ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【はるのあしおと】感想

【男性向け18禁】



なんとなくminoriのノベルゲーム作品を最初からプレイしたくなったので購入part4。



2004年07月23日発売
minori(解散)』※リンク先公式HP(18禁)
はるのあしおと】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








10作に一個は名作と呼ばれている作品を挟んでプレイしないと心が死ぬと学びました。
というわけで、この感想がいつ投稿されるかは分かりませんが、2021年の120作目、そしてminori作品プレイ4作目の「はるのあしおと」に。
(とある作品の感想をとある事情で一つ飛ばしている為、2021年プレイの感想投稿としては119作目になります。)


システム面は7でインストールの際には公式にある「はるのあしおと Windows VISTA/7/8 対応インストーラ」を使用する事によりインストール可に。
初回ディスク認証有り、初回起動後ディスクレス起動可。
プレイ時間は約9時間45分くらい。


メインのライターに鏡遊さんと北川さん、サブで御影さん。
鏡遊さんと北川さんは後に未プレイですが他のゲームメーカーでお名前をお見かけした事があります。
某所の情報だとお二人共、本作が商業初参加っぽいです。
御影さんは「水夏」で文章に触れた事がありますが個人的に「水夏」は呉さんの方の話が好みでした。


田舎から上京し東京の大学時代にずっと片思いをし、相手の女性と友達以上恋人未満の関係だった主人公。
想いを伝えないまま卒業、友人の女性は就職後、職場の男性との結婚を主人公に告げる。
実質フラれ、失恋した主人公は田舎に戻り失恋のショックから引き篭もっていたが伯父が倒れた事により、教員免許を取っていた主人公は伯父が務める女学園で臨時教師として雇われる事になる。
女学園で生徒達と交流し関係を築く事で成長し、今までは告白する事も出来ず、他人からの手引があってようやく職に就いた、そんな自分の足では踏み出さなかった主人公が自らの足で一歩を踏み出すお話。


一人の男の成長物語としてとても完成度が高かったです。
特にヒロイン達との交流では「ココがピークポイント!ターニングポイント!」など強く変化するポイントは無いのですが、とても緩やかな傾斜をゆっくりと上がるように関係が変わって行き、いつの間にか特別な関係が出来上がり、季節が冬を迎え、主人公が教師で居られる時間が残り僅かとなり、このまま停滞する訳にはいかないポイントまで来ているという流れが上手く、派手さは少ないものの、小さく変わっていく人間関係の描写がとても丁寧でした。


そして、グラフィック関係がその物語の少ない派手さを補うように美しく。
目パチ口パチを立ち絵のみならず一枚絵やキャラが居る時には必ず導入。
洋服、一箇所でしか使わないような物を持ったキャラ絵など立ち絵の豊富さは当然とし、背景にキャラが絡まり一体化した絵で進行。
立ち絵のシーンもありますが、それ以上に背景とキャラが一体化した絵で進む事が多く、グラフィック関係は他の追随を許さないほど作り込まれていました。
この手法は今まで他作では「腐り姫」くらいでしかあまり見かけず。
腐り姫」でも背景と一体化した人物画はモノクロ表現だったのに対し、今作は人物画も全てフルカラーな為、スタッフの根気を考えると恐ろしい物を感じました。
EDのスタッフロールを見た時、背景にゆうろさん、配色にこやまさんがいらっしゃってとても納得しました。
ゆうろさんの背景とこやまさんの配色は絵をあまり判断出来ない自分でも一発で分かるくらいに突出したものがあります。
なんとなくですが、人物が一体化した時の背景絵はゆうろさんな気が…あと配色の透明度や光度が高い時の配色はこやまさんな気が…
勿論他の美術スタッフも素晴らしいからこその全体の完成度の高さだとは思いますが、この2名がいらっしゃるのは強いなと個人的に感じました。
キャラ絵は庄名さんとKIMちーさん。
庄名さんは同社「Wind」で、KIMちーさんは別会社作の「ふぁみ☆すぴ!!」で見た事があります。
ただ…うーん…自分は「Wind」くらいの等身が好きだったなと。
今作、あまりにも全員がロリ過ぎて…成人女性ですらロリだったのでちょっと自分の好みの絵柄には合わなかったです。
ムービーは流石のminori、流石の新海さん。
OPは最早2004年の出来じゃないです、このOPを見る為に買っても良いレベル。
EDはまさかの全ヒロイン別にアニメーションがあるという、どんだけお金が動いているのか。
ヒロイン別にヒロインが歌唱するEDがある、までは見た事がありますが、ヒロイン別にEDアニメーションもある作品に当たったのは今作が初めてです。
全編アニメーション系以外で今後このタイプに触れる事があるのか…視覚方面での妥協の無さを感じました。


