ひっそりと群生

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【15歳だった――】感想

【男性向け18禁】



2007年03月09日販売
ああかむ』様 ※リンク先公式HP(18禁)
15歳だった――】(PC)(18禁) ※リンク先DLsite.com(18禁)
以下感想です。








15歳だった、周りに翻弄された、出来る事は限られていた。
それでも、彼を愛していた――



『まだ幼く見えると言ってもいい、一人の少女。
 「まゆ」と名乗る彼女は、出会い系サイトで知り合った男「みくろ」に援助交際をもちかける。だが、待ち合わせ場所に現れたのは、少女よりもさらに年下の――少年だった。
 急速に惹かれあう「まゆ」と「みくろ」。しかし、少年は、急激に成長してしまう奇病のために余命いくばくも無く・・・

 ――と、語る彼女の手記は、真実か?狂言か?妄想か?

 周辺の証言は、その手記を裏切るような無惨な現実を赤裸々に語る。
 手記と証言、相矛盾する2つの語りの間に挿入される、少女の性体験。
 真実を知るのは、ただ一人の人物のみ・・・

 主演・まきいづみ/吉澤友章・画の豪華スタッフによる本格エロティックミステリー。』
(公式より引用)



プレイ時間は約2時間45分くらい。
分岐無し。
知り合いの方にオススメをして頂きプレイ。


本作は「少女の手記」「少女の目撃証言」「少女の体験」の3つを軸に話が進んで行きます。
「少女の手記」は本作の主人公である少女まゆの日記。
「少女の目撃証言」はまゆに関する情報を他者が語った物。
「少女の体験」はまゆに行われた、まゆが行った性的接触の数々。
それぞれの事柄は全て5分以内で終わり、かなり断片的に語られ、進むにつれて何が本当か何が嘘なのか分からなくなって行きます。


謎を突き止める、犯人を突き止める、などの要素は無い為、犯人探し系のミステリーではありませんが、断片的な情報から自分なりの答えを追い求めていくという意味ではミステリーでした。
美麗な絵と、素晴らしい演技と、ダウナーな空気と、アングラでクソのような世界の住人達が保身の為に綴る証言。
そんな救いの無いような世界でも必死に足掻き続けた一人の少女の15歳の記録でした。



『システム、演出』
セーブロードはダブルクリックでしか反応しません。
ボイスリピートも前の台詞のみリピート。
ただ、2007年の同人ゲームだと考えると読むのに不便は感じませんでした。
タイトル画面でBGMが流れたり無音だったりではなく、まゆの微かな喘ぎ声だけが響くのが今まで当たった事がない演出でドキドキしました。


『音楽』
いくつかは聞いた事がある曲があり素材曲かなと。
アングラ系の音楽で作風に合っていました。
一曲、メインの曲があるのですが、それはオリジナル曲な感じ。
音楽鑑賞モードは無い為、曲名は分かりませんが、主人公のまゆの人生に似合った曲でした。
声は流石にいくつかの作品でお聞きした事があるエロゲ声優界の大御所、まきいづみさん。
上手い、凄く上手くて「流石…」と声を漏らしました。
結構商業系だと明るいホワホワ系お姉さんとかでお聞きしていたのですが、こういう生の気力が無いというか、ダウナー系というか。
その中ででも男を惑わす魔性さがあったり、そういう演技もお上手で大御所のパワーを感じました。
そういえば「つよきす」の祈先生の本質もこんな感じで、その時も演技がお上手だったので、思い出しながら芸達者な方だなぁと。
ボイスがまゆのみなので、まきさんがお一人で演技力無双する作品なのでまきさんゲーになっているのですが、わりとこのゲームを引っ張って行っていたのはまきさんの演技力だと本当に思います。
まゆは複雑な環境を持つ為、凄く難しい演技を要求するキャラでしたが、見事に演じ切られていて。
まきさんの演技を聞く為だけでもプレイできて良かったです。
15歳でアングラ世界に入ってしまった少女の繊細な心情を素晴らしい技術で演じられていました。


『絵』
こちらもまた声と同じく本作を引っ張っていた分野です。
絵が良い、凄く良い。
等身が高い系の絵柄が好みなので凄く好きでした。
登場するのはほぼ主人公のまゆのみですが、体型はスレンダーで描写にあるように胸は小さめ。
いや、小さいと言うよりは発展途上の少女で、タイトルにあるようにまさに15歳。
骨が浮いた肋などに幼さがあり、マニアックさを感じました。
大人になりきれていない顔に若干の化粧っ気がある部分も15歳らしく。
絵全体からこだわりを感じました。
ただ、常に首輪と首輪から繋がる鎖が指輪に付いているファッションをしているのですが、それが作中で語られる「学校では大人しい見た目」に反していたと思う所はあります。
夜の街に繰り出す時だけそういうファッションをするとかならギャップとしてとても有りですが、日常生活でもそういうファッションをした上で周りの評価が「大人しそう」や「真面目そう」なので、そこはどうかなーと思ったり。
制服は良いのですが、昼のファッションと夜のファッションを分けて描かれていたら嬉しかったです。


