ひっそりと群生

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【ゆびきり婚約ロリイタ】感想

【男性向け18禁】



2015年12月31日発売
夜のひつじ』様 ※リンク先公式HP(18禁)
ゆびきり婚約ロリイタ】(PC)(18禁) ※リンク先DLsite.com(18禁)
以下感想です。








生きる事に申し訳無さや罪悪感を抱く人に送られる、生きる事への指標やエールの様な作品。
そして鈴佳と啓人の「申し訳無さ」と「ごめんなさい」で繋がる関係を見守るお話。



『小さな女の子をひきとることになりました。

 「おおきくなったら、けっこんしよう」
 いたいけな約束を頼って彼女はやってきた
 手をつないで、ふたりだけの家の中、
 ぬくもりにとけながら
 愛と愛と体液をやりとりしよう。
 「仕方がないこと」なんてわからないうちに
 だめなおとなにしてあげる。

 縁組み性愛ロリユートピア
(公式より引用)



夜のひつじさん作品15作品目プレイ。
こちらは再プレイになります。
プレイ時間はゆっくり読んで約4時間くらい。
2008年編約1時間10分、2011年編約2時間40分、エピローグ約10分くらい。
分岐無し。


この感想が投稿されるのがいつになるか分かりませんが現在(2021年3月)でロリータシリーズは「相思相愛」「ゆびきり婚約」「お泊まり恋人」「ハーレム双子」「愛欲姉妹」「誘惑なまいき」と6作出ており、その2作目。
このロリータシリーズは数ある作品の中から自分にピッタリ当てはまるヒロインや主人公、シチュエーションや関係を探す物だと思っていて、本作はそういう趣旨で行くなら間違いなく自分にピッタリと当てはまった作品でした。


主人公とヒロインの性格、境遇、境遇から来る思想。
出会い方や互いへの接し方、関係の築き方、抱えている悩みや考えの擦り合せ方、そして辿り着く結末。
そのどれもが自分の中でパーフェクト過ぎて。
「相思相愛」「ゆびきり婚約」「お泊まり恋人」のみプレイ済みなのですが、その中で今の所ピッタリと自分の好みに当て嵌まったのは本作だったりします。
今後もしかしたら他作でも当て嵌まる作品に出会えるかもですが、ここまでピッタリと凸凹が合うように好きだと言える主人公とヒロインと物語に出会えるのは中々に無い気がしていて。
シリーズ2作目でこのフィット感に出会えた事は本当に幸運です。


主人公の啓人もヒロインの鈴佳も、お互いにハッキリとは語られないけれど重い過去や重い境遇を背負っていて。
その背負っている物が自分を押しつぶすかのように辛く、常に申し訳無さを抱えて生きている二人で。
「寂しい二人が出会う」という作品を多く生み出してきたサークル様ですが、その「寂しさ」から発展した形で境遇も重なり「生きている事への周りへの謝罪」を常に続けている二人は本作が初めてで、そういう生き辛さがダイレクトに伝わって来ました。
それでも、そんな重荷を抱えながらも、二人はお互いに納得する形で共に生きていく道を選び。
例え世間から見れば歪な関係に見えたとしても、互いの心を壊さないように大切にする為に求め合う道を選び。
「申し訳無い」「ごめんなさい」と思いながらも、それでも寄り添い生きていく二人は凄まじく美しく、同時に生きる事で常に罪悪感を抱えてしまい暗い場所を生きている人に対しての一つの光明にも見えました。


申し訳無く生きてしまう人間も居る。
だからその申し訳無さを否定するのではなく少しでも受け入れる為に、受け入れて欲しくて。
啓人と鈴佳はお互い受け入れてくれる人に出会い好きになる。
例え二人が選んだ道が世間で言う「ひどいこと」だとしても、二人がそれを納得してそれを支えに生きていけるのなら何も間違いは無いのだと。
「だめなおとな」にされてしまう、それでも「生きていく」事が出来るようになる。
生き辛い境遇の二人がようやく「許し合える」お互いを見つけたお話。
あの日、あの時、あの場所で啓人と鈴佳が出会えた事が良かったと心から思える、そんな作品でした。



