ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【ウウウルトラC】感想

【BL18禁】



2020年09月18日発売
ADELTA』様 ※リンク先公式HP
ウウウルトラC】(PC)(18禁) ※リンク先DLsite.com(18禁)
以下感想です。








ヒーローに成りたかった者とヒーローを貫かなければならなかった者が自分の大事な人の為だけに戦う昭和特撮劇!!



『昭和45年3月。
 東京は祖師谷に住む正太郎は恋人・狐塚君と二人暮らし。
 世間では人の怪獣化が感染症として認知され、
 受け入れを促す一方で不穏な空気が漂っていた。
 正太郎は正義に憧れるその一人。
 しかし、怪獣の血を浴びたことにより日常は一変する。

 怪獣、
 ヒーロー、
 巨大ロボット、

 3人の主人公たち。

 昭和の遺物を巡るアバンギャルドな特撮ドラマ。』
(公式より引用)



ADELTAさんの作品は「古書店街の橋姫」以来になります。
プレイ時間は約11時間くらい。
分岐は無し。
最初は一話のみ、一話読後に二話と三話開放。
一話が5時間くらいで二話と三話が各3時間くらいのプレイ時間でした。
この感想がいつ投稿されるか分かりませんが、2020年に発売の同人ゲームでこれは同年に触れておかねば同人ゲーマーとしての人権が…!!?と思ったほどの話題作なのでプレイ。


ADELTAさん、やりおったな…
古書店街の橋姫」を作ったサークル様の底力はやはりハンパなかった!!
文章、絵、背景、演出、音楽、作詞作曲、全てを一人で行うという超人的能力な上に、そのどれもが妥協無く上質で上級な物に仕上がっているという隙の無さ。
ADELTAさん作品をプレイすると物語と絵と演出と音全てが綺麗に混じり合う個人制作の強さを実感致します。
BL雑誌でも連載されていらっしゃるみたいですが…BL業界はもっとくろさわ凛子さんを大事にするべきだとつくづく思います。
絶対に酷使してはいけないお方かと…仕事量を見ると無理をなさらない程度に楽しく作品を作って頂きたいです。


今作はヒーローに成りたかった者達と、ヒーローを貫かなければいけない者達と、そして敵対する者達の己の信念を掛けて戦う群像劇。
「昭和」と銘打ってあるように、特撮ヒーローを中心に、怪獣、ロボット、アニメなど様々な小ネタや演出が昭和という時代の香りを漂わせながら作品の演出として効果的に使用されていました。
怪獣の血を浴びると怪獣化してしまい怪獣になった者は世間から爪弾きにされてしまう、感情が高ぶると怪獣に変身するかもしれない、けれども変身しなければ人間と変わらない感染者。
元は人間だった怪獣を倒さなければならないヒーロー。
怪獣化してしまった者達に人権はあるのか?ヒーローは何を守る為に戦うのか?
など、かなり重苦しい題材があり、下手をするとシリアスで心が折れそうな中、昭和的な演出や色彩、奇人変人おかしなサブキャラ、様々な雰囲気が作品をシリアス一辺倒にせずに明るく保たせ、絶妙なバランスで暗く落ち込む事はない作風に仕上がっていました。


後半、かなり難しい展開があり、自分の頭では追い付いていない箇所がありましたが、3組のカップルが自分の正義を貫き、どんな立ち位置であれ自分の大切な人の為に戦う姿はまさしくヒーローであり、三者三様のヒーロー像を描いていたと思います。
お互いを想い合う3組のカップルのそれぞれの想いもとても良く…ヒーロー物としてもBL物としても楽しめる一品でした。



『システム、演出』
吉里吉里製。
欲しいシステム完備で流石の吉里吉里
ただ、新しい吉里吉里なのか、メッセージスピードを速にしても瞬間表示は無くなっていました。
速いので不便ではないのですが、瞬間表示も欲しかったです。
演出は下記の絵の項目でも書きますが凄まじいの一言。
OPなど各ムービーもとても見ていてワクワクする作りで…とにかく全てからセンスを感じました。


