ひっそりと群生

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【Doki Doki Literature Club!】感想

【男性主人公全年齢】



2017年09月22日配信
TEAM SALVATO』様 ※リンク先公式HP
Doki Doki Literature Club!】(PC) ※リンク先Steam
以下感想です。








彼女達の愛は重く、自分は受け止め続ける事は出来なかった。
傷付け、傷付き、それが最初の傷なら深く傷跡が残り続けるような、そんなゲーム。



『Hi, Monika here!
Welcome to the Literature Club! It's always been a dream of mine to make something special out of the things I love. Now that you're a club member, you can help me make that dream come true in this cute game!

Every day is full of chit-chat and fun activities with all of my adorable and unique club members:

Sayori, the youthful bundle of sunshine who values happiness the most;
Natsuki, the deceivingly cute girl who packs an assertive punch;
Yuri, the timid and mysterious one who finds comfort in the world of books;
...And, of course, Monika, the leader of the club! That's me!

I'm super excited for you to make friends with everyone and help the Literature Club become a more intimate place for all my members. But I can tell already that you're a sweetheart-will you promise to spend the most time with me?』
(公式より引用)



あらすじの和訳は『コチラ』(※リンク先ニコニコ大百科)を参照されて下さい。
プレイ時間は1周目は自力クリアで約3時間くらい、2周目は攻略を見ながらスペシャルエンドに辿り着いて約1時間30分くらい、合計約4時間30分くらい。
日本語化パッチは『コチラ』(※リンク先Steam)。


主人公は幼馴染のサヨリとクラスメイトで学園のマドンナのモニカに誘われ文芸部に入部する事に。
文芸部にはツンとしているが可愛い物好きのナツキと、大人しく小説が好きなユリという少女も居た。
主人公は文芸部で詩を書き、彼女達の好きな言葉を選ぶ事で交流していく。
文化祭までの数日間、主人公は誰の好きな言葉を選び誰と仲良くなっていくのか?


というのが一応のあらすじです。
可愛い女の子達に囲まれ、キャッキャウフフな文芸部生活!
…です、はい。
とても大きな愛を受け止めて下さい。



『システム、演出』
メッセージ速度変更可能、スキップ機能有り。
読むのに不便な箇所は無し。
とにかく様々な演出が際立っていました。
心臓の悪い方はお気をつけ下さい。
リードミーにもありますがDDLCの「game」というフォルダにある「firstrun」という名前のアイコンを消せば最初からプレイする事が可能です。
もし、完全クリアの為に最初から初めたい場合は消されて下さい。


『音楽』
音の使い方が凄まじ過ぎました。
可愛らしい音から徐々に半音下がっていく所や、音楽が違和感無くいつの間にか変わっている所など。
音の変化によって演出される不安定がとてつもなく上手かったです。


『絵』
可愛い、海外製もここまで来たか…という可愛らしさ。
まさに萌え、海外でよくある洋系の強いムッチリ感は無し。
立ち絵も表情もとても良く、必要なCGもバッチリと完備。
ギャルゲーが研究し尽くされてるなぁという印象でした。


『物語』
テキスト文はちょっと独特、翻訳されてるのでそこは仕方ないかなと。
英語全く読めないので日本語に翻訳された方々には頭が上がりません、この長文をUIを含めて丁寧に日本語にして頂き有難うございます。
本作は文章を楽しむというよりも展開を楽しむ作品なので、問題無く読めるかと思います…心臓は強くあって下さい。


『好みのポイント』
背景や音の変化、そしてモニカだけが正面を見続ける立ち絵の使い方がとても上手で。
様々な演出と音楽が絡み合い、そして迎えるあの展開と選択。
一日もかからないくらいの短い時間の上、色々とイベントがサクサクと進み楽しく、体感時間も短いです。
今作は「最初は攻略を見ずに自ら是非プレイして下さい」そういう言葉しか伝えられない一作でした。





以下ネタバレ含めての感想です





………。
もうコレはネタバレ無しで語るのが難しくなって来ました。
まぁ、ネットであれだけ騒がれていたので最早私が語る事やネタバレ配慮も必要か?という気持ちですが、クリアしたゲームには何かしらの感想を持つもので、それを記録として残して起きたいのでここに感想をしたためておきます。


