ひっそりと群生

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【藪の中は、夏】感想

【男性主人公15禁】



2021年11月01日配信
LR』様 ※リンク先公式HP
藪の中は、夏】(PC&ブラウザ) ※リンク先ノベルゲームコレクション
以下感想です。








藪をつつき覆われた真実を暴く。



『うだるような暑さの夏を抜けて、僕は馴染みの喫茶店に辿り着く。
 古いレコードの音。薫り高いコーヒー。700円で得られる僕の優雅な時間。
 しかし、ふと気づくと、目の前には黒づくめの眼帯の女性が座っていて……。』
(公式より引用)


プレイ時間は約10分くらい。
分岐無し。


等速運動の君へ』(※リンク先感想)を制作されたLRさんの作品。
松葉杖をつく大学生の主人公が眼帯ゴスロリの女性と喫茶店で出会い、女性が過去を語ります。
女性が語る過去はとても暗く、そして救いも無く。
彼女が語る過去は本当なのか、それとも嘘なのか。
若干の推理要素有りの短編ホラー。
もう生い茂り何もかもを覆い尽くした藪の中をあえて突きほじくり返す行為に醜悪さや居心地の悪さを感じました。



『システム、演出』
ティラノ製。
コンフィグ無し、音量調節もPCで変更でしたが、プレイ時間的支障はありませんでした。


『音楽』
ホラーらしく常に不穏な曲で選曲が良かったです。
夏らしくセミの音だけのシーンもあり、その際に若干の推理ターンが入るのでセミの音だけが響く中でゾクゾクしました。
後半、自室に戻ってからの曲の変化も焦りが有り良かったです。


『絵』
主人公が喫茶店で出会う女性にのみ絵有り。
LRさんは前作の「等速運動の君へ」でもでしたが、どこか線が細い女の子の絵がとても素晴らしいです。
「等速運動の君へ」は明るいだけではなく繊細なヒロインの霧崎が描かれていましたが、今作で出会う女性は本当に線も細ければどこか影もあり。
着ているゴスロリ調の服と眼帯も相まって闇も深そうで、絵柄にとても合った女性でした。


『物語』
女性過去語りで主人公含めて二人の名前は一切登場せず。
語られる話はどこか恐ろしく。
夏に放送される短編ホラーを見ている気持ちになりました。


『好みのポイント』
前作もでしたがLRさんの文章は雰囲気の出し方が上手く、とても好きです。
途中、物語が二転三転する流れがミステリー好きにビビッとキました。
プレイヤーとして俯瞰してみると二人共やった事はどっちもどっちな気はしますが、根に持っていたりする感情の黒さでは女性の方に勝敗が上がる気がします。
後味が悪い所も含めてとても「ホラー」でした。





以下ネタバレ含めての感想です





「藪をつつく」の後半の推理パートで「なんだ、この二人は死体もつついてたのか…」と恐ろしくなりながらも「藪の中」でやっぱり本人じゃん!となったのが面白かったです。
主人公の松葉杖のフェイクや真相など、説明を受けると全部「なるほど…」でした。
が、上記で「二人共やった事はどっちもどっち」とは言いましたが、イジメの全貌を見るとどう考えても女性の方が悪いというか。
そもそも自分の感覚でイジメとは「最初に物理的に手を出した方が悪い」と思っている為、主人公に対し殴る蹴る、松葉杖を奪うを行ったりそれに加担した女性が圧倒的に悪く。
反撃されて目を失っても自業自得としか思えませんでした。
個人的な感覚として、「危害を加えるならやり返される覚悟を持ってろ」なんですよ。
なので、女性の方に「自分の罪とそれに伴う罰に向き合ってない上に逆恨みをしている最悪な女」という印象しか抱けず。
しかもラストは女性がホラー的に勝利しそうなのがどうも納得出来ませんでした。
まぁホラーというジャンルとして、「醜悪で常識外の暗い感情を持っていた方の勝ち」というのが暗黙の了解である為、女性側が勝つのも分かりますがしかし…
イジメられたから反撃をしたのに更に追い詰められた主人公が本当に可愛そうでした。
ホラー物の主人公として「可愛そう」なのはお約束ですし、女性もマトモな性格をしていたらそもそもがイジメをしない為、「ヤバい性根の女性に追い詰められる主人公物」としては楽しむ事が出来ました。
「理不尽ホラー」として綺麗に纏まった作品でした。