ひっそりと群生

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【コンフリクトガール】感想

【百合全年齢】



2020年12月26日発売
『ミラーイメージ』様
コンフリクトガール】(PC) ※リンク先DLsite.com
以下感想です。








苦しめたい、壊したい、殺したい…でも、愛したい。
嗜虐欲と慈愛欲と常識に苛まれ、ギリギリのラインは終わりを迎える。



『――梅雨の気配に空気が湿る、6月のある日。
 試験に向けて勉強を教えてもらおうと、あの子に声をかけたのが始まり。
 いつも優しい彼女の笑顔は、少しだけ、もういないお母さんに似ていた――

 高校生活最初の夏休みを控えた6月。
 『相川のぞみ』は期末考査に向けて、隣に住むクラスメイト、
 『篠塚皐月』に勉強を教えてもらうことになる。
 いつも穏やかな笑みを湛えている皐月。
 しかし親しくなるにつれ、その笑顔の綻びに気づく。
 優しさで丁寧に蓋をして、何かをずっと耐えているような……。
 どこか亡き母に似た少女の見せる儚さに、のぞみは強く惹かれていく。

 ――雨が降っている。
   あの日と同じように、朝からずっと雨が降っている――』
(公式より引用)



プレイ時間は全ED回収で約9時間くらい。
EDは11個。
素直に「物語が良い方向に進みそう」と思うような選択肢を選べば意地悪だったり変化球的なフラグは無い為、比較的簡単にTRUE EDにあたるED11へは辿り着けると思います。
ED11を目指した後に攻略を見ながら真っ直ぐにED回収をするならクリア時間はおそらく約5時間くらい。
ED11をクリアするとゲームのフォルダ内にある「おまけ※ネタバレ注意※」フォルダのパスワードを知る事が出来、フォルダ内には「全選択肢とフラグ分岐」という公式攻略情報があるので、自力クリアを目指さず全EDを回収したい場合はED11後に回収推奨。
ED分岐はフラグと好感度が関係して来るので一部のEDは回収が難しいです。


「百合サイコサスペンスアドベンチャー」とジャンル表記である通り、確かに女性同士の恋愛がある「百合」であり、狂気を扱う「サイコ」物でした。
ですが、その要素が出てくるのは物語の後半からになります。
「常に殺されるかもしれない、何が起こるか分からない恐怖が付き纏う」ような作風では無く、優しい日常の中、友人になった穏やかで優しく。
でもその部分がどこか作られているように感じ、常に密かに緊張状態が漂っていて、そんな一人の少女の危うさが徐々に見えて来るお話。


常に強い緊張感のあるハラハラドキドキで血みどろの「サイコ」を期待していると、ほのぼのとした日常に期待を裏切られるかもしれません。
ですが、日常の中で普通に生きようと足掻いたり、人間皆苦しさを沢山背負っていて生きていて、それでも世界は優しく、救いを乞えば救われる。
そういう「辛いけど、世界は優しい」を描いた作風が好きな人にはとても心に来る作風でした。


絵の雰囲気や周りの人間達の優しさ、作風から漂う空気感から温かみを感じ。
良くない方へ進むBADなEDも沢山ありますが、幸福な方のEDがきっとTRUE EDなのだろうなと思わせる構成で作られた、辛い中でも人の優しさ温かさに囲まれる作品でした。



『システム、演出』
ティラノ製。
基本性能有り。
マウスロールのボタンを押すと出るコンフィグ画面がオシャレだったのと、選択肢での影響や分岐理由がしっかりと物語のコンセプトに絡んでいたのがとても好きでした。
ただ、それなりの長さがあるのですが、スキップがどうしても遅く、一周スキップでも30分~1時間くらいかかります。
一部は即分岐EDなので気になりませんが、EDの2つくらいはフラグでの分岐なのでかなり前からのフラグが関係している為、スキップの遅さもあり回収するのが大変でした。


