ひっそりと群生

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【きのこまち】感想

【男性向け18禁】



2006年12月31日発売
TABLET(解散)』様
【きのこまち】(PC)(18禁)
以下感想です。








中学生レベルの下ネタ世界を大人が全力で作ったゲーム。



『キノコが大嫌いなせいで
 チンコも苦手になった彼女と
 つきっきりのエッチな特訓をするアドベンチャーゲーム
 街がキノコだらけだったり、キノコ神社があったり。
 そこの巫女も登場したり。とにかくキノコだらけの世界で、
 2人は無事に初エッチを迎えられるのか!?』
(公式より引用)



商業にも沢山触れたく、シナリオライター別に面白そうなのを追って行こうと思い購入。
今回は同人ですが森崎亮人さんの初単独作らしい「きのこまち」に。
プレイ時間は約2時間くらい。
分岐は有り。


今は亡きChuablesoftのスタッフがChuablesoftを立ち上げる前に活動していた同人ゲームサークルTABLET
Chuablesoftで数作作られた後に作られた作品になります。
一応TABLETの作品は処女作「茜の空に月をみる 完全版」に今年触れましたが、公式が閉鎖している為パッチが無く。
しかも、パッチ内容がルート分岐系のバグの修正だった為、メインのルートに進む事が出来ないらしいバグに引っかかりどうする事も出来ず途中退場しました。
一応出来る範囲でのプレイをした「あかつき」は、処女作で古い作品なのもあり、色々とシステム周りが宜しく無かったのですが、「きのこまち」はその辺りの改善がしっかりとされており、商業で得たノウハウも加わり非常に出来が良かったです。


その商業で得た技術で全力でネタに走るから、それはそれは面白く。
全体的に酷く(褒め言葉)て笑わずにはいられませんでした。
中身はもう、中学生レベルの下ネタ世界のオンパレード。
というか、あらすじからして酷い(褒め言葉)。
キノコは好きかー!マーラ様は好きかー!!タケリタケは好きかー!!かなまら祭は好きかー!!!
うんこちんちん好きで、キノコにフフッとなって、コ◯コ◯コミックのギャグを心のバイブルにしている人なら確実に刺さるかと思われます。


キノコが常に異様に生えていてキノコが信仰されている街に住む主人公の啓介と彼女の奈々。
大のキノコ嫌いの奈々は初エッチをしようとした時、啓介のイチモツが大嫌いなキノコそっくりで驚き、啓介を拒んでしまう。
街の歴史から背景のいたる所までキノコ尽くし、決してキノコから逃れられないこの街で、果たして二人は無事にエッチをする事が出来るのか!!?
という所から始まる物語、もう、始まりから酷い(褒め言葉)、最高。
キノコが男根のメタファーどころか、完全にキノコ=チ◯コで進んで行きます、これにはフロイトさんもビックリ。
本当にやってる事は下らなく、満遍なく中学生か???と言いたくなりますが、どんなに下らない内容でも全く手を抜いてはおらず。
話に絵に演出に、全てがノベルゲームの作りとしては高水準で出来が良く、そういう姿勢に好感が持てました。


大人が全力で妥協無く小中学生レベルのバカをやるとか大好きなのでそりゃあ好きにならない訳が無い。
商業に行ったスタッフの全力お遊びを同人で見る事が出来、とても楽しかったです!


以下、今回は同人ゲームなので同人ゲームの書き方で感想を書いていきます。



『システム、演出』
吉里吉里製。
基本性能全部有り。
スキップは既読スキップ固定で、シーンスキップも有り。
アイキャッチなども豊富でマウスカーソルもキノコになります。
マウスカーソルが変わるシステムは気が散る為あまり好みでは無いのですが、今作は世界観が世界観なので作りが細かく笑ってしまいました。
音の演出も良く、文章で書かれないボイス演出も光っていました。


