ひっそりと群生

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【終わる世界とバースデイ】感想

【男性向け18禁】



2012年07月27日発売
コットンソフト
終わる世界とバースデイ】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








最近ゲームのモチベが下がっているので名作と呼ばれている作品を挟みます。
というわけで、この感想がいつ投稿されるかは分かりませんが、2022年の10年前の名作と言われている「終わる世界とバースデイ」をプレイ。


プレイ時間は約12時間くらい。
7でもインストール、起動可。
ディスレス起動不可。


コットンソフトのプレイは3作目。
ナツメグ」「ナギサの」を過去にプレイしていますが、コットンソフトにはとある流れがあり、発売順奇数は学園恋愛ラブコメ物で、偶数はシリアスという法則が7作目の「双子座のパラドクス」まであったみたいです。
そして自分は初のコットンシリアス作になりました。


ライターは海富さんと片岡さん以外は御導さんが「サナララR」のサブライターで池波さんが「冬のポラリス」の「Sweeper Swimmer」で狩野さんが初という感じ。
そして今作は海富さん色が濃そうに感じていました。
海富さんは「ナギサの」で若干主人公がエロシーンでオヤジ臭かったので不安でしたが、今作はそういう事も無く、上手い具合に変化していたので良かったです。


本作は2012年発売のエロゲの中でかなり上位に入るらしく、実際プレイ中飽きる事が無かったです。
かなり好きと褒めの要素が多い作品だったのでマイナス部分はあまり無いのですが、一応気になったというか個人的に感じた部分とこれを最初に書かないと下記で書くパッションを込めた感想は書けない為、「ネタバレ含めての感想」と書いているので序盤に本作の真相をネタバレすると本作は電脳世界(バーチャルリアリティ)作品になります。
2012年では珍しい設定だったのかもしれないですが、流石に10年超えると同じような作品を沢山齧っている為、どうしても予想の範囲内になってしまった部分が強く。
特にメインヒロインの入莉以外のヒロインを通るとラストに「YES・NO」の選択肢が出たことで「これは…」となりある程度の予想が出来てしまいました。
これはもう時代的に仕方ない所があるのと個人的なジャンルの過剰摂取によるものなので、物語自体のマイナスポイントでは無いのですが、「時代として考えると有り、個人的にはまたかぁ」なそんな気持ちになった所はあります。
2012年に某全年齢で超有名の作品のナンバリングが発売され、それも電脳世界系だった為、2012年の流行りだったのかな?と少し感じもしました。


しかし、大きな設定では「現代基準では良くある」と思いつつも、物語的にはとても面白く。
特に本作は「飽きさせない」展開がどんどん用意されて居る為、プレイヤーとして「飽きる」事は全く無かったです。
普通の日常から始まり「9月29日に世界が終わる」というネット上の予言が蔓延り、そして次々に書き込まれていく予言と予言が的中する展開。
最初の予言が当たった事により主人公とヒロイン達で発足される「9.29対策協議会」。
「世界の終わりの予言」に対して仲間内で予言は本物なのか?とどう対処して行くか?世界が終わるとしてどうするか?などを話し合い、「一つの目的の為に集まった仲間」と語り合い行動する楽しみ。
9月という一ヶ月の中でカサンドラという人物から送られる予言、予言は数回に渡り送られ、自然災害や疫病、異常気象など現実では起こり得ないような事が次々に巻き起こります。
「既に9月29日には世界が終わるのかなんらかの節目を迎える」という事が約束されており、9月29日までにもコンスタントに予言が起こり「9月◯日には何かが起こる」という事も約束されている為、プレイヤーは「日にちでダレる」という事が無く、常に緊張感を保ち続ける事が出来た為、とても「飽きさせない」工夫がされている作品だなと感じました。
「仲間内とワイワイガヤガヤ」と「ある程度日にちが決定付けられたイベント」というのはノベルゲームにおいてはとても大事なので凄く良い作りだったなと。
各ヒロインルートも殆どのヒロインと世界の終わりの中でHAPPY ENDでは無く謎が謎を呼ぶ形で終わり、「最終ルートの為の物語」を貫いており、EDでも「続きが気になる!」という流れを組んでいたのは上手く。
更には電脳世界という設定からそういうEDや作中での「現実ではあり得ない現象」が巻き起こっても納得出来ますし、各ルートヒロインのEDで確かに「世界が終わり」あまり明る気ではないEDを迎えても「ループ」という特殊状態をも生み出せるので「つじつまが合っている」と納得できる設定でした。
特に各ヒロインルートにはライターの違いによる表現の違いなども少し感じますが、それもまた世界設定により上手く払拭していた為、作りの上手さを感じました。