音楽は今作から天門さんが個人参加。
強く印象に残っている曲は少ないのですが、どの曲も静かだったり穏やかだったり、田舎の空気感にとても合っていました。
歌はOP曲は良い曲だとは思いますが好みとは違う系統。
EDは同じ曲の歌をアレンジと歌詞を変えて各声優さんが歌うというもので、別アレンジverなどが好きだった為、とても好きでした。
OPが有名ですが、手法的に自分はEDの方が好きです。
声は悠役の鷹月さんは悠の元気でどこかウザみが若干あるような明るさを上手く演じられていらっしゃいました。
単純に上手い、流石ヒロイン枠で沢山出られている方だなと。
和役の桜井さんは…ごめんなさい、「Wind」でも思ってたのですがかなり滑舌が甘い為、聞いててヒヤヒヤしましたし、キャラの性格もあってイライラもしてしまいました。
「ら」行が危うく、そういう危うさや甘さが個性を発揮するような声質なら良いのですが、そうでも無く…
上手さを感じない+キャラの台詞はキツイというダブルコンボで聞いてて辛かったです。
ゆづき役のまきさんは流石、パーフェクト、ってか凄過ぎて怖い。
ゆづき、おそらくヒロインの中で一番ややこしい性格や心情を持ったヒロインだと思っているのですが、まきさんが担当で本当に良かったです。
ホワホワお姉さん系の役が多いように見えるまきさんですが、個人的に本領を発揮されるのは闇を背負ったキャラを演じられた時だと思っていて。
そういう意味でゆづきの配役は完璧でした、やる気のない時の声の出し方が完璧。
まきさんの闇系、ダウナー系、やる気ない系演技はいいぞ(いいぞ)。
智夏役の白石さんは本作でしか名前をお見かけしませんでしたが声で分かるというか、アイ◯ス…
とある有名ゲーム原作のアニメをたまたま見て声を聞いた時「すっごい声」とは思っていましたが、まさかエロゲにも出られているとは。
まぁ、大御所さんでも声が特徴的で超音波系の声質の方は80年代とかのエロアニメやエロゲで普通に出演されていらっしゃるので驚く事でも無いのですが、声をお聞きした瞬間に世代的に「あっ…あっ…」となってしまいまいした。
ただ、大御所の方なので演技自体は申し分ないのですが、自分がこの方のお声がどうしても合わない部分があり。
智夏の性格や演技は問題無く好きなのですが、合う合わないの個人的な理由により聞いてて非常に辛かったです。
そして伯父で教頭役の神威さんは、うん、はい、流石に分かります。
移植版のお名前を見て確定もしました。
素晴らしいお声ですよね、一言出すだけで圧がありでカリスマがあるお声。
お亡くなりになっていて色々とあった方ですが、実力はやっぱり本物だと演技を聞いていて思いました。


逃げて、そして逃げ込んた故郷から今度はヒロインを守れる力を得る為、強くなる為に逃げるのではなく一歩踏み出す形で故郷を離れる。
優しくぬるま湯のような場所を離れ強くなる…では、本当にそこでは強くなれないのか?
などなど、一人の男の成長物として各ヒロインEDと最後に見る事の出来るEDの構図などがとても良かった本作ですが、どうしても思う所もあって。
一つ目は成長物なので仕方ないのですが前半の主人公は本当にダメダメな所。
所々の言動が気持ち悪い方面ですし、女子校の先生になるのにあまりにも女子を性的に見過ぎていて引きました。
自分が学生だったら「え…コイツが先生になるの…」と思うレベル。
エロゲなのもあり仕方ないとは思いつつも、女子校の教師のキャラとしては序盤キツかったです。
二つ目はラスト、「主人公がヒロインの為に強くなりたくて故郷から離れる」という流れで一歩を踏み出すのですが、その「故郷から離れる」という理由にヒロインが居つつも同時に出ていく弊害にもヒロインが居て。
3人のヒロインが三者三様見事に面倒臭いヒロインの為、ヒロインと交流し深く知れば知るほどに面倒くささが出て来る為、どんどん疲弊して行きました。
面倒臭いヒロイン大好き党なので好きと言えば好きなのですが、面倒臭いけど魅力的に感じたヒロインが個人的にゆづきくらいしか居らず
悠と和は単純に面倒臭いヒロインで終わってしまった為、さほど魅力的に感じず前半2ルート、悠と和と会話する度に辛かったです。
その上、主人公が片思いしていた白波瀬もまぁた面倒臭い女性で…
学生3人のヒロインや白波瀬の面倒くささもまた「他者に手を引かれるのを求めていて自分から踏み出さない人物」として一貫していたので作品の本質的には合ってはいますが、EDを迎えてお互い成長するまで…特に中盤から後半のヒロインとの会話は胃もたれする物がありました。
三つ目はキャラの絵柄がロリすぎて好みに合わなかった所。
成人女性までロリなのはどうかと…
見た目での好みのキャラが居ないのもモチベーションに響きました。
ただ、確かに合わなかったのですが、今作の物語というかヒロインがかなり現実的な女性の思考をしている為、結構女性的なエグさを持っているキャラが多く。
そういう部分ではロリ的な絵柄で上手く緩和もしていたとは思っています。