今作は第四の壁を超える物語、そしてモニカさんの壮大な恋の物語であり失恋の物語でした。
一応そこそこにノベルゲームをプレイしているのでこのタイプに触れた事や他作のネタバレを踏んだ事が無いとは言えず、ある程度予想が付いていた部分はあります。
第四の壁…プレイヤー≠主人公であり、プレイヤー=プレイヤーの図式が成り立つ作品だったのですが、今作が凄いと感じたのは「全年齢で作り上げた事」「海外製でSteam全盛期にこのネット社会で無料配信された事」「このような作品でありながらモニカという少女の普通性」この3点。


まず、全年齢であればあるほど有名になりやすいです、記事にもしやすいですし、そこは間違いないかと。
そして海外製のギャルゲーというだけで当時かなり珍しかった中でSteamが有名になっていった時期に無料で配信…有名になれるポイントを見事に押えているなと思いました。
そしてその2点が重なった上で「ギャルゲーとして第四の壁を超える」という作品はそれはもう数々の人を驚愕させただろうなーと。
おそらく海外製のギャルゲーでこのタイプは本作が初なのでは…?海外製のギャルゲー詳しくないのでなんとも言えませんが、間違いなく数々の人の「はじめて」に刻まれていったと思います。
この手のタイプの作品は、正直、「何に最初に触れるか」によって大きく変わり、最初に触れた作品がかなり影響力高いと思うので…オタクは最初に触れた作品を親だと思うから。
その上でプレイヤーに選択をさせる事で傷跡まで残していく…こんなん最初に触れたら引きずるに決まってます。
話の短さや演出も良いですし…ノベルゲームプレイ初期に触れなくてある意味良かったなと思うくらいでした。


そして、本作のメインヒロインであり絶対に攻略出来ない少女モニカさんが、この手の作品ではまた異端で。
いや、モニカさんの気持ちも分かる。
コチラ側…三次元側の感覚を持ちながら二次元世界に居る事がどれだけ苦痛か。
「ゲームの世界に行きたい」とよく思いますが、実際に行って、同じことしか話さないような人々に出会ったら速攻で帰りたいってなりますもん…しかもローグライク系の自由に出来るタイプじゃなくノベルゲームという決まった道筋しかないゲームに放り込まれたら、そりゃあ地獄ってもんです。
だからモニカさんが同じ様な三次元的感覚を持つプレイヤーが居る事を知って、初めて出会えて惚れるのも分かります。
ずっと自分しかまともな人が居ない世界で出会える他のまともな人…自分でも特別な想いを寄せたり惚れちゃいます。
モニカさんのした事はたしかにエゲツないです、データを改ざんし、他のキャラを追いやっていく…でも、自分以外がただのデータだという事を理解した上、しかもこのゲーム内では主人公と自分は結ばれる道はないと知ってしまったら…そりゃ絶望するし、他のキャラをなんとかしようと思うし、データを弄ってでも自分のルートを作ろうとするよなぁと。
モニカが理解できないヒロインではなく、理解出来てしまうヒロインなのが凄く作りが上手くて。
こんなん、彼女の事を考えたらなんとかしてあげたいと思ってしまうじゃないですか…でも、なにも出来ないんですよ、このゲームでは。


