ひっそりと群生

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【シロナガス島への帰還 完全版】感想

【男性主人公15禁】



2018年12月30日発売(完成版)
2019年08月12日発売(完全版)
旅の道』様 ※リンク先公式HP
シロナガス島への帰還 完全版】(PC)(15禁) ※リンク先BOOTH(15禁)
以下感想です。








おかえりなさい、シロナガス島へ。



『大富豪の遺書の中に残された『シロナガス島』への招待状。
 ニューヨークで探偵業を営む男『池田戦』は、特殊な能力を持つ少女『出雲崎ねね子』と共に島へと向かう。
 そこで起きる数々の奇怪な殺人事件。
 果たしてシロナガス島に隠された真実とは……?
 すべての謎を解き、呪われた島から脱出せよ!』
(公式より引用)



絵良し、シナリオ良し、世界観良し、雰囲気良し…そして調理方法もバッチリ!と来て面白くない訳が無いじゃないですか!!という完成された一作でした。
ジャンルは探偵業の依頼によって「シロナガス島」という島にやって来た主人公と助手。
脱出不可能となった島で巻き起こる殺人事件に巻き込まれていき…というサスペンス&クローズドサークルミステリー。


プレイ時間は本編約6時間、オマケが約2時間で合計約8時間くらいでクリア。
ミステリー物としても攻略を見ないと進めない!というほどに難しい物は無く、謎解き苦手な自分でもちゃんと考えれば進められるくらいの優しい方だと思われる謎が多く、大変とっつきやすかったです。
何かをミスったとしても選択肢前にセーブさえ取っていれば解決出来るのと、ミスってもずっと続く事は基本無く、速攻で分岐しBADに進みクリックの要素で積む事は無く、ストレスフリーで楽しむ事が出来ました。
主人公、池田とねね子のコンビも素晴らしく、凸凹な男女バディ物が好きでサスペンスとクローズドサークルミステリーが好きな人には確実に心のツボに突き刺さる、そんな作品でした。


ちなみに、自分は確率が低いルートに行く事に定評があるので、数々の方が「行くのが難しかった」と仰られていたDEAD ENDに最初に到達しました。



『システム、演出』
おそらく吉里吉里製。
基本性能は揃っていました。
クリック捜査の部分もそこで積む事は無く、何度も色んな場所でクリックしていくと必ず正解に辿り着くので凄く優しかったです。
ただ、若干スキップがもたつくので、そこは気になったのと、キャラの心情…地の文の際もメッセージウィンドウに名前が表示されるので、台詞なのか地の文なのかが分かりにくいとは思いました。
セリフには「」はあるのですが、地の文の場合には名前表記は無い方が読みやすかったとは思います。
あと、とある蛇の時間制限シーンでちゃんとクリアし進んだ後も時間が経過すると蛇のシーンで間に合わなかった場面に飛ばされ再度時間制限のイベントが発生したのには驚きました。
自分だけのバグでしょうか?
なので、蛇のシーンクリア後には即セーブを推奨します。
完全版でCGモードが付くので、通常版をご購入の方はアップグレードをオススメします。


『音楽』
使用箇所とても合っていました。
人が亡くなっているシーンもですが、今作若干ホラー的な要素も多々あり、度々音楽がホラーに合っていて良く、ゾクゾクしました。


『絵』
…まさに"強さ"。
同人ゲーで「これは凄い…」と感じる絵柄の方がいらっしゃいますが、まさにそういう絵柄。
絵がお上手な上で個性も有り、そしてどこかフェチズムを感じる…パッケージやヒロインのねね子の絵を見ただけで一瞬で引き込まれる絵柄で、とにかく絵での引き込みが凄いです。
立ち絵もコロコロと変わり、CGも欲しい時に必ず欲しいCGが入り、そしてキャラには目パチも有りという…見た目での充実感が半端なかったです。
背景もオリジナル。
クローズドサークルで重要な背景での謎解き要素などでオリジナルの背景がとても映えていました。
雷やドアの開閉など、見た目でマイナスになるポイントが一切ありませんでした。
ただ、池田さんのビジュアルが見れるのが公式サイトくらいで本編で全く出ない所は若干残念。
立ち絵で池田さんも表示でも有りだったんじゃないかなーとは思います。


『物語』
まず主人公が有能で、どんな状況でも(プレイヤーが選択肢をトチったりしなければ基本)臨機応変に対応する所が見ていて爽快でした。
主人公で苛立つ事はあまり無いと思います。
そして物語も、一部SF的というか…科学力が高いと思う箇所が多々ありつつも、ミステリー…謎解きとしては謎を残さず綺麗に解決し、全ての謎を回収して終わりを迎えました。
物語中は常にサビ、サビ、サビ!のような流れで、切り所が難しいくらいに面白いイベントが続き、途中で別の事を始めがちな自分が飽きる事無くずっとプレイを続けていました、凄い。
どの要素も面白いのですが…やっぱりこの「シロナガス島への帰還」というタイトルの意味が分かった瞬間が最高でした。
なるほど!と。
今作はこのタイトル以外に有り得ないと思います。


『好みのポイント』
ねね子…ですね…
顔を覆い隠すくらいの黒髪、コミュ障、不潔、そして初っ端からゲロを吐くゲロインという三重苦どころか四重苦の魅力(?)を持ったヒロインですが、絶対記憶能力持ち+天才的機械センス持ちという助手としては申し分ない能力を持ち、怯えながらもどこまでも池田を助けてくれます。
キャラの濃さもですが、自分が危険な目に合いながら臆病ながらも池田の為に頑張ったり、とあるEDでは池田を救うために一人飛び出したり…とにかく健気というか、「このキャラだけはこの島の中で絶対に裏切らない!」という信頼感が凄まじかったです。
作者様からもねね子愛が伝わってきて…とても良いゲロイ…ヒロインだと思います!





