ひっそりと群生

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【ユメミルクスリ】感想

【男性向け18禁】



2005年12月22日発売
ruf(解散)』
ユメミルクスリ】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








10作に一個は名作と呼ばれている作品を挟んでプレイしないと心が死ぬと2019年は学びました。
というわけで、この感想がいつ投稿されるかは分かりませんが、2020年の50作目は「ユメミルクスリ」に。
実はこの作品の主題歌「せかいにさよなら」をPVで見た時から心を掴まれており、5年以上前からサントラCD付きの初回版は所持していました。
5年以上ぶりにようやくゲームを起動した次第。


まずはシステム面で言うなら7でもインストール、起動可能。
初回起動時のみディスク必要ですがディスクレス起動も可能。
ディスクレスでの起動可能はかなり有り難いです。
ただ、ゲームウィンドウを常にトップにしていないとゲームが音楽以外止まるので、スキップ時など他のウィンドウを見れなかったのには困りました。


最初に目を引かれるのがこの絵柄だと思います。
とある◯◯シリーズのイラストレーターの方らしく、とても良い絵柄です。
背景もしっかりした線は無く淡く幻想的で…イラストも背景もとにかく色彩がパステルカラーっぽく特徴的。
物語もですが、この全体的な絵柄で世界を構築していたと思います。


話はイジメに逃避にクスリに…まぁダウナー系。
ヒロインとの関係も恋愛になるより先に肉体関係を結ぶ事が多いのでダウナーに拍車をかけていました。
でも、上記の特徴的な絵柄によってダウナーだけど超絶鬱にはなっておらず絶妙な匙加減を保っていたなと。
主人公も性格が結構日和見だったり流され系に見えるけれど、根底は善人だったので見ていて嫌な気持ちになる事は少なくとても良かったです。
主人公とヒロイン、二人手を取り合って落ちては行くのですが、ラストにはどのEDも現実を受け入れ登ってくるのでダウナーだけれど前向きな作品だったと思います。


エロはかなり多め、ヒロインによってエロの回数にバラ付きがあるのがちょっと残念。
あえかルートと先輩ルートは平行出来、あえかルートに入る前に先輩とのエロを通る事も出来るのですが、先輩との初体験シーンはえらく童貞が強調されていたのですが、あえかルートでの初体験シーンで先輩との初体験イベントを通っていても通っていなくても通じるような描写になってて上手いなと思いました(とはいえ主人公の初体験はそのヒロインで飾りたいので通らない方を最初に選びましたが)。
好きなルートは、あえか>>>ねこ子>弥津紀、という感じ。
あえかルートが一番個人的に話の流やEDなど纏まりを感じて好きです。
なので、他ルートに行くとあえかが自殺未遂をするのが大変辛かったです。
友人(笑)の二人が「そこまで思い詰めてたんだ…」と言いますが、あえかルートを通ると「思い詰めて当たり前じゃい!!」となります。
弥津紀、ねこ子も彼女達のルートに行かないと確実に身を滅ぼしそうですが…でも2人はある意味自業自得の滅ぼし方の中であえかは他者のせいで滅ぼしそうなので…やっぱりあえかルートがしっくり来ると思っています。


音楽は最高、とにかく最高。
今いる 世界に さよならしようか。
主題歌の「せかいにさよなら」はエロゲをプレイしない人でも知ってるのでは?というくらいに名曲です。
自分も最初に聞いた時にはエンドレスリピートかけてました。
この曲の為にサントラ付きの初回版も買ったくらいなので…インスト版もかなりリピートしました。
(あと替え歌版もDLしました。)
BGMもどれも高品質。
流石のFunczion SOUNDS
BGM単品では「手をとりあって」が好きです。
主題歌アレンジの「ゆめみる世界に」「さよならしようか(エンディング)」もとても良いアレンジだと思います。
主題歌アレンジのBGMタイトルが2つ揃うと主題歌の歌詞になっているのはセンスが良いです。


曲も最高で絵柄も好みで、元々こういう作風が大好きなので色々と好みにどヒットなのですが…妹の綾が本当に可愛いなと。
多分様々な所で「何故攻略出来ない?」と言われてそうなキャラだと思います。
…が、個人的にこの「ユメミルクスリ」の作風ではかなり光寄りのキャラなので攻略出来ないのが正しいなとも思ったり。
あと、あまりに素敵な女の子なのでこの主人公が攻略するには勿体なさすぎるキャラだとも思いました。
所々で綾の気持ちを弄ぶシーンは主人公に苛立ちを覚えたので…
主人公はあえか、弥津紀、ねこ子には気質が近く相応しいけれど、綾を攻略出来る主人公レベルには達してない感じ。
綾、とても攻略したいのですが主人公ではなく、別の完全光属性の格好良いタイプの主人公視点で攻略したいなーと思うようなキャラでした(攻略出来ないのが魅力的な所もありますが)。
機転も利くし優しいし…最高に可愛い妹キャラだと思います。



