【デスゲームは始まらない】感想

【男性主人公全年齢】

2021年08月09日配信
『糸尾かしか』様
【デスゲームは始まらない】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。

誰も死なないデスゲームへようこそ。

『──デスゲーム　(本格的に)始まる前に　終わってる。

　平凡な大学生である貴方は目覚めるとなぜか見知らぬ場所にいた。
　椅子に体を縛り付けられ、手錠と足枷までつけられている。
　一体、自分の身に何が……？
　目の前にある古いテレビがおかしな姿を映し出す。
　これは……！？

　ポンコツ司会者との、"始まらない"デスゲーム・コメディが今始まる！！』
(公式より引用)

プレイ時間は約50分くらい。
分岐有り。
1ルートクリア後にヒントモード有り。

始まりは思いっきりデスゲーム物。
でも決して始まらず、始まろうとすると強制的にフラグは折られ、道は逸れ。
出会うのは可愛いけれどポンコツなアホっ子。
ポンコツ司会者に逃げられたり一緒に暮らしたり、まさかの人生相談！！？
決して始まらないデスゲームとまさかの方向に転がる結末、そして所々で挿入される謎番組に独自の世界観を見ました。

『システム、演出』
ティラノ製。
基本性能有り。
一周5分ほどで更にクリア後に最初の分岐と最後の分岐の地点を選び再プレイ可能。
色々とユーザーフレンドリーでした。
ただ、EDに辿り着く度に挿入される「ピクトグラムで恋して」という謎番組があるのですが、そのターンでは文字表示速度変更が効かず若干不便でした。

『音楽』
スタイリッシュな選曲でとても良かったです。
アホなシーンで間で抜けた音楽が選ばれておりとても似合っていました。
テンション高いシーンではクリック毎にﾋﾞｼｨ！ﾊﾞｼｨ！などの効果音も挟まりテンポ良く読めました。

『絵』
ポンコツ司会者ちゃん可愛いよ、ポンコツ司会者ちゃん。
絵の可愛さと表情の良さもですがゲーム画面のデザインがとても鮮やかでポップ可愛かったです。
黒とピンクというデスゲームらしい色合いでありつつも司会者ちゃんの見た目や服装などが絡まる事で可愛らしさが全面に出る構図はお見事。
所々の文章や絵の表示もスピーディで面白さが引き出されセンスを感じました。

『物語』
タイトル通りではありますが、ポンポン全くデスゲームとは違う展開に行く物語の振れ幅や急転直下っぷりに感情が振り回されながらも楽しく、ギャグとして完成度が高かったです。
EDを埋める事で辿り付く？？？ルートでは「おや？」という空気から始まり、「これは…」となりながらも最後にはしっかりとギャグ全開に戻り一安心しました。
怖く見せるシーンではしっかりと怖さがあるので、静と動の空気の使い分けが非常に上手かったです。
クリア毎に見れる「ピクトグラムで恋して」は本編と全く関係ない謎番組なのですが、こういう謎の別物語をサクッと挟む所に古き良きフリゲらしさの系譜を感じてとても好きでした。

『好みのポイント』
やっぱりポンコツ司会者ちゃんポンコツ可愛いよ、ポンコツ司会者ちゃん。
あまり書くとネタバレになるのですが、司会者ちゃんのアホっぽさで物語が上手く回っていた気がします。
最後の最後には色々と報われて本当に良かったです。
オマケでの司会者ちゃんとの会話はギャルゲーみたいで楽しかったです。
あと、さり気に主人公の底の知れ無さが一番怖いと思います。
恐怖というより「なんなんだ、何者なんだコイツ…」みたいな主人公でした。

【以下ネタバレ含めての感想です】

デスゲームが全く始まる事無くまさにタイトル通り。
ちょっと「始まるかな？」という空気になりかけたら上手に軌道修正されギャグ時空に行くので恐怖は全く無く。
タイトルのまま最後まで明るく楽しく遊ぶ事が出来ました。

…とは言いつつも、9個のEDクリア後に開放される？？？ルートでは序盤は思いっきりデスゲームで始まるので「おっ、タイトル返し来たのかな？」と思っていましたが、ここでもまさかのメッタメタ要素で「デスゲーム演じ」として進んだのでしっかりとタイトルを守り切ったのには天晴。
ポンコツ司会者ちゃんである伊代が貧乏になった原因が明かされ、その原因が結婚詐欺で相手に仕返しする展開になるとは…
そう来るとは思ってなかったという斜め上の展開で、どこまでも変化球で突き進む作品だったと思います。

伊代ちゃん、可愛いし見た目は20代っぽいけど言動を聞くと思いっきり30代っぽいのも個人的にまた可愛いポイント。
上京したのに声優人生にめげるわ結婚詐欺に合うわ、人生として見ると結構ズタボロだけど、謎にポジティブな所が好きです、それでこそギャグ作のヒロイン。
ズタボロ人生でありながらも主人公という金持ちの坊っちゃんで行動力有りすぎる男性と出会った事が幸運…なのか運の尽きなのか。
結婚詐欺相手に仕返し出来つつ、「デスゲーム演じ」で使った洋館を吹っ飛ばす片棒を担がされつつ。
良い意味でも悪い意味でも主人公と出会った事で色々な華が上がった人生になったと思います。
デスゲームに巻き込みはしましたが、そこでデスゲームよりもヤバい男に気に入られるという。
デスゲームに巻き込まれそうになったのは主人公ですが、総合的に見ると人生がコロコロ変わったのは伊代な所が面白かったです。

最後には仕返しも出来、声優復帰も出来、人生を取り戻せて、伊代の人生が今度こそ華やかになれば良いと思います。
まぁ、それでも主人公とは腐れ縁を続けて欲しいですし、気に入られたまま気が付いたら婚姻届に判子を押してる人生になると良いと思っています。
タイトル通りでありつつも予想外すぎる方向に突っ切ったり、別ゲーとして制作されていた「ピクトグラムで恋して」が挿入されたり、カオスな部分が多々見られ、とてもフリゲらしいフリゲでした。
伊代には是非金銭面や仕事では順風満帆でありながらも主人公の行動面では天歩艱難な感じで主人公と幸せになって欲しいです！！