話の構成や主題は好き、美術方面も凄い、でも、ヒロイン個人の性格やデザインが好みではない。
そんな感じでした。
話の方向性や流れは本当に素晴らしかったので、面倒臭いヒロインを出すにしてももう少し魅力的に表現して欲しかったです。



プレイ順は
悠→和→ゆづき→智夏
の順で攻略
智夏は最終ルート固定



『桜乃悠 ルート』
元気系従妹。
序盤は普通に良い子ですが、後半でゴロッと闇が出ます。
本作が伯父が倒れた所スタートで伯父の娘にあたるのですが、母親も病気で失っている為、「大事な誰かが居なくなる」事に関してはかなり敏感な子。
その為ルートに入り親密になると徐々に主人公への執着や依存が強くなり、最初に目指していた夢をサラッと諦め「主人公と一緒に居る」「主人公に養ってもらう」と言い出した辺りで「おっ…」となり闇が垣間見え始めました。
そういう悠の姿を見て「このままではダメだ」と思うのと、「悠を支えられるようになる為に強くならなくては」となって行くので、主人公のヒロインの為に成長する姿としては強く描かれていたと。
主人公が「故郷は優しくて強くなれないから東京で教員を再び目指し強くなって悠を迎える」という目標を立てた際に当然のように悠は障害になったり、後半で悠には放課後に遊ぶほどの友人は居なかったなどなど、闇が強くなりますが、最後には精神的に強くなった主人公が悠に「悠の為に支えられるくらい強くなるから」と言い故郷から離れ。
EDアニメーションで悠が東京に向かう姿が描かれるので、途中の依存の辺りでどうなるかヒヤヒヤしましたが、どちらも強く成長していて安心しました。


『藤倉和 ルート』
ぶっちゃけ凄く嫌いです。
初対面、学園で迷った流れで和の着替えを除いてしまい、それから不機嫌に噛み付いてくるヒロインですが、主人公に悪気は全く無かったのに言い分も聞かずずっと怒りっぱなしでキツイ言葉で当たってくるので全く良い気がしませんでした。
中の人の演技力が上手ければ聞けたかもですが、滑舌がそんなに…で演技も上手く聞こえず、上手く聞こえない演技でキンキンずっと感情に任せて非難して来るので会話してると本気で疲れて来て。
更に本人が努力家なのは良いのですが、「自分が努力してるから努力する事が当たり前」とか「自分がコレを出来てるから出来るのが当たり前」とか何でも自分基準に考えてるタイプ。
正義とかも自分基準で考えてるので見てて始終苛立ちました、そりゃゆづきのようなタイプは和が構って来るのに苛立ちもする部分があるわなと。
「自分は絶対に東京に行って勉強する」という目標を掲げ、頑張っていて、頑張る事は立派だけど努力する為に余裕が無く他にキツく接してる印象。
見ててまさに正しさの人で「そうだね、貴女は正しいね、でも自分は正しいだけじゃ生きていけないんだよ、近付かないでね」と何度も思いました。
エロゲなので恋愛関係にはなりますが、彼女のルートが一番恋愛になった流れが分からず。
それまでかなりキツイ言い方をされまくっていて、和を好きになる要素も和が主人公を好きな要素も全く見当たらなかったのでいきなり「好きです」みたいな流れになり???となりました。
恋愛の過程が一番分からなかったルートなので感情移入がし辛いルートでもありました。
あと、さり気なくこのルートで白波瀬が電話で「実は自分も主人公の事が好きだったけれど、主人公が気持ちを伝えてくれないから同僚のプロポーズを受けた、あの日プロポーズを受けた事を主人公に伝えて主人公が好きと言ってくれるのを期待していた」みたいな言い方をして来たのもクソ女力が高くてビックリしました。
自分の気持ちを自分から言わずに相手に察して欲しいとか思ってたのは一緒だとしても、自分のモテを好きな人に伝えて相手を試すとかクソのする事じゃないですか…ならあの時点で「プロポーズ受けたけど私は貴方が好きなの」とちゃんと言っておけという話だし、結果「キミが好きって伝えてくれなかったからプロポーズ受けちゃって結婚しちゃった」とか他人に人生を委ね過ぎでは?
主人公にも失礼だし、結婚相手にも失礼で、男に責任を押し付ける女度MAXでドン引き。
更に電話の最初で「これから酷い事言うけど嫌だったら切って」とかも最悪、この状況で聞かない選択を主人公がしても白波瀬は主人公が聞かなかったと責任をなすり付けられますし、「白波瀬の言葉を聞かなかった…」と主人公は罪悪感に苛まれますし、聞く選択をしても結局は白波瀬に責められるので、白波瀬は自分が有利な立ち位置しか作っておらず。
和ルートの白波瀬の電話によって白波瀬もまた面倒臭い女性であり、他ヒロインと違ってEDで成長も見れない為、自分の中で「こんな女と付き合わなくて良かったな、主人公…」とめちゃくちゃ安心しました。
白波瀬も和も嫌いな女性なのですが、主人公と和の関係を知ったクラスメイト達もまた酷く。
囃し立てて噂をするだけして楽しんでる空気が邪悪。
なんだろうな、悠ルートの時の友達が居ないの件もですが、田舎特有の「地域になると温かく優しいけれど個人が優しいとは限らない」というか「心配してるようなフリで近くにいるけど実際は凄く失礼な距離間がある」というか「近い距離で弱みを見せるとそれを助けるではなく相手の足を引っ張る為に全力で噂をする」というか。
そういう特有の距離間による陰湿さが見え隠れしていて、絵柄的にほのぼのとした見た目ではありますが、和と白波瀬、ダブルの面倒臭さやそういう田舎らしさもあって非常に人間臭い所が見えたルートでした。