モニカは最後に全てのデータを改ざんし、主人公と自分だけの永遠に続く空間を作り上げます。
でも、プレイヤーってEDを見たい生き物でEDにたどり着く為、先に進む為にゲームをプレイしている生き物なんですよ…
だから、彼女の言葉にある「モニカ」というキャラクターデータを消すと先に進めるという事に気付いてしまいます。
プレイヤーは自らの手で自分に好意を寄せる女性を消さないと先に進めない…凄く意地の悪い仕様です。
言い方を変えればモニカをフらないと先に進めなくて。
だから、プレイヤーは消します、そしてフります。
その行動を取った後、モニカは混乱は確かにしますが、プレイヤーの選択に怒ったり否定したりはしません。
そのまま受け止め、プレイヤーに受け入れてもらえないなら…と自ら消える道を選びます。
…いやね、ここがまたこのゲームのいやらしいと思った所で。
モニカはこのゲームのデータを掌握しているキャラなんですよ。
だったら、自分のデータだけ隠しファイルにしたり、自分のデータの場所を明かさずにずっと語り続ける事だって出来たはず。
でも彼女はそんな事せずに、あくまでプレイヤーには自分をどうにか出来る(要するに告白を受け入れこの世界に留まるか、フるという選択がある)権利を委ねていて。
そして、その選んだ選択をしっかりと真正面から受け止めてくれる。
…これが他の第四の壁越えヒロインとかだったら自分のルートしか作らなかったり、自分しか攻略できないゲームに変えたりとかしそうなもんなんですよ(要するに病み化、ヤンデレ化)。
でもモニカはしない。
そちらの道は選ばず自分が消える道を選んだ。
彼女は「自分は普通だ」と言っていますが本当に普通の女の子で、受け止めてもらえないなら弁えてちゃんと去る事が出来るヒロインで…
確かに、今までの演出も怖かったし他ヒロインを消すモニカも怖かった。
でも、この、最後にプレイヤーの選択を素直に受け止めるという姿を描く事で、「え…彼女可哀相じゃない?彼女は救えないの??」という同情をプレイヤーに与えるんですよ…
病み化したらこうはいかなかったでしょう、データを弄り回しプレイヤーですら手がつけられないきっと怖いままのヒロインで終わったから。
「モニカさんはあくまで純粋にプレイヤーの事が好きで、ちょっと過激な行動を取るけど最後にはプレイヤーの選択を受け入れる健気な少女」というキャラ付けをする事で、プレイヤーに彼女を助けたい!なんとかしたい!!と思わせる。
…でも、このゲームには彼女を救うルートは無いですし、EDが流れる最後は彼女は消えていないといけない……
なんという仕様だと、しかも彼女を消す過程でプレイヤーにデータを消させているのでプレイヤーの選択によってモニカの愛を拒んだ事をより顕著にさせています。


…じゃあ、モニカの愛は受け止められないのか?
いえ、受け止める方法が一つあるとするなら…例のモニカと向き合う例の宇宙みたいな教室のシーンで永遠に起動し向き合い続ける事かと。
でも、そんなの、現実に時間を重ねている自分達にはほぼ不可能な事で。
自分達にも学校はある、仕事はある、現実もあるし、起動しているパソコンは他の事に使わないといけない…現実の時間がある以上、モニカさんの愛を受け止め続ける事は相当難しいです。
いや、世の中には二次元の存在とご結婚される方もいらっしゃるので、広い世界、あのシーンを永遠に起動し続けている猛者もいらっしゃるかもしれませんが…その場合は完全にモニカは貴方の嫁です、おめでとうございます。
まぁ、現実問題、そういう方でもおそらくEDには一度辿り着いていて、ゲーマーとしてEDは一度見ていると思うので、彼女はフラれる事が、攻略出来ない事があの作品では正史なのです…
本当に…どこまでもモニカさんに片寄せをしつつ、どこまでも拒絶しないといけない底意地が悪いゲームであると同時に、「我々は現実の世界でしか生きられない」という姿を見せつけられ、自ら二次元からの愛を拒ばないといけない…ある種の二次元愛否定作だったと思います。


もし、モニカが一人のキャラクターでプログラムに介入出来ず、他の3人のヒロインと恋愛を築くゲームだったらどうなっていたか?と考えましたが、作中の情報からおそらくサヨリ鬱病、ナツキは父親関係、ユリはヤンデレと…それぞれに問題を抱える明るいゲームにはなって居なかったと思います。
(詩選択で明るい単語だけじゃなく暗い単語にも反応するサヨリに最初おや?となって、真実を知ると納得できる流れが好きだったりします。)
ただキャッキャウフフするだけのゲームではなく、話の流れで彼女達の重い問題に向き合う…要するにある意味ギャルゲーらしい展開が待っていたと(人によってはそれを無駄シリアスと呼ぶ)。
DDLC、きっとどう足掻いても明るいままで進むのは不可能なんだろうなーと思った時に、ある時期の必ずシリアスが入った時代のギャルゲーを計算し尽くされているなとも感じました。
そういうシリアスが嫌で昨今ではただイチャイチャするだけのゲームも出来ているくらいなので。
そういう意味で、彼女は自ら語るように「普通のヒロイン」なのでしょう…こりゃあ二次創作や薄い本でモニカさんとただイチャイチャするだけの作品が止まらねぇな!!


