ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【ORDER】感想

【全年齢】



2021年08月29日配信
最中亜梨香』様 ※リンク先公式HP
ORDER】(PC) ※リンク先ふりーむ!
以下感想です。








正義?悪?、秩序?混沌?、独裁?民主?、ユートピアディストピア
全ては「正しい社会」の為に。



『遠い未来。
 あるところに、治安が悪く、貧富の差が激しい国がありました。
 主人公のあなたは、ある時、両親をギャングの無差別攻撃により亡くしてしまいます。
 しかし、警察はまともに捜査してくれません。ギャングから賄賂をもらっているからです。

 主人公は決めました。ギャングに復讐し、この腐った国に正義と秩序をもたらすと。
 相棒のバリスタロボット兼、国家管理システムAI「ジョー」も開発し、着々と準備を進めます。

 それから十数年後、主人公は国の大統領になりました。
 主人公はいよいよ、相棒のジョーと共に、目的を達成しようと動き出します……。』
(公式より引用)



プレイ時間は約50分くらい。
分岐有り、EDは8つ。
攻略は『公式』(※リンク先公式)に有り。


大統領になった主人公がAI「ジョー」と共に国を「より良く」する為に様々な政策を施行して行きます。
悪を追放したり、教育を施したり、インフラを整備したり。
政策を選ぶと国は確実に姿を変えて行きます。
その結末は良いものになるか、それとも予想外のものになるか。
変わりゆく国の姿、そして主人公の変化が印象深い一作でした。



『システム、演出』
ティラノ製。
基本性能有り。
初回プレイは心理テストのように自分の意思で「良き社会」を目指すのを推奨。
既読未読スキップ判定はありますが、ジョーとの会話は場合によってはでも吹っ飛んだので、攻略を見ながらでのプレイはスキップ無しでを推奨します。
常に選択肢があり、その選択肢が「国を動かしている」感があって面白かったのと、一部ラストで出てくる銃のイラストの動きがかなり好きでした。
バッジ獲得に「コーヒーを飲む」というのがある為、各選択を選ぶ前に必ずコーヒーを飲む選択をする事をオススメします。


『音楽』
どの曲も近未来感があって良く、作風に合っていました。
特にEDで流れる曲はどれもカッコ良く、その後の国と主人公の行方を想像させるような曲が使われており、選曲にセンスを感じました。


『絵』
人物の影絵が序盤と中盤一箇所に有り、後はAIのジョーだけが画面上に居て、作中選択肢後の状況などは全てピクトグラムで描かれます。
シンプルではありますが、ピクトグラムなのが逆に社会を抽象化した図というか、システマチックというか、そういう人間の感情の無さが上手く出ていて。
主人公の選択が国に影響を与えつつも、どこか機械的、血があまり通っていないタイプの政治という感じが強く出ており非常に世界観に合っていました。


『物語』
文章は読みやすく。
物語はジョーとの会話のみで進みますが、主人公の選択が良くも悪くも国を変え、今までとは違う流れを生んでいく描写がとても良かったです。
「綺麗なだけで世界は動かせない」そういう政の裏側を強く感じました。


『好みのポイント』
選択肢の「どうすれば国が良くなるか?」という問いかけは一種の心理テスト、思想テストのようで。
プレイヤーの思想が反映されながら国が動いて行き、良い結末、悪い結末、様々な結末がありますがどれも選んだ結果はしっかりと反映しており、辿り着いたEDにプレイヤーらしさが出ていく所が面白かったです。
攻略を見ずにプレイをするとプレイヤーの思想というか、スタンスが結構現れそうな所もまた魅力的でした。





以下ネタバレ含めての感想です





選択によって主人公の本来の目的である「ギャングへの復讐」を果たせるルートもあるのですが、復讐の果たし方が一つでは無く。
真面目に真面目に取り組みコツコツとギャングを撲滅したり、治安を全力で良くしてギャングの居場所を奪ったり。
良い影響だけでは無く、更に治安が悪くなったり、独裁政治になったり、ディストピアになったり、AIに支配されたり、etc.etc.…
様々な分岐をするのが面白いのと、選択肢を見ると「そうなるよね」と納得出来る所が絶妙でした。


自分は攻略を見なかった所、初回プレイはED7に到達。
方向性としてはギャングや汚職は序盤に無視し、法の整備や教育の向上、後に治安の維持に専念した所、ギャングを追い出せる治安になっており、復讐を遂行出来ました。
ED的には本来の目的も達成出来、国は良くなったのですが、ただ、このEDではあまりにもやる事が無くなり…
大統領としてのやるべき事を見失いジョーと共に(おそらく大統領を辞め)どこか別の場所に行くのですが、その後姿が寂しそうで、「あまりにも完璧に事を成し過ぎると生きる目的を見失うのだな…」と切なくなるEDでした。
ただ、自分の思想というか、国に求めているスタンスは大いに影響して行き、最終的には超法治国家になったので、プレイヤーの思想は大きく反映される所が面白く。
その後他のEDを攻略を見ながら回収しましたが、どのEDも「この選択肢を選べば、そりゃこうなる」というのが納得出来る流れで、選択肢の影響が上手く作られているなーと感心しました。
個人的には独裁寄りの政治をした際、国民の意見を無視する選択肢を選ぶと暗殺後にめちゃくちゃ非難され独裁者として負の歴史に刻まれますが、国民の意見を取り入れる形で政治を行うと暗殺はされますがその後に国民が主人公の意思を引き継ぐような形で終わるのが面白かったです。
ジョーの反乱EDや自害ED、大統領辞任後に自分が人殺しを行いアンチヒーロー化するEDも中々にダークで。
特にED8は再び治安が巻き戻り、主人公がギャングと手を組み、主人公と同じ境遇の子供を生み出す流れが負の連鎖を感じドキッとしました。
ED8の子供は同じ様に成り上がると思いますし、そうなったら主人公の立場が危ういというか…
ED8を見た後だからこそ分かりますが、おそらく主人公が大統領になった時に「綺麗な事だけで大統領になってないんだろうなー」という事を察せられたのが闇を感じて好きです。


どのEDも完全に綺麗なものは無く、手放しで「良かった!」とは言えず。
途中の選択肢で「綺麗なだけでは進んでない事」が察せられて、国家を動かす事の難しさをなんとなく感じました。
ゲームですら感じるのだから現実はもっとゴチャゴチャしてるのだろうなーと…大変だぁ…
主人公一人の決断が混沌を招いたり、ディストピアを招いたり、独裁を招いたり。
「こんな事ある?」となりそうですが、現在(2022年)の世界情勢を見てると無いと言い切れない所が絶妙ですね。
そういう事を想定して作られているのか、そんな事は無いのか…それは分かりませんが、色々と暗い気持ちになったり、そして同時に邪悪な笑みが漏れてしまうような、そんな中々にダークなオーダー(注文)を選ばされるゲームでした。
思想反映ゲーとしてとても面白かったです。



そういえば主人公、作中で明確に性別が描かれて居ないのでジャンルには記載しませんでした。
一部イラストから男性っぽさはありますが、クリア後のおまけでのイラストからおそらく性別は「どちらとも取れる」ように設定されていると感じた為、未記載のままにします。