『楓ゆづき ルート』
好きな方向性の面倒臭さを持ったヒロインでした。
ホワホワしていてオドオドして大人しいように見えて自分の領域があり、思ったことはスパッと言う為、空気の読めなさがあり。
自己評価が低いけれどプライドはある為、他人に対して申し訳無さや「自分なんて…」と思いながらも自分の領域や自分の価値観を脅かす人に対しては嫌悪を顕にして。
両親に構われずに育った事もあり他者や物事に対して常に諦めを抱いている少女。
相反する物が絶妙に備わっているのでどこか儚げな印象も抱きます。
和に対して友人で優しい人間だとは確かに思っているけれど、和ルートでの和に対しての言葉や、和対し「自分を弱い人間として見ていて守る為や世話をする為、弱い人を放って置けない自分の正義を貫く為に側に居る」という事も思っていて、実際そういう部分も和がゆづきの側に居る理由にはあると思われる為、人間の邪悪寄りの本心も見抜いている部分があり、儚く鈍臭そうだけれど感情に鈍い訳では無い、みたいなそういう傾向に見える子でした。
言ってしまえば若干の精神的のアレな傾向があるというか、悪く言えば空気読めない、良く言えば独自の世界を持っている系。
そういう所を見ると小説の才能があるという設定もなんとなく納得します。
全てを諦めている為、「この場所からは出られない」と言うゆづきと、そんなゆづきを支える為、強くなる為、そしてゆづきにも外の世界を見て欲しい為に自分が出て、ゆづきを東京で待ち続けるルート。
全てを諦めてきたゆづきが主人公と関係を持つ事で主人公が自分の領域内に入り、特別な人になって、外に出る事を諦めていたゆづきが「いつか東京まで会いに行く」と約束をする程に離れがたい大切な人になって行った所がとても良かったです。
主人公のゆづきへの感情も、「恋愛かは分からないけれど、抱きたいと思った」という恋愛感情か分からない中で欲求だけが募って行き、ゆづきに他の女性と違う特別な気持ちを抱いて行く姿が、ゆづきの独特な儚さと絡まり。
基本的に肉体関係から始まる物語はあまり性癖では無いのですが、このルートでは「白波瀬には友情を守る為に性欲を必死に隠してきた」という過去も挟まり、「そういう性欲をゆづきに向けてるんじゃないか?」などで悩み、結局は性欲の事があったとしても「ゆづきの事で頭がいっぱいになっていく」という主人公の姿が描かれ、「例え発端が性欲だとしてもそれだけ一人の人間に対し申し訳なさも悩みも全部向けて考え続ける事は一つの執着である」という流れが生まれ、最終的にゆづきの事で頭がいっぱいになりゾッコンになって行く主人公が、主人公がヒロインに惚れ込む描写スキーとして刺さりまくりでした。
他の人間に対して同じような性欲を向けまくったらただの女好きだけど、一人の人間にそれだけの性欲や悩みを抱き続けたら、それもまた一つの恋ですよ。
逆にゆづきは諦めのヒロインの為、前半は主人公が自分の事を好きだという事をあまり信じておらず、主人公のゆづきへの執着とゆづきの主人公への冷静対応で温度差があったのが、中々に面白く、主人公からの一方通行の想いも好きなので見ていて楽しかったです。
話の流れもヒロインのキャラクター性も、恋愛の描写も一番好きだったルートでした。
ラスト白波瀬が小説家になったゆづきの編集として登場し、和ルートの電話も見ていたので「ヒエッ」っとしましたが、最後で「好きだったよ」「でも今はもっと大切な人が居るんだ」としっかり白波瀬への想いに区切りを付けていたのが良かったです。