『音楽』
音楽はChuablesoftでもおなじのけんせいさんが参加、片方にニリツさんという方も参加。
好みの曲はそんなに無かったですがBGMとしてはどれも高水準だと思います。
BGM鑑賞モードを見た際に全曲に「ドキドキ」という単語が入っているのに驚きました。
OP曲は音楽鑑賞モードには無いのですが、歌唱が井上みゆさんで電波度が高く良かったです。
声は主人公含めてフルボイスでエロシーンにも全部声有り。
主人公にも声付き大好きでエロシーンで声がフェードアウトしないタイプが好きなので聞いてて楽しかったです。
三人称視点の文章なのもあり、主人公にも声がある事で一人のキャラクターとして俯瞰的に見れて、この下らない(褒め言葉)世界を存分に楽しむ事が出来ました。
ヒロインの奈々とサブヒロインの舞、主人公の啓介と主人公の父の大輔に声があるのですが、聞いてて女性陣よりも男性陣の方が上手く感じるという謎な感じに。
情報サイトで見た所、男性陣の方が出演本数が多く、名義の関係もあるので絶対とは言えませんが、上手さを考えると納得。
主人公役の永倉さんは台詞が多いのもですが、今年「恋ノ橋」という同人ゲームの店長役でもお上手でやっぱり今作でも上手く。
父親役の河村さんも父親が濃いキャラだったので良い感じに演技で引っ張って行っていました。
男性陣の演技が上手いとテンション上がります。
更には文章で表示されないSEとしてのボイスが凄い。
授業中の教師の声や主人公がヒロインと話している後ろで何度も声が流れて、それを聞くだけで作中には登場しないキャラも濃く描かれ楽しめました。
何かを選んだ際など所々で聞こえる加工したような声を放つキノコ声SEにとても味がありました。


『絵』
絵はChuablesoftでも原画を担当されているぎん太さん。
「あかつき」の時にはのっぺりしているな~と思っていましたが、間に商業を担当された事でかなり画力が上達されていらっしゃいました。
立ち絵は主人公も表示されるのと男女含めて差分が多く見てて華やか。
文章表現もあり舞台を見ている感じが楽しかったです。
CGも欲しい時に欲しい絵があり、塗りも構図も綺麗でマイナス要素が無かったです。


『物語』
三人称視点。
今回森崎さんの文章に初めて触れましたが、「面倒くさい男女を描くのに定評がある」とお聞きしていた通り、所々に面倒くささが垣間見えて評判通りでした。
今作がギャグアホエロ作品なので、そういう部分は薄くはありましたが、主人公の思考や舞の思考が時々面倒くささがあり。
アホエロで描かれてはいますが「初体験を失敗した男女」の話の為、そういう性の関係の悩みがちょくちょく出てきた際に「これは…」となる部分が多々ありました。
「初体験の失敗」のジメっぽさをキノコの世界観で上手く誤魔化していた所もあると思います、この世界観じゃなかったら暗い話になってそう。
文章もまた独特というか個性的で。
メッセージウィンドウに入る文章が3、4行ある為、ノベルゲームとしては長めの文章なのですが、ひと目でサラッとは読めない文体ではありました。
ひと目でサクッとは読めず、一瞬止まって読まないと内容が頭に入り辛いタイプ。
流し読み出来ないのは個性的だとは思いますが、ノベルゲームとしては癖を感じたので、好き嫌いは分かれそうです。
文章を読めてるか微妙なので上手くは説明出来ませんが、表現が所々独特な方だとは思いました。


『好みのポイント』
上記でも語りましたが、絵などでは全く登場しないキャラもバックボイスでインパクトがあったり見えないキャラと主人公との関係が見えたり。
授業中の教師の声などは、舞台である街の事がかなり語られて。
正直、主人公とヒロインで回る物語なので、街の歴史とかは全く話には絡まないのですが、授業の説明を聞く限り街の生い立ちや歴史がとても作り込まれた物だというのが分かります無駄に(褒め言葉)。
いや、本当に無駄なんですよ、だって話には絡まないので。
そういう世界設定を無駄に凝る、無駄な所にも全力投球な姿勢が凄く好きです。
あと、本作はDL販売などが無いため中古で購入したのですがしっかりと帯が付いており。
森崎さんが「Fate/hollow ataraxia」にサブで参加された関係か奈須きのこさんが帯文を担当されていらっしゃいました。
この世界観で奈須「きのこ」さんに帯をお願いするの…ズルいでしょ!!
奈須さんの文章も面白い上に意味が分かった時に更に笑ってしました。
ゲーム外のこういう所にまで手を抜かないの、本当に称賛します、どこもかしこもキノコキノコキノコ…キノコにゲシュタルト崩壊を起こしそうなゲームでした。