そういう「上手さ」を全体から感じつつ、何よりメインヒロインの入莉へのプレイヤーからのリアル高感度変化の手綱の引き方がお見事!
詳しくは下記の個別ルート感想に書きますが、最初の方の入莉ルートではあまりリアル高感度が高く無かったのに対し、ラストでは高感度上がりっぱなしで天元突破しました。
そして、そういうプレイヤーの感情の動きを計算されているのが分かり…もう、やられました、参りました。
こういうリアル高感度の手綱を握られ、それを上手い具合に書き手の予定通りに動かされたら、もうプレイヤーとしては負けです、完全に参りました状態。
クリア後はイリがとても大好きなヒロインになりました!!


絵は今回は司さんだけみたいです。
ナツメグ」「ナギサの」では原画家は2名くらい居たのでなんとなく新鮮。
ただ、司さんは若干等身が低いというか、ロリ系キャラが多いので、そこはあまり好みでは無かったかも。
ナツメグ」「ナギサの」等身くらいが好きなので、そこは好みには合わなかったです。
あと、いくつかの体位には違和感があったり…ロリ系好きな人には良いかもですが、あんころさんや笹井さんの等身が好みだなと思いました。
ですが、主人公を含めて男性キャラはイケメンだったのでそこは大変GOOD、ギャルゲエロゲに出てくるイケメン男性キャラ大好き党には刺さりました。