『篠宮智夏 ルート』
他ヒロイン攻略後の最終ルートなのが凄く分かるルートでした。
他の学生3ヒロインに対して「ここはぬるま湯で優しい場所だから強くなれない、強くなる為に東京に行く」という結論を下した主人公。
じゃあ、本当にここはぬるま湯なのか?優しい場所なのか?逃げた故郷、逃げ込んだ故郷、この場所では強くなれないのか?の答え。
智夏はこの故郷に居続けた上で保険医になり、主人公への想いを諦めず強く抱き続け、強く生き続けた女性でした。
結局、「場所は関係なく本人の意気込みと精神力さえあれば、どこででも強くなれる」を体現したルート。
序盤では幼馴染の感情しか無い為、智夏からの告白を断りますが、それでも智夏は凹む姿は見せず強く有り続け、フラれても主人公との幼馴染の関係を崩す事無く。
フラれてもそれでも主人公を好きな想いを諦める事無く、笑顔で友人のまま側に居続ける。
主人公には出来なかった「フラれても相手から逃げる事無く、大切な人として適切な距離で側に居続ける」を明るく行い続けた智夏。
変わらない距離のままで、でも智夏はいつの間にか大人になっていて。
幼少期には何でも抱え込んでいた智夏がちゃんと大人の顔、保険医の顔をして、出来る事と出来ない事をわきまえ、自分に出来る事を全力で行う姿。
「生徒の為に自分が出来る全力を尽くす」姿を見ていく内に主人公は智夏に惹かれて行き、今度は自分から告白をする。
いや、分かるよ、智夏良い女だもん。
ラストを飾るに相応しいくらいに良い女。
他ヒロインが成長する為に序盤地雷系ヒロインから始まったとしたら智夏は成長し切っていて、「主人公が本当はなりたかった大人の姿」をしているんですよ。
そりゃこれだけの憧れを見せつけられたら惚れます。
「場所は関係無く人は強くなれる」を貫き、田舎ゲー、故郷ゲーとして最終ルートで「この場所に留まり強くなる」を上手く見せつけてくれたルートでした。
話、ヒロイン共に最高のルートだったのですが…ただ、申し上げたい事が…
智夏の見た目のデザインが好みじゃない事!
何で不人気の緑髪ヒロインにしたんですか!!デカイリボンもよく分からないですし!!!
本当に…見た目さえ良ければ自分の中でパーフェクトなヒロインでした…あまりにも残念な見た目過ぎる。
あとは上記でも書きましたが、声が…うん…
演技は申し分無いので、これはもう好みの問題で仕方ないのですが、もう少し好みのポイントが欲しかったです。



成長物としてとても良く出来た作品でした。
色彩などから感じる冬の掠れたような白い空気感も素晴らしく、ファンが多いのも納得。
個人的に話の方向性は良かったので、もう少しヒロイン個人の魅力を引き出せてたらなーと。
智夏>ゆづき>>>>>悠>>>和、くらいにヒロインの中身の魅力に差があった気がします。
とにかく和の性格がキツかったです。
もう少しツンの部分を穏やかにしても良いのにとは思いました。
ですが、中の人繋がりで和のバイト先の喫茶店で一回だけ「Wind」の望っぽいキャラが出てきたのは面白かったです。


minoriは次回は「さくらのさくころ -はるのあしおと Pleasurable Box-」を予定。
「Wind」の時がスタッフのお遊びFDだったので、そちらの方向性なのかな?と。
昔のインターネットのノリを予想しつつ楽しみにしています。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
 参考攻略サイト様:愚者の館(アーカイブ) 様
http://sagaoz.net/foolmaker/
 はるのあしおと ページ
http://sagaoz.net/foolmaker/game/h/haruoto.html