ひっそりと群生

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【不運と幸運と恋占いのタロット】感想

【男性向け18禁】



2017年01月27日発売
Campus』※リンク先公式HP(18禁)
不運と幸運と恋占いのタロット】(PC)(18禁) ※リンク先Getchu.com(18禁)
以下ネタバレ含めての感想です。








プレイ時間は約2時間15分くらい。
7でもインストール可。
ディスレス起動可、初回パス認証必要。


ヒロインが固定されてるタイプの作品に触れたくプレイ。
「Campus3周年記念box」内のゲーム。
Campus作品はプレイ8作目。


主人公の性格◎、ヒロインの性格◎、話の展開◎、主題◎。
Campusよくやった!本当によくやった!!
ウソシリーズやダブルヒロイン物は主人公やヒロインの性格が全く合わず、「天文時計」と「恋人日記」はラストの展開が合わず、このままCampus作品は合わない作品ばかりが続くのだろうか…と不安になって居ましたが、ここに来てようやく好みの作品に出会えました。


引退した高名な占い師一族の老婆から「10年後の6月中、大きな不運が訪れる、回避する方法は恋人を作る事」という占いを受けた主人公。
10年後、主人公は結局、誰一人恋人を作れずに6月を迎えそうになっていた。
そんな主人公を見て焦るのは老婆の孫で幼馴染の少女、茜。
茜は懸命に学園の名簿から一番主人公の幸運を上げる名前を持つ女子を占いで探そうとしていた。
そんな茜を見て主人公は「茜自身が自分が恋人になるとは言わないのだろうか…」と悶々とする。
ある日、不良に絡まれているとある女子を救う為、自分が不良に絡まれる主人公。
不良から逃げる際、茜の占いの指示に従い、教会方面へ逃げた先、どうにか不良を撒く事に成功。
そんな主人公を見かねたのか、茜は教会の前で「私が主人公と恋人になる」と告げる。
密かに茜のその言葉を期待していた主人公は喜び茜の提案を受け入れる。
しかし、茜は主人公の「大きな不運」を跳ね除けられる程の相性の良い幸運の持ち主では無く。
「大きな不運」を中和する方法、それは身体の相性も合わせる…つまりエッチをする事だった!