音楽は流石のねこねこ、コットン系。
主題歌のデンカレの「夏の終焉り」はひと夏の中、予言によって狂っていく世界、喧騒、そういうのがしっかりと音で表現されていましたし、最終ルートでのイリの飛び降りシーンでインストが流れる所ではゾクゾクしました。
そして何より「Happy Birthday to...」これはズルい、反則です。
各EDで聴いても良い曲だったのでスルー出来なかったのですが、「Epilogue」での流れはもう…最高。
タイトル通り最初に誕生日を聞かれるのですが、ちゃんと誕生日が反映されていて「バースデイ」に意味があった所が素晴らしかったです。
今でもEDを聴きながらこの感想を書くくらいに好きです。
BGMはどれも良い曲ですが、良いシーンで流れるBassyさんの「graduation」と勢いのあるシーンで流れるSENTIVEさんの「カタルシス」、そしてEDアレンジであるProjeck lightsさんの「birthday」はとても印象に残ってます。
声はメインヒロインの入莉役のみるさんの消えそうな演技はまさに適材適所。
消えそう、儚そう、そんなヒロインはみるさんにメチャクチャに合います。
特に前半での儚く頼りないからの後半での儚くでも力強い、その演技分けの上手さはベテラン、素晴らしい、みるさんが入莉、そしてイリ役で良かったです。
大天使…ミカエル…もといミカ役の森谷さんは「ef」「ましろ色」「サナララR」で聴いた事がありました。
全体的に明るいキャラが上手い印象、そんな中でミカの明るく振る舞ってるけど実際は結構な陰キャみたいな気質をオドオドした演技で上手く演じられていらっしゃったと思います。
柊役の桐谷さんは最近魂の双子の方を表で見かけますが芸達者な方だなと。
大人っぽいから大人しい、元気っ子からロリまでなんでもござれな方。
特にふとした時のやる気ない時とかスッと入るツッコミとかが上手く、「あんまり世の中に期待していない」みたいなそういう雰囲気が出る演技をされた時に光る物を感じます、虚無演技が上手い声優さんはガチ。
成子役の青山さんはねこねこやコットンでお馴染み。
コットンにはほとんど参加されているみたいです。
いやぁ、成子はオタク系ヒロインだったので青山さんのお声で2010年代のネットスラングを聞けるのは楽しく、オタオタしい演技が上手かったです、「お前、サバンナでも同じ事言えんの?」の言い方が好き。
成子ルート後半でのちゃんと社会人やってる時の声もキリッとしていて演じ分けはこちらもベテランを感じました。
サブキャラになりますが美咲役の夏野さんもまたコットンではお馴染み。
お馴染みのピンク系ヒロイン、でも今回はメインヒロインじゃなく更にはある意味で不憫さがある所に切なさがあり。
そしてそのキャラに夏野さんを配役した部分にスタッフさんからの何かしらの意図を感じます。
演技は流石、明るく元気…でも本当は?そんな色々含めた明るさがあったんだなぁとクリア後に序盤の元気っ子姿を見てると感じました。
ふとした時に静かになった時の美咲の台詞回しが好きです。
陶也役の鳩万さんは…この名義多分ハートマンからでしょうね、気付いた時笑いました。
演技は若い頃のちょっと陽キャが強いヌルっとした兄ちゃん演技から年季が入って大人になった青年演技まで、陶也のまま演じ分けがされていて巧みさを感じた方でした。
調べたら某日常アニメ(というかタイトルがそのまま…)で「ぬかしおる。」の方らしく…思い出してなんとなく納得しました。
格好いいけど掴み所が無い、そんなイメージ。
クリア後オマケのはっちゃけ陶也のテンションには笑わせて頂きました、陶也これくらいの緩さがあればあんな事にはならなかっただろうに。
もう陶也、そのキャラで行こうぜ…
他のサブキャラでは流花役の秋野さんが良かったです。
「とな恋」でとても素直で良い性格のキャラを演じられていたのですが、今回は若干…どころかかなり性根が悪いキャラを演じられていて、本当に言い回しが性根が悪く、最高の演技でした。
こういう演技も上手いのか!!となり、もっと性格悪いキャラの演技を聴きたくなりました。


作中内でツイッター(というか招待制なのでmixi?)っぽい機能があり、画面上にヒロインのリアルタイムでの呟きが出てくる所など、色々と面白い機能があったり。
これは「Strawberry Nauts」でも似たような機能があったので時代の流行りな気がしますが、ヒロインの別の側面も見れて楽しかったです。
特にヒロイン同士のSNSでの繋がりが見え、過去作ヒロインと繋がってたり、ピンク髪系ヒロインは同系列ヒロインと、黒髪系ヒロインは同系列とそれぞれネットで繋がってるのが見えた所に笑いました。
個人的イチオシキャラ、「ナツメグ」のシゲオのアカウントの酷さに変わらないシゲオ成分を補充出来、大変満足させて頂きました、カーセックス!!!



プレイ順は
ノーマル→入莉→大天使→柊→I Am Legend(美咲)→成子→TRUE
の順で攻略



『ノーマル ルート』
実質成子BAD。
物語の大筋を通るという名目自体は良いのですが、このルートで成子エロ必要だったか?とは思ってます。
ここで成子のエロが入った結果、成子だけエロが3つになるという贔屓が発生してるので、大筋であるこのルートではエロは要らなかったなーと。
まぁエロゲとして1ルートには一つエロを入れないといけない、みたいな縛りもあるので仕方ないのですが。
このEDでは成子の社会復帰を応援しつつ、世界の終わりに向かいながら予言が起こり、成子の弟である郁の事故を迎えます。
事故は回避できず、しかしバイクに轢かれた郁は死ぬのではなく消えてしまいEDという、謎が謎を呼ぶ形でEDを迎えた事は物語の引きとしては大変良かったです。
と、同時に死ぬのではなく消える部分を見て「これは現実では無いのでは?」と気付く人は気付きそうだなと思いました。
この大筋がある事でセーブさえしていれば分岐も楽になり下手に各ヒロインルートが長ったらしくならなかったのも良かったです。