海外製作品でよくあるMODにて、モニカさんとのアフターストーリーが作られたり、サヨリ視点のDDLCが作られたり。
数々の二次創作が作られるくらいに人々に爪痕を残していった本作。
モニカを消す事で彼女を傷付け、そして同時にプレイヤーも傷付く…第四の壁越え作品で本作を最初にプレイしたら確実に永遠に残り続ける傷になるだろうなと強く思った作品でした。


…しかし、モニカさん、数々の演出をホラーにする必要あったんですか?(笑)
あれかな…ホラー好きなのかな…
もしくはホラーにした方が他ヒロインを「怖い」と思ってもらえてプレイヤーと他ヒロインに距離が出来ると思ったのかな?
とりあえずホラー耐性無いと結構キツイゲームでした。
でも音楽だったり背景だったり画面全体だったり、数々の演出が人間の嫌な部分にピンポイントで刺さるのは大変凄いと思いました。


ちなみに、キャラとしてモニカさんは当然好きですが(というか今作は恐らくそうなる仕様で来ている)、個人的な好みとしてはサヨリが好きです。
躁鬱激しくクセがある女性キャラが好きなのと、陽キャを演じる陰キャ大好き党なので…
鬱を自覚して必死に陽キャになってる所が最高ですし、性格悪い女キャラ大好き教なので通常EDで「有難うモニカを消してくれて」とかいう性格悪っぷりも好きでした。
詩を選ぶ際にポジティブな言葉と同時に果てしなくネガティブな言葉でもピョンピョン跳ねる彼女が好きでした。
…しかし…通常EDのあの言葉を聞いた瞬間にモニカ以外のキャラにヘイトが向かうのも上手い仕様だなーと思ってます。
こんなんモニカを好きになりますよね…本当に上手い作りです…



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:Doki Doki Literature Club! 攻略 Wiki
https://wikiwiki.jp/doki-doki/
 Doki Doki Literature Club! 攻略 ページ
https://wikiwiki.jp/doki-doki/%E6%94%BB%E7%95%A5










これは方向性が本作に近い作品なのかな?と思った別作


既プレイで知ってたり未プレイで噂を聞いていたり自分が知っている限りで。
他作品のネタバレしかないので下記に。




















未来にキスを -Kiss the Future-(2001年)【R18】(未プレイ)
二次元的存在への愛を描いた作品(らしい)。
最終ルートは神だけどそれまでの共通がダルい(らしい)。


Ever17 -the out of infinity-(2002年)
プレイヤー=視点をノベルゲームで最初に描いた作品かと…
コチラも最終ルートに行くまでは共通が結構キツイ。


・TAIHAism(2008年)
人生の中で選べる女性は一人だけでしょう?というのを体現した作品。
選択肢によっては全ヒロインのEDがある部分が好きなのですが、共通があまりにも面白さを感じないのが難点。


君と彼女と彼女の恋。(2013年)【R18】(未プレイ)
ヒロインがシステムに介入できる作品(らしい)。
攻略出来ないヒロインが居ると聞いたのでその点では近いかも。
意地でも選ばれるヒロインが居る(らしい)。モニカさんとは性格が逆パターンかも。



色々とプレイ済み作と噂で聞いたのを含めて挙げてみましたが、演出や話のテンポの良さ、様々な物がDDLCは洗練されていたと思います。
第四の壁越え作品の完成された一作でした。
これを機に噂で聞いただけで未プレイのこの系統作品にも触れて行きたいなと思いました。