という話から始まるラブコメエロコメストーリー。
とにかく、今までのCampus作品とは違い、主人公がヒロインの好きという気持ちを強く持っていたのがとても良く。
昔は遠くから楽しそうな子達を眺めている引っ込み思案だった茜。
主人公はそんな茜を知っては居たが話した事はあまり無かったが、ある日、遠足のバスに乗った際、偶然隣になる。
茜は占いでバスの不幸を引き当て教師に必死に危険さを伝えるが、取り合って貰えず。
なら、自分は気分が悪いから下りたいと言っても、教師は問題を起こさないようになぁなぁで済ませようとする。
引っ込み思案なのに一生懸命声を上げ皆を助けたい茜の必死さと、教師の適当にあしらう態度に苛立った主人公は自分が怪我をする事でバスを止める事に成功。
バスが本来通るはずだった道は通っていたであろう時間帯に崖崩れが発生した事で皆の命は助かり、主人公や茜はお咎めを受けなかった。
「内気でも誰かを助ける為に一生懸命声を上げる」そんな茜を見て、主人公は「自分から行動を起こす人」というのを好ましく思い、茜に好意を寄せるようになり。
茜もバスの一件で自分の主張の方を信じてくれて助けてくれた主人公に好意を寄せるようになり。
そういう二人の幼馴染だからこそ存在する幼少期の一件から想いを寄せ合っているという関係性が大変良く。
過去の件から主人公も茜への好意が前提にあり、「運気を上げる為だけに誰かと付き合いたく無い、好きな人と付き合いたい」というしっかりとした思いを持っていて、序盤は無自覚ではありますが、心のどこかで「茜とだけ付き合いたい」というのが見えていて、とても誠実なタイプで非常に好ましかったです。
こういう話の流れで誰とでも付き合うと「運気の為にって付き合った人に失礼じゃ…」と思ってしまうので、「茜からは付き合おうとは言ってくれないのか…なら別の人で良いか」みたいな心の揺れは一切無く、「茜と付き合えないのなら別に恋人は要らない」のスタンスな所がめちゃくちゃ好みでした。
ヒロインの茜も、主人公の事が大好きで本当に主人公の「大きな不運」を心配してくれるけれど、「何で自分が恋人になる」とは言わないんだろうと序盤思っていましたが過去の一件を見るとそれが凄く分かって。
バスの事故を占いで回避出来て、そこから主人公と仲良くなったのなら、そりゃキッカケになった「占い」は彼女にとって離せない物になるよなぁと。
元々が引っ込み思案な性格で「占い」だけは絶対に信頼出来る物になり。
引っ込み思案…自己肯定感が低いままに「占い」だけ肯定感が強いので、「占いを過信する子」になってしまっているんですよね。
明るく成長しているように見えて、占い以外は自己肯定感低低なのが見てて凄く分かりやすい子だったので、自己肯定感低いヒロインスキーにはめちゃくちゃ刺さりました。
だからこそ、占いで主人公と自分の相性が「普通」と出る限り、「幸運を呼び寄せる子には勝てない…」となっている為、主人公の大きな不運を目の当たりにしないと「自分が恋人になる!」と勢いを付けて言えないのが凄く分かりました。
紆余曲折はありながらも「一応の恋人」になれた主人公と茜。
茜が恋人になったのが嬉しく、「仮恋人」のような関係だけれど、「6月が終わっても茜と恋人で居たい、茜を手放したくない」とどんどん茜に惹かれて行く主人公の心理描写が本当に良く。
中盤「主人公の運気を上げる女性」として占いで一番に上がっていた吉村さんが主人公が不良から助けた女子であり、主人公に好意を持って告白して来ますが、茜以外に心を揺さぶられる事が無く、「茜以外と付き合う気は無い」と思い続けるので一途系主人公好きとして大満足。
逆に茜が占いで運気が高いと出た吉村さんに引け目を感じて主人公から身を引こうとする姿が、元々の自己肯定感の低さを考えると辛く、「茜からしたら自分のアイデンティティである「占い」で出た運気で負けてるんだから、無理してでも諦めなきゃと思うよなぁ…」と辛い中ででも納得もしてしまいました。
更に茜は主人公が「自分から行動を起こす人」が好きなのを知っていて、「「占い」ばかりで先を決める自分が好かれるはずは無い」と思っており。
主人公の運命に対し、「本当は主人公には本来結ばれるべき相手(吉村さん)が居たが、自分が占いで良くなる先を決めて来た結果、「運命」を書き換え「運命の相手」のポジションを奪っていたのではないのか?」という真相に行き当たります。
実際その考えは当たっており、「6月に主人公に大きな不運が巻き起こるのは本来の幸運の相手…「運命の相手」である吉村さんを主人公と引き合わせる為に神の見えざる手(幸運)が巻き起こしている現象」という事に主人公も気付きます。
でも、そこでも流石の今作主人公、「俺が「自分から行動を起こす人」を好きになったのは引っ込み思案だった茜がその性格を押しのけてでも皆を助けようとした姿を見て憧れたからであり、「占い」は関係無い!」「巻き起こる「不運」よりも「こっちが正しい、運命だ」と決めつけ勝手に俺の気持ちを無視する「幸運」の方がクソ食らえだ!」と「運命」も「幸運」も押しのけ「茜」を選択する姿に最高にシビれました。
ラストの方で主人公に対し「私は「占い」で主人公の未来を変えてたんだよ、「自分で行動する」とは真逆の女だったんだよ」と言い放ち、タロットカードを捨て豪雨の中飛び出した茜が河で溺れていた子供を見つけ、一瞬タロットカードが過りながらも振り払い即座に助けようとする姿を見て「あぁ、こういう、ここぞ!という時に占いよりも人助けが優先になる茜に主人公は惚れたんだなぁ」と主人公が惚れた理由に納得したり。
最後は河で溺れかける茜を、「幸運なんかクソ食らえ」とやって来た主人公が助けてハッピーエンドだったり。
王道も王道ですが、「茜の占いで道を決めてばかりのように見えて、人助けを絶対に優先するという行動力の強さ」や「主人公の運命や幸運を押しのけてでも自分の意思で茜を選ぶ一途さ」というのが作品の「運命」や「占い」という主題に絡まり綺麗に回収された作りでとても良かったです。
本当に、今作は主人公がTHE・主人公してますし、ヒロインがTHE・ヒロインしてて良い、とても良い、好き。
こういう「占い物」である「占いとは「手段」であり、最後には自分が行動する力である」という主題を綺麗に書いていて、主人公の性格も、ヒロインの性格も、話の流れもどれも丁寧でとても好みの作品でした。