『千ヶ崎入莉 ルート』
弱視という障害を背負った幼馴染であり妹の少女。
入莉の兄と入莉が乗ったバイクが誕生日の日に事故に遭ってしまい、兄が死んだ事を受け止められず主人公を兄だと思い主人公は海外に行っていると思っている…という設定。
今作は電脳世界なので設定になります。
どうしてそういう設定にしているのか、というのは最終ルートで「実は現実では主人公の運転しているバイクに入莉が乗っており、死んだのは入莉である」「そして精神を電脳世界に遅れるなら逆に入莉の精神を電脳世界でデータとして作り出し、現実世界に持って来れるのでは?という実証の為に行っている実験であった」という真相が明かされ、彼女の精神崩壊や色々な矛盾点に納得が行くのですが、ぶっちゃけ入莉ルート自体では入莉へのプレイヤーからのリアル高感度は高くないという。
儚く、消えそうで、事ある毎に足を引っ張り着いて来ない方が自体が上手く回るのに弱視の身で着いて来ようとする…入莉ルートでは見事に「足を引っ張る迷惑系ヒロイン」なので全然印象が良く無かったです。
しかもエロシーンでは主人公を兄と認識したままエロを行い、「兄さんが私を捨てないなら身を差し出す」みたいな感じでのエロなので、本当は幼馴染で入莉の中では海外に居ると思われている主人公の心境的にはたまったもんじゃないなと。
最終ルートに行くと何故入莉が主人公を兄と認識したまま体を許したのかに凄く納得しましたし、入莉の精神が脆い理由にも納得しましたが、このルートの時点ではひたすらに印象が悪かったです。
ずっと「この娘よく分からない…」でした。
が、最終ルートで華麗に印象がひっくり返されたので…このルートでのリアル高感度が低い事には振り返るととても納得しています。
このルートで入莉への好感度がダダ下がった事で最終ルートで感情大爆発したので良かったです。
入莉ルートでの入莉への印象は良くは無い中で、EDの引きはお見事。
世界の終わりと予言を回避出来たように見えて墓の墓碑銘が陶也から入莉に変わり入莉が消えるEDにはドキドキしました。
この辺りで夢とかなのでは?とは思いましたが、EDで更に謎が増える作りは最終ルートなどを作れるノベルゲームならではでプレイしていて楽しかったです。


『夏越大天使 ルート』
明るく見えながらもコミュ障で陰キャというキャラとしては好き。
エロゲ界でも中々のDQNネームな気も…ギャルゲーですが優美清春香菜に近い何かを感じます。
ルートも謎のウイルスが世界を覆うというパンデミック系の終末物で盛り上がりがありました。
…が、全体を通すとこのキャラだけ10年前のトラウマが良く分からない気も…
このDQNネームを受け入れてくれたマリア(漢字を忘れた…)を喧嘩した後に事故で亡くすのは10年以上前なのでトラウマには当てはまらず。
10年前に何があったのかがイマイチ分からない所がありました。
マリアの事があって時が経ち、コミュ障とかを拗らせて色々とあった時期…なのでしょうか?
マリアは電脳世界には居ない為その辺りは分からないのですが、この世界で険悪だった流花と現実世界では仲良くなれると良いなと、そう思ってます。
あと、彼女のBADでは陵辱EDになりテンション上がりました、このタイプのゲームで話の流れからダークなエロに行くの大好き派閥なので。
こういう「BADでヒロインの陵辱ED」はねこねこではあまり無かったなーと、「朱」の過去でお姉さん代わりの人が陵辱受けたシーンはありましたがヒロインでは中々に。
コットンのシリアスでお見かけ出来て最高でした。
こういう絵柄での陵辱、流行れ!!


