ひっそりと群生

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【インビジブル】感想

【女性主人公全年齢】



2020年08月30日配信
あかつき屋』様 ※リンク先公式HP
インビジブル】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








その不可視にある関係を、想いを、想像して構築して。



『親友である彼女に私は酷いことをしてしまった。
 怒っているだろうか。恨まれてすら、いるかもしれない。
 そんな不安がよぎる中、久しぶりに彼女と会った。
 「久しぶりだね」
 彼女は綺麗に微笑んでいた。』
(公式より引用)



プレイ時間は約45分くらい。
分岐有り、ED6つ。


親友の少女に謝り許してもらおうとする話、アイビー。
少年がずっと語りかけてくる話、ヒマワリ。
電車内での学生の話、デンドロビウム
本作は3つに分かれている小話を読んでいく形式です。
3つのお話は一つで完結しながらもどこか大きな話の一端を担っていて…
数々の断片的な情報を得てプレイヤーが各々で情報を整理していく構成になっています。


リードミーに「考察を楽しむゲーム」「すべての謎がわかる訳ではない」「人によってはすっきりしないものになっている」との記載があるように、全ての物語を結合してもかなり穴の大きな部分が多いです。
その空白部分をプレイヤーが想像し穴埋めするタイプになっているので、考察が好きな人向けではありました。


ホラーな部分も多く、演出がかなりおどろおどろしい箇所があり。
起こった出来事が徐々に明らかになるにつれて登場人物達がどうなったのか…想像するのが非常に恐ろしく。
描かれていない空白が大きい分、想像を働かせる事で様々な人物達の行動や思考を思い描けるのがとても楽しかったです。



『システム、演出』
ティラノ製。
基本機能は全部有り。
ホラー的な演出が一つ一つ上手かったです。
特に文字の変化にはかなり驚きました。
クリア後におまけを見れるのですが、一度ゲームを閉じてしまうとゲーム起動画面でおまけが出なくなります。
一度閉じた場合はなにかしらのEDを見ると再びおまけに行けるので、どこかのED前でセーブ推奨。


『音楽』
オリジナル曲(なのかな?)の透夏が夏の空気を含みながらもどこか不穏で非常に聞いてて不安定になりました。
透夏のオルゴール版の更に恐ろしさが追加され雰囲気が抜群で、所々で音が不協和音になっているのにゾクゾクしました。


『絵』
立ち絵も多く、CGも多く、人物も背景も絵がとても綺麗でした。
夏の爽やかさも、夏の怖さも含んだ雰囲気が最高に作風に合っていました。
立ち絵でのキャラクターのへニャッと笑った顔が好きなのですが、色々と知った上で彼らの笑顔を見ると、怖いです。


『物語』
文章は読みやすく。
キャラクターがコチラ側に話しかけてくる構図が多いので会話が多いです。
物語は、自分なりに時系列とキャラの心情などを考えてはみましたが…
考察系で正解は無いらしいので大丈夫だと思いますが、色々と全方向でホラーだったと思います。


『好みのポイント』
とあるキャラの「ヤバさ」が好きでした。
全体的に見ると怪奇現象よりも「ヤバい」という人物が居て。
この人には制裁が無さそうな所が…怪奇現象ですら逃げ出すんだなぁと思いました。





以下ネタバレ含めての感想です





最後におまけが出た事で主要登場人物全員の名前が明らかになった事は有り難かったです。
えっと、自分なりの時系列解釈なのですが。


主人公、落合明子は片桐美咲と小学生時代からの親友だった。
幼い日の明子が言った「ずっと親友で居て」という約束の通りずっと仲良く寄り添ってきた二人。
けれど美咲は容姿端麗、頭脳明晰で何でも出来、一緒に居た明子は常に比較され続けており不満を抱いていた。
高校に入ってからも美咲は人目を惹き、何人にも告白される。
告白してきた中には大島弘昭も居たが友情が大事な美咲は全員の告白を断っていた。
明子達とは別の所で、明子の所属する女子バレー部部員の二階堂蘭は須藤孝信という数学教師を好きになる。
しかし、須藤は美咲と仲が良いという噂があった。
美咲の人気に嫉妬をした女子バレー部一同は美咲にイジメを始める。
最初は明子は参加していなかったが、女子バレー部の圧と今までの美咲への劣等感に屈し、美咲に「親友を辞める」と言ってしまう。
そして、美咲は飛び降り自殺をした。