『システム、演出』
吉里吉里製。
毎回書いていますが完璧です。
今回は履歴も区切られていて履歴も非常に読みやすく完璧さに磨きがかかっていました。


『音楽』
madetakeさんとwaniwaveさんの曲は全部良いです。
タイトルの「くすりゆびの神様」はタイトル画面放置をしているとジワッと来るのでスルメ曲だなと。
「少女順列」のしっとりとしながらも盛り上がる部分や「あなたはわるい」と「わたしはずるい」は曲も良ければタイトルの対比がそれこそズルいくらいに良くて。
「胸間を貫かれて」は最後に切り替わる夜のひつじさんお約束系の曲なのですが、最後の鈴佳の語りも相まって最高潮に盛り上がります。
この曲に切り替わりEDロールに行くのは反則の領域。
エピローグのタイトルが「予告された永遠の記憶」とかどれだけ完璧なタイトル付けなんですか、満点超えです。
声もまた素晴らしい。
蝉サブレさんは本作から夜のひつじさん作品に参加されていらっしゃいますが、高過ぎずどこかハスキーで、でも小動物系の可愛らしさが溢れ出す声質は本当に聞いてて耳がとろけそうでした。
方向性としては大◯育◯さんのような、独特な小動物系ボイス。
過剰で明らかに作っているのが分かるロリ声が苦手なので、声質から感じるロリというよりも小動物系の可愛らしさで魅了して来た所に撃ち抜かれました。
演技もお上手で、鈴佳のどこか現実に居るような少女特有のませている話し方、そして成長後の若干落ち着いた変化の演じ分けも巧みで聞いていて非常に気持ちの良いほどの演技力でした。
殆どボイスを飛ばせませんでした、素晴らしかったです。


『絵』
今回から夜のひつじさん初参加のうさ城さん。
ぷにっぷにの絵柄が大変愛らしい。
最近では乙女ゲーの原画もされていらっしゃり幅の広さを感じます。
鈴佳の最初の出会い時の無邪気な幼さから再会時の幼さがありながらも年月を感じる大人っぽさもあり。
少女の成長の早さを絵からも感じました。
エロシーンの体位も満点。
啓人と鈴佳の青年少女特有の体格差は見ていて非常に滾りました、体格差は正義。


『物語』
文章力、そして起承転結、どちらも絶対のクオリティを誇るのが本サークル様。
今作も隅々まで良さが溢れていました。
その中でも今作は所々で挟まる主人公の考え方が自分の悩みと同じとは決して言いませんが近い部分があったり、主人公の生き方が目標にしている生き方で理想に近く、文章を読み進めてページが切り替わる度にどの文章も好き過ぎて唸りを上げていました。


『好みのポイント』
なんと言うか、何もかもが好きです。
数ある夜のひつじさん作品の中で白系統、光系統の作品で既プレイ作品内では一番好きです。
どの要素も全てが「好き」で結び付いてしまい、合わない箇所が無かったです。
ダーク系や闇の夜のひつじさんは「純情セックスフレンド」が一番好みなのですが、純愛系統では今作がトップに君臨し続けるかもしれません。
未プレイ作品もある為まだ確定は出来ませんが、自分の生き方の一つの指標になった作品で「ごめんなさい、でも、ありがとう」を申し訳無さだけでなく爽やかな気持ちで言えるようになった作品でした。





以下ネタバレ含めての感想です





結局「好き、全部が大好き」としか言えなくなるので本当に困ります。
全てが自分の好みにハマり過ぎていて、「ドンデン返しなど大きな物事が起こらない上で、恋愛が主軸の二人の世界タイプの固定ヒロインゲー」ではかなりトップの位置にあります。
当時のプレイを思い返して「大好き、とても好み」で再プレイで少しは変わるかなーと思いましたが、全く変わらず「好き」のままでした。
やっぱり「ゆびきり婚約ロリイタ」大好きみたいです。


