ひっそりと群生

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【みすずの国】感想

【女性主人公全年齢】



2014年02月20日配信
スタジオ・おま~じゅ』様 ※リンク先公式HP
みすずの国】(PC) ※リンク先ふりーむ!
以下感想です。








運は確かに悪かった。
けれど、運が悪かったからこそ沢山の物事に気付き、負けず嫌いの二人の少女は出会った。



『運が悪い人はいる。でも、私じゃないって思ってた。

 ある日突然、人間ではなくなってしまった美鈴。法律上、彼女は"天狗"となってしまった。
 美鈴に残された道は二つ。
 一生を国の監視下ですごし、自由をうばわれるか。
 あるいは天狗の国へむかうか……。

 北国の少女・美鈴がたちむかう、挑戦と挫折、別れと出会いの物語。』
(公式より引用)



プレイ時間は約1時間30分くらい。
選択肢無し。
「国シリーズ」を通してプレイしたく、こちらは再プレイになります。


突然、生きていく上で数々の自由を奪われる状態になってしまい、通常の生活を送れなくなる。
自分の生活がある日を堺に一変する。
ただ運が悪かったという出来事が自分の身に降りかかる。
2020年プレイしている今、世の中を見ていると他人事には見えない題材で色々とハッとさせられました。
誰のせいでもない、たまたま運が悪かっただけ。
私達は数々のものに守られて生きているけれど、その守りが無くなったらどうなるのか。
自分の当たり前が変わってしまったらどんなに不安になるのかを短い時間の中で痛感させられました。
それでも、その中でも新たな出会いはある。
出来ない事を簡単に諦める事は出来るけれど、諦めない事を選んだその先にもっと強くなれる何かがある。


プレイ時間は1時間強の話の中で科学で天狗を見極められるようになった社会など揺るぎない独自の基盤のある設定が語られ、天狗の国で生活する人々の姿や天狗の国の雰囲気や空気を絵と文からこれでもかと言うほど感じる事が出来ました。
そして、何よりも主人公の美鈴やヒマワリ、少ししか登場はしない人物達からもしっかりと全員の性格が描かれ、そして各々の考え方や生き方が描かれ。
短い中でも山の空気や人々の生き様を感じ取る事が出来る素晴らしい作品で。
一度プレイ済みですが何度読んでも楽しめる、そんなお話でした。



『システム、演出』
吉里吉里製。
基本操作は揃ってます、ツールバー部分にマウスを合わせると通常の吉里吉里操作バーも出るのでメッセージ速度も変更可能。
履歴が一行づつ表示だったのは若干使いづらかったですが、絵がこまめに出るような演出箇所でもクリックをすればサクサクと進んだので流石、安定してストレスフリーで楽しめました。


『音楽』
フリー素材曲。
素朴な曲が多めで世界観によく合った選曲だったと思います。


『絵』
絵柄はとても素朴なのですが、オリジナリティがあり。
そして何よりもこの大正のような、時代から取り残されたような天狗の国を描写する際の雰囲気にとても合った絵柄だと思います。
立ち絵も豊富で一度や数回しか仕様しない立ち絵も何枚もありました。
洋服差分や表情差分も豊富で見ていて飽きなかったのと、なによりも一枚絵は少なめですが必要な時にここ!という場面で一枚絵が入り、凄くそのシーンが強調されていました。


『物語』
文章はとても読みやすく、天狗の国の情景を文章で感じ取る事が出来ました。
個人的に登場人物の台詞に訛りが発生する箇所がとても好みで…
訛りによって生活感や感情が溢れていました。
特に最後のヒマワリの訛りはもう…最高の発破かけだったと思います。


『好みのポイント』
なによりも、なによりもヒマワリが好みすぎて!!
才能があって、その才故に自信があって、周りを巻き込み高慢さを持ちながらも圧倒的カリスマがあって。
ワガママに見える中でも差別はせず、諦める事は認めず、発破をかけてくれて、そして最後まで応援をし続けてくれる。
…こんなに最高の友人って居ますか?
確固たる圧倒的才能がある上で自信がある女性大好きなんですよ!!
美鈴の気持ちも分かる。
才のある人間に応援され続けるのが惨めな気持ちも分かる。
でも、裏表も無く心の芯からこんなに応援してくれる人がどれだけ貴重か…
どんな時でも「大丈夫」「私が付いてるから」と言ってくれるヒマワリが本当に素敵で素敵で。
最高の友人キャラでした。





以下ネタバレ含めての感想です





「みんなは無理するなと言ってくれた、でもヒマワリは無理をしろと言った。だからヒマワリと行く」
人生、例え天狗に成ってしまおうが他の何に成る時が来ようがどこかで無理してでも踏ん張らないといけない時が来る。
そんな時に優しく声をかけてくれる存在も居れば、諦めるなと背中を後押しする存在も居る。
きっと背中を押してくれる存在の方が少なくて…ヒマワリはそんな貴重な存在で。
だから美鈴はヒマワリを選んだ…そういう事なのだろうなと。


プレイ時間1時間強なのでネタバレというネタバレは無いのですが、最後、このシーンなら飛べるだろ!と思わせて顔面から突っ込む所が最高でした。
格好良くキマらないのもまた人生である。
それでも、あの瞬間逃げなかったのは美鈴の芯の強さであり、負けず嫌いさであり。
所々で「人間あがりが必要なのは資格だけ」という言葉が出てきますが、それだけで納得しない、出来ないのが美鈴らしいなと。
ホワホワほのぼのしているように見えて、陰でも天狗の悪口は言わなかったり、ハッキリとヒマワリに嫌いだと面と向かって言ったり。
所々で美鈴の良さが溢れていて、とても良い主人公だな…と思いました。
きっとそういう部分にヒマワリも惹かれたのでしょう。
ヒマワリも天才ではありますが、その天才を維持するかのように負けず嫌いで…負けず嫌いの少女達が出会えて、ハッキリと嫌いとも言い合える程に真っ直ぐな関係を築けて。
この出会いは美鈴の運が悪くないと無かった出会いで…
確かに運が悪い事もある。
けれど、この境遇になったからこそ途中で祐太朗が語るように「自分の力や権利だと思ってたものは全部、与えられたものに過ぎなかった」と気づけたり、自分の夢が案外簡単に放り投げられるものだと気付いたり、気付けるようになった事が沢山あって。
そしてその中でたまたま最初に出会えたから気に入られたのかもしれないけれど、絶対に今後、揺れる事は無いであろうヒマワリという存在と出会えて。
運が悪い中でも良い出会いがあり、世界は悪い事だけでは無い…という姿を感じて大変前向きになりました。


次はそのまま「キリンの国」をプレイしたいと思います。
今作が「キリンの国のプロモーション作品」という位置付けなので、「キリンの国」がとても楽しみです!!