物語も好きですが、「二人の世界だからこそ、それじゃダメになる」という物語も好きなのです…
あ、これはきっと好きな両方の属性を叩きつけられる!と覚悟を決めていました。



【Ⅹ】【ⅩⅠ】
「納豆世界」から「豆乳世界」へ。
各世界のクロを見送り、豹馬とクロはしっかりと自分達以外の人間を認識するように生活し、世界は無事に豹馬の18歳の誕生日を迎えようとする…が…
無常にも巻き戻ってしまう世界。


今度の世界の違いは、死んだ際に巻き戻ったポイントがクロと出会うか出会わないかの選択を出来る所。
このポイントが変わった事により、「とうふ」「キナコ」「みそ」「納豆」「豆乳」全ての世界に介入が出来るようになった豹馬。
豹馬は最初にクロと出会わない道を選び、幽霊の正体に気付く。


幽霊の正体に関しては…正直、だろうな…と思ってました。
病院のA、B、Cよりも納得できます。
ここで、己と向き合う事になる豹馬。
そして、世界は巻き戻る。
豹馬は各世界で幽霊に介入されないように生活し、18歳までを生き抜く事に。
この辺りから胸熱でした!
今までの、ちょっとダレてきた、どうあがいても絶望…がここで一気に覆されます!!
それぞれの世界でクロと世界と、そして自分自身と向き合い、それぞれの問題点を解決していく姿は本当にTHE・主人公!!
こういう今までの道を逆に辿っていく展開は胸熱です、大好きです!!
豹馬は無事、全ての世界の豹馬とクロを18歳と16歳まで迎えさせます。



【ⅩⅡ】
そして、最後の選択。
クロと出会わなかった場合でも、クロが生き抜けるように…クロを普通の少女にする事を決めた豹馬。
豹馬の働きにより、クロは自立し、生きる扉を潜りました。
人間に戻ったクロの前に、シーソーに乗る少年が居て…


ここで、クロが話しかけようとして終わる所が最高でした。
結局、どの道を選んでも、二人は出会う…そんな運命的なEDがカプ厨の心にどヒットでした!!



【最悪に捧ぐ】
おまけ?と思ったら、予想以上に本編でした。
幽霊の豹馬から見た物語。
クロに声をかけずに、絶望した豹馬の物語。
小さなクロが頑張る姿を見て、幽霊の豹馬もどんどん愛着が湧き、最後にはクロを想う気持ちでシンクロしてしまい厄災が起きてしまう所は素晴らしかった。


そして、リーダーが思った以上に病んでいて最高でした。
クロには自己評価の低さからそういう素質があるとは思っていたので…
自分の世界の豹馬が死んで、他の世界の豹馬を殺させないようにするリーダーと、絶対にすべての世界の自分を殺そうとする豹馬。
リーダーは自分の世界の豹馬を殺された事で恨みもするけれども、幽霊も豹馬だから側に居たいという感情もあり…
自ら死を選んだ二人は永遠に続く世界の中で二人で生き続ける。
憎しみも、恨みも、盲信も、友愛も、親愛も、恋愛も、そして母性愛(父性愛)絡めて豹馬とクロは共にあり続ける…
なんですか、このクソデカ感情は…
今までこの言葉を使って来なかったのですが、まさにエモーショナルな二人の関係でした。



本当に…最高の「二人の世界」系でした…
有難う、本当に有難う…この物語に出逢えたこの世界に感謝……


「二人の世界」だけに終わらず、お互いが自立する道があるのが…尊い、5億点!!(どんどん跳ね上がる…)
だってこんな世界に居たら「二人だけで良い」って思っちゃいそうです。
でもそうじゃなく、ちゃんと豹馬もクロも自立する道があるのが分岐ゲーとして「分かってる!!」という気持ちになりました。


そして、話しかけてただひたすらに平穏な「二人だけの世界」を享受したのが『彼女の幸福に捧ぐ』なんだなと、クリア後に分かりました。
きっと、78歳の豹馬の隣には、76歳のクロが居た事でしょう。
このEDも全てのEDを見て改めて見ると尊さがMAX。
70年の間に二人に何があったのか、想像するだけで悶えそうです。


自殺しない強い道で、一人で生き続ける豹馬もいました(幽霊によって殺されてしまいますが…)。
しかし、一度でも自殺の道を選んでしまうと豹馬はクロに話しかけなければ絶望してしまうんですね。
その負の感情を取り除く為にはこれほどの道のりが必要で…
自殺の道を選んだ以上、クロが必要不可欠になるという二人の運命がもう…もう…たまらないです。
その上で、クロを一人立ちさせてもなお、クロはシーソーに乗る豹馬にきっと話しかけるのだろうと。
二人は必ず出会うという運命が示唆されていて…最高です。
豹馬の目や耳は普通には機能しないだろうけれど、触れる事の出来る二人は今度こそ触れ合ってコミュニケーションを取るのでしょう。


「二人の世界」として振り返ってみたら最高のED『彼女の幸福に捧ぐ』
「自立する物語」として最高のTRUE END『親愛なる透明人間に捧ぐ』
「歪み含め全ての感情を内包する物語」として最高のED『最悪に捧ぐ』


どれも甲乙付けがたいですし、どれも豹馬とクロを語る際に必要で大事な物語だと思っています!!
善の感情も、負の感情も、両方備わって二人は存在し続けると思います!!


KEMCOさん、ウォータフェニックスさん、この物語を世に出して下さり有難うございました!!