【ハーレム双子ロリータ】感想
【男性向け18禁】
2017年12月31日発売
『夜のひつじ』様 ※リンク先公式HP(18禁)
【ハーレム双子ロリータ】(PC)(18禁) ※リンク先DLsite.com(18禁)
以下感想です。
唯一持っている時間という富を分け合い。
家族に成る。
『今からだめになってもいい時間。
三人寄れば文化が形作られます。
あなたと少女と少女で世界を閉じてしまいましょう。
何よりも大切なのは、見守ってくれるかぞく。
少女の愛とやさしさに包まれて、
一番あたたかくて熱い場所に精液を吐露しましょう。
双子に中出し孕ませロリユートピア。』
(公式より引用)
夜のひつじさん作品19作品目プレイ。
プレイ時間はゆっくり読んで約2時間くらい。
プロローグ約55分、本編約1時間5分、エピローグ2分くらい。
分岐無し。
ロリータシリーズ4作目。
今作から完全に初見プレイだったので、新鮮な気持ちで読み進めました。
「孤独と孤独が出会い家族に成る」ロリータシリーズでのお約束を刻みながら今回はヒロインが二人になりハーレムに。
所々に出てくる宗教観があるような描写がどこか切なさを掻き立て。
「最初からハンデのある人生で何も持っていないから、せめて貴方が欲しい」を一貫し。
集団から溢れてしまったけれど決して戻りたくない少女と、集団に初めから数えられていなかった少女。
そんな社会から欠け落ちた二人が懸命に主人公を求める姿が健気で。
誰も知らない「悪い事」をお互いに課すことで関係を紡いでいく姿に可愛らしさとどこか強かさを感じました。
『システム、演出』
吉里吉里製。
今まで通り操作は完璧でございました。
『音楽』
madetakeさんとwaniwaveさん。
相変わらずのピアノ曲の美しさ。
曲名を知りたいのでサントラ、心待ちにしています。
声はすなおが紫乃小文さん、とまりが蝉サブレさん。
「相思相愛」「ゆびきり婚約」の元祖ロリータコンビ。
紫乃小文さんはまこちゃんとはまた違った可愛らしさと儚さと、そしてどこか手玉に取っている感があり。
まこちゃんには無いどこか裏にも考えがあるような雰囲気がたまらなかったです。
蝉サブレさんは個人的にハスキーなお声が大好きで。
独特な感性での台詞回しが多いとまりでしたが独特なテンションを綺麗に演じられていらっしゃいました。
ロリータシリーズの初ハーレムを元祖ロリータのお二人が演じられるのは胸熱だと思います。
『絵』
こちらもロリータシリーズに欠かせないぴよ寺むちゃさんとうさ城まにさん。
絵柄が近い事もあり並んでも違和感無しでベストコンビでした。
それどころか一枚絵になっても違和感が無く。
ハーレムらしく肉体が絡まるシーンが多いのですが、「2人で本当に描いているのですか?」と思うくらいに統一感があり。
どちらのヒロインも柔らかそうでプニップニで、ロリ力が大変高く、両者の統率の取れた絵でした。
『物語』
ロリータシリーズ、基本的な流れは同じなのですが、文章が相変わらず凄まじく良く。
孤独や愛、エロスをここまで違う表現で描ける事に引き出しの多さを感じます。
今回は「相思相愛」と同じく教会の子で。
今までのロリータシリーズよりもヒロインの家庭環境が若干詳しく描かれており、彼女達の孤独や得意性を強く感じました。
すなおととまり、二人が居る所はまこちゃんと同じ教会なのでしょうか?
