ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【あの夏】感想

【男性主人公全年齢】



2017年08月22日配信
GOOD DAYS MAKER』様 ※リンク先公式HP
あの夏】(PC) リンク先ふりーむ!
以下感想です。








忙しく、大人になっても、今日をいっぱい楽しんで。



『忘れてしまったあなたへ』
(公式より引用)


プレイ時間は約20分くらい。
選択肢有り、EDは4つ。


妻も娘も居て仕事こなしながらも、その忙しさの中で精神がすり減っていた主人公。
ある日、祖母の訃報を聞き、祖母の住んでいた田舎に家族で帰る事に。
帰った先、居間で眠り、目が覚めるとそこは過去、幼馴染と無邪気に遊んでいた日だった。


郷愁の中、亡くなったはずの祖母と穏やかに話し、幼馴染と野山を駆け抜け長い長い一日を過ごす主人公。
この郷愁は夢で、一日限りの思い出で。
そうと分かりながらも主人公は過去の中でかけがえのない一日を駆け抜ける。


忙しくなった大人が思い描く「過去に戻りたい」という思いと郷愁が丁寧に描かれていました。
選択肢によってEDが4つに分岐。
最後の選択肢が若干悩みどころですが、おそらく娘の立ち絵が出る方がGOODだと思われます。



『システム、演出』
吉里吉里製。
吉里吉里の基本性能は有り。
音量関係はDLサイトでも書かれていますが、パソコン操作でのみ可能なのでその点だけが不便でした。
それ以外はメッセージ速度などは問題無く変えられる為、ストレスはありませんでした。


『音楽』
音楽はどれもオリジナルだと思われます。
アコギだったりピアノだったり、シンプルな楽器が物語に非常に合っていました。
「追憶」が好きです。


『絵』
立ち絵は基本ヒロインで幼馴染のユカリのみ。
CGは一枚。
ユカリのワンピースをつまんでいる仕草が大変可愛らしく、笑顔が素朴で可愛かったです。
川で遊ぶ一枚絵でのお腹と腰あたりの質感に全年齢作品ですが拘りを感じました。
背景の色彩も最初は白黒で、記憶の中のユカリが登場した辺りで世界が色付き始める演出が好きです。
EDの一つに娘の立ち絵が出ますが、立ち絵を見て「なるほど」と納得しました。


『物語』
ただ幼馴染の女の子と無邪気に遊び、祖母の話を聞くだけですが、過去を見ている視点では大人の主人公も居て。
大人の目線から子供の頃の楽しさにかけがえの無さを感じる話の作りが大人になったからこそ響くものがあり。
後半の祖母の言葉でグッと来るものがありました。
「楽しむ」事がとても大切だと胸に刻まれました。


『好みのポイント』
おそらくGOODかTRUEになるであろうEDが好きです。
こう、なんだかんだ言いつつ、主人公満たされてるなと思いました。





以下ネタバレ含めての感想です





GOODかTRUEと思われる娘の姿が出るEDで主人公の結婚相手を知り「ぐわー」と悶ました。
序盤に妻の名前が出て、ユカリが登場し、作中で何度も「妻との~より」みたいな比較をするので、「今の奥さん比較されてちょっと不憫だな…」と思っていましたが、娘の立ち絵が思いっきりユカリの姿で「そう来たか!」と。
途中でユカリが本名ではなくアイドルの名前から取ったあだ名という辺りで気づくべきでした、まんまと騙されました。
なんだよー、今に不満は確かに持ってるけど、しっかり幼馴染と一緒に大人になり、結婚して娘まで設けて。
更には今に不満を持ってても結局思い出すのは幼馴染の事なんじゃないですかー。
主人公、幼馴染の事大好きじゃん!と「大人になり今に不満を持った主人公が過去の思い出に浸る」というノスタルジックなお話でありながらも壮大な惚気を披露するというお話になっていて、それに気付いた時にニヤニヤが止まりませんでした。
他EDでは娘の姿が出ない為、妻が誰なのかは語られないのですが、他EDで「現実に満たされない」みたいなEDを迎えながらもユカリとは結婚してると思うと…本当に、あとは主人公の気の持ちようだった事が分かりますね。


まさに祖母が言った「同じような毎日で、気づいたら一年経ってるようになったとき」「一年は、何十年経っても、何千年経っても、同じ24時間のままなんだって。いつかそれを忘れそうになったらここに来なさいね」の言葉通り。
そういう当たり前の事を忘れて、当たり前に側に居てくれる幼馴染がどれだけ貴重かも忘れて。
だからこそ「そしたら、ばあちゃんが思い出させてあげるから」の言葉通り、この夏、この日、この軒先で…あの夏の過去に呼ばれて。
大切な事を思い出し、今出来る「今日をいっぱい楽しむ」という事を思い出し、大人になった主人公が今度は娘に幼い頃の遊びを教えていく姿がとても良かったです。


確かに忙しさの中で忘れてしまうものもある、でも、幼馴染のユカリも隣りに居て、手を伸ばせば「あの夏」の過去を語り合える存在が居る。
そして、過去の遊びを伝えられる娘も居る。
そういう大人になったから出来る「楽しみ」。
妻や娘だけじゃなく他にもきっと、大人になったから出来る「楽しみ」は沢山あって。
そういう「楽しみ」を目一杯楽しむ事を教えてくれる一作でした。
郷愁と、そして至高の幼馴染ゲーでした。