まず自分は主人公の性格や行動面が駄目だと一気にテンションが下がるタイプなのですが、主人公の啓人が良すぎました。
出会ったばかりの鈴佳に対しての親を気遣った上での接し方、「変わった子」を演じ続けていた鈴佳に対して「彼女には彼女のルールがある」としっかりと相手のルールに従い接した部分、子供だからなどと決して思わず一人の人間として領分を弁えて接した姿に第一印象から好印象ド真ん中。
進めば進むほどに繊細で優しくて、そして直接語られる事は無くても過去に悲しい恋をしていて。
おそらく貴子という女性と結婚直前の同棲までしていたけれど貴子さんが事故に合い他界。
婚約者を喪って夜が怖くなり必死に夜に寝付こうとしていたのが2008年の頃。
冒頭での文章の意味は彼の境遇を察してからようやく分かる仕組みになっていて再度冒頭を読んだ時には別に騙された訳では無いのですが「やられた…」と思ってしまいました。
彼の貴子さんを喪った辛さと言うのは2008年から所々で語られていて。
前作主人公のおかくんは家庭環境が恐らくあまり宜しくは無かった「寂しさ」を抱えた人でしたが、啓人は婚約者を事故で喪った事での「寂しさ」を抱えた人で。
そうやって「寂しさ」を抱えた人で自暴自棄になりそうな中、それでも真面目で繊細過ぎて「良く生きたい」と無理をしている人で読んでいて非常に誠実さと生き辛さに心を打たれました。
自分は誠実な男性キャラが好きなのでそりゃ啓人、単純に好きなはずだわ。


鈴佳も非常に好きなヒロインで見た目と声が超絶好みなのもですが、2008年編で良くは無い方法で試してくる所や彼女の置かれている境遇、一族の大おばさんという一族の大きな立場の人が預からないといけないくらいの少女でありながら、大おばさんが良く振る舞ってていないと悪い目で見られてしまうという位置、おそらく親の方に色々と問題があった子。
それを自分で知っているからどこか引け目を感じていて大人びた考え方も出来て。
2011年編での成長後の前とは全然違う落ち着いた振る舞いとそれでもやっぱり溢れ出る子供の部分、そのアンバランスさ。
前作のまこちゃんが純真無垢で天使のように全てを包み込む存在でフィクション的な少女(ロリータ)なら、鈴佳は善悪を知った上で自分の価値や相手の罪悪感を知った上で自分を受け入れて貰う為に相手を受け入れる現実的な少女(ロリータ)で、鈴佳の方がちょっとずる賢い所が現実めいていて個人的に好みのヒロインキャラでした。
自分は小狡かったり現実を見つめていてイイ性格をしている女性キャラ好きなので鈴佳、好きになるよなぁと。


2008年編と2011年編で分かれたのも非常に好みで。
前作は出会ってかなりすぐの頻度で恋人関係になったので、結構個人的に展開が早く感じる部分があり。
ゆっくりと関係を築いて行ったり、年月をかけるのが好きなので3年の年月が経つというのは非常に好みの流れでした。
2008年には肉体関係が無くただの青年と少女で過ごしたのも良く。
「あの頃の小さな子に欲情を…」みたいな大人としての葛藤が描かれていて主人公の性欲と戦う葛藤描写が大好き派としては読んでいて非常に楽しく悶え苦しむ程でした。
「ゆびきり婚約」のタイトル通り、2008年の約束が2011年にかかって来るのも…こう…溢れ出るロマンが。
約束を交わして約束を果たすの大好きなのでそりゃ好きだ、好きなの仕方ない。


もう何を語っても好きになってしまいます。
出会いから何から大好き。
でもその中で一番響いたのは「申し訳無く生きている人間」に対して焦点を当ててくれた事です。
世の中には謝る事で居場所をどうにか得ている人間が居ます。
謝らないと居場所が無いように感じる人間、常に許されたいと思っている人間。
非常に生き辛く、そしてそんな人間はハッキリしゃんとしては生きていないので周りもそういう腰を屈めて生きている姿を見ていて不快に感じるような人間。
そんな「生き辛い人間」を決して悪とは描かず、そういう人間に一つの生き方を示してくれる、まさに光を射してくれるような作品でした。