『藤白柊 ルート』
世界の終わりは異常気象による氷河期、こちらもまた途中からトンデモ終末物で楽しかったです。
10年前のトラウマはおそらく父との死別。
父と母は実は実の兄妹という、こちらもまたあまりこの手のタイプでは無いインモラル系の真相でドキドキ。
ヒロインでは無くヒロインの父と母にインモラルを当てる所に若干の予防線を感じつつ、それでもBAD陵辱といい挑戦的なのは好きです。
最後、実の父である冬馬さんが「裏切ったか!!?」に見せかけて柊を助け出した所には熱い物を感じました。
起こったのは電脳世界での出来事ですが、電脳世界で死者の魂を形作れるなら死者の魂そのものが電脳世界に乗り移る事もあるのでは?と。
そういうかすかな期待と希望を感じ、現実の柊は冬馬さんには会えず、現実では仲違いをしたままかもしれませんが、少しでも電脳世界での出来事が救いになっていると良いなと、そう思います。
そしてエロシーンは女性上位系でかなり楽しさがありました、乳首責めは良いぞ!
桐谷さんのささやき声がたまりませんでした。



『I Am Legend(織塚美咲 ルート)』
実質美咲ルート。
9月29日を超えた世界、おそらくバグの一つ。
真相ルートで明らかになりますが、美咲は入莉として作られた人格から入莉の不利な条件…弱視などを取り除いた人格データになります。
人格データとしては普通に動いたので問題は無かったのですが、障害を取り除くとあまりにも性格が入莉からかけ離れてしまったため失敗作として扱われ、失敗作としては人格が出来過ぎていた為、入莉を守る友人として入莉の傍に居る事を義務付けられた少女でした。
その為、入莉の要素を持つ彼女は主人公に好意的ですし、繰り返すループの中で純粋に主人公に惚れていると思います。
…が、彼女の存在理由から主人公と結ばれる事は無く……
なので、この9月29日を超えた世界はバグではありますが、彼女の願いもある世界なんだろうなと。
本編ではしきりにラーメンラーメン言っていた彼女がこのルートでは言わない所に「ラーメン好き」も彼女の「設定」だった事が伺えました。
ルート後には再び時間は戻されますが、少しの間でも主人公と二人だけの世界に要られた事は幸せだったと思っています。
一応オマケで主人公とのエロはありますが、作中である意味で最も不憫な設定を背負ったヒロインだと思うので、純粋に全てを知っており、入莉の失敗作でありそういう設定を付けられている美咲である事を受け入れた状態で彼女と恋仲になるルートも欲しかったりします…
まぁ、真相で明かされ、その後すぐにデータを凍結するので本編では難しいのは理解しつつ…FDも出てるらしいのでそこで補完されてると良いなと願いました。


『諏訪成子 ルート』
3人攻略後にノーマルルートから派生ルート。
郁の事故まではノーマルルートを辿っていると速攻でスキップでぶっ飛ばせるので、なんとなく短さを感じました。
世界の真相はこのルート後半で明らかになります。
郁が消え、目を覚ますと電脳世界だった事が明らかになり、実は2022年に入莉を蘇らせる為に行われていた実験だった事を知ります。
このルートではミカには会えませんが柊と成子の現実での姿と会い、成子と交流を持ちますがどこかこの世界の矛盾も見えてきて…という流れ。
目が覚めた2022年の9月27日も実は電脳世界で、主人公の現実の記憶をしっかりと呼び覚ます為の電脳世界だったという流れ。
電脳世界の中に電脳世界があるという入れ子構造はバーチャルリアリティ系ならでは。
郁は事故により植物状態のまま実験に参加している特殊な存在で、おそらく電脳世界の事もループの事も知っているキャラだと思います。
そんな彼が「お姉ちゃんを助けて」と言ったように、この電脳世界を終わらせる決意をする主人公。
成子は「このループでは主人公の助けになるけれど他のループでは助けるか分からない」と言った所に郁への強い後悔を感じました。
そしてこのループでリセットをされないと判明した地中に埋めるタイムカプセルに手紙を入れ、次のループの主人公に託す事でED。
世界の終わりとはまた違う毛色でかなり真相が判明し、ラスボス戦へ挑む前の心境になったルートでした。
ただ、成子とのエロはノーマルルートで一回しているので、一回で良かった気が…これによりちょっと成子がリードした感じがしてあまり良くなかったです。
ところで、ノーマルルートをで郁が事故にあった後、バイクを運転する陶也を見るのですが…郁の犯人が陶也だったりはしない…ですよね?
明確に犯人が捕まっていなかったと思うので、主人公の身内に居たら嫌だなと思いました。
9月29日の事故では無いので主人公と入莉の事故に巻き込まれてはいない…はず、多分。