『音楽』
選曲はどれも良く、シーンに合っていました。
ゲームフォルダ内のメモ帳に「使用曲一覧」があるのも有り難かったです。
BGMの選曲の良さもですが、本作は雨のSEがかなり効果的に使われていたと思います。
様々な事柄が雨が降る時に起きる事が多く、現在と過去、雨の音で繋がる部分が印象的でした。


『絵』
絵が良い、とても良いです。
上手いのもありますが、個人的に凄く好みの絵柄でした。
とにかく表情が良い。
ノベルゲームのイラストレーターさんは一枚絵に特化されているタイプと立ち絵になると映えるタイプの絵を描かれる方がいらっしゃいますが(時には両方上手いという化け物じみた方もいらっしゃいますが)、今作は立ち絵にとても惹かれました。
一枚絵も良いのですが、表情やポーズが固まっている一枚絵よりも表情や動きが付いた時の立ち絵が本当に映える絵柄で、表情が生き生きとしていました。
低年齢向け少年漫画のような、日曜日の朝アニメのようなイラストで温かみがあり、漫画とかで映えるタイプ。
ノベルゲームではこういう立ち絵で生き生きとした絵柄はあまりお見かけしないので新鮮でした。
老若男女お上手で、画風も温かい世界の構築に一役買っていました。
とても良い絵柄でした。


『物語』
静かな中の狂気というか、葛藤というか。
狂気が前面に出ているのではなく、狂気を「悪いもの」と認識していてそれを抑制する為の負担や苦悩などがかなり丁寧に描かれていたと思います。
「開き直ったサイコパスのサイコ劇」ではなく、「普通の世界で普通に生きなければいけない人とズレた人間の辛さ」の方面で、スプラッタサイコ劇よりもそういう心理的に繊細な方が好みなので読んでいてとても好みでした。
文章も上手く、中盤、むしろ後半手前まで大きく劇的な事は特に無い日常が進むのですが、主人公のぞみのちょっとしたボケやツッコミが面白く、周りの人間も個性的で、読んでいて飽きる事はありませんでした。


『好みのポイント』
明るく能天気に見えて本当は凄く繊細で色々な事を考えた上でそういう振る舞いをして場を和ませている主人公ののぞみが地の文から非常に魅力的な存在になっていました。
ヒロインの皐月も綺麗で、そして綺麗な中にどこか危うさがあり、のぞみから見た皐月の魅力や後半での色々と分かった後に過去を振り返ると全ての行動に納得出来る部分など、キャラクターの地に足が付いた性格構成がとても良かったです。
最後は「サイコ」「狂気」の部分を「悪」として非難しするのではなく、「それをどうコントロールするか、どう向き合い変わっていくか」の方向に行った所もまた現代的な解決方法で良かったと思います。
苦しく生き辛い世の中でも、君がいれば生きていける、そんな前向きなお話でした。





