ひっそりと群生

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【Aster】感想

【男性向け18禁】



2007年11月09日発売
『RusK(解散)』
Aster】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








10作に一個は名作と呼ばれている作品を挟んでプレイしないと心が死ぬと2019年は学びました。
というわけで、この感想がいつ投稿されるかは分かりませんが、2020年の90作目は「Aster」に。
プレイ時間は約16時間15分くらい。
初回版を購入しようかと思いましたがバグが凄いらしいので、完全収録がある「テックジャイアン2015年5月号」を購入。
パッチは今も手に入りますが、今プレイするなら普及版かテックジャイアン版が良いと思います。
7でも起動可能、ディスクレス起動可。
作中選択肢無し、沙耶編後に他3編が開放、その後沙希編開放で後にAfter編解放後、ラストにAster開放になります。


物語は一つの事故をきっかけに直接的だったり間接的だったり関わってしまった人々の日常や平穏が崩壊していく…というもの。
主人公がヒロイン毎に変わるある種の群像劇となっています。
群像劇大好きで固定ヒロイン物だったりヒロイン毎に主人公が変わるタイプの方が好みとしては全体的にとても好きが詰まった作品でした。
ラストや真相に触れない程度にある程度wikiを読んでいたので、沙耶編の最後の事故に関しては驚きは無かったのですが、沙耶との日々、平穏だった頃の描写が細かく丁寧だったので、いざ事故のシーンになると喪失感が凄かったです。
被害者、原因、後遺症、加害者、そしてその関係者、事故のそれぞれの立ち位置から失ったものや遺恨など負のものや、同時に事故があったからこそ繋がった新しい関係などなど、一つの事故を起点として数々の立場の人間の物語が時には優しく、時には厳しく展開していきます。
このような「事故や事件を起点として描かれる群像劇」は小説やドラマでは見かけますが、エロゲとしてはけっこう珍しいタイプかと…全体を通してどこにもフィクションらしい奇跡が全く起こらず、現実の中で生きていく事しか出来ないところもかなりドラマチックな内容だと思いました。


全体的に丁寧で纏まった良い話だったのですが、少し思ったのは、関係者がかなり身内…というか身近な人間で纏まってるなと感じた所(でもこれは小さな町のお話なので納得が出来るのと、各々の関係が分かるにつれて繋がりを考えるのが楽しいタイプなので仕方ないとも思ってます)、ドラマチックな内容でとても現実に即した物語でありながらとにかく周りは優しい人で溢れておりメインの登場人物達の心や精神があまりにも高潔過ぎると感じた所と必ず支えてくれる人がいる世界な所(ドラマだと多分もっとどうしようもない状況が描かれていたのだろうなと思うとそういうのが好きな自分としては全体的に優しい世界でした)、あと一部台詞で表示されていない台詞が再生されたりロードすると音楽がガサついたりバグが完全には治ってない所など、少しだけ思う所はありました。
特に人間関係においてはもう少しドロドロした展開を見たかったのですが…まぁそれは実写のドラマでやれという話になりそうなので、これはこれで良いと思います…が、一応好みの問題として。
ですが、その分、エロゲらしく恋愛の方が全力で描かれていて、それぞれの主人公とヒロインが近づいたり時には離れたり…真っ直ぐな一本の強い想いになるまでの過程はとても細やかで、見ていてとても楽しかったです。
エロシーンも量は少ないですが一つ一つのかなり描写が細やかで、量より質タイプ。
皆初めてばかりで初々しく、それぞれの主人公毎に個性があって読んでいて楽しいタイプのエロでした。


絵は背景は綺麗で、イラストレーターは浅葉ゆうさんとわしみゆーこさん。
個人的には浅葉さんの絵が好み。
男女どちらも満遍なく登場し、男性キャラも違和感無かったので良かったです。
特に女性キャラの立ち絵に関しては細かく、渚帆の抱っこの絵や雛の白杖など一つ一つの動作が丁寧でした。


BGM自体はこう…特にコレ!と印象に残ってる曲は個人的には無いのですが、主題歌はとても好きです。
「二つめの空」、はるな編でも重要な曲になってくるのですが、主題歌のアレンジの「軌跡」や「願いを込めて」が要所要所の重要なシーンで使われるので印象深いです。
声に関しては正直凄い、特に男性陣。
男性もフルボイスな上、全員素晴らしい演技という。
全体的にお上手な方が多いのですが、名義を変えない山口さんに、声で分かる岸◯さんに…上手い人達がかなり引っ張っていた印象。
女性陣も有名な方々ばかりで…どなたもお上手なのですが、やっぱり青山ゆかりさんは凄かったです。
特に、沙希編の限界を迎えた後半の慟哭はもう…聞いててゾクゾクしました。
演技で惹き付けるとは、声優とはまさにこの事!と言わんばかりの慟哭で…最高でございました。