『音楽』
BGMは物語を損なわず、どれもとても良かったと思います。
…ご本人作曲らしく、世界観に合いすぎてます。
ただ、クリア後にBGM鑑賞モードが無いのが残念。
サントラが別売りで購入済みなのですが、やっぱり音楽鑑賞モードがあるとゲーマーとして嬉しい気持ちになります。
どの曲も昭和チックで…特にOPの蓄音機から鳴るような音質のBGMが印象に残っています。
今回ED曲が全話で違っていたのが「橋姫」で語られていた「各ED曲を変えたかった」という目標を達成されていて。
OP曲は綺麗な声で「やっちまえ金的(字幕伏せ字)」は笑います。
声はもう…流石でございます、満点越え。
一般向けの同人ゲームはまだまだな部分がありますが、同人の乙女ゲーやBLゲーのボイス有りはもう、商業レベルと言っても差し支えありません。
中には商業の方よりも好みの演技をされる方もお見かけして…垣根が無くなってきたと思います。
古書店街の橋姫」からでは神崎さんは今回は受け役で驚きました。
今年プレイした作品の他作でもお見かけしていて…やっぱりこう…静かに威厳のある役がお上手だと感じました。
桜花さんは花澤とのギャップが!!駿太君のテンション高くトラブルメーカー的な所が良く、器用な方だなと。
美藤さんは「橋姫」では口数が少なかったので、今作でセリフ数が多く、落ち着いた丁寧声でとても良かったです。
遠野さんは前回はオドオド系だったのが今回は自信あるタイプで…こういう演技もお上手なんだな…と驚きました。
おみくじさんはマスコット役が合いすぎます…ADELTA界のピカ◯ュウ。
君野さんは声が可愛らしく、今回はまさかのフタナリ少女役で…前回は男の娘役だったので、色mon…こういう役が非常に多く、印象的だなと思っています。
公式に載っている方ではかなり「橋姫」から続けての方が多く、新しい演技を聞けて非常に嬉しかったです。
佐野さんはADELTAさんでは初かと思われますが、今年プレイした別サークル様の作品で一番好きな演技をされていらっしゃり。
今作でもとても好みの演技だったので、やっぱり好きな演技をされる方だなと実感しました、個人的に追っていきたいくらいの方です。
お風呂場のシーンでの反響音や場所に合った音質の変化もしっかりとしていて、音に関しての細やかな気配りが素晴らしかったです。


『絵』
えっと…これに関してはもう…なんというか凄い!としか。
全ての言葉が溶けて消えるほどの凄さです。
CG枚数の多さが半端ではなく…え?何枚描いたんですか??レベル。
クリックする度に新しい一枚絵が出てきて、ほぼ一枚絵で進行していると言っても過言ではありません。
立ち絵での場面もありますが、絶対に一枚絵進行のシーンの方が多い。
しかもどれも丁寧で崩れが無く…ツイッターでも新規の絵を描かれていて筆が速いのは存じ上げていますが、どういう筆の速さだよ!!?と驚愕致します。
その上背景も描いて配色もして…やっぱりBL業界はくろさわさんを大事にするべき。
男キャラだけでなく老若男女、別け隔てなくお上手で、そして昭和チックな絵柄で所々盛り上げ…絶対に画力が高くないと出来ない事だと思います。
絵による演出を見るだけでも相当楽しむ価値がある一品です。
惜しむべきはやっぱりCG鑑賞モードが無い事、画集とか出そうですが、ゲーム上で舐め回すように見たかったです。


『物語』
6人が各々の正義をかけて戦う!
「怪獣を倒す」を中心としていたのに、それぞれの状況が変わるにつれて退治する敵が変わっていく所が見ていて面白く。
3組のカップルが居ますが、カップルだからといって同じ敵に向かっているかといえばそうでは無く。
それぞれが自分の立ち位置に悩み、苦しみ、時にはカップル同士で対立し、自分の信念を貫いて行く姿は非常に見ていて格好良く、時にはもどかしい箇所もありますが、最終的には気持ち良かったです。
男のプライドをかけている所もあり、攻めがずっと男らしいとは限らず、受けだからと言って男らしくないというわけではなく、時には攻めよりも受けの方が男らしい行動を取る所も有り。
そういう各々のカッコ良さを貫いていて、BLではありながらもそれ以上に「自信のヒーロー像を貫く物語!!」だったので、BLシーンになる箇所以外はBLだという事を忘れかけるほどに強い意思の戦いを見れて、とにかく「ヒーローの格好良い物語」だったと思います。


『好みのポイント』
好みがコレ!というよりは総合力、満点以上!!みたいなお話でした。
カップルも三者三様で面白く、群像劇らしく片方では分からなかった部分が別の話で分かるようになっていたり。
どの要素をピックアップしても凄さで溢れ、その上で作中の絵での演出や見せ方、細やかな所から昭和の特撮、アニメネタを感じて。
製作者が昭和のサブカルを好きじゃないとここまで書けないだろうなというのが伝わり。
ア◯ムに鉄◯28号に魔法使い◯リーに…手塚◯虫さん、藤子◯二雄さん、上げればキリが無いほど。
昭和の特撮とアニメが好きで作りました!!という気持ちを感じ、作品の出来もですが、製作者様の「好き!!」も感じる事が出来、とても素晴らしい作品でした。