以下ネタバレ含めての感想です





今作の一番のポイントは「「大丈夫」や「平気」という言葉は時には人を傷付ける」という所なんだろうなぁと。
皐月の母親との過去、そして母親のそういう言動が皐月を狂わせた事にも繋がりますが、「「大丈夫」「平気」と言い苦しそうに笑い続けた母の表情が辛く、笑顔やプラス方面の表情は悪い物として認識するようになってしまった」という皐月の過去と今の性格形成が判明した時に「うわぁぁぁ」と頭を抱えました。
「笑顔や喜びの良い表情に嫌悪を覚え、苦しみや悲しみの表情を好ましいと思うようになった」、これは辛い、この現実で生きていくには相当辛いです。
言ってはなんですが、現実は「相手の良い表情を喜ばないといけない」「相手を良い表情にしなければならない」というような共通認識があり、「負の感情を好む人間」というのを排除する方向にあります。
そういう人間が居ただけで嫌悪するというか、気持ち悪いと思うというか、ようは「世間では受け入れられない事」。
皐月はそれを幼い頃の母の影響で持ってしまった。
でもそういうのって要は「性癖」なんですよ、自分ではどうしようもない、どうにも出来ない部分。
幼い頃、母と折り合いが悪くなり情緒不安定な中で喧嘩し小さい女の子を殴って、その子が負の表情を見せた時に体付きが小さかった母と重なり興奮を覚えてしまい、それ以降「自分よりも小さな女の子が苦しむ姿」という事に「性癖」が結び付いてしまい。
でも、皐月は「世間」と「常識」を知っていたから自分のそういう「性癖」が「世間」や「常識」ではおかしい扱いを受ける事も知っていて。
それから皐月は自分の本能である「性癖」をひた隠す為、母とは違う人間になりたくて今のようなたおやかな振る舞いをするけれど、でも、それは「大丈夫」と「平気」を繰り返していた母と実は同じ姿だった…という後半の気付く流れが本当に辛く、上手くて。
一周目はのぞみが主人公でのぞみ視点の為、のぞみの方に感情移入しますが、真相を知り振り返ると皐月の葛藤も伝わり、むしろ二周目だと皐月の方に寄り添っていたので今作はダブル主人公物だなと思います。
ちょっとした時の皐月の反応がどれだけ必死に「世間」で生きるために「普通」に生きていこうと必死に行動していたのかが伝わって。
即分岐するEDの殆どで皐月は死を選びますが、「そりゃあ皐月はこの世の中では生き辛いだろうなぁ」というのを感じる為、納得です。
のぞみと出会わないまま、のぞみへの想いを募らせるだけになれば皐月は自分の善性に押しつぶされて死んでしまいます。
なので、ED11後に他EDを振り返ると皐月の自殺に凄く納得がいきました。
ED11後に振り返ると皐月の「諦め」も「崩れ逝く防波堤」も「最期の一線」もどれも脆く。
本当にギリギリのラインで生きているのだなと。


クリア後特典の「キャラクター詳細」皐月の項目で「他人の苦痛を望みながら悪辣を憎む感性も持ち合わせているので、スナッフビデオ等は避けている。」という一文を見て、本当に生き辛い子だなと痛感もして。
皐月は「悪人」では無いんですよね、ただ、他人の苦痛や他人の辛かったり苦しかったりする負の表情が好きなだけ。
他人を苦しめる人間に対しては嫌悪感を抱きますし、犯罪者も嫌いなタイプだと思います。
だからこそ辛い、他人の苦痛が「性癖」でありながら「悪人」になりたかったり「悪人」が好きなわけではないから。
他人の苦痛を見るという事は「悪人」がどこかで発生する確率が高い事だから。
そして、苦痛を一番近くで見るという事は、その「悪人」に自分がなる確率が高いから。
これがまだ「自分はサイコパス!狂ってるから人を傷付けるぜ!ヒャッハー!!」な性質だったらどれだけ楽だったか。
「善人」でありながらも「性癖」だけが負の方向に振り切れているからその落差に苦しみ葛藤し続けるという。
でも、そういう皐月の葛藤が今作の肝であり、今作が「単なるサイコパスが開き直ってサイコに人を傷付ける血みどろサイコ物」になっておらず、繊細なサイコ…というか本能の狂気と常識の間で揺れ動く善意の物語になっていて、「ファッションサイコ系」になっていなかった所だと思っています。


のぞみは皐月の中に母を見て、皐月はそれに気付き「自分に母を求めるなんて…」と憤るけれど、「全選択肢とフラグ分岐」で高感度を見ると皐月の高感度は上がるので、無意識に「母」として見られる事、「母」に近付く事は喜んでも居るのだなと思うと、そういう嫌だという気持ちと嬉しいという気持ちの二律背反も上手く。
結局、のぞみが皐月の中に母を見出していたのは「大丈夫」「平気」と言っており「人に心配をかけたくなくて無理をしていた姿」が重なったからで、その姿そのものが皐月が自分の母になりたくないと思いつつも無意識に近付いていた姿で。
そういうキャラクターの想いが巡り巡って帰って来たり、原初、物事の発端に行き着くみたいな構図が凄く巧みで。
自分がなりたくなかった「母」に近付いていたからのぞみは皐月に惹かれ、「母」のように小さく繊細で可愛い存在だったから皐月はのぞみに惹かれ、お互いの「母」があり、「幼い日の母へのトラウマ」という原初の感情があったから、それぞれ惹かれ合うのが、「トラウマだけれど、だからこそ切り離せず惹かれ合う」という要素で、サイコ物、心理物として隙が無かったです。