全体的に見るとやっぱりある意味では沙耶と沙希の物語であり…
どうしても宏と沙耶と沙希は作中で圧倒的な存在感と話の良さがあり、それぞれの編によっても少しだけ出来の良さに差があるとは感じる部分はありました。
ですが、群像劇物としてとても出来が良く、人々の日常の崩壊と変化という点では凄く面白かったです。
名作と呼ばれているのがとても分かる一作でした。



プレイ順は
沙耶(固定)→美幸→雛→はるな→沙希(固定)
美幸After→雛After→はるなAfter→沙希After→Aster(固定)
の順で攻略



『柚月沙耶 ルート』
はじまり。
ある程度あらすじを見ていたので分かっては居たのですが…あまりにも沙耶との日々と交流が丁寧に描かれていて事故が起こる前とか起こってから胃がキリキリしてました。
来るぞー来るぞー…はい!来たー!!!みたいな…
この段階からプレイヤーは沙希の想いも感付くので余計に。
日常は唐突に崩壊し、終わり、そして約束は果たされる事は無い…


『山吹美幸 ルート』
事故の原因。
事故の根本的な原因、あの時車道に飛び出しさえしなければ事故は起こらなかったのに…
車道に飛び出したのも父親との些細なすれ違いが原因で、小さな事の積み重ねで大きな物事は起きてしまう…という作りがとてもリアルだなと。
しかし…千春も唯もちょっとお節介だけどとても良い友人で…
今作の主人公達は友人や周りの人間に恵まれているなとつくづく感じました。
ラストの屋上のフェンスをどうやって乗り越えたのかが謎ですが…(工事があったのであの部分から手を伸ばした?)
Afterには少し思う所がありますが、美幸ルート本編はとても好きでした。


『小田巻雛 ルート』
後遺症。
正直、京次、主人公で一番好きです、ズレにズレ過ぎてて。
思考が面白くて楽しい主人公でした。
そして出会いなどカップリングとしても最高に好きでした、京次のボケと雛のツッコミが好きです。
話としては…正直一番キツかったです。
沙耶も辛かったのですが…死ぬ事も確かに辛いけれど、生きていくのが難しいくらいの事が続く…というのもまた別の辛さがあり。
Afterでどうにか乗り越えて行く姿が見れますが、一番苦労しそうなのはこのカップルな気がしました…
凄く厳しい状況で絶望的な状況なのですが、主人公の変人っぷりでどうにか緩和されていたと思います。


『姫萩はるな ルート』
加害者の家族。
…で、笹岡、お前誰やねん。
いや、マジで、笹岡が沙耶編で少しでも登場してて沙希と少しでも交流があるシーンが描かれていれば受け入れる事が出来たのですが、冗談抜きで唐突に登場して、いきなり義憤をぶっかけてくるので、お前なんやねん?という気持ちでした。
勝手に自分と関係無いテレビの向こう側の事件にブチ切れてるタイプというか…
メディアに踊らされ義憤にかられる勝手な人間というか…正直見ていてイライラしました。
睦月も母を失っているというのになんという…そういう部分もありもう少し笹岡の描写を丁寧にハッキリとしてほしかったです。
まぁ部外者で単なる通りすがりの方が厄介な時もありますし…笹岡の描写が少ないのはそういう事なのかなとも思いますが。
はるな先輩に関しては…はるな編は正直、睦月の方が事件に関わっている為、はるな先輩に対して何かを思う事は少なかったのと、はるな先輩が家族になると言う流れはかなり唐突感があったので少しスピードにノり切れない所がありました。
先輩の天然らしいといえばらしいですが。
ただ、展開は早めですが、Afterでの関係に悩む姿はとても好みでした。


『柚月沙希 ルート』
遺族。
主人公が沙耶の死を受け入れられず、ただひたすら鬱屈した日々を過ごし。
沙希はそんな主人公を救おうと明るく振る舞うけれど…本当はきっと誰よりも傷付いていて…
最後の最後まで一緒に居た沙希が傷付いていないわけは無くて。
そんな沙希に構う余裕は無くて沙希を追い詰めるだけ追い詰め、最後には沙希が限界を迎える…
上記でも書きましたが、青山さんの慟哭、本当に素晴らしかったです。
あの慟哭を聞くためだけにAsterはプレイしても良いと言えるほど(極論)。
最後の最後で受け入れ、二人、沙耶の喪失を背負いながら生きていく姿は辛く、どこにも奇跡は無い中で、それでも二人の強さがありました。