鈴佳は特殊な境遇の存在で、大おばさんしか受け入れてくれる人が居なくて、どこまでが許される事なのかを試す事が沢山あって、大おばさんは全てを許して受け入れてくれて。
本当に良い人で、良い人過ぎたから先に自分が壊れてしまって。
そんな周りを見ているから鈴佳は「自分の存在を普通に受け入れていれば人には必ず無理が来る」事を知っているからこそ自分の存在がある事に「申し訳無い」と思って生きていて。
啓人は過去に婚約者を喪った事とそしてきっと元から持っている生真面目さから常に「申し訳無さ」を持って生きていて、そんな中で鈴佳を引き取る事になり「良い人」であろうとするけれど、その事が更に自分を追い込んで行く事にもなり。
鈴佳は啓人が大おばさんと同じく「良い人」だと知っているからこそ、それをし続けると壊れていくしかない事を知っていて。
だから、啓人の欲情は自分にも向けられる事、欲情を受け止められる事を知った鈴佳は共同生活の中で啓人の性欲を受け止め、自分を抱く事は「わるいこと」だからと、「わるいこと」を課す事で啓人の「良く生きないといけない」という負担を減らし。
啓人は小さな鈴佳を抱き「わるいこと」をして悪人になり開放感を得る事で許される感覚を得るのと、鈴佳が全てを受け入れてくれる事に感謝しながらも「ごめんなさい」と言い。
そして鈴佳も自分を引き取ってくれる事への申し訳無さや、自分の身体と啓人の欲望を使って啓人に受け入れて貰う事、同時に真面目な啓人は想いに応えてくれる事を知っていて自分の中の啓人への恋が成就し、成就する事にも罪悪感を感じ「ごめんなさい」と言い。
お互いがお互いに「罪悪感」と「申し訳無さ」を感じ、「ごめんなさい」と言う事で互いの居場所を得る。
けどお互いを想う気持ちは嘘ではないから「ごめんなさい、好きです」と言い合い「好き」を確認し合い恋をしていく。
そしてその「ごめんなさい」をお互いに許していく。


「謝る事が二人の大切な関係性」というのをしっかりと見せつけてくれて。
おそらく一般や世間からは「明るくない」「健康的ではない」と言われるような関係だけれど、それでも二人にとっては大事な関係だと。
「生き辛い人間」が「謝る」事で自分の場所を作っていく姿を肯定的に描いてくれた事に凄く救われて。
この関係を描いて下さった事にひたすら感謝したいです。


自分が救われたのもですが、単純に二次元的な好みとしても「罪悪感で繋がる関係」というのが大好きなので非常に性癖にも刺さり。
その「わるいこと」が、


『「性教育の授業で、自然なことですってわざわざ言うのは、
 ほんとうはわるいことだとみんな思ってるからでしょう?
 わるくないけど、わるいことなんだ」』


とちゃんと性に絡めて展開していく流れも凄まじくエロゲとして美しく。
「皆悪いと思っている、でもしたい事」という「わるいこと」特有の甘美さが描かれてさらに背徳感を掻き立てられ。
最後の鈴佳が子供を生みたいという想いも、


『「こどもがほしいの」』

『「あのね、わたしたちがさきに死ぬの」』

『「それから、こどもが死ぬの」』

『「そうしたらね……わたしたち、いっしょに死んだことになるよ」
 「しあわせに生きて、ずっと一緒にいて……最後まで一緒にいる方法」』

『「わたしたちもうんと長生きして……その子も同じくらい、
 うんと長生きすればいいよね」
 その一言で、鈴佳の考えたことが伝わってきた。
 健康に、たくましく育ってもらって。
 わるいことをしてもあやまってもいい、ただ親より長く生きてくれれば。
 親より長く生きる、ただそれだけでいい。
 自分たちの死を死んだあと、僕たちはその子のなかで一緒に生き続け、やがて完璧に同じ瞬間に同じ死を死ぬ。
 ただ長く、長く生きつづけてくれればいい。
 それだけで親に借りは返せる。
 わたしたちは命を借りて愛のなかに生きている。』


他作ですが自分の中で魂の作品と言えるような作品から「生き物は必ず死ぬのに何故生まれるのか」「それは残し自分が生きた事を伝える為だ」という事を学びました。
確かにただ自己愛だけで生み子をないがしろにする親は決して好きではないです、けれど、自分たちの生の証として子を生む事は種としての本能だとも思いますし、啓人と鈴佳はその境遇から決して子をないがしろにせず健やかに育てるというのが伝わってきて。
だからこそ二人の「子を生みたい」という結論は上記で学んだ「自分が生きた事を伝える為」という事と絡まり非常にあまりにも綺麗で綺麗で。
いつか迎える「死」を同じものにする為に、健やかに「家族」になろうとする二人が本当に見ていて愛おしかったです。


