ひっそりと群生

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【彼女、甘い彼女】感想

【男性向け18禁】



2015年08月16日発売
夜のひつじ』様 ※リンク先公式HP(18禁)
彼女、甘い彼女】(PC)(18禁) ※リンク先DLsite.com(18禁)
以下感想です。








プレイ中ずっと金平糖を食べている様な、そんな甘い甘いお話。



『逃避癖のある俺に彼女は言った。
 「わたしに逃げれば?」

 男子校に通う俺と、女子校に通う彼女。
 初恋はレモンに砂糖と砂糖と砂糖を入れた、
 世界で一番やさしい味だった。

 彼女と一緒にいられるなら、
 甘いだけでも生きてゆけます。

 純粋あまあま、
 シロップ漬けボーイミーツガールADV!』
(公式より引用)



夜のひつじさん作品14作品目プレイ。
こちらは再プレイになります。
プレイ時間はゆっくり読んで約3時間30分くらい。
分岐無し。


※この感想は過去に書いた物を再構築しました。



主人公の高尾修士がある日河原で本を読んでいると近くに座った少女、音羽ゆきがいきなり涙をこぼし始めた。
女の子の泣き顔にどうしていいか分からず、修士は近くの雑貨屋からタオルと金平糖を買ってきて彼女に渡し去る。
それからまるで運命のように彼女と何度も何度も再会を果たす。
そして当たり前のように、彼女との距離は近づき、甘い日々を手に入れる。


とにかく甘々!ひたすらに甘々ゲーでした!!
彼女との間で別れる、別れないなどの面倒なイザコザは一切無し!
描かれる不安は将来や勉強、そして主人公の少し家庭環境だけ。
そこから彼女との間に不穏な…などは全くなく、むしろ彼女はそんな悩みを打ち明ける先。
逃避できる安心できる場所の存在として居続けます。
「シロップ漬けボーイミーツガールADV」の名の通りの、砂糖を吐くとはまさにこの事と言わんばかりに年頃の色んな悩みを彼女との甘々で癒やしていきます。
関係の流れも丁寧で、告白後即エッチでは無く徐々に段階を踏んだ所は好きでした。


物語的に見るならば少しギャグ要素が楽しくない、と感じた部分はあります。
笑えないギャグもありました。
でも、この二人にとっては面白いのです!
二人の世界で面白いのならそれは正義なのです!
二人の間においては障害は何一つ無く、悩みも良い感じに二人の甘々の手助けとなる。
まさに、甘みを引き上げるちょっとしたスパイスで。
とにかく他に無駄な物は何一つ要らない!必要なのは感じられる甘さだけ!!
そんな甘々イチャイチャ系が大好きな人。
もしくは主人公×ヒロインのカップル系が好きな人にはたまらない作品でした!!


『システム、演出』
吉里吉里製。
安定システム。
タイトル画面の変化は毎回拘っていたのと、今回はクリア後にタイトル画面と音楽を2パターン変更できたのが良かったです。
ただ、一部ボイスが再生されなかったのは気になりました。


『音楽』
madetakeさんとwaniwaveさんのダブルコンビ。
タイトル画面変化後のピアノBGMが好きなのですが、この感想を書いている時はまだ本作のサントラが出ていないのが残念。
サントラ、楽しみにしています。
声は夜のひつじさん初参加の柊さん。
ゆっくりしたテンポがゆきちゃんらしい話し方で良かったです。
ゆっくりゆったりした可愛らしい声で、時間を忘れそうでした。


『絵』
今作から参加されるwk.さん。
ゆきちゃんの穏やかで優しそうな顔がとても良く。
ほわっとした女の子が非常に印象深かったです。
CGも違和感無し。
フワリと柔らかい雰囲気で、絵や背景から温かい空気を感じました。
ただ、2箇所ほど中出し断面図があります。
これは好みが分かれそうだと思いますが、サークル様のお家芸なので個人的には「来た!安定感!!」という気持ちでした。


『物語』
難しい言葉がなくて本当に読みやすい、最高です。
話はとにかくひたすらにイチャイチャ甘々。
その過程や他の出来事からの流れがとても丁寧だと思います。
最初のエロで本番までしないという展開が最高。
段階踏むエロ好きにはたまりませんでした。
ゴム付けは一回で他は全部中出し。
他のエロゲのようにサクッと中出しではなく、中出しをする事にも段階を踏んだり葛藤したり。
でも、やっぱり中出し気持ちよかったりと、ちゃんと描写があるのがこだわりを感じました。
サークル様は中出しに一家言ある方だなと強く思います。
ただ、個人的な性癖や物語での面で言うならもう少しゴム描写があっても良いかなと。
バッコバッコ中出しし過ぎててちょっと学生的に将来に不安を感じてしまうのと、ゴム描写好きなので一回だけなのは勿体なく感じました。
ギャグ要素は「みぅく」など出てきますがプレイヤー的には笑いでは乗り切れず。
ですが、二人の世界で二人が楽しんでいる姿にはニヤニヤして。
「これは二人だけで通じる笑いなんだなぁ」とその微笑ましさにクスっとなりました。
ゆきちゃんの男性の勃起や射精に対して「気持ち良い証拠として分かりやすいから好き」という考え、「女性には無い快楽が物理的に可視化出来るという現象の羨ましさ」というある意味で羨む思考を理解していて恐れ入りました。
毎度毎度女性心理が出るとあまりにも的確で唸ってしまいます、本当に凄すぎます。


『好みのポイント』
ゆきちゃんもですが、主人公の少年の優しさがとても好きです。
思いやりに溢れる二人で、どちらも可愛かったです。
固定ヒロイン、公式カップルや二人の世界が大好きなので至高の時間でした。
甘く、甘く、二人以外必要ない雰囲気大好きでした!!