以下ネタバレ含めての感想です





このアホエロ下ネタのゲームにネタバレも何も無いのですが、最初の選択肢「奈々と一つになりたい」で速攻にED分岐するのも面白く。
更にその後、選択肢が出る度に定期的に「奈々と一つになりたい」の選択肢が出る流れも主人公が未練がましく含み笑いをしてしまいました。
正直、奈々のキノコ嫌いになった原因などはこの速攻分岐ED(攻略サイト様ではノーマルED1表記)で全部謎が判明するので、話を知るだけならこのEDだけで何とかなるという。
しかも奈々と正常位でノーマルエロをするのはこのルートだけなので、エロ的な王道で行くならこのEDが無難ではあります。
…が、しかし、この作品は一種の焦らしゲーだと思っていて。
奈々のキノコ嫌いに付き合いながら、本番をする事無く他のプレイだけはこなして行くのが今作の楽しみ方かと。
前戯をしまくるタイプや本番をせずに他のエロ行為の経験値だけ上がっていくタイプが性癖の人には確実に刺さる部分があると思います。
というか、自分がそのタイプなので、アホエロ世界に笑いつつもしっかりと性癖には刺さって来て、少し悔しかったです。


基本は彼女の奈々とのエロプレイだけですが、一部ルートでは奈々の事が大好きでキノコ神社の巫女である舞も加わるハーレムEDも有り。
奈々は舞の介入は喜びますが、主人公の初めての相手だけは絶対に譲らず、舞が誘って来た際も颯爽と現れ妨害した展開はとても好きでした。
彼女持ち主人公でハーレム化した際に、彼女じゃないヒロインに初挿入が苦手で…ハーレム化しても彼女第一が良いので、そういう所は奈々も譲らず、話の展開も奈々一直線でとても好ましかったです。
彼女以外のヒロインと初体験とかしちゃったらそれは修羅場で一気にアホエロ感が減るのでそういう意味でも良かったです。
ハーレムEDでは、どちらに挿入する事も無く、貝合せに加わる感じでエロが展開されるのも好き。
ズッポシ挿入好きですが、ハーレムであえて挿入無しで描くのが斬新で。
舞は主人公よりも奈々の方が好きなのも合わさり挿入しない事で百合力が増し良い展開でした。
あと、挿入しない事で貝合せの間からキノコ(比喩)が出ているCGになっており、よりキノコ感が出ていたと思います。


トゥルーEDにあたるEDは焦らして焦らして焦らした上で奈々の方から騎乗位で挿入するという物。
焦らしプレイや主導権女の子のシチュが好きな人には性癖に良い感じに刺さるかと。
騎乗位もですが足コキもあったり、焦らしも含めて中々に弱M向けな要素が強かったです。
しかしトゥルーなのに奈々のキノコ嫌いの理由は明かされない所も構成として面白いなぁと。
もう片方のノーマルEDにはエロすら無いですし…
話にすら焦らしがあり、そういう作りもまたこだわりというか細かさがありました。


オマケのキノコ用語エロシーンも必見。
いちいちキノコに例えてエロシーンを表現するその表現力に笑いと謎の語彙力の凄さを感じました。


アホ!エロ!下ネタ!の世界を真面目に全力で作り上げた一作。
なんというか、こういうの好きなんですよ!技術力のある大人の全力のバカ騒ぎ大好きなんですよ!!
オモ◯ロとかニ◯ニ◯技術部とか、そういうノリが大好きな自分にドンピシャな作品でした。
森崎さん目当てでプレイしましたが、予想以上に好みの作風に出会えて良かったです。
今後も森崎さんの単独作品に触れて行こうと思いますが、初手で良い作品に出会えて嬉しかったです。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:Star Light Garden 様(現在閉鎖)
http://serenhoujyou.blog39.fc2.com/
 きのこまち ページ
http://serenhoujyou.blog39.fc2.com/blog-entry-1707.html