プレイ順は
あえか→弥津紀→ねこ子
の順で攻略



『白木あえか ルート』
イジメ。
あえかの気質がとてもA◯HDに近くてAD◯D寄りの自分には見ていてなんとなく分かってしまう部分が多く大変辛かったです。
自分が空気を読めないのも、自分の言動が突拍子も無くどこかおかしいのも分かる、分かってる。
そのせいで他人と距離が出来ているのも理解出来ててその部分で悩んでる…でも、「どうすれば空気を読めるのか」「どの言葉が正しい言葉なのか」が分からないからそれを変えるのは困難というかほぼ不可能で。
皆と仲良くはなりたいし話もしたい、自分を変えないととも思ってる、でも、周りを察する能力がそもそも低く無理難題である。
ふと出た言葉がテンポが悪かったり場にそぐわない事を言った後でようやく分かって、やっちまったと思うと同時に何を言えば良かったんだろうと考えても思い付かず、最終的に寡黙であり続けるしかない。
あえかの空気で出来上がる人との距離がとても理解出来、常に胸が締め付けられる思いでした。
それでも自分がイジメを受けた事は無かったので自分の世界は優しかったのだという事も身に沁みました。
あえかの世界にはそういうどうしようもない部分に対して攻撃を仕掛けてくるイジメがあって。
そんな地獄の中で彼女は生きて行きます。
イジメはイジメる側が絶対的に悪いとは理解していても、あえかの気質がなんとなくでも自分と結びつく所がある側としてはイジメられる理由が少し分かってしまって…
自分の言動がダメな事も自分が世界では一般的でない事も、あえかは知っているんですよね…
なので途中の「そんなに嫌なら殺せば良いのに」も「あえかが狂った人」としては目に入りませんでした。
だってあえかは自分の事が嫌いなのだから…「自分の事をダメだと思ってて自分のせいで周りを不快にさせている事も知ってる、でも解決策は自分では分からない、だからそんなに嫌でここまでするなら、もういっそ殺せば良いのに」となるのが凄く普通の流れに見えて。
凄く印象的で衝撃的なシーンですが、「こうなってしまうよな…」と納得するシーンでもあり。
主人公に対してのイジメには本気で怒るシーンも、自分への攻撃は構わないけれども自分に関係する人への攻撃は許せないという部分は自己肯定感は低いけれども、一度受け入れた他者への愛は重い所が描かれていて、ひたすら"そういう系"の人間の描き方が上手いなぁ…と唸りました。
主人公も、最初は傍観者だけど善人を諦める事が出来なくて。
最初は肉体を差し出す関係から始まったけどどんどん心の方があえかに引っ張られて行くのが…良い奴だなぁと思いました。
ここでクソ性格の主人公だったら「コイツとは肉体だけ」になると思うので、心も引っ張られて行って、更には皆の前であえかを救って自分もイジメられる側に回ってしまうのが…善人だと。
イジメる側が圧倒的悪でも一番腹が立ったのが今まで普通に会話してた二人が距離を取り向こう側に回ったシーンだったので…
「傍観者が一番の最悪」みたな言葉は本当だな…とつくづく思いました。
二人でイジメられる側に周り、でも、二人でなら乗り越えて行けると手を取り合う。
良いですね…こういう「二人だけの世界」大好きです…
途中のレイプ未遂シーンも最高に胸糞で、ラストもアントワネットの首絞めシーンは超有名なのか画像をお見かけした事があり。
二人が限界を迎え、イジメる側を圧倒し、冷静に常識を放棄して、「じゃあ殺そう」となり。
「なんか、なかなか死なないね」と冷静に殺そうとするシーンは今までの事もあり最高にテンションが上がりました、反撃は良いものだ。
でも、殺すまで行かなくて良かったなとは思ってます。
殺して法の裁きを受けるのもまたそれはそれで嫌だったので、未遂で終わってかなり安心しました。
主人公の家がかなり良心的な家庭だったのも良く。
「今居る学校が世界の全てではない」、主人公には良い家族が居る家も、良い話し相手になるバイト先の先輩も居る。
二人で学校から離れるという選択が出来たのがとても良く。
「今いる世界にさよならしようか」…今いる世界(学校という名の閉鎖的世界から)にさよならをするお話だと気付いた時には「なるほど…」と思いました。
本当に、主人公の家が良い家庭で良かったです…家も地獄だったら目も当てられないので。
二人で学校という名の世界から抜け出し幸せに暮らすEDがとても良く、繊細にイジメの胸糞さを描きながらも爽快に終わりとてもスッキリとした後味を迎えたルートでした。
物語の展開では一番好きです。


