ひっそりと群生

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【ELYSION ~永遠のサンクチュアリ~】感想

【男性向け18禁】



2000年08月10日発売
Terios』※リンク先公式HP(18禁)
ELYSION ~永遠のサンクチュアリ~】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








10作に一個は名作と呼ばれている作品を挟んでプレイしないと心が死ぬと2019年は学びました。
というわけで、この感想がいつ投稿されるかは分かりませんが、2020年の10作目は「ELYSION ~永遠のサンクチュアリ~」に。


7でもインストールと起動可能、ディスクレス起動は不可。
マップ移動があるのにインストールや起動が出来るの凄いなと思いました。


周りでかなりの高評価+某所でも評価が高いのでプレイしてみましたが…
いや…凄かった、凄かった以外の言葉が出なかった。
話の下地にある歴史、世界観を形作る為に全く妥協を許さない文化の説明、そして歴史と文化を作る上で欠かせない宗教概念の要素、そしてその3つがある上でサブカルとしてでのメイドではなく正しく職業として存在するメイドの描き方。
ここまで徹底されてメイドを描いた作品って少ないんじゃないでしょうか?
あっても本格的な歴史本とかになって、少なくともエロゲでは見かけないタイプ。
だからこそ語り継がれてるのかなぁと。


いやね、正直申しますと全体像の話を掴むのかなり難しいというか。
一人のヒロインでは全く見えてこないタイプで、全員を攻略して全部の話を見た上でプレイヤーが構造を把握する…構造考察系なんですよ。
正直、私はこの構造考察系が大の苦手で…頭が本当に悪いのでプレイ後正直ポカーンだった所が多いです。
このままではいけないと思い、他サイト様の考察や感想を拝見して「なるほど…」となった部分が大きいです。
かなり複雑な要素が絡まる上で、更に占星術の要素が出てきて。
私、そういうのも得意じゃなく、最初のルート後半でその要素がずっと続いた時には宇宙猫状態でした。
そういえば全然未プレイなのですがこのライター様、別会社にて「運命が君の親を選ぶ 君の友人は君が選ぶ」という作品作られてて、占い師や占星術師の女の子が出てくるらしく。
あ、かなりそっち方面好きな方なんだろうなーとは思いました。
占いもね、かなり宗教と関わりがあるので外せない要素があるとは思いますが、占いに全てを委ねるタイプでも無いので、そこが中心になるとどうも胡散臭さを感じてしまうのは…神を冒涜してるのかどうなのか。
あ、でも占いと結びつく宗教として、年始におみくじを引いたり、落ちてるお守りを踏んだらバチが当たるかも…くらいに思う宗教はしていると思います。
そういうのもまた宗教だと思うので。
主人公が最初無宗教と言った時に驚かれる所とか他のエロゲではあまり見かけない要素でとても新鮮でした。
そうなんですよね、他国ではこういう反応を受けるらしい、「神を信仰していない」というのはあり得ない事が一般的で、というか生活の中に根付いてて、信仰していないと海外ではそこでズレが発生するらしいです…海外行った事無いから分からないけど。
だから日本人が海外で宗教を聞かれた時は鳥居のマーク書いておけば良いとも聞きました、神道も立派な宗教なので、鳥居のマーク見せれば海外の人は「あぁ」って反応するらしいです。
作中では主人公は仏教と言ってたけど。
まぁ宗教に関しては個人的趣味の範囲ですが一神教とかの「愛」の概念を飛び飛びで調べた事があるので、「神の愛」と「人の愛」との部分は感覚的には理解出来た所はあります。
「メイドの愛」と「人(恋人)の愛」がそういう意味で分かれててED分岐してるのも面白いですね。
ってかそういう「愛」の部分を分けてよくエロゲ作ろうと思ったよなとも思います。
「愛」の部分を分けるとか他では見かけない分岐の仕方なので、やっぱり変わってるというか…他では類を見ないというか…
そしてそういう概念をシナリオとして盛り込むの凄く難しいと思うんですよ。
結局同じ「愛」で書いてしまいそうな中、それを差文化してる所が上手いなぁと思ったり。
ずっと語り継がれてるの何となく分かります、歴史といい文化といい宗教といい、表現の一つ一つが唯一無二感があるので。