以下ネタバレ含めての感想です





色々と凄さで溢れた珠玉の逸品ではありますが、個人的に思ったのは後半…特に最終戦に入るとかなり抽象的に戦闘が進むので若干今の状況が分からないという箇所があり。
特に「一話」「二話」では平行世界的な要素に対して???となり、置いてけぼりをくらった部分がありました。
「三話」で「怪獣」の件や「平行世界」の件も一応明らかになるのですが、平行世界を駆け巡っている際の戦闘は自分の頭ではイマイチ分からず、そして過去の人間関係も若干分からない箇所があり、もう少しだけ補足が欲しかったなーと思う部分が数カ所ありました。


それでも絵による盛り上げ、パワーはとんでもなく、分からないと思いながらもグイグイと読めてしまったので、凄まじい演出力だとは思っています。
単に「考えるな!感じるんだ!!」が苦手な自分の好みという事で。
以下は、各カップルに対して思った事をほそぼそと。


一話「若き太陽」
メイン話。
この話が一番長い気がします。
ヒーローに成りたかった者とヒーローだけれどもヒーローらしさの欠いた者のお話。
ヒーローに成りたかった、けれど成れないという部分は一番本作での主題な気がします。
最終的に「自分の形でのヒーローを貫く」という姿勢など、一番主人公らしい主人公してた気がしますね正太郎。
正太郎の名前はおそらく鉄◯28号の主人公からかな?
正太郎コンプレックス…通称ショタコンの元になったキャラだったはず。
明は明でヒーローではあるけれども、皆が求めているテレビの中のイカロスではなく…自分のヒーローを最初から最後まで貫いていた所がらしいなと。
正太郎居る場所を守る=世界を守るという部分もあり、同時にサクラなど他の人も守りたいという想いもあり、「守る」の規模が大きいあたり、テレビの中のイカロスでは無いけれど、我々がずっと見てきた「特撮モノのヒーロー」ではあったと思います。
最終的に全部守っちゃうから、間違いなく正統派ヒーローの二人かと。
カプとしては犬系攻めと×真面目融通効かない系受け。
童貞処女×童貞処女…このあたりも王道な気がする。
お互い初めて同士の描写が多々有り、童貞×処女のカプ好きとしては大変滾りました。
特に明の童貞描写は素晴らしい。
「えっちもちゅーも正ちゃんで入学して在籍中ですが何か?」
というセリフには笑いもしましたが童貞厨として最高に刺さるセリフだと思ったり。
最後のエロでは一つになった世界で片方の世界では童貞だったが故に快感に弱くなりタジタジになってたり。
「橋姫」でも攻略キャラ全員が童貞ではあった事や、今作の明の童貞描写見てて思うのですが…ADELTAさん絶対童貞にただならぬこだわりが有りますよね、描写見てて全てがツボを突く表現で絶対にこだわりや一家言がある方だとお見受けしました。
明が最初にホテルに言った際に挿れる前にイッてしまってたりとか…こだわり無いと書けないですよ。
他の話を読まないと後半が謎に包まれる事が多いのですが、彼らの話は王道な二人が王道を貫き、まさに本作の軸になっていて。
主軸としてとても良いお話でした。


二話「水晶の夜」
真実を知りたい者と、復讐を遂げたい者。
過去によって王道の正義からは外れてしまった二人のお話。
それでも正義には間違い無くて。
正太郎と明の裏…ではなくどちらかと言えば対になるようなお話でした。
史郎の真実をどこまでも追い求める姿はヒーローに成りたいとは違いますが、また別の主人公らしさがあり。
特撮モノの主人公というよりはミステリー物の主人公のよう。
そして、一色の史郎の過去からの復讐を遂げたいという気持ちは王道のヒーローでは無いですが、史郎だけのヒーローではあって。
史郎だけのヒーローでありながらも困ってる人を放ってはおけない所などちゃんとヒーローの側面もあり。
史郎は分かりやすく捻くれてますが、一色もまた捻くれていて…お似合いな気はします。
カプとしてはお姉系攻め×傍若無人系受け。
非処女非童貞(…非処女ではありますが、非童貞かは描写は無かったはず…でも非童貞っぽい)×処女童貞。
「橋姫」の玉森もでしたがADELTAさんは憎めないワガママクズを描くのが非常にお上手です。
最初では中の人が玉森人の予定だったのが凄く分かりました。
史郎の憎めないワガママクズっぷりはもう最高で…キャラ個人では史郎が好みです。
数々の箇所でカッコつけながらカッコ悪く笑わせて頂きました。
女体化したり、でも女体化でのエロは無かったり、かなり変化球なイベントが多かった印象。
捻くれていながらも経験が無いのでベッドでは色々としおらしくなる史郎。
憎む気持ちもありながらも過去もあり、一色を切り捨てられない中で男の部分も強いので抱かれるのも拒否反応があって…面倒くさく大変可愛い。
一色は一色で史郎の為に復讐しようとしたり、史郎を中心にして戦う事を決めてたり。
明と一色は受けに凄まじく従順してる所が良いなと思います、受けにデレデレな攻め大好き。
この話のED曲「ユーベル」がハチャメチャに好きでした、サントラでリピートさせて頂きます。