…という事が本編前の出来事だと予測しています。
そして本編内では女子バレー部員は次々と謎の死を遂げ。
蘭はきさらぎ駅に消え。
大島は亡くなった美咲の机に常に話しかけており。
明子は様々な分岐により様々な結末を迎えます。
蘭は消えるEDしか無さそうなのに対して、明子は美咲への想いにより命運が分岐する所が面白いなと。
美咲への友情に後悔をすると生き残り、少しでも友情から逸れた行動を起こすと死亡したっぽい描写になり。
蘭も、明子のEDの一つも怪異的に死を迎えているっぽい描写があるのですが…
インビジブル」EDでは誰かに突き落とされた描写になっておそらく死ぬんですよね。
あの突き落とした手は誰なのか。
屋上に居るという点では須藤先生かとも思いましたが、美咲の携帯からメールを送って来て明子を誘っているので、大島でしょうか?
個人的に大島だと思っています。


というか大島、本作は大島のヤバさがヤバいです(語彙力)。
死んだ美咲の机に話しかけているのもですが、美咲の携帯をおそらく勝手に持ち出していて。
フられた描写はあるのに亡くなっても尚、美咲の事を彼女だと言い。
美咲の復讐か面白半分からかは知りませんが呪いのチェーンメールを出し。
いやぁ、一番呪われるべき、怪異に巻き込まれるべきはこの男でしょう!!
美咲に対してのイジメに加担はしてないけどさぁ、けどさぁ、明らかにヤバ過ぎる。
でも、別に彼が死ぬような描写は無いんですよね。
美咲もおまけで結構性格に思い込みが激しいとあるので、美咲自信も死後に怪異を起こしているとは思うのですが。
そんな美咲ですら大島は避ける、裸足で逃げ出すレベルなのかなと。
まぁ、死んだ自分に常に話しかけて来る男には関わりたくないですよね、うん。
なので、須藤先生の実は美咲と深い仲で復讐も考えられますが、個人的には大島が突き落とした説を推して行きたいです。
あの写真の明子をマジックで消すというのも、美咲と仲の良い明子に対しての嫉妬が無いとしなさそうですし。
美咲が死ぬキッカケになったくらいに美咲の心を締めていた明子に嫉妬していた…大島ならあり得ます。
須藤先生はそこまでの描写は本編中やおまけで見かけないので。


しかし、個人的には蘭が可哀想だなと。
おそらく蘭は美咲へのイジメの張本人と周りには見えていましたが、本当の主犯格はバレー部のもっと上の先輩だと思っています。
作中で「勘違いされる」とあるので、蘭の須藤先生への気持ちがバレー部の先輩に使われ主犯格として扱われていて。
本当はきっと、蘭から始めた事では無かったとは。
イジメには加担していそうなので、それ自体は呪いの対象だとは思いますが…
でも、明子はある程度の自業自得感もありますが、蘭の勝手に主犯格にされる「勘違いされる性格」はとても不憫に感じました。
まぁ女子バレー部員、全員怪異の対象っぽいので蘭もその中の一人としてきさらぎ駅に消えたのだとは思いますが…
でも、勘違いされたまま居なくなるというのも中々に損な性格だとは思います。


怪異は本当にあるのか?美咲の呪いは本当にあるのか?明子を落としたのは誰か?
などなど、各々が考察する事で自分なりの解釈で出てきて「確実な正解」は無いのでしょう。
けれど考えれば考える程に様々な可能性が見えてくる。
まさに「インビジブル」、不可視を埋める作品でした。
何が本当か、誰が本当か、全てはプレイヤーの中に…色々な想像を巡らせる事が出来て楽しかったです。
とりあえず大島はヤバいと思いました(n回目)。