ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【ヴィザルの日記 ~補記~】感想

【男性向け18禁】



2010年06月20日発売
雨傘日傘事務所』様 ※リンク先公式HP(18禁)
ヴィザルの日記 ~補記~】(PC)(18禁) ※リンク先DLsite.com(18禁)
以下感想です。








描かれなかった街の記憶と、その後の彼女と彼のお話。



『大陸南端の港街 セントサウス自治区
 西側区画の通りには昼夜を問わず露店が軒を連ね
 路地を入っても酒場や安宿からの喧騒が聴こえてくる

 いつしか住み慣れた街の耳に慣れた騒がしさ
 裏通りの片隅に事務所を構えるヴィザルのいつもの風景

 いつかなくなってしまったそれらをゆめにみながら
 たしかにいきている

 前作『ヴィザルの日記』に収まりきらなかった4章を加筆修正し、
 『ヴィザルの日記』を未読の方にもお気軽に読んでいただけますよう、
 内容密度の高い短編集に仕上げました。
 全編ほぼフルボイス。
 今回は一部に動画演出を採用。
 コルクの日記も一部抜粋して収録しております。

 記憶を動力源にして動く軟木製のゴーレム「コルク」と、
 裏通りの事務所に居を構える彼の主人「ヴィザル」。
 やっぱり凸凹な二人のゆるやかな日常風景とその後を
 楽しく読んでもらえましたら幸いです。』
(公式より引用)



10作に一個は名作と呼ばれている作品を挟んでプレイしないと心が死ぬと学びました。
というわけで、この感想がいつ投稿されるかは分かりませんが、2021年の40作目、そして雨傘日傘事務所作品のノベルゲーム13作目である「ヴィザルの日記」をプレイ。
これが本当の40作目。
プレイ時間は約1時間15分くらい。
分岐は無し。


前作『ヴィザルの日記』(※リンク先感想)の補記、FD的小話。
「メイコの場合」「学校帰りの八悪童」「きゅんきゅん猫耳メイドマジ狩るヴィザルさん」が初期開放。
いくつか読むと「コルクの日記」「ミミズクの記」。
全部を読むと「紅湖の皇子」が開放になります。


基本情報は本編の方で語っているので省略。
本作はかなり短い小話で本編の方に収録していたら…と思う反面、本編の方に収録しているとかなり本編で心揺さぶられた箇所や興が削がれる部分が多いので、別枠でFDとして存在していたのが良かったと思いました。


エロ関係で初めて静止画を動かす動きではなくアニメーション採用で。
2010年の同人エロゲとしてはかなり滑らかに動き、商業でもこの滑らかさを見かけるようになったのは最近な気がするので凄まじい技術を感じました。
「絵を動かす」という意味では最先端を突き進むのがやっぱり凄いです。





以下ネタバレ含めての感想です





『メイコの場合』
メイコさんのエロと、街の日常話。
メイコさんの過去がほんの少し語られ、彼女も待ち人が居た事を知り少し切なくなりました。
「どんな世界でも幸せはある」、ニコニコホワホワしているメイコさんですが彼女もまた「強い女」だと強く感じました。
水商売系のお姉さんが世界のマイナスを語るのは多いのですが、世界のプラスを語るのは珍しい気がします。
メイコさんは良い女だなぁと。


『学校帰りの八悪童』
上記話から若干続くギャグ話。
公式サイトにある「子供に落書きをされている」という設定が本編ではあまり描かれなかったのでこの話でしっかりと描かれ子供の恐ろしさに震えるメイコさんが見れて良かったです。