『TRUE ルート』
最終ルート、別名イリルート。
全ての謎が明かされ、この実験に巻き込まれた100人の参加者を現実に戻すルート。
成子ルートにて成子が言ったように、このルートでは入莉が主人公の最大の味方になります。
正直、入莉ルートでは「弱いヒロイン」だった入莉。
けれどそれはそういう設定を与えられたもので、実際の彼女のデータは周回を重ねる毎に強くなっていたという流れ。
入莉ルートとは全く違い、精神崩壊を起こさず、逞しく主人公の傍に寄り添い電脳世界の開放まで共に思慮を巡らせてくれます。
この「設定として「弱さ」を与えられていたキャラクターが時間の流れにより「設定」とはかけ離れた強さを身に付ける」というのがめちゃくちゃに好きで好きで。
このルートでは「電脳世界に居るという事は何らかのトラウマが現実にあり、現実は辛いものなのでは?」という事を理由に他のヒロインは電脳世界開放に否定的になりますが、本当に入莉だけはずっと味方で居てくれます。
9月29日の世界の終わり(電脳世界のリセット)、美咲と陶也への説得、そして電脳世界が入莉を守る為に自動的に作り上げたというカサンドラという存在。
全てが絡まり、入莉、美咲、カサンドラの電脳世界でのデータ3人が電脳世界と自分達の凍結を選んだラストはその結末しか無いと分かっていても切なく。
というか、自分は「ヒロインと主人公の別離」がとてもとても癖なのでグッと来ないはずがありませんでした。
入莉という存在もまた特殊で、入莉は死んだ時点でもうこの世界には居らず、電脳世界で作られた入莉は入莉から分かたれた時点で入莉では無かった。
そんな存在の入莉にカタカナの名前のイリという名を新しく付けるのがとても良く…
入莉は陶也の妹だったけれど主人公の妹では無く、けれど電脳世界のイリは間違いなく主人公の妹だったのだと、そう分かった瞬間に入莉ルートで頑なに兄と認識して抱かれた入莉を初めて理解しました。
そりゃあ兄として抱かれますよね、電脳世界でのイリにとって主人公は間違いなく兄で、電脳世界のイリには幼馴染の主人公は居ないのだから。
いやぁ、コットン…というかねこねこ時代から「幼馴染」と「妹」に一家言あるメーカーだったというか、「銀色 完全版」「朱 -Aka-」「ラムネ」「サナララ」「ナツメグ」「ナギサの」とプレイしましたが、高確率で「幼馴染」や「妹」が出たので強い想いがあるメーカーだと思っていたのですが、今作で「幼馴染」と「妹」をメインヒロインで悪魔合体させ、しかもそれを違和感無く成立させた所に「コイツは本物だ…」と恐れ慄きました。
入莉は主人公の幼馴染で、イリは主人公の妹なんですよ!ここに何一つ矛盾が無いという…恐れ入りました。
なんで混ぜたら美味しく無くなりそうな物を混ぜて美味しくしちゃったんですか?一粒で二度美味しいの究極版じゃないですか?
これにより入莉(イリ)が間違いなく本作のメインヒロインとして印象強いヒロインになりましたし、「死者は強い」の風格も見せ付けて最強を貫いていました。
兄の陶也もまた魅力的というか、主人公との対比が良かったです。
主人公と陶也、入莉を失った事で入莉を蘇らせるために同じ道を進んだのに、主人公が電脳世界で架空の長い時間を過ごしループを繰り返し、数々の仲間との出会いと別れを繰り返した事で停滞した時間の中で時が進み「死者は死者である」「生きている人間は自分達の実験に巻き込むべきではない」という事に気付いたのに対し、陶也が現実世界で時間が進んでいたのにその時間は1時間にも満たず他人を巻き込んだ願望が変わる事は無かったという。
ループする止まった時間の中で先を見た主人公と、進んでいた時間の中で停滞していた陶也。
この対比が非常によく出来ていましたし、妹への執着と主人公への執着から彼のクソデカ感情を感じ、主人公の友人キャラとして単なる男キャラになって居なかった所が良かったです。
そして続くエピローグ。
最初に入力した誕生日が反映されるという…これは間違いなく「バースデイ」、自分の誕生日に見たら感情がゴチャゴチャになり崩れ落ちる流れでした。
電脳世界が終わる直前にイリから送られて居た主人公の誕生日を毎年祝う為のデータ。
物語の中心になったスカイタワーに彩られる「HAPPY BARTHDAY」の文字。
途中で語られるイリがbirthdayの綴りを間違えbarthdayにしてしまうのもちゃんと反映されていて…これはズルいです。
イリがナチュラルに主人公の誕生日を言うので、おそらく主人公の誕生日もみるさん別収録で全日にち収録されてると思います、お疲れ様でした。
「終わる世界とバースデイ」「バースデイ」がカタカナなのはタイトルの見栄えもですが、おそらくこのバースデイを英語にすると「BARTHDAY」になる事も伝わり、上手いタイトル表記だと関心しました。
一点だけ、気になった部分を上げるなら自分の誕生日がモロに冬の月の為、最後に描かれる主人公の私服が寒そうと感じた所でしょうか。
これに関してはCGも出来れば春夏秋冬で用意して頂けたらなと思いました、そこに季節感があれば最後のシーンはもっとグッと来ただろうなと思いました。



