ひっそりと群生

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【Dear world -Re.-】感想

【男性主人公全年齢】



2009年02月08日発売
non color』様 ※リンク先公式HP(18禁)
Dear world -Re.-】(PC) ※リンク先DLsite.com
以下感想です。








助け合い、守った世界で、生きていく――。



『はじめて笑って。はじめて泣いて。
 はじめてケンカして。はじめて仲直りして。
 そんな風な、たくさんのはじめてが詰まった時代。

 どんな大人も通った時代。
 包まれて護られて、疑わなかった時代。
 ――そんな時代に、少年はいた。

 学校からの帰り道に、立ち寄った公園。
 いつもの仲間と遊んでいると見慣れない女の子がベンチに座っていた。
 こちらの様子を不思議そうに伺っている。

 それを見た仲間の一人が、指をさして言った。

 「騎馬戦やろうにも一人足りない。丁度いい。あいつを入れようぜ」

 すべてが終息してから十数年。
 止まりかけていた世界で、少年は少女と出会い、少しの時を過ごす。

 そして知る。
 大きなもの、ゆるぎないもの。そのつながりを』
(公式より引用)



Dear world -the one-』(※リンク先感想)から続く物語、選択肢は無し。
前作の入手困難度があまりにも高いのですが、一応今作だけでもプレイは可能かと思います。
基本は子供達の物語で構成されるので。
ただ、話の後半…和哉の物語になった辺りから前作未プレイでは?となる描写が多々見受けられるとも思いました。
大川やあさひの事、千紗の弱っていく理由や和哉の腕。
なによりも「世界」や「戦い」に関してはかなり前作の設定が分かっていないと置いてけぼりをくらうと思います。
未プレイで全力で楽しめる範囲は…ギリギリでユウキ編までかも…
これだけ後半に前作が綿密に関わるので、願わくば「-the one-」の方もDL販売される事を願うばかりです。



『システム、演出』
吉里吉里製。
前回全くセーブの意味を成していなかった不具合は見事に解消されていました。
スクリプトや挙動、スキップも早くサクサク動きます、流石吉里吉里様。
セーブが出来る、その一点だけで大変有り難かったです。


『音楽』
前作同様オリジナル曲…かな?
相変わらず良い曲が多いのに音楽鑑賞モードが無いのは生殺しだと思います…


『絵』
前作同様3人の方が担当されていました。
やっぱり違いが顕著です。
特にコウタが手を振る時のCGは立ち絵とは別の方が担当なので、一瞬「誰!?」と戸惑いました。


『物語』
前半は子供の頃の「何でも出来た無敵の自分」を思い出すようなそんな気分になりました。
例えるなら知育番組…さわ◯か三組の出来の良い回の詰め合わせのような、各子供達が主役のお話が連なる物語。
あくまでもメインの主人公はユウキなので群像劇では無いですが、それぞれの個性的な子供達が中心になりそれぞれの物語を形作りながら一本筋の通った時間が経過していく構成はとても良かったです。
ユウキの時間の経過も良い所ばかりではなく、出会い、別れ、躓き、挫け、落ち込む人生もしっかりと描かれ、一人の少年の成長が丁寧に描かれていたと思います。


『好みのポイント』
前作でも書きましたがとにかく文章が個性的。
というか今作で何となく感じたのですが、とてもリズム感が良い文章を書かれます。
5・7・5というか…5・7・5・7・7というか…古来からある読んでいてスッと入ってくる文章、文脈そして韻を踏んで作られていて…
特にそれがギャグシーンや日常のふと大事な事に気付く時に流れるように文章を作られるので大事な所や面白い所がスッと入ってきます。
本当に、凄いリズムが良い文字書きさんだと思いました。
ラップとか書かれたら凄そうです…(そういえばノラととのコミケグッズの中にラップCDがあったような…)





以下ネタバレ含めての感想です






上記で書きましたが本当に、良くも入手困難作品の続編であり、後半は前作が絡む所がなんとも言えません。
「-Re.-」のみプレイだと「戦い」「腕」「世界」辺りで確実に置いてけぼりをくらうんですよね…
そして前作プレイ済みでも究極的に「リリィが何者であるか」は分からず。
創生と終末を司るような存在なのは察せるのですがそれ以上は掴めず。
考察ポイントなのかもしれませんが、こういう世界構造などの考察苦手なので「リリィは何者だったんだろう…?」とも思っています。
あと、前作でも思ったのですが、ギャグや大事な部分でリズムや韻を踏まれて文章としてはとても個性的で類を見ない文を書かれる方なのですが、シリアスで「世界の真実!!」みたいな部分に触れようとする時にえらい詩的というか抽象的な表現が多くなる方だなとも思いました。
「凄く良い言葉でノリや雰囲気は良いんだけど、具体的に今何言ってるか分からない…」という箇所が多く…最終的に「世界」はどうなったのか、おそらく千紗が目覚めたのは和哉達の居る現実世界では無い気はしますが、あそこは何処なのか?などボカシにボカシて分からなかった所が多いなとも思いました。
途中で出てくる詩がとても良いなとも思うので、良い所でもありまた理解するには難点でもあるので…その辺りが難しいなぁと。
でも、詩的な部分は他では真似できないほど美しいので、はとさんのそういう文章が大好き!という方も居るのはなんとなく伝わりました。


あとは個人的に気になったというか…自分の価値観の問題なのですが、コウタの父親がコウタを放っておいたのに庇護されるような結論になったり、千紗の母が千紗を放置していたのに仕方ないで済まされた所がどうしても釈然としませんでした。
親は自分で選択出来る選択権があって生んでいる以上、何があっても責任を持つべきだと思っているので和哉の母に関しては不可抗力があったにしても、他の両親2名はどうしても作中で「親だから」という理由で許されていたのが受け付けませんでした。
前作で分からなかった部分も今作で解明されるかな?と思ったら解明はされなかった点も若干モヤモヤしたり。


後半のリリィの謎や、あんなに頑張って救った「世界」が消えるという真実、そしてラストがどうなったのかが今一つ理解出来ていないところなどもあり、他の方ほど「高得点!!」とは言えませんが、「人は必ず死ぬのにどうして生まれ世界を続けていくのか?続けるのは生きていた事を伝えたいから」という部分は某私的に崇拝している作品でも主題だったのでとても好きで、「でこピンが強い女の子」「テストで点をとれる意地の悪いやつ」「ぼーっとしている転校生」、大川やあさひ、百人一首が得意な千紗など「-the one-」をプレイしているからこそハッとなる部分が多々有り、前作との繋がりが「命を繋げていく」事と重なりとてもジワリと響きました。


Reから始まる
「Rebellion」(反乱)
「Recollection」(回想)
「Resonate」(共鳴)
「Rebound」(跳ね返り)
「Restart」(再起動)
「Reborn」(生まれ変わり)
「Recently」(近い日)
の物語。
単作でも完成はされていますが、やっぱり「-the one-」と続く事、「続く」「繋がってる」「繋いでいく」事に最も意味があるとも思うので、上記で書きましたが前作がいつか広く色んな人の手に渡る時が来る事を願います。