ひっそりと群生

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【お前のスパチャで世界を救え】感想

【男性主人公全年齢】



2020年08月26日配信
『misosio』様
お前のスパチャで世界を救え】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








推しへの愛は、時間を超える!!



『8月31日、Vtuber・春樹花にあが消えた。
 絶望した主人公が目を覚ますと…彼女が消える一週間前の世界に戻っていた!
 コメントやスパチャで応援して彼女の運命を変えろ!』
(公式より引用)



プレイ時間は約1時間15分くらい。
分岐有り。


もし明日、大好きな推しが唐突に消えてしまったら…
そして、時が戻ったら、もしかしたら出来る事があるかもしれない!!!
戻った一週間の中で推しにアピールや推しの情報を集め未来を変えるタイムスリップ物。


まず、自分は「スパチャ」がどういうものか分からなかった所からスタートしました。
YouTube投げ銭機能でスーパーチャットと呼ぶ」
なるほど、作中でもありましたが、コメントと同時にお布施が出来るシステムなんですね…
こういう事を知らない辺りに時代に取り残されてる感があります。


本作はVtuberという二次元であり同時に生身の人間でもある存在との距離感で構成される世界が非常に上手だと思いました。
生きてリアルタイムで存在する、けれども動画やSNSなど消そうと思えば全ての痕跡を消してしまえる。
アイドルが引退するのも確かに悲しいですが、それでも良いとは言えない中で、探ろうと思えば生きている痕跡は辿ろうと思えば辿る事が出来ます。
けれどVtuberは違う、よほど有名じゃない限り無名であればあるほど消えた時に生きている痕跡さえ辿るのが困難になります。
この、「消えてしまったら生きた痕跡を辿るのが不可能に近い」という距離感で消える運命にある推しの未来を変える!というのが非常に上手い距離感というか。
痕跡を辿るのも困難ですが、同時に動画上でコメントや上記のスパチャ機能を使いVtuberと直接交流する手段がある上で運命改変をするという作りが非常に匠だと思いました。
テレビの前のアイドルと違い、リアルタイムで接する事が出来る、しかし、消えてしまったら生きているか死んでいるかも分からなくなる、触れられるか触れられないかのギリギリのラインを生きるVtuber
そんな儚い存在でありながら自分の言葉、コメントには答えてくれる、そういう存在が居たら確かに推したくなる気持ちも分かるなぁと思えて。
自分にはアイドルでもVtuberでも現実で生存確認出来るアイドル的推しは居ないのですが、それでも、主人公や同士の推しに対する想いはしっかりと伝わる熱い一作でした。



『システム、演出』
ティラノ製。
短めとはいえメッセージ速度を変えられないのが少し難点でした。
Vtuber系の作品なのでキャラクターがえもふりでピョコピョコ動くのが可愛らしかったです。


『音楽』
にあちゃんが可愛いので可愛らしい曲が多かったです。
挿入歌、良いですね、ネットアイドルっぽいです、
いちごふぇすてぃばるたすかる。


『絵』
にあちゃん、可愛いよ、にあちゃん。
Vtuberメインなので人間の立ち絵は影絵で、にあちゃんにのみ立ち絵があるのが良かったです。
えもふりでの動きもですが、表情が良く。
皿おじ実況で進めてドヤ顔しているにあちゃん、可愛かったです。


『物語』
文章は読みやすく。
展開も選択肢で分岐しますが、どのEDも選択の結果が反映され、非常に納得の行くEDばかりでした。
現代のオタク文化にとても親密な作品で…
自分はこのVtuberの文化に疎いのですが、今作を通して絶妙な距離感のVtuberというものを体感出来たと思います。
疲れて周りに誰も居ない時に自分の言葉に明るく反応してくれる可愛い子が居たら、推しちゃうよなぁ。
調べてみたら実際の実況の世界では某動画サイトで実際のVtuberが本作を実況するという面白い展開があったり…
こういう現実と二次元の混合は本作のような作品があって形成されるので非常に奥深いと思いました。


『好みのポイント』
推しのVtuberが消滅する運命を変える!
というのが主題ですが、一歩踏み出す毎ににあちゃんと親交を深めたり、そして情報を得ていったり現実で他の同士と交流をしたりする事でにあちゃんの裏側を知っていったり(最初の接し方がおかしくなり他のにあらーにブロックされた時には現実的で笑ってしまいました)。
一番の目的はにあちゃんの活動を存続させる事ですが、話の展開で真実を徐々に知っていく姿が予想以上にミステリーしていて楽しかったです。
真実を知るルートの後半とかかなり謎解きしていたと思います。
推しの存続を救済する!というオタク的要素だけじゃなく、人間関係が関わる謎解きミステリー物としても進める事が出来、二重に楽しめました!!





以下ネタバレ含めての感想です





人は一歩を踏み出すか踏み出さないかで大きく変わる。
主人公が一歩踏み出す毎に、スパチャしコメントを送り一緒に遊ぶ毎に、ににあちゃんとの繋がりが出来ていき。
推しの為に様々な人と話す事で人脈のパイプと情報を得ていき。
大金をスパチャする事でネット上での話題を得てにあちゃんが有名になり新しい真相が見えてきて。
行動を起こせば一人の人間の運命を変える、運命を変える事が出来るというのが、二次元キャラの為が前提にありながらもリアルだなと思いました。
人生そういう所が絶対にあって。
声をかけるのも、お金を落とすのも、交流するのも、調べるのも、何か一歩を踏み出すのが非常に大事だと。
推しは見てるだけでは推しに愛は伝わらない!何か行動を起こすんだ!!という熱い想いを感じました。
いや、本当に、見てるだけじゃ自分の愛は伝わらないですよ…
もしかしたらこの愛によって推しの伸び悩んでいる心が変わるかもしれないし、押しがもう辞めようとしているのを止められるかもしれないし、オタクよ!行動せよ!!という事ですね、分かります。


最後の真相も非常にVtuber…というか二次元らしい展開で。
実際中身の性別なんて分かんないです。
ネカマ、ネナベ、ネットの世界は膨大である。
自分が推してる二次元アイドルの性別が逆な事は当然のようにある。
にあちゃんの中の人が男性だったり、にあちゃんというキャラクターの裏側で様々人のドラマがあり、もしかしたら現実のVtuberもこういう所があるのかもなーと思わせられ、非常にリアルを感じる作風でした。


最後のV-END、あの流れもまた最高で。
主人公がにあちゃんの真実を知り、影響されVtuberに行く流れ。
彼女の隣に立ちたい!という選択肢は最初提示された時「どうするんだろう?」と思いましたが、そうか…なるほど、と。
Vtuberにはある程度の覚悟があればなろうと思えばなれるんですよね、今の時代。
アイドルよりもきっとすぐになれる。
主人公が同じ選択をして、そしてラストの写真で分かるようにまさしく「隣に立った」姿を見た時に、EDの上手さに拍手でした。


自分は製作者様や二次元キャラでの推しが確かに居ますが、三次元や2.5次元…現実に息づいているアイドル的な推しは居ないのですが、一人の人間の為に頑張る主人公の苦悩や行動力など、どの要素も自分に無い物である意味羨ましくとても輝いて見えました。
主人公は間違いなく世界(にあちゃん)を救ったのだ!!
自分も、金銭面でも何でも推せる所がある限り、行動に起こして推していこう!と強く思う、そんなオタク力を駆り立てる物語でした。


ちなみに、BADにだけなかなか行けなくて迷ってましたが、喫茶店で深く話さないで分岐しました。
他は結構簡単だったのでかなり悩みました。
個人的に地下で働かされるカ◯ジED、好きです。