『桐宮弥津紀 ルート』
対人関係。
個人的な意見を言うと先輩、とても苦手なタイプでした…
能力があって色々と出来るのに逃げて周りに仕事を押し付け迷惑をかける。
自分がこの回ってきた仕事を押し付けられる側に回る事が多いので見ていて「こんちくしょう」と思ってました。
彼女の悩みもまぁ…「明日が見えない」という物。
明日が見えなくて悩むのは凄く大変かもですが、それがイコール人に迷惑をかけても良い訳でもなく。
人をからかっておちょくって、色々引っ掻き回すキャラは好きなのですが最終的に迷惑をかけず「やる事はやってるキャラ」が好きなので、やる事はやらず全部人に押し付けて迷惑をかけまくってたキャラなので見ていて大変苛立ちを感じました。
こういう人間ほど要領とか外面での人受けは良いので…「こういう人居るな…」みたいな気持ちで正直関わり合いたくないタイプでした。
話の流れも突然海外のカジノに言ったり…凄く夢を見てるような唐突な展開が多かったです。
ユメミルクスリ」というタイトルには合ってるかもですが。
突然海外のカジノに連れて行きクスリを吸わされ、帰って来た時にはヘロヘロになっている。
この姿の子供を見て、連れて行った相手を怒らない家族は居ないと思っているので主人公一家の言動は正しいと思います。
むしろ頭ごなしに怒らないだけ良い家族過ぎるくらい。
あえかルートで良い家族なのが分かっていたので、先輩をかばい家族に怒る主人公に対しては「ちょっと待てやお前…」という気持ち。
「義理の子供だから模範的な子供で居なければ」という気持ちから電車のレールの音が聞こえていたという悩みも分かりますが、おそらく主人公は下手したら血の繋がった家よりも…言ってしまえばあえかよりも良い家庭に居ると思ってて…各々には各々の悩みがあるので主人公の悩みを「そんな事」とは決して言えないけれど、「こんなに良い家族なのに…」と正直凄く羨ましかったです。
(まぁ頭ごなしに怒らない事が自分には良い家族に見えましたが、主人公からしたらそういう所で溝を感じているかもなので…難しいなと思いつつ)
最後妊娠をする流れはエロゲーのダーク系だと見かけるのですがこの手のタイプで見かける事は少ないので妊娠展開は好きでした。
そりゃああれだけやる事やらず、ヤル事だけヤッてたら妊娠するよね…とも思いましたし。
…が、あまりにも妊娠する事に覚悟が無さ過ぎるというか…いや、先輩はお金が凄くあるのでお金には困らないと思いますが、「子を生む」という責任が紙のように軽くて…ちょっと受け入れ難かったです。
「子供が出来た事で未来が見えて不安になった」というのは良い事なのですが、なんかこう…親のそういう精神的なわけわからん事情に子供を巻き込むなよ…と。
主人公と先輩が精神的に未熟過ぎて、かなり子供の事が心配になりました。
精神面で凹凸の激しい親の顔を伺って行きていくの大変なんですよ…みたいな。
「今いる世界にさよならしようか」…明日が見えない常に死がつきまとう世界からのさよなら…だとは思っていますし、先輩の何もなく死しか見えなかった精神が持ち上がったのは良いとしても、それに子供を巻き込みそうで今後の子育てがかなり怖いな…と感じたルートでした。
良い話っぽくEDを迎えては居ますが…どうも…ね…
綾ちゃん…キミだけが…頼りだ…!!


ケットシー・ねこ子 ルート』
クスリ。
都会の夜の繁華街、ヤク中娘ねこ子とのドタバタ珍道中。
ヤク中のお話なのでかなり倫理的にアレな事やソレな事が起こってた印象。
一つ一つの物事は「倫理的にそれは流石にちょっと…」となりますが、あまりにもそれが重なると異空間となり世界観として受け取ってしまうから不思議。
一番幻想的だと感じたのはこのルートです。
夜の空気も、ねこ子が放つ非人間性もどれも非現実的で…だからこそ現実に憤りを感じていると彼女の摩訶不思議さを楽しいと思ってしまい…でも、現実は必ず隣にあって。
クスリによって身を滅ぼしていく姿も後半ではちゃんと描かれていたので良かったです。
ねこ子の…宏子の葛藤もまぁ分かるし、クスリに手を出したい気持ちも分かるけれども、家があまりにもダメ過ぎて宏子がボロボロになったのかと思いきやラストの語りで両親は話せば分かるタイプだと分かったので若干うぅん…でした。
話してもダメ過ぎる家だと思っていたので「話してなんとかなるんかい!!?」という。
ただ、宏子がクスリでここまでの事になってしまってようやく両親が気付いた…という事もあるので完全に否定は出来ませんが。
基本、ねこ子ルートのキャラクター達は話せば分かる、というタイプが多かったので、何事も腹を割って話す事が大事なんだなとは思いました。
ラストは…結構急展開な感じ。
最終的に大出世かましますし…なんだよ…宏子…凄いじゃん…
一番「ユメミルクスリ」のタイトルを回収したのはこのルートで、世界観が良かったのはこのルートだと思ってます。
「今いる世界にさよならしようか」…よりも「夢見る世界にさよならしようか」の方がしっくり来たねこ子ルート。
妖精郷や夢から冷め、クスリから離れ、現実を見るルートだったと思います。



全体的に「好き!」で溢れた作品でした。
5年以上温めた甲斐がありました。
こういうパステルカラーで鬱を薄めた世界観と雰囲気良しの作品にまた出会いたいです。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:愚者の館(アーカイブ) 様
http://sagaoz.net/foolmaker/
 ユメミルクスリ ページ
http://sagaoz.net/foolmaker/game/y/yumemirukusuri.html