『きゅんきゅん猫耳メイドマジ狩るヴィザルさん』
この話は間違いなく本編とは別枠でないと本編で盛り上がった気持ちに変動を来たすほどのギャグでした。
娼館を辞めた後のヴィザルでエロを書く場合、確かにこれだけ無茶な世界にしないと書けませんよね。
三角木馬に触手にやりたい放題、ハッチャケっぷりが楽しかったです。
個人的にメイコさん大好きだったのでFDで活躍されて嬉しいです。
雨傘日傘さん作品の中で分岐無しに明確に「死」が描かれた善人のメインキャラは少ないので本編でメイコさんの最後には唖然としました。
本編の事を考えると凄く悲しい気持ちもありますが、小話でこんな会話もあった事を知ったり、ギャグ時空で楽しそうにしているメイコさんが見れたので少しだけ救われた気持ちでした。
ヴィザルが三角木馬を受けている際のコルクハーレムで今までの雨傘日傘ヒロインズが新規衣装とポーズでコルクを接待しているのには笑いました。
全員描き下ろしのエロ衣装、(おそらく)キザクラさんだけエロい箇所は見せない水着なのが解釈一致でした、キザクラさんはエロ担当では無いので!


『コルクの日記』『ミミズクの記』
コルクとおそらくレライエの記録。
街の別の側面が見れたり、「怨霊」関係での新しい側面が見れたり。
色々と難しい箇所はありましたが、良い世界観補足でした。


『紅湖の皇子』
「紅湖の皇子」「ヴィザルの日記」の11年後の物語。
FDだし戦闘は無いかなーと思っていましたが、しっかりと戦闘があり「やっぱり雨傘日傘さんだ!!」と大喜びしました。
11年後青年になったリアンと、未だに戦い続けるヴィザル。
母、セイルと対峙したヴィザルが今度は息子のリアンと対峙している構図は非常に熱かったです。
「コルクの母」としてのヴィザルは未だに戦い続けているんですね。
個人的には11年経ちおそらく20代になったリアンの成長した姿が格好良く、そしてコルクの言った「責任」をしっかりと全うしている姿にリアンが行った事は街からすれば大罪ではあるけれど、彼の本質はコルクの言葉を無視し全てを踏み躙る事は出来ない、そんな生真面目な部分が中心にあるとは思いました。
決してクズにはなりきれないんですね…生い立ちから境遇、そして今現在まで生き辛い子だなと。
彼はこれからも街の住人を背負続け、そしてヴィザルも割り切る部分はありながらも真っ向から戦い続けるのでしょう。
どちらも真面目で揺るぎない強さと信念があり、「紅湖の皇子」「ヴィザルの日記」それぞれで間違いなく主人公を張る人物達だと思いました。



どの小話も補完として非常に面白かったです。
ただ、分けてるのは正しい選択とはいえ、どうしても短さは感じてしまいました。
もう少しヴィザルの娼館時代のエロや、街の人達の日常と会話を見たかったなーという気持ちもあり。
あと2、3時間くらい小話があれば…!とこの街と住人達が好きだからこそ思ってしまいました。


しかし、本編で確かにエロはありましたが、いつもよりも若干少な目ハードさ低目に感じたので今回の「補記」で初のFDとして出されたのを見ると、「雨傘日傘さん的にもエロが消化不良だったのかな?」とも感じ。
本編は間違いなく本編で完結していますが、いつものパッションで見たら「これが完成型だけど、もっと!もっとエロを描きたい!!」とも思われていたのかな?という部分も感じ、短くてもパッションでエロ要素を込めたFDを作られるのは流石だなーとも思ったり。
今回からエロにアニメーションが付いていますし、エロへの挑戦には余念が無いサークル様だと実感しました。
いつもはあった触手が今作では無かった事に対し、FDでギャグ時空としてでもヴィザルの触手シーンを描かれていたり。
「やっぱりヒロインの触手を描きたかったんですね!!」と。
そういう性癖一直線な所は同人的でとても大好きです。


本編の壮大さを思うとFDとしてはグレードダウンはしているのと、もっと見たい所があった!とも思うので凄いFDとは中々に言えませんが、ヴィザルにもっと濃いエロと触手エロ、FDでも戦闘を描きたいという熱いパッションは感じたので、その部分に関しては非常に見応えがあった一作でした。