ひっそりと群生

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【DESIRE 完全版】感想

【男性向け18禁】



1998年06月05日発売
『C's ware(解散)』
DESIRE 完全版】(PC)(18禁) ※リンク先wiki
以下ネタバレ含めての感想です。








10作に一個は名作と呼ばれている作品を挟んでプレイしないと心が死ぬと学びました。
というわけで、この感想がいつ投稿されるかは分かりませんが、2021年の160作目は「DESIRE 完全版」に。


プレイ時間は約5時間30分くらい。
メガストア2008年11月号」収録版でのプレイ。
7でもインストール可。
ディスレス起動可。


「DESIRE 背徳の螺旋」「EVE burst error」「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」、菅野ひろゆき三部作と呼ばれる最初の作品、「DESIRE 背徳の螺旋」のリメイクセガサターン移植からの再移植版。
セガサターンからの移植らしく、随所に挿入されるアニメーションは90年代を感じさせながらも美麗で重要箇所を盛り上げていました。
「DESIRE 背徳の螺旋」→「DESIRE(セガサターン移植)」がシナリオはそのままに原画をフルリメイクしフルボイス化、アニメーションを追加しているという現在の移植では絶対にしないレベルでの技術とお金のかけ方をしている為、バブルというか時代を感じます。
2017年にも「DESIRE remaster A ver.」として再再リメイクが行われていますが、公式サイトを見る限りCGのリメイクはあってもアニメーションリメイクまではされていないようなので…バブリーレベルが違います。


話は男性主人公の「アルバート編」と女性主人公の「マコト編」を選択し、それぞれの視点で「デザイア」という研究島での4日間での出来事を辿るダブル主人公物。
ダブル主人公ですが、それぞれの編をクリアすると後に「マルチナ編」が解放され、最後にフルアニメーションの「ティーナ編」が解放。
プレイヤーと同じ「何も分からない状態」で始まるのが「アルバート編」なので「マコト編」は2番手推奨。
「デザイア」という研究施設で行われている研究を巡る話で、序盤はむっずかしい単語が多々出る為、「これは理論を理解して付いて行けるかな?」と不安でしたが、そういう小難しい物は本筋には深く関わらなかった為、安心しました。
片方の視点で明かす事と明かさない事を明確に分けており、両方の視点が揃う事でそれぞれがしっかり補完し合い全貌が分かるという作りとしては原初の方でお手本のような構成。
そして本筋はもう完全にティーナの物語。
まごうことなきティーナの物語。
最初の語りで「輪廻の輪」と言っているので「誰かが巡っている」という事は分かり、マルチナとティーナの関係も何となく察せたので物語での驚きという意味では正直さほど驚けなかった所はあります。
ただ、時代を考えるとこういうタイプは珍しかったのだろうなと思うのと、菅野さんが「一人を軸にグルグルと巡る系」のSFを書きたかった所は伝わり、「作者のやりたかった事」が強く伝わってくるタイプの作品が好きなので、その辺りはとても好きでした。


ただ同時に、「ティーナの無限ループ」を書きたかった故に他の部分はさほど興味が無いんだろうなーとも感じた所は残念。
まず残念だったのは、男女の合意でのエロシーンのエロく無さや数クリックで速攻で終わる速さに「あ、ここ、興味無いんだ」というのが伝わり逆に笑ってしまいました。
そういうエロよりもカイルからマコトへの脅迫エロや、マコト関係でのレズエロの方がエロいという。
菅野さんはそっちの方が性癖なのかな?と思うくらいに合意エロがエロく無かったです。
次に、ティーナとマルチナが執着する主人公、アルバートが個人的に全然、全くもって、ゼロに等しく主人公としての魅力を感じなかった所。
アルバート、取材の仕事とはいえ恋人が働いている研究島に着いた1日目の夜に速攻で浮気をかますのであまりの軽薄さに驚きますし、数々の場面で女性に対して失礼千万な行動しか取らないのに何故かモテてフラグ立ててシェリルにシルビアを落とし抱き込みますし。
「優しい」みたいな評価を受けてますが、全然優しく無く傍から見てて駄目さの方が極まってますし…何でモテるか分からない男がモテていて始終困惑しました。
90年代の主人公らしいと言えばらしいですが、シ◯ィー◯ンターの冴◯とかも90年代主人公らしい失礼さがありますが、それでも格好良い所はガチで格好良いからこそ見ている側は冴◯がモテてもおかしくない!と思えます(それくらいに読み手が格好良く思えても作中ではモテないからこそ、そこがまた格好良いという)。
ですが、アルバート、全く格好良いシーン無く…一応カイルを一回倒しますが、後に負けるので最初の勝ちがまぐれだった所がカッコ悪さを引き立てていて。
そういう奴なのに浮気をバンバンかますので、俯瞰して見ると駄目男がただ浮気している展開になっており。
そりゃあ、1日目でアルバートとクリスの情事を見てしまったらカイルにも漬け込まれるわなと。
マルチナさんは「浮気をしてもそれも相手の一部で愛し続ける」とか言いますが、そういうのを一度でも許容して「コイツならなにやっても許してくれるな」みたいな立ち位置になると永遠に舐められ続ける関係になるので、他の感想でも書きましたが、浮気は許すな、目を抉れ、というのが自分の見解になります。
…というかアルバートが「浮気を許容しても良い!」と言えるほどの良い男に見えないというのが問題というか……
ぶっちゃけマコトに何度もアタックして、マコトの弱みに漬け込んで抱き込むカイルの方が悪役的ポジではありますが、めちゃくちゃ良い男なんですよね。
「マコト編」プレイすると確かに弱みを握ってどうのこうのなのでカイルは嫌な奴ですが、アルバートよりもマコトを気遣ってくれますし、最後にはマコトを命がけで救ってくれますし、アルバート以上にマコトを救う主人公をしていて。
そりゃ、マコトの気持ちは完全にカイルに傾くしアルバートと別れるわな、と。
カイル、自分が良い奴じゃなく悪い奴の方だと自覚してそうな所がまた良いんですよね、アルバートは自分は善人だと思っていてクソ行動起こすので最悪なタイプ。
最終的に善悪の比率が同じになった時、普段素行が悪い人間の満点や雨の中で猫を拾う不良の方に惹かれるのが人間心理なので、完全にカイルに肩寄せしてしまいました。
悪だと自覚している悪の方がスカッとします。
なので、マルチナの想いや最後のアルバートのハーレム展開など、全然魅力的では無いのにアルバートがヨイショされ過ぎていて感情の方面でマルチナやティーナの想いに感情移入出来ませんでした。
この物語、肉体的苦痛を伴っているのはループしているティーナ…マチルナだとは思いますが、精神的に最も苦痛を受けたのはマコトでしょう。
恋人と久しぶり会えたのに恋人に浮気されて、嫌がってたカイルにに弱みを握られ肉体関係を持ち、徐々にカイルに惹かれたのに最後にはカイルが死に…ダブル主人公の片割れ的扱いなのに良い事が何も無くてビックリしました、本当に、マコト可愛そう物語過ぎます。
最後に、これが一番残念ポイントなのですが、序盤「輪廻の輪から救い出して」という言葉がある為、ティーナ(マルチナ)救済が主軸になってると思いきや、最後の救済の仕方があまりにも雑でビックリ。
無声のフルアニメーションで救済が描かれますが、サクサク次元を越えてサクサク過去に戻ったティーナを助けるので、「いや、そこを重点的に書こうよ!!」とツッコんでしまいました。
なんとなく書きたかったのは「ティーナ(マルチナ)のループ」なんだろうなぁとは思いますし、「そこを書き切ったから満足!」というのを感じて「やりたかった事をやった感」はありますが、起承転結の結が雑過ぎるのは良くないと思います、「終わり良ければ全て良し」の真逆を行ってしまっていてとても残念でした。
あとは…「デザイア」でのループしたり遺伝子をどうのこうのするドーム状の機械(認識が雑)、あれは落ちたら大変な事になるのに、周りを囲んでいる柵があまりにも突貫なのでは?と思ったりしましたが…そこはデザイン的に触れてはいけないのかな?とちょっと思いました。
でも、研究施設ならもっと厳重にした方が良いと思います。


