ひっそりと群生

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【かわいいは壊せる】感想

【ツクール系全年齢】



2021年03月03日配信
パルソニック』様 ※リンク先公式HP
かわいいは壊せる】(PC) ※リンク先ふりーむ!
以下感想です。








1週間のょぅι゛ょ調教?交流?



『ようじょレンタルはじめました
 ようじょを1週間かけて『なでなで』したり、
 しなかったりするタイプのKENZENなゲームです。』
(公式より引用)


プレイ時間は約1時間30分くらい。
分岐有り。
攻略は『公式』(※リンク先公式)にあります。


幼女をレンタルするという全ての言葉にパワーがあり業が深そうな導入から始まります。
お隣に住む"でここ"という少女を一週間レンタルし、1日の終わりに「なでなで」するか「おしおき」をするかを選ぶというシンプルなゲーム。
1日1日でどちらの行動を取ったかにより、でここの心情が大きく変化します。
優しく接する事ででここが安心したり、冷たく接する事ででここが不安になったり、もしくは別の感情が芽生えたり。
でここの感情の変化が細かく、分かりやすくも繊細な幼少期の心の表現がとてもお上手で。
一見すると業が深く、シンプルなシステムではありますが、人間心理の変化を丁寧に描いていました。



『システム、演出』
ツクール製、履歴無し。
朝に出かけて夜に帰って来た後、ベッドの上ででここに対し「撫でる」か「デコピン」をするかを選べます。
「撫でる」際は頭を「デコピン」の際は額を選択。
一応夜に帰って来た時にでここと話せたり、ベッドのでここの足を少しだけ動かせますが話に影響はありません。
基本は同じ事を繰り返す7日間なので、さほどストレスは無いのですが、自分で操作しない時の動きに少しだけもたつきを感じた部分はありました。
コンフィグで動きの速さを調整出来たりしたら良かったのと、クリア後に「でここの日記」を読めるのですが、クリアしたルートの日記しか読めなかったので、繰り返しプレイする事で日記がストックされ、1日1日の読んだ日記がオマケ部屋で全部読めるようになっていたら良かったなと思いました。
分岐は公式に攻略があるのと、行動は2つだけで難しい選択を迫られなかったので手当たり次第に選んでいけば全ED回収出来る仕様だったのは有り難かったです。


『音楽』
オルゴール曲などの素材曲がありますが、夜は基本虫や蛙の声のSE。
静かな夜に行われる優しさや暴力などにリアリティがありました。


『絵』
ベッドのでここが犯罪級に可愛い!
…実際「レンタル」という方法ででここが居るのと、作中の世界観からおそらく犯罪なのがまた……
辿るルートによって一枚絵があり、どのでここも可愛らしいのですが、一番はやっぱり「なでなで」と「おしおき」のでここが最高でした。
「おしおき」の際の「デコピン」で左クリック押しっぱなしでパワーを貯めるのですが、貯める際の主人公の指が冗談抜きで痛そうなほどに力が蓄えられて行く為、笑ってしまいました。


『物語』
幼女を「レンタル」する主人公や、自分の娘を「レンタル」させるお隣さんの母親など、かなりヤバい人達が居るのですが、途中の主人公の職場での会話を見ると主人公の周りだけでは無く、世界(というか国?)自体が大分アレな事になってる世界というのが察せられて治安が激悪なのを感じました。
義務教育が無くなっていたり、労働基準法も無くなってそうで…
そんな世界の中で、「なでなで」か「おしおき」くらいで「レンタル」し毎日食事を与える主人公は、この世界の中ではかなりマシだという事を察せられて。
プレイヤーの選択をそのまま遂行するので場合によっては謎の行動を起こしますが、でここに言い寄られた際の反応や最後の警察との会話部分などを見るとこの世界の中ではわりと常識人の主人公だったのが面白かったです。


『好みのポイント』
でここの感情や心境の変化などの心理描写が丁寧で、どのEDに向かっても主人公の行動を振り返ると納得出来てしまう作りで、感情の流れの上手さを感じました。
一番はやっぱりハッピーEDにあたるEDだとは思いますが、でここの感情が負の方に触れていきBADになるEDが印象深かったです。





以下ネタバレ含めての感想です




プレイ順は、

【憤怒①】END10:でここの日記
【怠惰】END5:無我の境地
【暴食】END1:かわいいは壊せる
【傲慢】END4:すべてはおじさんのため
【嫉妬】END3:痛みは快楽に 快楽は痛みに
【強欲】END6:目覚めの一撃
【色欲】END2:それでもぼくはやってない

