ひっそりと群生

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【パペット・プリンセス ~傀儡姫。わたしは、操り人形~】感想

【男性向け18禁】



2005年08月26日発売
ぷちぱじゃま(解散)』※リンク先公式HP(18禁)
パペット・プリンセス ~傀儡姫。わたしは、操り人形~】(PC)(18禁) ※リンク先Getchu.com(18禁)
以下ネタバレ含めての感想です。








プレイ時間は約4時間45分くらい。
パッケージ版を購入しましたが7ではインストールは可能ですが、起動は「Alpha-ROM」に引っかかり不可。
サポートも終了している為、DL版を購入。
DL版は7でもインストール、起動可。


最近連続で純愛物、白パケ系ばかりプレイしていたので黒パケ系にも触れたくプレイ。


孤児で親戚の居なかった主人公の昴は5年前、とある町で巨大な権力を持つ大富豪で人形師の東馬恭二の養子になり、孫娘の奈緒の許婚として東馬家を次ぐ事を決定付けられていた。
奈緒と兄妹のような仲を築きながら日々を生活する主人公の目の前に突然穂香という少女が現れる。
今まで穂香と接点が無かったはずだったが、穂香は当たり前のように元から居た主人公のクラスメイトとして振る舞う。
そんな穂香に不思議な感情を抱きながらも彼女から目が離せない中、誕生日が訪れる。
義父の恭二から「夜の学校で人形を犯せ」というメールを受け取った主人公が夜の学校に向かうとそこには穂香が居た。
自分の事を「人形」と言う穂香。
義父の命令に逆らえないままに命令で穂香を犯す主人公。
学校ではクラスメイト、東馬の屋敷では主人とメイド。
そして、夜は犯す者と犯される者。
二人の歪な関係が始まる。


人形師の富豪が力を効かせている町らしく屋敷の中や学校などいたる所に配置された人形。
人形から溢れ出る異質さに加えて仄暗い館や町の空気に浮世離れした少女の穂香。
話が進むにつれて事実や人々の記憶が曖昧な物になり、一貫性が無くなっていく世界。
定期的に入るリアルな西洋人形のアイキャッチ
包み込む世界観が暗く、恐ろしげでホラーな空気があり、空気感や世界観がとても好みでした。


エロの方向性も「「人形」としてあてがわれた少女と命令に背く事が出来ない少年による行為」になっている為、主人公自身が望んで行為を行うのでは無く、命令が前提にあるのでどちらも「被害者」という立ち位置。
その立ち位置があるのに加えて穂香も何らかの裏で抱えた感情がある為、主人公に対して嫌悪や憎悪を持っておらず、むしろ主人公の行為を何でも受け入れるので凌辱にはなっていない関係が面白く。
ジャンルとして見るならライトな調教系という感じ。
むしろ最初の出会いから穂香に対して無視できない感情を抱えているのに加えて進めば進む程に主人公が穂香に恋愛的にどんどん惹かれて行くので、肉体関係から始まる純愛物というイメージでした。
しかも主人公は穂香に他の男性が絡むと嫉妬に近い感情を見せたり、BADに凌辱展開があるのですがそれに対しては怒り狂いますし…「不思議な雰囲気を持つヒロインと、ヒロインに惹かれて行く一途な主人公」という点では空気的に男性向けというよりは女性向けティーン系のエロの方向性に近い気がします。
主人公…男性側が圧倒的権力を持つ富豪の関係者で女性側…ヒロインが独特な空気を持ち学校などでイジメられるイジメられっ子で、そんなヒロインに肉体関係から始まりつつも主人公が惹かれて行くという構成はかなり女性向けにあるタイプ。


絵柄の方向性はこげ◯んぼさんやPE◯CH-P◯Tさん寄り。
目が大きく等身は低くキラキラした塗りで現代の少女漫画の絵柄に近いので、絵柄でも女性向けティーン系要素を補強していたと思います。
原画担当のモカモカさんの絵は女性も可愛いですがエロシーンでの男女の絡み絵がめちゃくちゃ好みで男性の体格も上手く。
主人公の大きな身体に包まれたヒロインの絵面が大変そそり、男女が絡んでいる絵柄が凄く映えて居たのでどのエロシーンも見ていてとても楽しかったです。
とても好みの絵柄の方で原画担当の他作を調べましたが、ぱじゃまソフト系列の他の作品と今作の2作しか参加されておらずとても残念。
ブログなども止まっている為、現在の活動が全く分からず。
とても好みの絵柄なのでもっとエロゲに参加して欲しかったです、この絵柄で男性向けエロゲを見たい人絶対居ると思います。
背景も文句無しに綺麗。
館の気持ち悪さや沢山の人形もですが、世界設定の根底が「箱庭世界」なので、途中で「箱庭」の設定を出していく流れの中で「区切られた空」や「出られないけれど電車は止まる駅」など細かい所で背景によって「箱庭世界」を補強していたと思います。
グラフィック面は間違いなく美しく2005年というのを考えるとかなり高いクオリティで満足でした。