絵や音楽は流石に時代を感じますが、SSから追加のアニメーションはパワーを感じます。
これだけのアニメーションを挿入は…お値段を考えるとこの時代では難しそうです。
声は完全版でのボイスなのでSSとは違うらしいです。
wikiを見るとSS版の時点で氷上さんに川上さんに田中さんにこおろぎさんに松本さんに青野さんにメンツが大変豪華なのですが、PC版である完全版の声優さんも当時声付きらしくほぼ表声優の方々。
特にゲーツ役の邪風さんは…その、声で分かりますし名前でも察せられますし、ぶっちゃけwikiで辿ると表に繋がりますし。
この名義で出演されてるのがエロゲでは数作なので、エロゲでこのお声を堪能出来て大変良かったです。



プレイ順は
アルバート編→マコト編→マチルナ編→ティーナ編
の順で攻略
マチルナ編からは固定



アルバート編』
プレイヤーと同じように「何も知らない」という立ち位置からの視点。
物語は進んで行くけれど、上記で語ったようにアルバートの駄目さで常に疲弊していました。
下半身が緩すぎる…マコトに謝ってくれ…
本作はアルバートに抱かれない女性…カズミやレイコの方が魅力的に感じたのでエロゲとして面白いけどどうなんだろう?とも思っていました。


『マコト編』
アルバートの浮気を見た事でカイルに漬け込まれる浮気話。
色々難しい話がありましたが、カイルとのNTRとレズプレイしか記憶に無いのが、こう…
アルバートよりもカイルと一緒になった方が100パーセント幸せなのに、カイルが最後に亡くなる仕様は鬼か?と思いました。
本作で一番精神が傷付いたと思うので、誠実な人と幸せになって下さい。


『マチルナ編』
多分本作で一番やりたかったと思われるシナリオ。
話は本編をマルチナ視点で辿るだけですが、彼女の人生が軸になっていて、彼女の想いが重要なので、文章や最後の演出などから気合を感じました。
まぁ、だからこそその想いの軸となるアルバートをもっと魅力的に書いて欲しかったのですが…難しい。


ティーナ編』
ティーナ救済アニメーション。
「マルチナ編で力尽きたな…」と思えるくらい救済が適当でビックリ。
もっとダブル主人公が試行錯誤するかと思っていましたが、そんな事は無かったです。
この救済が丁寧だったらもっと評価が上がったのに…と思いました。



年代を考えると斬新さはありつつ、今の感覚だとどうしても引っかかってしまう所がありました。
ダブル主人公物は珍しかったと思いますし、ループ物も珍しかったと思うので(というかエロゲでここまでしっかりと話があるのも珍しかったくらいの時代かも…)、その辺りは開拓者の方として素晴らしいと思っています。
時代の先駆者の作品の一つに触れられて良かったです。
いつか「EVE burst error」「この世の果てで恋を唄う少女YU-NO」にも触れたいと思いました。



※ゲームの攻略で検索される方がいらっしゃるみたいなので参考にさせて頂いた攻略サイト様を失礼します。
参考攻略サイト様:Enjoy Game Life 様
https://tryspace.net/
 DESIRE 完全版 ページ
https://tryspace.net/game/desire/