声優さんがロリータシリーズのお二人だったり、こういう教会で「もしかしたら同一世界かも…」と思わせられる所があったり、そういう部分でも今回は色々な繋がりを予想させ楽しかったです。
ただ、時代毎に文章での細かい箇所、特にギャグっぽさがあるシーンは表現で流行りが出ます。
「あー、この言葉、この時代に流行ったなぁ」と思う所があり、年数が経つと結構過去の表現に感じたり。
夜のひつじさんは独自の文章が上手い方なので、あまり流行りの表現を多様されない方が良いなとも思いました。
今回ロリータシリーズ初のウィンドウメッセージ。
ウィンドウメッセージ読みやすいですが、全画面の方が没入感がある文章を書かれる方でもあるので、バランスが難しいところでもありました。
『好みのポイント』
ハーレムになった事でエロパワーは今までよりも強かった気がします。
エロゲとしては良いなと思いました。
【以下ネタバレ含めての感想です】
エロは強く、2人ヒロインで今までよりもマニアックさは増していました。
…が、しかし、今までのシリーズより好きか?と聞かれると、うぅん…な感じに。
文章は好き、エロも強い、けど性癖には刺さらなかった、そんな感じ。
今までは固定ヒロインだった分、一人のヒロインとの交流が強くあり、一人のヒロインを深堀りしたのに対し、今回ダブルヒロインになった事で、一人一人を掘り下げるとかはあまり感じられず。
すなおととまりは常にニコイチで、二人一緒にエロを行い、「ハーレム楽しいね!」くらいになってたのがちょっと残念でした。
ダブルヒロイン物、夜のひつじさんだと他作でもありましたが、純愛系の場合ヒロインがヒロインに対して大きく重い感情を抱いていたのが良く、それが響いたのですが、今回はあまりそれを感じず。
確かに「大事な友人で家族」だとは思いますが、あまり両者が両者を評する事が無い為、そういう感情を汲み取ることが出来ず、すなおととまりはニコイチだけど、「好き」や「愛」の感情は主人公にしか向いてなかったなーという印象。
良く言えば二人は一心同体で、悪く言えば同一存在過ぎて別の人格を持つ別の人間には見えないみたいな、そんな感じ。
二人が二人だからこそ意味があるとは分かりつつも、あまりにもニコイチ過ぎて。
エロ的にはハーレムはエロいけど、もう少し色々と二人と別に交流するシーンが欲しかったなーと思います。
あとこれはエロゲのハーレム物で思っている事なのですが、同じスタート地点のダブルヒロインの場合、挿入する順番は選ばせて欲しいというか。
ゲーム内で挿入順が決まっていると最初に挿入されるヒロインの方にズルさを感じてしまい。
最初に誘惑して来るのがすなおだったり、初挿入がすなおだったり、すなおに比重が傾いているなーとどうしても感じてしまいました。
特に、個人的にキャラの性格や声がとまりの方が好みだった為、「なんかとまり、二番手じゃない?」みたいな。
そういう部分を感じて、若干ノリ切れず。
今までのダブルヒロイン物「親友が美少女~」はあゆむが超メインヒロインの為、初手でも納得出来、「義妹妹」も妹と関係を既に持っている事が話を形作って居たので意味があり、「姉ビッチ」も妹と最初に致す事が発端なので理解出来、「超管理」も妹が後押しし教え子と付き合う所からスタートなので分かりますが、今回は完全にスタートラインが一緒のヒロインの為、一緒にエロシーンがあるとしても選ばせて欲しかった所はあります。
こういうタイプで好みのヒロインから挿入出来ないのは個人的にマイナスポイントなので…
まぁあとは個人的に固定ヒロインが好き、という所に落ち着きます。
ロリータシリーズ、今作以降ダブルヒロインでハーレム化しますが、一人のヒロインに愛を注ぎ愛で、一人のヒロインと深く交流していくタイプが好きなので、今後のシリーズが好みに合うかどうか…ちょっと不安です。
タイトルに「双子」とありますが、読み終わるとヒロインの二人に血縁関係が無さそうな所もガチ双子萌えの人が引いた時に大丈夫かな?とも思ったりもしました。
ですがやっぱり文章力は圧倒的で。
今回も今までのロリータシリーズ同様に親関係で問題があるヒロインなのですが、教会に預けられ親が居ない事に対しての深堀りが行われ。
しっかりと「普通の家庭じゃないから、今後自分は自分と何らかの関係を持つ人の重荷になる」という現実が描かれ。
綺麗事で「そんな事無いよ」という流れにならず、「生まれでのハンデを背負った者はそれ相応の差別を受ける」という事実を描き。
「だから、その事を知っている貴方に私達を受け入れてもらう、誰にも言えない悪い事をし合って、私達を受け入れざるを得ない状況を作る」という流れに行ったのは流石でございました。
「自分はダメな人間だから、ダメな部分をさらけ出し許してもらう」という自分の負の部分、悪さや申し訳無さの許容。
このシリーズは禁忌的な「ダメ」を主軸にしているのでそこをブレずに関係を紡いでいくのが安定感があります。
ただ、ダメな事=ロリとの性行為が禁忌感があり興奮材料になるのは分かりますが、いつもその関係の築き方なので、たまには違う関係の築き方も見たいというか。
これだけ何度も同じ禁忌感が続くと「そんなにロリとの関係はダメなのか?愛しててもダメなのか?」と別の部分で不安になる所があります。
自分は、「正しく裏切らず愛していて本人達が納得していれば、どんな二人でも別に関係を築いても良い」と思っている派なので、禁忌感に興奮材料があるのが分かりつつも、「そんなにダメダメ言わなくても…」みたいな感覚を抱く所もありました。
色んな物を持っていない3人だけれど、時間だけは唯一他の人と同様に持ち得る富である。