エロの方向性は確かに男性向け寄りですが、全体を取り巻く空気感やグラフィック、主人公とヒロインの関係などがかなりティーン系女性漫画のノリという印象でした。
エロも個人的には超好み。
「誰かに見られるかもエロ」とか「見られながらエロ」が好きな人には最高だと思いますし、一応奈緒ルートはありますが基本ずっと相手が穂香のみなので固定男女カプが好きな人にはたまらないかと。
エロで一番のニッチだと思ったシーンは「夜の学校で全裸散歩で放尿」…かな?自分基準なので危ういですが、これ以上のニッチエロは多分無いと思います。
BADで主人公が押さえつけられてイジメっ女子の指示で他の男子から穂香が輪姦されるシーンが1シーンだけありますが…まぁそこはBADルートなので。


音楽は昔エロゲのムービーを集めている時に今作のOPを見つけ、OPの「MORAL」がとてつもなく好きでした。
今でもダーク系エロゲソングで好きな曲の上位に来ます。
この曲の為に収録CDの「PENCIL VOCAL COLLECTION 03」やメーカー購入特典のサントラCDを探して買ったりしました。
BGMもゴシック調だったり優雅な中に暗さがある曲が多く、作品に合っていて良い感じ。
「Common」は「MORAL」のアレンジ曲なのですが、この暗い主題歌が編曲で明るい日常曲になっているのに驚きました。
声は穂香役の大波さんは細々とした静かな話し方が良く、後半の低い声で「世界」を語る時のゾワッとした怖さが上手かったです。
奈緒役の安玖深さんは妹系キャラで流石の演技、明るい妹系強過ぎます。
…そしてこの2名、前にプレイしたゲームでもヒロインで出ていらっしゃり巡り合わせに驚きました。
声優さんで選んでプレイしていないので不思議な縁だなーと思いながらプレイしました。


世界の真相は「ここが夢の中で奈緒が実の妹であり、奈緒の夢の中に引きずられた主人公を穂香が追って来た」という物で、所々の世界の歪みやキャラクター達の危うい言動から一応は予想の範囲内でした。
「主人公の夢かな?」と中盤では思っていたので、その部分に関しては裏切られました。
「現実で何が起こったか」は一切語られない為、「何故現実で奈緒が眠っていて起きられない状態なのか」は謎のままなんですよね…
「主人公の本当の妹だったけれど主人公を恋愛で好きで、でも主人公には穂香という恋人が居た上に自分は寝たきりだった為、主人公を自分の夢に引きずり込み義妹となって許婚になった」という真相が根幹にあるのですが、奈緒が事故で眠っていたのか病気だったのかは謎のままですし、境遇が確かに不憫で「世界」を作ったのは奈緒であり、奈緒ゲーに見えますが、本作の中で奈緒は穂香を何度も忘れますし、穂香に対して現実の件があるからか良い感情を全く向けず強く当たりますし。
更に自分が作った世界で他の人物達は人形で、その人形を操り穂香をイジメているっぽく、BADには男達(人形)に穂香を犯させますし。
その犯させるBADも指示をするのは穂香をイジメている少女の公子ですが、公子も人形の為、命令系統を考えると奈緒→公子→男達になっていて…イジメや命令ですら自分の手を汚さずに穂香を陥れるのがめちゃくちゃ性格悪いので、いくら境遇が不憫でも奈緒に肩入れはしたくないんですよね。
クソ悪な性格で子供っぽい言動してるのも癪に障りますし…奈緒に対して良い印象が全く無い。
どんなに主人公に汚されてもイジメられても主人公を一生懸命現実の世界に戻そうとしたり、どんな目に合っても主人公の妹である奈緒も心配する穂香が圧倒的ヒロイン過ぎて、根底に「動けない奈緒の夢の世界」というのがあっても奈緒に同情は出来ませんでした。
穂香ルート以外では基本主人公を夢から出させてくれませんし…奈緒の我儘だけで世界が構築されてるのがやっぱり性格悪い子だなと。
主人公が現実に帰還するルートでは寝たままみたいですし…まぁ、やむ無しという感じ。
奈緒ルートで語られる「東馬の家に兄妹で引き取られた後、主人公が義兄になった」というのが現実の話なのか夢での設定なのか分かりませんし、「母方の小野寺の家は夢織りという夢を操る能力を持つ」という設定も後半でいきなり登場しますし、もう少し現実方面の描写があったり、設定をちゃんと本編に張り巡らせて欲しかったです。


