ひっそりと群生

ひっそりと持ってるCDの情報やゲームの感想上げたり。購入物の記録など。気ままに。飽きっぽいので途中で止まったらご愛嬌。

TRUE REMEMBRANCEをn週目している人のネタバレ記録 その7

※この記録は里見しば様制作のTRUE REMEMBRANCE-remake-をn週目する人間の記録です。
※軽く片手の指以上の数の周回をしているのでネタバレ込み、伏線に触れまくりの記録になります。
※好き過ぎてスクショ撮り放題です。
※また、同作者様作『送電塔のミメイ』もプレイしてるのでその辺りにも触れています。


前置きは コチラ

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TR記事まとめは コチラ






ニ話 逃げて行くひと】その③


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ここでセーブを取ると『二話 過去からの手紙』というセーブタイトル。
過去、イーリャにとっては本当に家族の事はただ過ぎ去りたいだけの過去なんですね。
家族側がどう思っていても、彼女の決意は固い。


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普通の人にとっては暗闇の中で怖くなる事や不安に感じる事はあるあるなのですが、ラからしたら大問題です。
彼女達にとって自分を失う事は存続の危機です。
他の何かになってしまったり他の誰かを受け継いでしまったら消えてしまうしかない。
他の人の感情を引き継いでしまえてそれにより自分も変貌してしまうというのは凄く繊細で綱渡りな人生だと思います。


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その洞察力の鋭さがが嫌味に見える事は多いけれど、今は黒目が色々と素早く気付く人で良かったと思います。
ラを暗闇から救い出してくれて有難う、黒目。


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コアタイム
現実のこの時期もですがこの時期はココアが身体に染み渡ります。
黒目は少なくともラに対して「遠慮や気を使われる事が寂しい」と思っているという事。
きっと他のお客様だとそう思わず淡々と仕事をこなしてるでしょうし、そうする黒目の姿が見えるのでラはやっぱり特別なんだと思います。


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きっとラは今までもこうやって他人を優先してきたのでしょう。
元の親の時もきっと両親を優先していたから閉じ込められていて、親の為に子が犠牲になるようなそんな家だったのでしょう。


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イチャイチャしおって…。いいぞ、もっとやれ。
立ち絵にまでしっかりと反映される細かさが好きです。


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話し方の事を伝えるにはどうしても『じいじ』抜きでは伝えられません。
じいじ』を語ると必然的に自分の事も出てきてしまうので確かに伝え方が分からないと気付き、数周目でも唸りました。


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ここ、地味に好きです。
ラの非力だけれども根の部分から感じる優しさが伝わります。
あと、この構図は一枚絵はありませんが凄くツボでツボで。
黒目の暗い場所でのこういう状況に慣れている所と、全てを察しているような所に闇社会の熟練者を感じます。


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イーリャにとっては過去からの手紙が静かに燃えていきます。


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もしかしたら彼女の家族の記憶は猪突猛進で激情家な彼女の独りよがりだったのかもしれない。
彼女の家族は彼女に許しを求めていて、それから逃げたのはイーリャだったという結論になります。
実際、作中でもかなり自分の感情に忠実な所が見え隠れしますので、イーリャにそういう所があるとは思います。
ただ、私は彼女の受けた傷は彼女だけのものだとも思います、彼女が辛く苦しかったのならそれは間違いないのだろうと。

今話、私はラ視点で本当に良かったと思っています。
イーリャの一件、黒目から見ていたらきっと「正しくなかった」事として描かれていたと思うからです。
私はイーリャの行動が全く正しくないとは思いません。
後から優しい手紙を届けられたとしても、彼女の家族が、父が彼女に行った事は消えないからです。

二種類の手紙を見ると、おそらく同じ境遇でも妹は父を許したのかもしれません。
途中、ラの髪を結うシーンで妹の件でもイーリャは口をつぐみます。
酷い事をしたのは父親なのに、何故彼女は妹にまで負の感情を向けているのか。
もしかしたら妹は同じ境遇でも父を許し、姉であるイーリャにも許しを願ったのかもしれないと思いました。
この瞬間に、絶対に許せないイーリャと妹の間に壁が発生したのかもしれないと。
絶対に許せない父、憎しみを一緒に共有できない妹、相容れない存在として父、妹、家族の全てを拒絶したのではないかなと。

イーリャが許さない限り父親は許されないし、その許しを他人が強制できるものではないと思っています。
なので、イーリャが家族の記憶を消してしまいたいと願ってもそれが悪い事だとは思いません、彼女の許しは彼女だけが選択して良いものですから。
ただ、黒目からしたら過去を引きずる事は正しくはないのです、だって彼は「過去を消さない」道を選択した人なので。
だから彼は彼の中の選択に従い


「彼女が逃げようとしていたのは貧しかった頃の記憶でも、お父さんの記憶でもない。
  ……彼女自身だ」
 「そしてそれはいつか彼女を捕まえるだろうね。
  たぶん、自分からは逃げられないのだろうから」


と言います、結局は自分に戻ってくると。

黒目の主張はとても厳しそうに見え黒目が精神的に強いから言えてると思う部分もあれば、同時にこの街のシステム『S級封士』の事を知ってたらそういう思想になるのも分かってしまいます。
「誰かの辛い記憶の為に消えてしまう子供達がいる、他人に押し付けるのではなく自分の記憶は自分が責任を持つべきだ」という考えもこの街の闇を見れば間違いはないのです。

イーリャもきっと記憶を消す為に誰か一人の子供が消えていく事を考えるとこの街のシステムを知らないとはいえ、自分勝手だとも思います。
結局はこの街は自分で自分の事を支える抱える事の出来ない『錆色の記憶』を持つ人達が訪れる街なんだと改めて思います。

イーリャがその後どうなるかは分かりません、ただあまり幸せになれないだろう事が予想されます。
もしかしたら逃れられて幸せにれるかもしれないし、もしかしたら自分からは逃れられなかったのかもしれない。
でも、ラはそんなイーリャの未来が明るくは無さそうな灰色である中で、


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「……それでも、私はイーリャが幸せになれたらいいと思う」


と願います。
そして、黒目は目を細めて笑います。
彼もきっとイーリャの選択を正しいものとは思えなくても、その後に待ち構える現実が予測できてもイーリャ幸せを願っている、そういう優しい笑顔に思わずにはいられないです。


彼女の視点だったからこそ黒目側の主張も垣間見え、イーリャの選択も否定されず彼女の幸せが願われました。
黒目の主張も、イーリャの選択も否定されなかった灰色の結末で幕を下ろす二話。
ラもこの街のシステムを知っているでしょう、イーリャの為に『S級封士』がの一人がどうなるかを知ってるでしょう。
それでも黒目の意見に賛成もせず彼女の幸せを願い、どちらにも偏らずにラの優しさで終わる所が凄く好きです。


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物語は次話へ……。

何が正しいか、何が良い事かの結論は読者に委ねられる形が大好きです。
しっかりとした答えがあるのも好きですが、色々と考えさせられる…そんな所があるのはやっぱり名作だと思っています。
私もイーリャと彼女の記憶の為に記憶を引き継いだ『S級封士』が必ず居る以上、彼女の幸せを願わずには居られません。
自分から逃げた人は結局自分に追いつかれ再発率が高そうだと思いつつも、また彼女がこの街を訪れる事が無い事を祈るばかりです。



次回 →→→