ひっそりと群生

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【Diva&Gunshot -ウタヒメ ト ジュウセイ-】感想

【男性主人公全年齢】



2019年12月30日配信
稲海』様 ※リンク先公式HP
Diva&Gunshot -ウタヒメ ト ジュウセイ-】(PC) ※リンク先ふりーむ!
以下感想です。








不幸体質、アダム・ホーキンスの不幸な一日!



『舞台は一昔前のアメリカ。
 冴えない、モテない、ツイてない、要するにイケてない三流新聞記者のアダム・ホーキンスは超がつく程の不幸体質である。
 そんな彼は、問答無用で降りかかる不幸達に囲まれて擦り切れた雑巾のような日々を送っていた。
 彼の癒しはそう、今をときめく"歌姫サラ"の歌をラジオで聞くことだ。

 冴えない、モテない、ツイてない。
 おまけに職もなくなりそう?

 アダムの不幸体質か?はたまた運命か?
 アダムは無理難題を押し付けられ、出来なきゃクビだと脅される。

 途方に暮れるアダムに次々襲いかかる不幸は、彼を《とある事件》へと巻き込んでいく___。』
(公式より引用)



一昔前のアメリカを舞台にアダム・ホーキンスがアメリカの街を縦横無尽に駆け巡る!
洋画やアメリカの雰囲気の美味しい所を詰め込んだ超絶娯楽作品でした。
とにかく物語、絵、音楽、全てにおいて高水準なのと、それらが全て合わさった時に溢れる自分がフィクションなどで知ってるアメリカっぽさが最高で…
こういう…例えるなら表通りからはタイプライターの音、裏路地からはギャングの怒号が響き渡りそうなアメリカっぽさが好きな人にはたまらない作品だと思います。
登場人物も一癖も二癖もある人達ばかり。
そんな人物達と自分の不運に巻き込まれかき乱され。
歌姫のゴシップ、ギャングの闘争、政治家の汚職…全てを追う事になってしまったアダムの一日が大変濃く。
次から次に巻き起こる不幸に目が回りそうになりながらも辿り付くのは一つのハッピーエンド。
きっと、ハッピーエンド。
終わり良ければ、すべて良し!!!
そんなアメリカンジェットコースターのような作品でした。



『システム、演出』
Ren'Py製。
こちらのツールに触れるのは2作目だと思います。
基本機能は全部完備。
履歴が履歴ではなくシーンごと巻き戻る点以外は特に気になる箇所はありませんでした。
バックログというよりもシーンがそのまま巻き戻るので慣れないと戸惑うとは思います。
EDは一つ。
選択肢はありますが間違っても問題なく進むので大丈夫です。


『音楽』
選曲完璧。
どの曲もオシャレでセンスが良く、アメリカに行った事はありませんが洋画や洋ドラマで見る一昔前のアメリカの雰囲気をしっかりと音で感じる事が出来ました。
歌唱曲がどれも素敵。
タバコの煙が舞い、タイプライターの音が響き、ジャズの音色が似合うどこか灰色で明る気な空気では無いけれどもそこが格好いい!そんな自分が想像する少し前のアメリカの空気が音楽により彩られていました。
クリア後音楽鑑賞モード有り、全曲最高だったので有り難かったです。
「Battle」は曲調も大変好みだったのですが流れるシーンも相まって最高でした。


『絵』
立ち絵の豊富さに驚きました。
必要な立ち絵は全て細かく揃ってます、凄い。
一枚絵は殆ど無いのですが、立ち絵が豊富で少なくても全く問題なく飽きる事はありませんでした。
背景も写真だと思いますがどの背景も凄く「一昔前のアメリカ」にマッチしていて日本人が憧れるアメリカの格好良さを凝縮したような背景ばかりで見てて楽しかったです。
OPやムービーなどもセンスがありとても好きです。


『物語』
文章自体は読みやすく、基本アダムが中心でアダムの心象などが挟まります。
途中別視点になった時には急で混乱しましたが付いて行く事は出来ました。
あと、一部シュー視点になったりします。
会話の時は吹き出し、アダムの心象が挟まる時には全画面表示で文章は進みます。
若干吹き出しから全画面表示の文章に移る時の切り替え時が読み辛かったです。
物語はまさに急降下ジェットコースター。
次から次に難題が降りかかるアダムの不幸体質に同情しながら笑ってしまいました。
全ての人物達が関わり、全ての物事が繋がり一本の線になり一つのEDに向かっていく。
起承転結、風呂敷を広げて綺麗に畳む物語が好きな人には後半に進むにつれてスッキリとした爽快感が味わえると思います。


『好みのポイント』
この「好きな物詰め込んで作りました!」感最高です。
「俺の、私の、思い描いてる最高のアメリカを見ろ!!」という気持ちを感じます。
作者様の思い描く一昔前のアメリカを物語で、イラストで、音楽で、感じる事が出来ました。
全員が魅力的だった故に、この一件はこれにて綺麗に完結しますが、また彼らの…もといアダムのドタバタ劇を見たいです!





以下ネタバレ含めての感想です





正直かなり都合よく事がポンポンと進むのですが、それもアダムの不幸体質やシューの幸運体質などの理由付けで「なるほど」と納得出来てしまうほど説得力というか納得させる世界観がありました。
このなんでも許せてしまうノリは最高です、流石アメリカ、自由の国。
一つ一つの事柄が必ず後半生きてくる構成やキャラクターが繋がって明らかになってくる相関図などは伏線や風呂敷畳みなどが好きな人には物凄くツボに嵌るポイントだと思います。
私も伏線をオシャレに回収する作品大好きなので今作は後半で大変テンション上がりっぱなりでした。


ただ、伏線回収が綺麗な分、登場人物達が魅力的なのに通りすがりくらいで終わってしまっているなーと感じる所もあり。
いや、「一日の物語」なのでそんな深堀り出来ないとは思っているのと、映画のノリで考えればこの登場人物達の在り方、立ち位置は正解だとは思うのですが…魅力的なので彼らの物語も見たいなーという欲もありました(特におじいさん世代)。
あとはサラが中心になるお話なのですが、サラがイマイチ魅力的に感じなかったのが少し残念。
アーノルドの事もドタバタが起こってしばらくしてからようやく気付いたり…歌姫ではありますがあまり聡明な方には…という印象。
ED後、アダムと出会うのでしょうが、個人的にアダムがシューの幸運だけは絶対に信じている部分などもあり女性ではシューの方に魅力を感じたのでタイトルやアダムの想いはサラに向かっているのは分かりますが、ヒロインの魅力という部分で少しばかりシューが強かった印象でした。


ですが、そういう「細かい事は良いんだよ!」と思える程の世界観と熱とスピードに溢れた物語でした。
終わった後、一本の映画を見終えたような気持ちになりました。
終わりが大団円なら全て許してしまえる、そんな楽しい作品でした!