絵に関しても凄い、細かい、流石の横田さん。
横田さん、お名前と濃い絵柄で存じ上げだけはしていたのですが、今回初めて作品に触れて。
いや、こんなに細かいと思いませんでした。
文章にある表現の立ち絵は全て完備しているのでは?と言わんばかりの立ち絵の豊富さ、キャラが大きくドドンと載ったCGだけでなく、背景の遠くにキャラが居ても細かく描写し背景とキャラを溶け込ませる一体感。
特に4人のメイドの紹介シーンでは背景としてメイドが並ぶだけでなく、一人一人紹介する際に、紹介されるキャラが立ち絵で手前に表示された時には必ず背景として写っていたそのキャラは消えるという…つまり背景をその紹介パートの為に4枚描いてるわけで…
すっごい作業量だと思いました。
探索パートのドット絵も鮮やかで、キャラがチマチマ動くのが可愛らしいのもですが、ドットとしても凄く綺麗だと思います。
というか、このドット絵を見て思い出したのがファ○コムの「白○魔女」を思い出し。
ドット絵のレベルで言うならファル○ムと並ぶ気が…それくらいこの作品のドット絵好きです。
館物でもあるので行動箇所はRPGみたいに広くはないですが、屋敷の中も美しく、一日の中で目まぐるしく動き回る個性的なキャラクター達は文章で見える範囲だけでなく視覚的にも凄く魅力的でした。
攻略は正直自力だと難しいと思いますが、今では攻略サイト様もありサクサクと進める事ができ、分からない部分で苛立つ事無く館の色々な部分を見る事が出来ました。
キャラクターがどこに居るかドット絵で外から見て分かるのも有り難いです。
ノベルゲームだと分からない状態でいきなり移動場所を選ばされる所があるので、そういう所はこういう移動できるゲームの強みだと思います。
クリスが腹痛で倒れた後、ちゃんとトイレに居る所も細かくて笑いました、こういう視覚で感じる細かさ大好きです。


音楽も単純に良い曲が多いのですが、midi音源っぽい所が最高ですね、世界観に合うのとmidi音源大好きなので。
樋口秀樹さんは…WHITE-LIPSの方ですね。
歌唱曲ではゆったりしたテンポのイメージだったのですが、今作で焦るシーンで流れる曲に急かされまくったので、BGMでの新しい一面を見れた気がします。
サントラ有りそうで無いんですね…かなりもったいない気がします、タイトル画面の曲とか、民族系で西洋の異文化を感じる曲調で凄く好きでした。


声はもう…パートボイスですが最高。
いつも声は飛ばしてしまうタイプなのですが久しぶりに声を飛ばせませんでした、特にオッサン。
PC版では非公開ですが、他媒体では公開されてて…おそらく同じ方。
全員お上手で…というかTeriosはキャスティングが上手いイメージ。
未プレイですが「夜刀姫斬鬼行」とかキャスト名見るだけで白目剥くレベルでしたし(特に男性)。
パドリーノなんかもう…声だけで貫禄が…
いやぁ、あまりの上手さと声の持つイメージに何度か「鋼の○金術師 FA」を思い出しました…いや、番組冒頭必ずナレーションしてたしラスボスだったしで。
他の方もどこかで聞いた事ある方ばかりでビックリ、アレックスとか…あのポジションなのに藤○さんで良かったのか…というレベル。
いや、良いのか…焼け野原ひ○しタイプですね。
ただ、7では残念ながら音量の調整は出来ませんでした、基本が丁度良い音量だったのですがそこは残念。


システムもまた完璧、履歴が無いのは探索系なのと時代を考えると仕方なさも感じる中で、常にメッセージ速度が早いのは有り難かったです。
うん、常に思ってましたが、文章の「遅」とか要らないよね…ノベルゲーム始めると「速」に速攻で変更するので常に瞬間表示で読みやすかったです。
その上でスキップもめちゃくちゃ早い、コントロールボタン押すとサクサク進みます。
そして、探索中もコントロールボタンで超速スピードになるという…色んなメーカーに見習ってほしい、特にRPG作って早足モード無い所とか。
快適快速のシステムの為、周回プレイが全く苦になりませんでした(システムだけでなく説明書にしっかりとマップが載っているのも大変有り難い)。
絶対システム組んだ人プログラム出来まくる人だと思う…下手な商業RPGよりも素晴らしい、称賛の声を贈りたいです。


と、ここまでべた褒めしていますが、2箇所問題…というか自分と合わなかったと思う所を。
まず、最初に攻略対象推奨の魅麗ルートで後半宇宙猫顔になった所。
後半シルヴィアーナの占星術授業になるので初回プレイで挫けそうになりました。
もう少し占星術の基礎の部分から教えてほしかった…
あとは…これは完全に自分の問題なのですが、自分に!学が!無いこと!!
かなり歴史の要素が絡んでくるタイプで、その歴史と文化が物語に紐付いてくるので、置いてけぼりくらった部分が大きかったです。
ライターさんからは歴史、文化、宗教、占星術の部分でインテリ感をひしひしと感じる中、自分は付いて行けて無いな…ともひしひしと感じ。
いやぁ、なんか、自分がプレイするべきゲームなのか…?とも思ってしまいました。
もっと歴史に詳しい人がプレイすると180度感想が変わりそう。
というかボルシェヴィキってエロゲで初めて聞いたよ…
そういう歴史の分野に詳しい方にプレイして頂きたいなーと強く思いました。