『山吹美幸After ルート』
うーん…正直一番個人的な気持ちで納得し切れないと言うか。
正人の妹の雛に対して、「許して欲しい、許して貰えるまで償い続ける」というような生き方を選びますが…
「許されたい」という感情はある種加害者の一方的な自己満足だと思っている派なので、なんかこう…正人と美幸の「許して」は「私達の気持ちも理解してよ!」という言い分にしか聞こえず…
雛と…特に京次が「許さない」という道を選んだらそれはもう「許されない道」を進むしか無いと思ってて。
「許されない道もまた一つの業で贖罪で背負うべきもの」だと思うので、加害者の自己満のように「許されたい」と言ってるのがどうしても納得は出来ませんでした。
医者の道に進むのは良いのですが…なんというか、本編は好きなのですが、正人と美幸には「許されない事を受け入れる」という姿も見せて欲しかったと思っています。
あと、新聞記者のオジサンが若干記者にしては都合が良かったのと、同じ学校に在学している記者のオジサンの子供は誰だったのかが気になりました。


『小田巻雛After ルート』
雛のAfterでは描かれませんでしたが、京次が正人と美幸をハッキリと「許す」と言わなかった所には少し安心しています。
人間誰しもが綺麗な心ばかりを持っているわけではないので…今作のメインキャラはみんな高潔な精神を持ってるキャラばかりだったので、京次の人間らしさがとても好きでした。
Afterではラブラブ新婚生活が描かれますが…いやぁ、エロシーンで一番笑わせて頂きました。
京次がズレているとは思っていましたがソロプレイすらした事が無いとは…初体験初心者どころか卵から孵ったばかりレベルの無知っぷりで一個一個の思考が面白すぎて…
雛編は雛の目と一生向き合っていくというどうしても避けられない重さがある中で、京次の独特な思考が良い中和剤になっていました。
ただ、若干エロシーンでの表現というか…女性の穴の位置と尿道の位置の描写が危ういというか…
え…そんな構造だったっけ?となるような描写で…気のせいかな?そこだけ妙に引っかかりました。


『姫萩はるなAfter ルート』
本編は笹岡なんやねん…などかなり加速度が高かったのですが、Afterでははるなが好きな睦月と、睦月が好きだけど恋人になったら家族では無くなってしまう…という葛藤により中々前に進めない二人のお話で。
個人的に「正直結婚すれば家族になれるのに、その前の段階で恋人では家族になれないからと葛藤する姉弟系」が大好きな自分としてはとても好みなお話でした。
話の流れとしては凄くオーソドックスですが、見ていて楽しかったです。
なんだかんだシーン回想でエロシーンが2つあるので睦月とはるな先輩、優遇されているなと思いました。


『柚月沙希After ルート』
幼馴染以上の感情を抱いてしまう…
沙希に救われた事と沙耶の喪失がある中でも必死に明るく日常を形作ってくれる沙希をもう幼馴染としては見れず、一人の女性として見てしまう宏。
一人の女性として確かに見ているけれど、沙希に沙耶を重ねていないかと悩み…
そして沙希は自分は沙耶から宏を奪ってはいけないと考えていて…
双子なのもあり、この葛藤は正直本作で一番見たいものでした。
見たいものが綺麗に詰まっていて、ラーメン頼んだらラーメンが来たレベルで欲しい描写が全て出てきました。
エロシーンも、誰かと誰かの比較系は苦手なのですが、今作の比較は沙耶とのエロがあってこその比較で最早最高。
沙耶と沙希は別の人間なのだから、感じる所が違う…という部分などは、エロシーンでしか描けないような表現で…
全てが収まる所に収まった、予想通りの見たいものがそのまま見れたような内容ですが、それが痒い所に手が届くくらいに良く。
納得の結末でした。


『Aster』
あの事故の日、沙耶の最後の言葉と、果たせなかった約束。
そして、もう戻れない子供の頃の彼らの姿。
全編を締めくくる短いエピローグでしたが、流れるEDといい、とても良い余韻に浸れるラストでした。



エロシーンの少なさ故に移植など出来ただろうなーと思うのと同時に、エロシーンがかなり丁寧な方なので、無くなっても問題だとも思うのが難しい所。
でも、話の本質的には移植は余裕で出来ただろうなとは思います…少し勿体なさを感じたり。


今作は様々な登場人物が居ますが…一番立ち位置的に大変だったと思うのは竹本とかなでだと思っています。
宏の友人だったり、沙希の友人だったり、睦月の友人だったり…色々と板挟みが辛かった事でしょう。
そして、桜庭店長は宏が休んだり京次が休んだり…お店の経営が相当大変だったと思います。
彼らに敢闘賞を捧げたいです。


支えてくれる彼らが居てくれて、なんだかんだ、人は誰かに支えられて生きているのだな…と強く感じました。
奇跡の起こらないリアルなドラマティック群像劇としてとても素晴らしい作品でした。
ドロドロした人間関係も見たかった…とは確かに思いますが、事故の不運以外は基本優しい世界で、各々の立場の変化や苦しみ、様々な葛藤や事故のその後をお互いに支え合い乗り越えていく姿が辛い中でも見ていてとても爽やかな気持ちになりました。