で実績を解放した後に、

END7:行けたら行くわ
END8:日常には戻れない
END9:ママはどこ?
【憤怒②】END10:でここの日記

のEDを回収。
以下、それぞれの感想。



『【憤怒①】END10:でここの日記』
ずっと「なでなで」し続けると到達。
悪い事をしても叱られなかったでここが罪悪感に耐えきれずに出て行ってしまうというED。
悪い事をしたのに怒られないいたたまれなさを感じた事があるとでここの気持ちをとても理解できるEDでした。
人間優しくされるだけじゃ怖くなります。


『【怠惰】END5:無我の境地』
ずっと何もせずに1日を終えると到達。
無、虚無。


『【暴食】END1:かわいいは壊せる』
最初は「なでなで」、皿を割ったら「おしおき」、その後「なでなで」で到達。
タイトルから分かるようにベストED。
でここの「おじさんの「かわいい」は私の当たり前を壊してしまうんです」という言葉により、タイトルの「かわいいは壊せる」がダブルミーニングだと知りました。
「かわいい(でここ)は(暴力によって)壊せる」と「かわいい(をする事ででここの常識だと思っていた感覚)は壊せる」という意味があったとは…
一本取られました、恐れ入りました。


『【傲慢】END4:すべてはおじさんのため』
1日目は「おしおき」、その後ずっと「なでなで」をすると到達。
でここが「お母さんの恋人がお母さんを殴った後に撫でてた、だから好きな人には殴った後に優しくするんだ!」という解釈をして「おじさんは私が好き」と思い、最後にSATUGAIするED。
世にあるDV恋人の「ごめんなぁ、もうしないからなぁ」を受け入れる心理とそれによる壊れる精神が上手く描かれていたと感じたルートでした。


『【嫉妬】END3:痛みは快楽に 快楽は痛みに』
3日くらいまで「おしおき」をしてでここを「???」状態にした後に放置すると到達。
でここ、無事にドM化。


『【強欲】END6:目覚めの一撃』
2日目まで「なでなで」、その後放置。
7日目に「おしおき」で終わると到達。
最後の最後で感情が反転した所が失恋を感じました。


『【色欲】END2:それでもぼくはやってない』
【強欲】ルートと同じ道を辿り、7日目に「キス」で終わると到達。
でここは本気なのに主人公は特に恋愛感情は無さそうな所が二人の感情のギャップとでここ…子供の思い込みの強さを感じ楽しかったです。
幼過ぎる幼妻ED。


『END9:ママはどこ?(「おしおき」のみ)』
「おしおき」のみ続けると到達。
アメが無くムチだけだったら嫌われて当然。
クソな人間かもですがそりゃあ母親の方がマシなので納得。


『END7:行けたら行くわ』
1日目は「なでなで」、2~7日は「何もしない」で到達。
フラットな関係の二人で終わりました。
行けたら行くわというのは主人公の台詞なのかもですが…主人公が刑務所に入りそうなので行ける確率が低そうなのがまた…こう、治安を感じます。


『END8:日常には戻れない』
1日目は「なでなで」、2~6日は「何もしない」、7日目は「おしおき」で到達。
でここは特に弁解もせず、おじさんが普通に捕まるED。
どのEDでも捕まってる気はしますが、でここの気持ちが特に大きく変わる事無くサラッとEDを迎えたのが他のEDと違い印象的でした。


『【憤怒②】END10:でここの日記』
1日目は「おしおき」、2日目は「なでなで」、3日目は「おしおき」で到達。
【憤怒】の別パターン。
情緒不安定おじさん。
機嫌など関係無く何されるか分からない相手が怖いのは当然なので、逃げられるのは当然でした。



色々と業が深くありながらも、子供…というよりも「支配される側」の気持ちの動き方がリアルで、7日間での心の揺れ動きが見ていてとても面白かったです。
世界そのものの治安の悪さや母親のクソさ、プレイヤーの傀儡であり善人にも悪人にも狂人にもなれる主人公などなど、色々と作り込まれていた作品でした。
あと、作中、でここに対して行えるのは「頭を撫でる」か「デコピン」か「足を軽く動かす」くらいで足を動かしてもパンツすら見えないのに、妙にエロティックな空気があった所が面白かったです。
エロは全く無いのに妙にエロい…弱者に対する暴力に感じる優越感や支配欲などは性的欲求にも繋がる事を強く感じました。
でも、暴力、ダメ、絶対!!
バッドENDが心に残りますが、でここには幸せになって欲しいので「かわいいは壊せる」を正史として心に刻もうと思います。