向き不向きの部分では自分の学の足りなさから向いてなかったと思う部分、前知識が必要な部分があるとも聞いていましたが何も対策しなかったので、ちゃんと勉強して挑むべきだったなと思う部分など色々とありましたが、それでも凄い作品だったと強く思います。
このレベルの作品がエロゲで今後も出てほしいなと思いつつ、でも流行らないかもな…とも思いつつ。
流行らない中でも唯一無二の物として語り継がれて欲しい作品でした。


そういえば、何周してもクリスとマリアのCG一枚づつ、計2枚のCGだけがCGモードで表示されなかったのですが…
バグの修正では修正箇所に無いっぽいので自分が通ってない道か、もしくはパソコンとの相性だと思っています。
物語は全部読みましたが細かい部分で全部埋まらないのは正直かなり悔しいです…



プレイ順は攻略通り
魅麗→クリス→ディアナ→ジェーン→マリア→マナ→ヘレナ→フローリィ
の順で攻略



『大原魅麗 ルート』
上記で語った通り、宇宙猫顔ルート。
後半はシルヴィアーナ先生の占星術授業。
話はパドリーノが主人公に乗り移ろうとしてたり、でも助かったり。
うぅん…かなり抽象的な表現が多かったので上手く語れないですね…
キャラ的に魅麗が好きかと言われると普通だし。
あぁ、でも(おそらく)シルヴィアーナの祈りのシーンは良かったです。
「神の愛」と「主人への愛」が明確に語られるシーンで。
あの辺りは「愛とはなんぞや?」という部分の表現で凄く好きでした。


『クリスティン・マクレイン ルート』
やっばい実験を解いていくルート。
ミステリーというか…探索の要素が強かった気がします。
ソードとの関係とかかなり好きです、良い兄ちゃんじゃん。
最後はソードと一緒に脱出は出来なかったけど…ソードは報われたんじゃないかな…と思いたい。
ソードが出るイベントをこなしてないとメイドEDに行けない所が中々にニクいです。
なんかソードの事ばっかり語ってるけど、クリス自身は普通なのでこれくらいで。


『ダイアナ・ハーディ ルート』
見た目一番好きかも、オカッパメイド。
話は…なんか一番覚えて無いな…申し訳ない。
あぁ、でも、過去の彼女のメイドのシーンでの「肌の色」の表現はかなり好きです。
しっかりと人種的な要素を持ってくるのが歴史や文化を描いてる作品に説得力があります。
メイドと父の事を見てたから知識だけはある…けど実践は無いというのも良いですよね…知識だけ持ってる系好き。


『ジョバンナ・ロッセリーニ ルート』
政略結婚とか大変そうだと思ったり、でも他ルートで政略結婚してても元気そうだったり。
なんだかんだハイテンションな所が良いなと思います。
アントニオとの掛け合いが好きです、男女コンビは良い。
そういえばクリスとジェーンはエロシーンでおそらく非処女ですよね。
まぁジェーンはあの性格なのと、クリスも年齢的にありそうですが。
こういう過去の相手とか明かされないけどなんか非処女ヒロインは昔のゲームに居て大変良いですね。
この手のヒロインは最近では見かけないので大変良きでした。
ってかメインヒロイン話に関しては全く触れてないのですが、かなり歴史の要素が絡むので語っても作中の事をそのまま言う事しか出来無さそうで…
うぅん、学があれば…とも思いますが、そういうしっかりとした考察系は既に他の知識のある方がされてるので何も言いません。


『マリア・パドリーノ ルート』
マフィアのドンになるお話。
ってか孫娘にもルートがあるのか…と正直ビックリしました。
改めて思うと主人公28で…年齢が下のヒロインを見ていくと年の差に驚きます。
途中のイベントで抱くを選んだら即殺されて、やっぱりな、と思いました。
なんかこのゲームは一部主人公の性格がゴロッと変わっていきなり鬼畜プレイが始まるの面白いです。
今まであんなに穏やかだったじゃん!!?という気持ちになります。
彼女は特に絡む要素は無かった気がして印象が薄いのですが…声優の岩○さん、好きです。