この辺りに強い宗教観を感じます。
今までは誰の一番にもなれなかった主人公、そして誰にも受け入れて貰えなかったすなおととまり。
誰にも認識されなかったような3人が出会い、家族になり、富を分け合う。
そういう部分には強く美しさを感じました。
文章は今回、
『いくつか聞いた説教のなかで印象に残ったのは、よき羊飼いの話だ。
100匹の羊のうち、1匹がはぐれてしまう。よき羊飼いとやらは、残りの99匹を危険に晒してもはぐれた1匹を探しに行く。
損得感情だと馬鹿げている。99匹を失う可能性があるのに1匹を探しに行くことはありえない。
しかしまあ、人間の本質は損得やビジネスではないということをこの寓話は伝えたいのだろう。
聞いていて僕が思い出したのは、二人の少女のことだった。
はぐれた1匹の羊は――すなおだ。
彼女は99匹の群れにはもう戻りたくないと言う。
戻ったところで、"はぐれた愚かな羊"として見られるから。
あるいは、はぐれたことで他の羊に迷惑をかけた。あるいは、羊飼いが特別に目をかけているから探してもらえた。
そんなふうに自分で自分を捉えてしまい、傷ついていく。
もうすでにはぐれてしまっている彼女は、その事実を忘れることもできない。
忘れようとしたところで、今度はいったい自分が誰なのか、どんな人間なのか――それがわからなくなってしまう。
庇われたくもない、手を差し伸べてもらうのも嫌で――。
――怖い。
……誰かの幸福を邪魔したくない。
とまりもまたはぐれた1匹だ。
すなおと捉え方が違うのは、とまりは100匹のうちの1匹ではなく、101匹のうちの1匹だということだろう。
羊飼いはもともと100匹しかいないと思っていた。でも本当は101匹いた。いたのかもしれない。
余分な1匹はいつの間にかはぐれていなくなる。
だけど羊飼いは気づかない、他の羊も気づかない。
何が起こったのか、本当は誰にもわかっていない。
はぐれた1匹だけが知っている。でもはぐれた1匹のことは誰も知らない。
そうすると、そもそも本当に100匹だけだったのかもしれないことを誰も否定できなくなる。
無だと評価されることすらもない無。
……誰も知らない。
見捨てられたい1匹と、見出されたくない1匹。
陰陽図のように二人の奥底が混じり合っている。』
『自分が悪い人間になってしまったことを強く意識する。
以前の僕は、自分の醜さを少しでも認めるのが嫌だったのだろう。
けれど自分が醜いことは知っていた。見えないようにして、我慢して――もっと醜い人間を見下して生きていた。
病人が病気を誇るのと同じだった。
ひどい病気なのにこうして生きている、そのことを誰かに認めてほしかったのかもしれない。
おまえの病気は大したことがない、自分のほうがもっとひどい。平気な顔をして今に死んでやると思っていた。
死んだ後にしか哀れみも慰めも受け取れそうになかったから。』
『二人にしている事を考えると合わせる顔なんてどこにもない。
けれど――そのぶん、誰かに尽くそうという心は大きくなっていた。
原罪という概念の機能はそういうところにあるのかもしれない。
自分の罪深さを意識すれば、誰かの罪を糾弾する気はなくなる。』
『もし他の人びととわかちあえるのでなければ、それをもっているがために破滅してしまうような、そういう富がある。
美しさだったり。優しさだったり――でもそういう特殊な才能だけが富なのではない。
みんなその富を持っている。
それは時間だ。
万人に等しく与えられた、破滅のための富だ。
なぜなら苦痛は一分一秒から感じられ、場合によってはひとつの苦痛が何十年も続く。
嬉しさは、それひとつだけだと水のように流れ去ってしまう。
僕「三人で、かぞくになろうか」
すなお「あ……」
だから時間を分かち合う。時間を分かち合うことを許してくれる存在をかぞくという。
破滅のための富をわかちあう。
そばにいて、毎秒毎秒刺される同じ痛みを憐れみ合う。』
『はぐれた1匹の羊も、最初から居なかったかもしれない101匹めの羊ももう群れには戻れない。
彼女たちがひとりでいた時間は決して取り戻すことができないから。
共有することもできない。ただ知っていることだけが出来る。』
『一瞬だけの、全員がひとつになったような錯覚と――。
――祈り。
誓い。
誰も感覚を共有することはできず、本当の意味で誰かの手をとることはできない。
知られないこともいくらでもある。
だからこの瞬間に祈りを分かち合う。
誰かと分かち合うことができれば――。
――持っているだけで身の破滅を招く富がある。
箱に最後に残ったその真の富の名を――。
――希望と呼ぶ。』
この辺りが好きでした。
今回かなり宗教色が強いなーと思いつつも、こういう部分に胸を締め付けられました。
今回、ダブルヒロインだからこその良さとダブルヒロインだからこその話であるとは思いつつも、固定ヒロインの方がどうしても好みなので「ゆびきり婚約」越えにはならなかったというのが素直な気持ちです。
「お泊まり恋人」辺りから主人公の家庭や過去が普通っぽいのが個人的にあまり刺さらず。
ヒロインも主人公も同じくらい過去に傷があるという部分が「ゆびきり婚約」は好みドンピシャで全ての要素が刺さり過ぎました。
今後ロリータシリーズはハーレム型の為どうなるか…ヒロイン同士が「姉ビッチ」並にクソデカ感情を向けているなど、何かしら好きな部分があると良いなとは思っています。
次回は「堕落ロイヤル聖処女」ですが、久しぶりの闇ひつじさんが来るのか?
固定ヒロインで濃いプレイが多そうで…マニアックなプレイを期待しています。