ひっそりと群生

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【ナツイロセールトリムSail2】感想

【女性主人公全年齢】



2020年12月24日発売
少年舎』様 ※リンク先公式HP
ナツイロセールトリムSail2】(PC) ※リンク先BOOTH
以下感想です。








全身全霊を全てを出す事が「青春」なら、これが「青春」!
風さえ吹けば前に進めるよ!!



『江の島の学生ヨットレースから、数日が経過した。
 みなとの「青春補完計画」の正体を知った時、
 瑠璃は海に出る勇気を失い、
 ずしお・テレサたちはみなとを救うために行動を始める。

 2017年、高校生活最後の夏。
 「平成」という時代が終わりを控え、来る「令和」の20年代に向けて、
 半世紀近く変わらなかった藤沢の街並みは急速に再開発が進む。

 ヨットのセイルではどうにもならない「時代の風」に立ち向かう時、
 再会の約束を胸に、セーリングガールたちは空を飛ぶ。』
(公式より引用)



プレイ時間は約2時間15分くらい。
分岐無し。
ナツイロセールトリムSail1』(※リンク先感想)プレイ後推奨。
「ナツイロセールトリム」の後編になります。
前作「Sail1」後の物語。
今作はChapter3収録。

「Sail1」最後、衝撃のラストを迎えたみなと。
彼女が「青春」に対し呆れるほど全力を出す理由が判明し、それにより瑠璃は再び海に出る気持ちを失います。
しかし、瑠璃の人生が常にセーリングと共にあったように、新たな出会いもセーリングが連れて来て。
自分の人生の為、そして、大事な友人のみなとの為、瑠璃はアメリカの選手からのセーリングでの試合を受け入れます。
新たな敵、そしてあの夏の敵が今度は味方に。
少女達で新たに結成されたチームは果たして巨大な敵に打ち勝つ事が出来るのか?
「夏×海×青春…×セーリング!」。
大事な人と自分の「青春」の為に戦う少女達の姿が輝く一作でした。



『システム、演出』などは「Sail1」とほぼ同じなので省略。



『音楽』
日常や戦闘の曲もですがEDの曲がとても良く。
とても「青春」に似合うEDでした。
みなとと瑠璃と、そして他の仲間達との再出発をしっかりと後押しする、そんな一曲でした。


『絵』
今回は新たな船の登場により、CGでの表現が特に凄かったです。
船の一挙一動が細やかに描かれていました。
人物画もですが、船の造りや動きを見るだけでも一見の価値があります。


『物語』
熱い、ビックリするくらいに熱かったです。
前作よりも数倍のスポ根パワーが濃縮されていました。
前作で敵だった人達が味方になるだけでも熱いのに、壁のように立ちはだかる巨大な敵を前に「本当に勝てるのか…?」という不安もあり。
圧倒的戦力差があっても、それでも折れずに立ち向かう姿はまさに「熱血」と「青春」。
辛い部分は確かにありますが暗くなりすぎず、皆最後には前向きで爽やかで。
「青春の1ページ」をしっかりと見せつけてくれました。


『好みのポイント』
全編を通して江の島愛が溢れていました。
江の島の海、江の島の風。
江の島の神様は実際に居るのかもしれないと思わせるほどの地元愛。
変わっていく町並みと変わらない海と風。
EDでの風景の変化を収めた写真は地元愛の為せる技。
いつか、江の島という場所に行きたいと思えるほどの愛を感じました。
今年は色々な事があり、ネットで調べた際に江の島でのセーリングは中止というニュースをお見かけしましたが、いつか、テレビや現地で江の島のセーリングを見たい、スポーツにあまり縁がない自分ですがそんな風に思いました。
知らなかったスポーツの世界を知る事が出来、楽しかったです。





以下ネタバレ含めての感想です





みなと…前編の終わりで嫌な予感がしていましたが、やっぱりそうなってしまったかと。
「薬」というワードが一部出ていたので嫌な予感がしていましたが当たってしまいました。
みなとの病、瑠璃のアメリカからの引き抜き。
全てが悪い方向に行きそうな中、持ちかけられた提案の中に「みなとの病もバックアップする」という条件があり、瑠璃は再び戦いに向かう。
あぁ、好き、女性の熱い友情を感じてワクワクしました。
自分の引き抜きの事もですが、瑠璃が一番に反応するのがみなとの事というのがたまりません。
こういう「一人の人間の為に戦う」という展開が好きなので、瑠璃やずしお、テレサ、そして敵だったキャラが味方になってくれる展開が熱くて。
そして本当に「壁」という言葉が似合う鍛え抜かれた男性ばかりの敵に立ち向かう可憐な少女達という構図がまたたまらず。
試合が中継されていましたが、実際このような男性スポーツ選手VS女子高生でのスポーツでの戦いが行われてたらそれだけで目を引きますし、その中に「病の少女」が居たら見てる人の中にスポンサーが付くと思うので、全てが「みなとの病を治す為」に向かって行くのがまた熱さの中に優しい世界があり。
敵もまた粋な人で、大人でありスポーツマンシップがあり。
嫌な人が全くおらず、優しく、全てに爽やかな風が吹いている、そんな作品でした。


全体的にスポ根物として熱く面白く、セーリングというあまり類を見ない作風で楽しかったのですが、3つほど気になった所はあるというか。
1つ目は澤田が「紛争地帯に比べたら~」みたいにみなとの病を語りますが、「分かる、分かるし紛争と比較するとそうなるかもだけど、人の苦しみはそれぞれに重さがあるので…」となり、比べるようなものでは無いな~と思った事。
2つ目はみなとの病が出た事により、セーリング物よりも病気物になってしまったと思う所があり、セーリングよりもみなとの体調を気にしてしまうというか。
「病を治してない病人がこんなに戦って大丈夫??」みたいな心配が常に過ぎってしまいました。
みなとがセーリングで戦うのが物語的には正しくありつつも、こう、どうしても心配してしまい。
現実でとある水泳選手が病になってしまった時も、完治するまで水泳から離れられていたので素人のみなとだと余計に、みなとの体調に気持ちが引っ張られる事がありました。
3つ目は人間関係の構築よりもセーリングと試合と展開の方が重視されている為、瑠璃がみなとに対してここまで全力を尽くすほどの友情を持つようになった過程がちょっとあやふやというか。
本作はセーリングしている所しか描かれない為、そのおかげでスピーディーでストレスフリーなのですが、どうしても日常生活の中や特訓での描写をもっと見て、関係が構築されている姿を見たかったです。
特に前半での削られた一ヶ月での特訓は描写して欲しかったなーと。
敵が味方になる過程もですが、熱くはありますが、一試合戦っただけでは「敵が味方になる展開」というのはどうも完全に乗り切れない所があるというか。
あともう数試合戦って、好敵手の関係を築いてから味方になってたらもっとグッと来たと思います。


セーリング部分での描きたい部分は描かれていて、非常に見ごたえがありましたが、もう少し日常生活も見たかったなーという気持ちがあります。
みなとと瑠璃の関係が良く、「友情の為に戦う」とか大好きなので、過程がもっと描かれていたらもっと感情移入出来たなと。
ですが、セーリング部分の描写は本当に面白く、セーリングや江の島など「描きたい!」と思われている所は描かれていたと思います。
日本では確かにまだメジャーなスポーツでは無いセーリング
今作でセーリングの様々な知識を得る事が出来て良かったです。