以下ネタバレ含めての感想です





最初にDEAD ENDに行った時には驚きました。
まさか随所で「回収が難しい」と言われているEDに辿り着くとは…
確かこの「シロナガス島への帰還」は最初に配布された「DEAD END VER.」「シロナガス島への帰還 完成版」「シロナガス島への帰還 完全版」という3つのバージョンがあり、おそらく途中分岐のDEAD ENDは最初のバージョンで唯一辿り着けるEDなんだろうなと察しました。
(一応全ver持っているのでいつかまたそれぞれプレイしてみたいです。)
このDEAD END、おそらく分岐方法は「何度もループを繰り返す」か「精神が乱れる部屋で書いてあった前の文字を送る」を選択するのどちらかだと思いますが…とりあえずCGも回収出来たので、最初に辿り着けて良かったとは思ってます。


このDEAD ENDを回避し、ねね子視点になり正解のルートを進み池田を救出した時にタイトルに気付き、なるほど…間違いなく今作のタイトルは「シロナガス島への帰還」だ…と唸りました。
最初の掲示板から電脳世界という可能性は想定していたのですが、まさか最初は電脳世界で出来事を追体験し、電脳世界でこの島に戻り、ねね子に現実で助けられる…なんて思わないじゃないですか!
電脳世界系はそれなりにプレイしましたが、プレイし過ぎて若干予想出来てしまう物が多かった中で、今作は流れが本当に上手く…タイトルと絡まった時の驚きが半端なかったです。


物語もどのキャラも個性的で、野郎キャラ以外は基本良いキャラが多かったので「誰が犯人でも嫌だなぁ」となる部分などは大変ニクく。
途中で散っていく女性2人は本当に格好良かったです。
故に、アレックスの一件といい、今作ちょっと男性キャラが影が薄いなーとも感じたり。
ラスボスの人も…完全に自分の欲望の為に動いていたので「THE分かりやすい悪役」という感じでインパクトは薄めかなぁ。


逆に犯人は過去回想もあり、過去での交友が丁寧に描かれて…裏主人公みたいな印象でした。
過去で辛い目に合いながらも友人を大事に想い続け、どんな拷問に合っても絶対に折れる事は無く。
女同士の厚い友情に百合を感じる人が居たら絶対に心にヒットする関係だと思います!
最後の最後で友人は助けれず…島を脱出するけれども再び帰って来る事を誓い。
今作のタイトルは池田の「シロナガス島への帰還」でもありますが犯人の「シロナガス島への帰還」でもあるんですよね…
ダブルミーニングで…「シロナガス島への帰還」以外に考えられないタイトルです。
ってか犯人といい潜入捜査官といい…男前が過ぎる…
最後が少しハイペース気味だとは感じましたが、ダレるの苦手な自分としてはとても良いペースだったと思います。


オマケも充実していて。
十代少女に囲まれるオッサン(池田さん一体いくつなんだ…?)、羨ましい限りですね、皆池田さんに気がありそうですし、爆ぜろ。
少女達の水着は…貧乳と肋骨に一家言ある人の絵だと思いました、こだわりが凄い。
そしてねね子の顔を覆い隠すくらいの黒髪、コミュ障、不潔、ゲロインに加えて脇毛まで完備という。
涙目にヨダレに…ダメヒロイン好きにはたまらない要素まで追加されて、ダメさが加速する所は最高でした。
しかし…オマケでありながらもサスペンス…というかどちらかというとホラーな要素が増しに増していて。
まさかオマケでBAD END(死ぬ)とは思いませんでした。
オマケでキャッキャウフフかと思いきやホラー重視だったので予想外で。
ホラー耐性強い方だと思っている自分でもビクッとする要素が沢山あったので、夜中にキャッキャウフフだと思いプレイされたホラー苦手な方は本当に…心中お察しします…


最初から最後まで「面白い要素」で塗り固められた作品でした。
2018年、某所で作品賞を受賞されていたのが分かります、これは面白い。
「シロナガス島への帰還」としては完成されていますが、池田とねね子がどうしてコンビを組んでいるのか…ここに関しては謎(?)が残っているので、また別作で池田とねね子のコンビミステリーを拝めたり、二人の出会いが拝めたり。
全然まだまだ世界が広がりそうな二人なので完全別作の新作もですが、池田&ねね子ミステリーでまた二人に出会える事も密かに期待しています!!