あとは、話の中で「謎」を仄めかせますが、もう少しコンパクトに謎を張って話を進める事が出来たと思います。
ダラダラと「意味深」「意味深」「意味深」で進むので、ダレた所がありました。
エロに関してはシチュエーションなど好みで良かったので、そういう「意味深」の部分を減らしてエロに当てた方がテンポが良かったと思います。
「世界の謎」に関しては肩透かしを喰らいますが、雰囲気やグラフィック、穂香へのライト調教エロゲーとしてはとても良く、雰囲気を求めたり、「少女漫画的絵柄とティーン女子系の男女関係での男性向けエロを見たい!」という人にはヒットするエロゲだとは思います。



プレイ順は
BAD回収→穂香→奈緒
の順で攻略



『BAD回収 ルート』
穂香が凌辱されたり、凌辱はされないけれど世界から脱出は出来なかったり。
謎は謎のままですが、町の人間が人形だというのが開示されます。
ダーク系っぽく穂香の輪姦があるのですが、そのシーンで主人公が何も出来ないけれど怒っているのが好きでした。
現実の関係が恋人なのもあり自分が調教するのは良いけど他の男が触れるのには腹が立つとか…ヒロインへ一途系主人公が好きな自分としては主人公から穂香への愛がたまりませんでした。


『織田穂香 ルート』
現実へ帰還出来るルート。
本作の中ではGOODだと思います。
「世界の真相」や「現実での関係」を思い出し「恋人関係」としてエロするのがたまらなく良い。
散々調教しておいて想いが通じると初々しくなるエロとか好みなので最後のエロシーンはニヤけました。
奈緒は世界に取り残されますがEDのCGを見ると血を流しておりなんとなくそのまま永遠に眠りそう。
病気か事故かは分かりませんが、夢での行動を見てると奈緒に対して「起きて欲しい!」とは思えなかったので、順当なEDだなと思ってます。


『東馬奈緒 ルート』
夢に残り奈緒と結ばれるED。
このルートでの奈緒の語りが「現実での過去」なのか「夢の世界での過去」なのかが結構曖昧なので「どこまでが夢か分からない状態」が出ていてそこは好きでした。
ただ奈緒に関しては…うん…
年齢にそぐわない子供っぽいキャラへの好みが普通なのと、穂香へのイジメ関係があまりにも酷い為、安玖深さんの演技以外に良さを感じないので結ばれても「別に…」な感じ。
上記で語ったように「主人公と穂香に力を合わせてでも起きて欲しい!」とは思えない行動を取っているキャラなので、彼女のEDが「夢に残り続ける」というのはとても納得でした。
奈緒のルートに行くと穂香を夢から追い出したのか…その辺りは分かりませんが、穂香が全く登場しなくなり元から世界に居なかったとして扱うのもまた奈緒の性格の悪さを感じます。
「世界の真相」の根底に居るのに「別に助けたくは無いな…」と思わせるヒロインは珍しい為、そういう意味では面白い立ち位置だったと思います。



絵と雰囲気と穂香を調教し、調教から徐々に心も惹かれて行く系作品でダーク調教純愛ゲーとして楽しめました。
調教から始まる恋は好きなジャンルですが、それだけだと「よくあるよね~」という設定の中に「本来は恋人だった」という設定が入る事で主人公から穂香への恋愛感情や執着を補強していたのが上手かったと思います。
「実は夢」設定は特に惹かれなかったのですが、この設定が無いと「実は恋人」設定が無くなるので、難しい…というか、もう少しその辺りの「夢」設定関係を上手く書いて欲しかったなとは思っています。
ただ、今作が現実設定だったら「メイドと主人」の関係でこの強大な権力を持つ東馬からどう逃げるか?という部分で詰みだったと思いますし、「夢」にしたのは逆に良かったかも。
素材や設定は良かったけれど、途中の調理がもう少し上手かったらもっと面白くなっていたのに…となったので設定をばら撒く辺りの描写がもう少し上手ければもっと好きになれたと思う作品でした。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
 参考攻略サイト様:愚者の館(アーカイブ) 様
http://sagaoz.net/foolmaker/
 パペット・プリンセス ~傀儡姫。わたしは、操り人形~ ページ
http://sagaoz.net/foolmaker/game/h/puppet.html