単純にエロの方向性も、「相思相愛」の時よりも「わるいこと」が前提にある分、若干S寄りのプレイになっていて。
愛のあるS系プレイが好きな自分としては興奮させて頂きました。
S系のプレイに辿り着く理由に「わるいこと」をするからというちゃんとした理由付けがされているのも非常に納得できて好きですし、「そのプレイに辿り着くまでの心情や過程」が好きなので満足度が高かったです。
純愛ではあまり引っかからない自分ですがどのプレイも心エロの琴線に引っかかり。
特に後半の制服種付プレイは「鈴佳に中だしして犯す」というよりも「鈴佳に欲望を受け止めて貰う」という方向性になるほどに鈴佳が中で感じる事が出来るようになったのが伝わり非常にエロを感じたのと、バックの種付けもエロいのですが最後の最後では結局正常位なのが二人の愛を感じてエロもですがカプとして良すぎて見ていてドキドキしました。
主人公もヒロインもシチュエーションもエロも好きとか、完璧か?と。


どの方向性でも自分の中での「恋愛主軸カプ系作品」として好みを抉られるシーンしかありませんでした。
ちゃんと互いに気持ちをなぁなぁにせずちゃんと途中で告白して想いを伝え合うのも最高に好きで好きで。
どのシーン、どの文章も好きですが、


『正しくないといえばもうあの頃からただしくなかった。
 借りがある。
 あり続ける。
 生きてるだけで罪を重ねていくように。人に迷惑をかけて、
 もう迷惑なんてかけまいと思って、恩返しをしようと思って生きて、
 その過程でまた迷惑をかけて――借りてばかりのなかにありながら愛に生かされている。
 生きなくちゃと思うのは、申し訳ないからだ。
 申し訳ないと思い続けないと生きられない生がある。
「鈴佳に、借りる」
「うん。かしてあげる。そのかわり、わたしも借りる。けーとのこと、だめにしてあげる」』

『もっとちゃんとするはずだった。
 覚悟を決めて、引き受けて――良いことをしたいと思ってた。
 でもそれだけじゃずっと無事ではいられない。
 悪いことをして、悪いと思って、あやまりたくなって、関係で結ばれていく。
 だってふたりのことだから。』

『わるいなと思う。
 あやまりたくなる。
 あやまって、あやまって、生をつないでいく。
 生きている人にも死んだ人にもあやまりたい。
 ただしい自分じゃなくなりますように。
 あやまる誰かをゆるせますように。
 あやまるあなたを好きでいられますように。
 そうだ――まちがった約束をしよう。
「鈴佳」
「うん?」
「大きくなったら、結婚しようか」
「あはは……。はい。いいですよ、だんなさま」
 あやまり続けていいのなら生きていられるよ。』

『またわるいことをしてしまった。
 あやまらなきゃ。
 それでも生きているから、まだ愛のなかにいる。
 命を借りて愛のなかに生きている。
 生きていつか返すんだ。
 生き返すんだ。』


辺りの表現が最高に好きです。
啓人が本人の気質から幼い頃から抱いていたと思われる「申し訳無さ」と「ごめんなさい」を今の年になって鈴佳にぶつけていて、それを鈴佳が許しているような構図で。
ずっと抱いていた気質からの辛さと、婚約者の辛さと、全てを含めて許して貰っているんだなぁと見てて思えたのと同時に、この文章で自分の中の「ごめんなさい」への重荷も何となく軽くなったような気がしました。


結局、「好き」に辿り着いてしまう為何も言えなくなってしまうのですが、一点だけ要望を言うのなら、「相思相愛」の方にはFDがあるのになんでコチラには無いんですか!!とは思っています。
啓人と鈴佳のエピローグまでの間とか見たいよぅ、見たいです。
自分の中で最好きな二人なので余計に。
エロシーンも回想で2008年が入っていますが2008年のは戯れなのでエロでは無く。
単純に二人のエロシーンをもっと見たい!と思ってしまいました。
綺麗に纏まってる話なので蛇足にはなるとは思いますが…が、やっぱりもっと二人のイチャラブ見たいです!
まぁ「相思相愛」の方は光の夜のひつじさんの集大成で高知名度だとも思うので仕方ないとは思っていますが。
いつかどこかでまた二人の姿を見たい!そんな風に思えるほど個人的ベストカップル&最高の物語でした。