『マナ ルート』
物語としては一番好きです。
というか一番分かりやすく楽しいと思います。
彼女の出身地を探す謎解き要素や彼女の過去、分かりやすくも重苦しい彼女の出身地の境遇。
彼女が「地雷」の一言で怯む所があの場所の過酷さを感じたり。
過去で語る姉を見つめる事しか出来なかった、どうする事も出来ない無力感だったり。
作中一番分かりやすい中で、全方面に自分の好きな要素が詰まってました。
というか、「言葉を理解し合えない少女との交流」の要素はズルいでしょう、それだけで好きです。
最後も日本語を覚えてくれる、というのは大変嬉しい要素でした。
上記でも書きましたが、ガッツリ信仰として禁忌の食材とか表現するエロゲ初めてだったので物凄く新鮮でした…
全編通してエロシーン、そんなに響くの無かったのですが、小屋での主人公が身動き出来ない中での無理やりエロは結構エロかった気がします。


『ヘレナ・スタウチェ ルート』
ドジっ子メイド。
この館そのものに居る女の子達の物語でもあります。
父としてのブルーノや前任の医者の物語だったり。
自分の人生を自分で決めるような話が好きなので話のコンセプトは凄く好きでした。
ただ、ヘレナ自身は…えっと…ドジっ子メイド?それくらい…かな。
あ、でもラストは…あの後は…どうなるんでしょう、不穏な空気がありますが…
一人だけ曖昧なエンディングで、その曖昧さが好きでした。


『フローリィ ルート』
最終ルート。
パドリーノの過去が明らかになり、同時にパドリーノが萌えキャラになるルート。
一人の少女の為に60年近く目的を遂行するとか…なんだそれ?萌えオッサンじゃん…
過去に恋して、すれ違って、運命の歯車が狂い出す。
今までそんなに印象が良くない方だったパドリーノの印象が一気に傾きました。
やった事は良くないんだけどさ、過去からの事を見るとどうしてもさ…
だからこそ、CG回収でもフローリィとのエロシーンは何か苦しかったり。
案の定グッドなEDじゃないですが。
そしてグッドの方でも主人公と良い感じになるのが許せなかったり…
まぁこのフローリィはパドリードが求めたフローリィじゃないので仕方ないかもですが、パドリードと一緒になるEDも見たかった…とも思ってしまいます。
最後は砂浜で看取ったから少しは救われたの…かな?
そして、このルートでようやく主人公がやってしまった事が描かれます。
患者の精神状態や主人公の焦りからあの状況になるのに違和感が無く、それが原因で辞める事になった。
「人は生まれるだけでは人になれないのか?」冒頭で語られる事の回答でもあるフローリィの言葉はとても好きで、様々なものに「神の愛」は溢れている、それを人が感じる。
とても宗教的だったなぁと、「神」とはなんなのか、人が神を作ったのか、神が人を作ったのか。
我々が神秘や奇跡を願うから神は存在し、神として在るのか。
神は最初から既に存在し全てを愛し、その愛に触れる事で私達は神を感じるのか。
フローリィは完全に信徒なので後者で、神の愛を受け取る事で愛を知り人になる…
「人は生まれただけでは人には成れず、「愛」を知る事で人になる」
そういう事だったのかなぁ…まぁ完全に自分の思った事で学問の方面では何一つ決定打にはなりませんが、自分はそんな風に思いました。
フローリィはどうしても人間としては存在出来ず、最後のあのシーンは凄く好きでした。
ヒロイン達は皆強く逞しく生き、フローリィは楽園に旅立つ…最終ルートなのもあり、完全な幸福だけで幕を閉じなかったのが好きです。



うん、様々な分野で追いつけてないですね…
作者様のインテリっぷりと知能に自分が付いて行けてないのがよく伝わります。
それでも、この作品に触れて良かったです。
とても難しい部分が多かったけど、様々な要素を下地にガッツリと硬めつつ、「愛」について大きく書かれていた作品だったと思います。
類似作は中々にない一作。
語り継がれている神(の愛)ゲーに触れられてよかったです。
特典のイラストブックも凄い豪華でビックリしました。
機◯戦艦ナデ◯コやゲートキー◯ーズのキャラデザの後藤さんが居るとは思っていませんでした。
凄いメンツだ…


あ、でも色々と凄いと思う中、最後に一つだけこだわりとして。
私は!メイドはロンスカしか認めてないので、ビジュアル的にミニスカは認められません!!
以上です。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
 参考攻略サイト様:Index of 様
http://ifs.nog.cc/
 ELYSION ~永遠のサンクチュアリ~ ページ
http://ifs.nog.cc/destiny-tiar.hp.infoseek.co.jp/kouryaku_eryusion.htm