総合的に「つじつまが合う」を地で行く良く出来た作品でした。
最初に主人公が自分の名前にこだわる所も電脳世界だと考えると名前という記号がいかに大事かが分かりますし、「名前が大事」という流れで入莉にイリという名を付ける所も含めて綺麗に回収されて行きました。
願わくばイリをイリとして攻略したかったのですが…まぁイリをイリと認識する事は同時に世界を終わらせる選択に繋がるので仕方ないとも思いつつ。
オマケで一応ハッチャケ世界でエロがありますが、あぁいうのでは無く穏やかな日常をイリとしての彼女と過ごしたかったです。
この感情は美咲にも向けられているので、そこはFDとして出ている「終わる世界と双子座のパラダイス」に何か補完があると願っています…その為に「双子座のパラドクス」もやらねばと思いました。
とにかく、入莉のプレイヤーからのリアル好感度の動かし方が上手く、クリア後には間違いなく「ヒロインは入莉(イリ)!!」と言えるほどに愛着を持てるヒロインになって居た為、「やられた!!」と言わざるを得ない出来でした。
「幼馴染」と「妹」に対する熱い情熱も感じ、創作者の熱意を感じた一作で、「コットンの本気」と言われ、2012年の上位に入るのも納得の作品でした。
コットンは日常ラブコメが好みだったのですが、今作でシリアスも触れていきたいなと思える程に心を動かされた物語でした。
あと、作品での現実世界が2022年の出来事なので、リアル2022年に出来た事は偶然とはいえピッタリで嬉しかったです。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:誠也の部屋 様
https://seiya-saiga.com/
 終わる世界とバースデイ ページ
https://seiya-saiga.com/game/cotton-soft/owaseka.html