どれも最高の要素で、ほぼマイナス点は無いのですが、ただ、ただ一点だけ申し上げるなら…エロだけが抜きゲー寄りだった事!!!
発端の肉体関係が感情とは違う要素(運気を上げる為)から入ったり、アホなノリでエロシーンに入る時があるので若干抜きゲーのノリはありますが、その点に関してはちゃんと告白→エロの工程を踏んでいるので、個人的には問題は無かったです。
むしろ告白無しで「運気を上げる為だからね!」とエロから始まって無くて安心しました…んな事したらウソシリーズと同じになってしまう…
ですが、そのエロシーンのテキストが非常に抜きゲー寄りというか、ナウでヤングな抜きテキストだったのが残念。
隠語満載なのは良いのですが、「んほぉ」とか「らめぇ」系のエロテキストで、本編の主人公と茜がお互い想い合っていて過去にも強い繋がりのある二人の為、純愛軸で進むのに、エロだけが抜きゲー世界だったので違和感が強く。
通常時のテキストやデートの時のテキストとかめちゃくちゃ普通に良いのに、どうして、どうして、エロだけがこんなに…と切なくなりました。
通常時の純愛の雰囲気とエロの時の抜きゲのノリが噛み合って無さ過ぎる。
もうちょっと穏やかにして頂けたら個人的には嬉しかったです…まぁ、こういうエロテキストがエロイのは分かりますが、それが似合う作風ってあるじゃん?みたいな、そういう気持ち。


エロは全部で回想12シーン。
正常位、バック、騎乗位、フェラ、足コキ、パイズリなど欲しい体位やシチュの基本は抑えほぼ完備。
個人的には一日の運試しの為にソシャゲのガチャを茜が勧めるのですが、そのソシャゲに出てくる女の子キャラの衣装を着てのプレイがとても良かったです。
コスプレプレイというより、そのキャラの衣装を「似合わない!!」と否定する茜に対し、「似合ってる!可愛いから!!」と茜を褒めまくる主人公がべらぼうに良かったというか…自己肯定感低いヒロインを褒めまくるシチュが好きなので刺さりました。
ただ、上記で語ったようにエロシーンテキストが抜きゲー寄りなので、個人的には今作のエロはもう少し落ち着いたテキストが良かったなーとはなりました。
そういうテキストが合う作品も多々あるのは分かりますが、本作は合わないタイプ。
あと2割くらい抜きゲーのノリが少なかったら個人的にエロもとても刺さったと思います。


絵はあにぃさん。
参加作に触れるのは初。
sealで描かれていらっしゃったみたいです。
等身低めでヒロインの絵柄はあまり好みでは無かったのですが、主人公の一枚絵が後半で出た時めちゃくちゃ格好良くてビビりました。
現在(2021年11月)参加の最新作が「槇村葉月の恋語り」らしいのですが、コチラの絵柄が等身高めでとても好みだったので、おそらく等身や絵柄を変えられる方なのだと思います。
男性キャラも上手く、今作の等身は好みでは無いですが、等身高い絵は好みド直球だったので、高い等身の絵で進んで頂けたら嬉しいなーと思う原画家さんでした。


音楽はシリーズ共通。
OP曲の「ローズピンク タロット」は歌っている方の声質もあり、若干電波にも聞こえます。
電波寄りの明るい曲。
今までの主題歌の中では個人的に普通かも…中の中という感じでした。
声は茜役の桃井さんは今年、「初恋1/1」の再プレイから気になり、「シュガスパ」「シュガスパ2」「フェイアズ」と参加作品に触れ、全然違う声質でとても良い演技をされる声優さんだと思い気にかけていましたが、今作で固定ヒロインとして参加され個人的に運命を感じました。
意識して居なかったのでビックリです。
今作は「初恋1/1」の瑠奈寄りのロリ系ですが、ロリロリはしておらず大人しさもあって。
所々で低くなった時にお姉さん系の声質が垣間見えてドキドキしました。
個人的にはお姉さん系の声が好みですが、ロリ系も違和感無く上手いので芸達者な方だなぁと。
ホラー映画を見た後に、怖がって主人公の部屋に這いずってやって来るシーンがあるのですが、そのシーンでの「ヴォ…ヴォヴォヴォ」みたいな声も這いずるような演技がとてもホラーで良かったです。


エロシーンの抜き特化テキスト以外は本当に大満足の物語でした。
なによりも主人公が最初から最後まで茜一筋なのが良い、最高。
序盤は無自覚な所がありますが、それでも茜を気になっていて、進むにつれて「やっぱり俺は茜が好きだ」と自覚して行く姿も良いですし、茜の自己肯定感の低さで拒否られても「それでも俺は茜を選ぶ」と一貫していたのが、固定ヒロインゲー好きとして「これよこれ!!」でした。
ヒロインの事を一途に想い続ける主人公は最高ですし、そういう想いを隠さず、クールさも気取らず熱く突き進む主人公は見ていて爽快です…聞いてるか?ウソシリーズ主人公よ…
本当に、あのシリーズの主人公に爪の垢を煎じて飲ませてあげて欲しい。
今作担当のライターさんがウソシリーズの最終作「フユウソ」に関わるらしく、ウソシリーズが本当に合わなかったので(主に主人公)最後、良い感じに化学反応を起こし、好きな作品になる事を祈ります。