ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

【after grow】感想

【男性主人公全年齢】



2018年12月30日発売
『Studio Aila』様
【after grow】(PC)
以下感想です。








夕暮れの公園で出逢う女性との交流。
色々な物を犠牲にして周りから離れ勉強だけに打ち込んできた主人公は自分の弱さを受け止めてくれた女性の夢を受け取る。
どこまでも夕日に包まれたどこまでも優しい世界の物語。



『主人公、皆川 陸(みながわ りく)の父が死んだ。
 父親は浮気相手と共に出ていき、母親に多大な苦労をかけた男だった。
 数年前、過労で母が死んでからというもの父をいつか見返してやる気持ちで周りから離れ勉強だけに打ち込んできた陸は父の死と同時に心にぽっかりと穴が空いてしまう。
 自暴自棄になっていた陸が迷い込んだ公園で出会った女性、唯鈴(いすず)。
 公園で歌う彼女の声を聞き、堪えていた物が溢れ出し、陸は唯鈴の前で泣いてしまう。
 唯鈴に受け止められる中、自暴自棄な心のまま死にたい事を告げると唯鈴は唐突に陸を叩く。
 陸の気持ちを上向きにさせるため、強引に3つの行動を起こさせる唯鈴。
 「学校で友達を作る」
 「学校の行事で目立つ」
 「きらきらしたバイトを始める」
 それは本当は唯鈴のやりたい事で、彼女は陸にその願いを託す。
 自分では叶えられない事だと悟って。
 唯鈴は手術の成功率20%以下の病を患った余命2年の女性だった。』



選択肢無し、通常プレイはおそらく2時間程。
夕暮れの公園で生きる目的を失った少年が生きる未来を見失った女性と出逢う。
暖かな絵柄と「誰かの為が自分の為になる」というとても上向きな物語、そして世界を彩るオリジナルの楽曲達が混ざり合い、美しい世界を作り出していた一作。
生死の部分で不穏な要素もありますが、それでも、精一杯生きていく唯鈴さんと、唯鈴さんの願いを受け取り叶えながら周りの世界にもう一度目を向ける陸の、「弱い自分を受け入れてくれたそんな彼女の為に頑張る」という、「誰かの為に」を下地に描かれたストーリーはどこまでも前向きで一生懸命で、最後の最後まで二人を応援したくなるお話でした。



『システム、演出』
あまり見かけないツールでした。
若干使いにくいかもです…
特に履歴は各シーンの最初からしか読めず、クリックをするとゲーム画面に戻る為、右端のバーでの操作は不可能です。
マウスロールでのみ操作可能なので、直前の文章を履歴で読む時に凄く苦労しました。


『音楽』
全曲オリジナルらしいです、凄い。
どの曲も素敵ですが、やっぱりギターの曲は特別輝いてました。
「after glow」を歌うシーンはジワリと胸に響きました。


『絵』
物凄く綺麗です。
立ち絵は一種類ですが表情が生き生きとしたキャラばかりでした。
CGは3枚程、そのどれも欲しい時に欲しい絵が表示されます。
ただ一部…後半の病院のシーンですが、唯鈴が今までと同じ格好でギターを背負っていたのは残念でした。
患者服が良かったなぁと思うのと、逆に立ち絵無しでも良いなとも思いました。


『物語』
シーンの区切りも良いので読みやすかったです。
文章も読みやすく分かりやすい文でした。
ただ、台詞の前にキャラクター名があればわかりやすかったとは思います。
若干誰の台詞か一瞬迷う箇所が結構あったので。


『好みのポイント』
雰囲気が最高でした。
夕暮れの公園での二人だけの語らい。
突然出会った女性に弱い所を見られ、受け止められ、彼女の願いを叶えるのと同時に自分の閉じていた周囲との扉を開いていく。
「誰かの願いの為に、そして自分の為に変わっていく」そんなボーイミーツガール物が好きならたまらない作品だと思います。





以下ネタバレ含めての感想です





どこまでも優しい世界の中、どこまでも優しさの王道を貫いて終わった所が最高でした。
目を向ければ優しい世界が広がっている、友人も、担任も、クラスメイトも、皆、本気で向き合えば協力してくれる。
本当に、良いクラスだなと思います。


唯鈴が昔在学していて、彼女のギターが陸の手に渡る所など、「想いの受け継ぎ」という物を形にしたとても良い流れでした。
ハプニングからの「after glow」はもう…
分かっていても、目頭が熱くなりました。
私はこういう分かりやすくも心に響く流れに本当に弱いです…


最後はBADエンドにならず、良かったと思います。
BADエンドの可能性も考えてはいましたが…最後まで優しさで溢れた世界で良かったと心から思います。
夕暮れの暖かな世界の中、二人で歌い合う「after grow」。
病の事も、父の事も受け入れ、過去にする事が出来た二人が、これからどこまでも幸せで居て欲しいと思いました、


最後に、宮田君、本当に良い友人でした。
出会い、バイト、文化祭、全てにおいて本当に素敵な友人だったと思います。
こんな友人が欲しいなと思える人でした。
宮田君の、
「いいってことよ。一番がんばった奴が一番楽しいんだ。俺が楽しいからやってるだけさ。」
という台詞、とても好きです。
卒業後は是非、教師と生徒の関係から抜け出し、名雪先生と距離を縮めて欲しいです!