『物語』
売春、援交、イジメの世界の話なので、エロはほぼ凌辱かウリ系。
純愛エロは最後の方に一部あるのみ。
ダーク系なミステリーのエロゲなのでそうなる要素しか無いのですが、まゆの人生の性による悲惨さが滲み出ていました。
「少女の目撃証言」ではヤッてないと言っていた男性や関係無いと言っていた女性が「少女の体験」にてモロにヤッていたり、イジメの首謀者だったりするのはお約束。
誰もが嘘を吐き自分の保身に走っている姿が凄く汚らしくて人間臭かったです。
手記は現実からどんどんかけ離れて行き、証言は嘘に塗れ、体験は救いが無い程に性を踏み付けられる。
そのどこに真実があるのか、そのどれが虚構なのか。
辿り着いた先でも不思議なままの所はありましたが、掴めそうで何も実体が無いような空気感があり、常に翻弄されました。


『好みのポイント』
色んな事が起こりますが、主人公のまゆと、出会い系で出会う少年みくろとの愛だけは本物だったと思います。
何もかもが嘘に塗れていても、そこにある愛だけは本物だったと、そう信じています。





以下ネタバレ含めての感想です





激治安の悪い世界の話で、こういう世界は普通にあるのだろうなとは思いますが自分の人生では隣にすら無かったような世界の為、テレビでの警察密着24時みたいな感覚で読んでいた所はあります。
登場人物見事にクソ、普通の世界で生きてるような人間も出ますが、見事にまゆと関係を持っていてマトモな人が一人も居ませんでした。


そういうアングラ世界をまゆを中心に見ていく話…だと思っていたのですが、途中からクローンの話が出て来て一気にSF感が。
今作はおそらく真相は、
・主人公のまゆは母の名を借りていて本名は「ゆめ」。
・ゆめはまゆの娘ではあるがクローンでもある。
・「手記」はおそらくまゆの物であるが「証言」と「体験」は母のまゆと娘のゆめの物が入り混じっている。
・ゆめはみくろという少年と出会い、恋をするがみくろは通常の何倍もの速さで成長する奇病を患っている。
・ゆめはみくろを救うため、数々の行為を行い金を貯めるが15歳で出来る事は無く、最終的に殺人事件に巻き込まれ唯一生き残る。
・「手記」「証言」「体験」を追っていたライターはまゆの事を暴いて欲しいと依頼を受け、今作の情報を得るが、その後にも続きそうな描写がある。
…これで良いのかな?


「証言」と「体験」がかなりバラバラなのですが、多分母と娘の事が混じっていると思います。
「証言」にて何度も男性が「俺が初体験相手だった」みたいな事を言っており、まゆとゆめの初体験が結局は誰なのかも謎だったり。
まぁ、処女だと嘘を吐きまくって相手の男性をその気にさせていた可能性が高いのですが。
ウリ以外にもイジメなどで凌辱や輪姦などを受けてはいて、エロシーンでは悲惨な描写にはなっていますが、ノリノリで身体を差し出すシーンもあったり、基本的に肉体を使う事にさほど躊躇が無いようにも見えて。
結局は全員まゆやゆめの掌の上でコロコロされていたような印象も見受けられます。


至る所で出没し、男性や時には女性まで性的に翻弄して行く少女。
少女の情報に統一性は無く、証言者によって全く違う側面を見せる。
夜の街、一人の少女が数々の人々を惑わしていく。
ミステリー部分もありますが、一種の都市伝説系の話にも見えました。


クローンの話などで15歳を転機に老いる…のかな?
あまり長く生きられないような描写があったので、15歳というのがゆめの若さの限界でもありそう。
そういう所が冒頭の母親(まゆ)に対しての「実験」なのではないかな?と思っています。
自分の身体を使い性的接触を繰り返す自分なりの「実験」。
こういう考え方も15歳、思春期らしい所があり、思春期特有の危うさという物が空気感やまゆとゆめの行動から溢れていたなと。
タイトル「15歳だった――」はそういう思春期の独特な揺れやクローンとしての一つの転機の年齢だったのかな?とも思っています。


正直、時間軸については分からない所が大きいです。
特に「証言」と「体験」はどちらがまゆでどちらがゆめか分かりません。
この「証言」はまゆ、この「証言」はゆめ、と断定出来たら格好良いのですが、それは叶わず。
何か違いがありそうだなと思いながらも、こういう構造の考察系は苦手なので自分の頭では限界を感じます。
個人的にはクリア後にそれぞれの項目で「これはまゆ、これはゆめ」などの詳細や年表があったら良かったです。
時系列が気になるので、ネット上でこれから他の方の感想も拝見して行こうと思います。


時系列は分からないながらも、ダークでアングラでクソが蠢く裏社会を渡り歩く思春期の少女の物語としては雰囲気が良く楽しめました。
絵と演技と空気感が抜群に良い作品でした。


最後に、DLサイトなどではタイトルが伏せられてるのが面白いなと。
まぁ、このタイトルをモロにはDLサイトでは無理ですよね…分かります…となった所と、そういう伏せにも「まゆの事を表には明かせない」そんな空気があり。
そういう所に現実面とのリンクを感じ面白かったです。
今回オススメ頂き、まきいづみさんの最高のダウナー声に触れる事が出来良かったです、有難うございました!!