のぞみの選択肢の影響も。
プレイヤーは物語的に「こうすれば良い方向に行くだろ」というのを察して、選択肢を選びますが、その「良い方向」というのが、「皐月に好意を持ってもらうような選択肢を選ぶ」事と「周りに救いを求める」この2点なんですよね。
皐月の好意に関しては分かりやすく今作ヒロインである皐月の好感度になるわけですが、後者の「周りに救いを求める」という部分、今作の発端であり最初に語った「「大丈夫」や「平気」という言葉は時には人を傷付ける」部分と上手く絡まっていて。
のぞみが「大丈夫」「平気」と言い、周りに遠慮をすると物語は決して良い方向には向かず。
途中で犯人は皐月でしたが襲われるシーンがあり、それ以降に襲われた事自体に罪悪感を覚え遠慮がちになりますが、そのイベントや普段の言動からも、のぞみも根本的には遠慮する方の性格なのが分かり。
今作はある意味皐月を救う話なのですが、皐月を救う為にはのぞみが皐月と同じ道、遠慮する道を辿ってはならない。
皐月を救う為には愛想笑いや苦し紛れの遠慮をせず、全力で周りに救いを求めないといけない、というのが選択肢で可視化されていて。
ED11での皐月の「母の笑顔が辛かった」という言葉に対し「それは無理してるお母さんを見たく無かったんじゃないの?」と真意を突く言葉と今までの選択肢の意図が絡まり、「真相を知った時のゾクゾク」と「作中全ての行動が繋がった事に気付くゾクゾク」が重なり鳥肌が立ちました。
一瞬の一言で真意を突くような台詞が大好きなのと、「全ての選択に意味がある」というタイプが大好きなので、あの最後ののぞみの一言にはゾクッとしました、凄い好きです。


そういう行動もあって、のぞみは「頼るべき時に人にも頼る」という本当の強さを持たないと皐月を救えないという事実。
そして、元々が明るくムードメーカーで、けれど、繊細で人の事をよく見ていて人を気遣う少女だけれど、本編の流れで父に頼り、先生に頼り、家族に頼り、友人に頼り、本当の強さを手に入れて、今までも光属性だったけれど、それ以上にまさしく真に「光の主人公」になったのぞみこそが皐月を救える存在になれるというのも作中内での成長が見れて良かったです。
今作は皐月の真意を知り皐月を救う話でもありますが、のぞみの成長物語でもあり。
主人公の成長とヒロインの救済という、物語としての王道も貫いていて、見応えがありました。