三話「ダスクマン」
この話だけエピローグが無く…少し異端な雰囲気で。
オマケを見ると脇役とあり少し納得しました。
今作は「ヒーロー」の物語ですからね…ある意味悪役側の彼らは主人公にはなれないのでしょう。
一話が主軸、二話が対なら三話は裏という感じ。
「怪獣」の大本である異星人の夜美とそんな彼に子供の頃から惹かれてしまった十郎。
もう既に子供の頃からかなり歪んでいて…十郎の夜美に対する執着は完全にヤンデレのソレでヒエっとなりました、好きですが。
既に歪んだ状態からのスタートで、そんな十郎が赤いヒーローになれる事は無く。
ヒーローを演じ、ヒーローでありながらヒーローではないという歪さを背負っていて、最後には「怪獣」側である夜美の為に戦うと決めた十郎。
特撮の正統派のヒーローでは無いですが、十郎の正義も間違いなく正義だったと思います。
「正義の反対は別の正義」を見せつけた二人だったのではないかなと、なので一話の裏という感じです。
この話でようやく「平行世界」の事や「怪獣」の事がサラッとですが明かされますし…にしても夜美、マジで諸悪の根源だな…流石異星人。
ラ◯ダー系も、ウルト◯系も、侵略してくる異星人はとんでもないですが、夜美も例に漏れずという。
カプとしては穏やか不思議系攻め×落ち着いてるように見えて実は病んでる系受け。
処女非童貞×童貞処女(…だと思う、まず人類に性的に興味無さそう…)。
公式で受け攻めハッキリしてるので立場は分かって居ましたが、ずっと抱きたい抱きたいと言ってた十郎が抱かれるのが面白い流れだとなと。
こういうヒーロー物で、基本ヒーロー側が攻めだったので、受けのヒーローの十郎にはヒーロー姿でのエロありそうだなと思っていたらしっかりと完備+若干の触手責めで非常に"分かり"を感じました。
いや、分かりますよ、ヒーローに触手責めしたいですよね、分かる。
抱きたいと思っていた男に抱かれ、ヒーローとしても抱かれ…色々なプライドが傷付きながらもそれでも夜美を追い求める。
十郎はプライドよりも夜美を選んでいるあたり良い感じに病んでるなと思いました。
この話だけ空気が独特というか…十郎には婚約者が居て女性を抱いてる描写があったり、夜美とは結ばれない、夜美が十郎を受け入れないような空気が流れていて、若干アダルティで寂しい雰囲気で。
タロウが雰囲気を緩和してくれる清涼剤でしたが、それでもどこか音のない雪の中に居るような世界が物哀しく。
そういう雰囲気や、演じているという部分や彼らの立場がヒーローの裏側をどこまでも突き付けていたと思います。
脇役で正統派ヒーローでは無い彼らですが、真相や表を際立たせる為にも必要な二人だったと。
他の話では消えたように見えましたが、なんだかんだ夜美君生きてるっぽいので幸せにはなって欲しいです。
「橋姫」もでしたがADELTAさんはどこか幸せな要素を残してくれるのが有り難い。


後半、「考えるな、感じるんだ!!」力が強く、考察要素が多く、自分と相性が良いかと言われると地頭の問題で非常に悩ましく、全部理解できた!とは言えませんが、それでも楽しむ事は出来たとは思います。
「橋姫」の時のように設定集などが出れば必ずご購入させて頂きます!
非常に全ての要素がオールパーフェクトな作品でした、個人制作の上で雑誌など非常にお忙しいかとは思いますが、今後の展開や次回作など楽しみにしています!