以下ネタバレ含めての感想です





二人の悩みは甘々の為のスパイスと上記には書きましたし、それは間違いないのですが、スパイスと言いつつもしっかりとキャラの構築に役立っていました。
家庭環境で理解がある方は父なのに父には引き取って貰えなかった。
母親があまりにも「女性」過ぎて「母」でない事によりよって生まれた主人公の人格。
「母」への…「甘え方」を知らない、教わらなかった少年の孤独な人生。
そんな少年が運命のように一人の少女と出会う。


少しズレた部分を持つ二人の会話、笑い所を見ていると、「あぁ、この二人はこの二人じゃないとダメで、他の誰かじゃいけないんだろうなぁ」という気持ちで包まれました。
この二人の価値観、世界の見方は独特です。
彼らが不思議に思った事を普通のクラスメイトに話してもきっと不思議な顔で見られたり笑われるだけで終わるでしょう。
そんな「不思議」を話しても相談しても、ちゃんと話し相手になってくれる相手に出会えた。
ちゃんと聞き入れ、意見を言い合え、そして近い感覚で共感してくれる相手。


「自分だけが分かるような世界への独特の感覚、見方」ってきっと人それぞれ持っていると思います。
それは普通に話したら「おかしいもの」として見られてしまう事が多いです。
そんな中、本当に似たような感覚の人間に出会える、話せる事はまさに奇跡で。
「出会うべくして出会った運命的な二人」のような部分は本当に好みです。


ゆきちゃんも当然に可愛いですが、主人公の修士君もまた可愛らしく。
女の子が泣いてる→タオルを買わなきゃ!あと飴も!の部分とか本当に素直で良い子だなと思いました。
言い方は良くないですが、子を顧みない母親に育てられ…
いえ、むしろ生活費だけ与えられて放置されていた中でしっかりと良い子に育った。
修士君は相応しい相手に出会えたと思っています。
「この子ならゆきちゃんのような女の子を彼女にできて当然だな」と思えるほどの良い主人公でした。


ゆきちゃんはだだ甘やかしてくれます。
まるで今までの「甘える対象」に甘えられなかった時間を取り戻すかのように。
とにかく何でも正しい所は正しく受け止め、間違っている事はしっかりと話しを聞いてくれる。
本当に母性の固まりです。
そして主人公は家庭環境に恵まれて居ません。
母親は常に不在、理解のある父親の方には引き取られなかった。
主人公には最初から「甘える対象」の「母」が居ませんでした。
甘え方を知らない主人公。
そんな主人公がようやくゆきに出会う。
主人公の母親や父親が何度も出て来た所を含めて私にはこの物語、「「家」や「母」を持たない少年が「母」であり「家」でもある少女をようやく見つける事が出来た物語」に見えました。
その「家」というのは将来的に見て「家庭」の事かもしれません。
…というかこの二人なら間違いなく結婚するでしょう。
そんな二人の、主人公が正しく「ただいま」と言える「家」を「母」をそして「彼女」を…
「家庭」と「妻」を探しだした物語だと思います。


最後の追加される「三月」というお話はタイトル画面で選択出来る2曲を選択した曲のままスタートします。
選択出来ますが、やっぱりタイトル画面変更後の曲のままスタートの方が好きです。


セーブタイトルには「home, sweet home」というタイトルがあり、「home」とあるようにゆきちゃんは修士君の安心できる「家」だなぁと思ったり。
逆に言うなら安心できなければ「家」ではないんですよね。
修士君がゆきちゃんという「家」でこれから安心して暮らせますように、そんな風に願います。



前に書いた感想を捨てる事が出来なかったのと、最初に感じた感覚を大事にしようと思い、最初に書いていた感想を載せます。
再プレイすると主人公の母親が主人公を大事にしていないのに好きな人が出来た上で養子を取ろうとしていた部分に初回プレイよりも「女」を感じたのと、再婚(?)しても長続きしなさそうな感じがヒシヒシと伝わりました。
あの母親はダメそうだ。


今作は「さようなら、援交娘さん。」と同日発売なのですが、あまりの温度差にグッピーが死にそうです。
なんでこんなに幸福度が違うのでしょう…ヒロインの境遇が元々違うのもですが主人公の性に対しての心遣いが凄く違うなとも感じました。
「さようなら、援交娘さん。」では色々と深く考えていそうに見えて自分中心に考えていてヒロインの事を全く見ておらず、今作は悩んで悩んで、でもやっぱり一番にヒロインの事を考えている、その差が大きそうだなと。
修士君はゆきちゃんがどんなに酷い家庭でもきっと助けただろうなと思います、今のような関係では無かったとしてもきっと助けてた。
そういう物語の「ヒーロー」としての差のような気がしました。
勿論、ゆきちゃんがポジティブで揺子がネガティブなところも大きいでしょう。
どんなに何度も助けても沼に沈む人間は沈むので。
前提として作風が違うと言われたらそれまでですが、ここまで作風が違う物を同日に出されていらっしゃる夜のひつじさんはやっぱり凄まじいサークル様だなと再確認しました、好きです。


次回は「ゆびきり婚約ロリイタ」予定。
実はロリータシリーズの中で一番自分の心を打たれた作品で。
再プレイになりますが、凄く楽しみです。
初回プレイの時に感想を書いていないので、新しい気持ちで始めたいと思います!