父に、先生に、家族に、友人に、周りの世界も「救いを望めば助けてくれる」というのを一貫していて。
そういう皐月も含めて「基本は善人しか居ない」所に優しさとか温かみを感じ、サイコ物では確かにあるけれど、サイコだけには囚われておらず、人情物になっていたなと思います。
サイコの部分も、決して人に危害を加えない場合は「性癖」の一言で終わって、「世間」から良い目は向けられないけど法を犯す物では無いため問題は無いんですよね。
皐月の場合それが「性癖」を越えてのぞみに危害を及ぼすからサイコになってしまうので、その部分さえなんとかすれば日常を普通に送っても良く。
板垣の犬の件も皐月が手を下した訳では無いので殺しの前科は無く、人を殴る凶暴性さえどうにかすれば良いのが救いで。
ED11で松本先生がカウンセリングに入ったのは皐月が変わりたいと願ったから手を差し伸べた訳で、周りが皐月の「性癖」を非難する方向に行かなかったのは本当に良かったです。
「それを満たす為に行動を起こす事が問題でその本質を責め立てる事は無い」という、皐月の「性癖」は決して咎めず。
最後には「苦しむ姿が好き」な皐月の原初、母に対して抱いていた想いを自覚させ、それでもそういう「性癖」があった事自体を非難はせず、「どんな皐月も嫌いになれない、ゆっくり皐月が癒やされていけばいい」と皐月を受け入れたのぞみが本当に光の主人公で…百合での美しさもですが、「どんな貴女でも受け入れる」みたいな、そういう美しさがあって。
この負の方に分類される「性癖」の原初を知り、自分に向き合った皐月は今度は正の感情でも喜びを見い出せるようになって。
でもきっと、どんな歪んだ物を抱えていても皐月が皐月である限り、のぞみは皐月が好きで。
「「世界」や「世間」からは非難されるような考えを持っていた事があったり持っているけど、たった一人だけでもそれを受け入れてくれる人がいれば嬉しいし幸せだ」や「嘘の姿を好きになって本当の姿を知ったけれど、それでも好きは変えられない」みたいな作風が大好きな自分の琴線に触れまくりでした。
「生き辛い性格や人格や考え方で生きにくい世の中だけど、貴方が受け入れてくれれば這いながらでも変わろうと思えるし生きられる」「どんな歪んだ物を持っていても大好きで、嘘すらも全て受け止めて好きになる」みたいな作風が大好きで大好きで。
そんな自分からしたらもう、ED11は凄く大好きで、優しく、とても美しかったです。


皐月は、自分より小さく可愛いものが苦しむ姿が好きという「嗜虐性」や最近よく聞くようになった「キュートアグレッション」という「可愛いものへの攻撃性」を持っていて、その原初に「母」が居る限り、男性を好きになる事は無いでしょう。
のぞみも異性への初恋は無く、「母」のトラウマに縛られながら「母」に似ていた皐月に惹かれて居る為、同性愛になる傾向が強い為、二人は「同性が好きになる」のが分かり、間違いなく百合物ではあります。
ですが、単純に「女の子二人が好き合う!百合!」では無く、その性的嗜好に至るまでに納得出来る過去があり、その過去によりサイコな部分が生まれるので、「百合サイコサスペンスアドベンチャー」というジャンルではありますが、それは結果論であり、そのジャンルに至るまでの過程がどれも丁寧で。
単純な「百合」で「サイコ」物とは言えない作品になっていました。
過程や積み上げてきた物、土台が好きで関係性を見出すのが好きな人にとっては最高の百合ゲーになるのではないかな?とそう思います。


ED11がベストEDで至高だとは思いつつ、END9「月の満ち欠け」も好きです。
自分の言葉で人が傷付く顔をするのは満たされる、けれど、自分が酷く振る舞い「悪性」を貫くのは辛い。
でも、もう五体満足で無くなった皐月は自ら死を選ぶ事も出来ず、ただ「悪性」を演じ生きていく。
のぞみはそんな彼女を切り捨てられず、ただ会いに行き自分を傷付けるような言葉を放ち自ら傷付く皐月を見守る事しか出来なくて。
「「大丈夫」や「平気」という言葉は時には人を傷付ける」の究極形というか「自分が苦しむ姿は自分以上に自分を好きな他人を傷付ける」、一種の「自虐」を貫いた結末で痛々しくもコンセプトには沿っていて好きでした。
選択肢の分岐的に松本先生のカウンセリングは凄く重要なんだなと。


「コンフリクト」…「相反する意見、態度、要求などが存在し、互いに譲らずに緊張状態が生じること。コンフリクトにはマイナス面だけでなく、プラス面もある」。
遠慮を決して譲らない事で穏やかな日常の中、どこか微かに緊張状態が漂っていて。
「善性」と「悪性」の間で苦しむ闇の少女を、光の少女が救うお話。
このEDの10個くらいはマイナス面でのコンフリクトだとは思いますが、ED11に1つでもプラスのコンフリクトがあり、そのEDが非常に救われ二人の新たな出発点になっていたので、とても後味が良い作品でした。
自分の好みに突き刺さりまくる百合で日常から日常の崩壊、ラストの救いまでとても充実した時間を過ごす事が出来ました。