ひっそりと群生

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【LOST:SMILE 1stEdition -Blue Birth-】感想

【男性向け全年齢】



2014年12月30日発売
Tears Of Mermaid』様 ※リンク先公式HP
LOST:SMILE 1stEdition -Blue Birth-】(PC) ※リンク先BOOTH
以下感想です。








南の島の美麗な背景、穏やかな夏の島でのちょっと不思議な物語。
昔のオリジナルコンシューマギャルゲーのような懐かしい雰囲気に包まれました。



『低いエンジン音を轟かせて、船は波をかきわけていた。
 樋口有紀は、あの時と同じ島を見ていた。一度来たことがあるけれど、幼かった頃のことはよく覚えていない。

 なにしろ、14年も前のことだから。

 島を訪れた家族旅行の1年後、父親は死んだ。6歳の時だった。
 おかげで、大好きだった父のことも思い出せない。

 彼は近頃、妙な夢を見るようになった。なぜか、あの島に行かなければならないと思う夢。

 本州から遥か南に位置する「星美島」。
 今は亡き父親が、かつて住んでいた、星と海の美しい島。

 夏の日、青年はその島を目指していた。6人の物語に呼ばれて…。』
(公式より引用)



とてもシンプルな恋愛作品で、とても懐かしい感じがするゲームでした。
田舎系、島系のゆったりした懐かしさも勿論ありますが、懐かしい雰囲気が例えるなら昔のコンシューマゲーム会社、
アルケミスト」や「プリンセスソフト
などがオリジナルのギャルゲーを作っていた時の作品の雰囲気というか…
エロは無いけれど、相手と両思いの雰囲気というか…
そんな「エロゲー」にはない「ギャルゲー」の雰囲気を感じました。


あの時代のコンシューマオリジナルギャルゲーの雰囲気が結構好みでしたのでとても楽しめました。
イラストも同人ではかなりのクオリティの部類で美しく、BGMも尖った曲は無いながらも南国の雰囲気がしっかりと出ており、背景が朝、昼、夕、その他細かい違いが丁寧に描かれており、とにかく本当に美しかったです。


ただ、若干主人公が失礼に感じる所があり…
選択肢にもよりますが、
「初対面、もしくは久しぶりに会った人にそれは失礼だろ!?」
となった部分がいくつかありました。
大学生で未成年らしいので18 or 19かと思いますが…若干失礼さにウェイ系な所を感じました。
その上で失礼だけど女の子が引きもせず好意的で…
そういう部分の都合の良さは感じました。
言動の若干の傍若無人さ以外ではクセが強い主人公ではないので慣れれば大丈夫ですが、そういう言動で躓くと辛いかと思われます。


話も文章はとても読みやすいですが大きな出来事が起こるではなく常にゆったりした雰囲気でした。
大きな流れ、凹凸のある展開が好きな方には退屈な部分もあるかと思われます。
個別ルート後もいくつか、
「ん…?なんで?」
と納得しかねる部分、都合がいいと感じる展開がいくつかあり…
それでもこの作品のゆったりした雰囲気で、
「まぁコレはコレでいいか」
と流されましたが、話的には気になる方は気になるかと思います。


1stとあるように「主人公の夢」などが解明されず謎が残るので若干モヤモヤがありましたが、「南国恋愛ADV」とあるように南国感、自然感はしっかりとあり常にゆっくりとした空気、雰囲気がありました。
可愛い女の子と自然溢れる美しい島でのんびりした日々…雰囲気系作品として、とても楽しかったです。



『システム、演出』
ツールは吉里吉里
基本的な事は揃ってます
ただ、選択肢の量が多いので、クイックロードなど欲しいと感じました。
スキップしても日付表示などはクリックしないと飛ばせないので演出もスキップで飛ばせたらいいのと、選択肢後にスキップが継続しないので選択肢後もスキップが続くと良かったです。
演出は純ルートでの「秘伝・ローマの休日」や「必殺540度キック」は良かったです。
選択肢の量はとても多いです。
純ルートアフターに行くまではかなり難しいです。
純が関連しなさそうに感じる所まで地味に影響するので。


『音楽』
歌唱曲はOP、EDで3曲。
BGM約30曲。
オリジナル。
音楽鑑賞モード無し。
一曲一曲は普通でした。
美鈴のエンディング曲「Fairy Tale」は好きです。
声は上手な方が居る分普通の方と差がある気がしました。
みひろさんの演技に若干違和感を感じました。
ですが、1stでメインの美鈴と純はお上手で…
特に美鈴の方は後半のとある演技も含めて凄いなと思いました。
あと由希子さん、利夫さん、村長さん辺りが本当にお上手だと思ったのと、収録環境などはとても良いと感じました。
BGMは南国の音楽などとても合います。


『絵』
一枚絵は差分込みで10枚。
絵崩れも感じさせずとても美麗でした。
とにかく背景が美しかったです。
純アフターのみは素材、島の背景はおそらくオリジナルだと思われます。
朝、昼、夕と移り変わる島の景色は本当に美しいです。
主人公の泊まる部屋も襖の開け閉めや布団など細かい所も丁寧でした。
立ち絵はポーズは1種類ですが、表情はコロコロ変わりました。
あと、洋服のバリエーションも多く、隼人にも別の洋服があるとは思いませんでした。
とにかく南国の穏やかな雰囲気は素晴らしかったです。
背景の美しさも相まって「星見島」全体の雰囲気はとても人は温かく、空気などは夏の涼しさを感じます。


『物語』
シンプルな文でした。
ですが公式説明文の、
「おかげで、大好きだった父のことも思い出せない。」
などそういう表現でのひっかかかりを感じました。
読みにくい様な独特な文章ではなくシンプルな分、表現的な違和感を感じる事がありました。
南の島でのんびりまったりゲーなので急激な流れなどは特に無いです。
構成としては、
「え!?何この展開」や「そんなにコレ重要か…?」
みたいな部分をイベントが必要みたいなノリで挟まります。
常にゆったりした雰囲気をしているのでさほど重苦しくはならずサクサクは勧めますが…
気になる方は気になるかと思います。
南国の、島の雰囲気やキャラクターが合えばとても引き込まれるとは思います。
ただ逆に合わないと感じたらずっと変わらず、その雰囲気のまま大きな流れなどは無いので辛いかと思われます。
ギャグは可愛いキャラが可愛い事をする系なので笑うというよりは微笑ましい感じです。
独自性は強くはないのですが、南国の雰囲気でのまったり感は凄くありました。
キャラクターは濃い、薄いなどは少なくとてもシンプルで良いキャラクターです。
ただ、上記でも書きましたが主人公が若干傍若無人系です。
選択肢で言動が分かれる場合もありますが彼のたまにでる失礼さが気になったら辛いかと思います。


『好みのポイント』
オリジナルコンシューマギャルゲーのような懐かしい雰囲気が好きでした。
背景、イラスト、ボイスなどの完成度が高く、島の雰囲気がとても好みでした。





以下ネタバレ含めての感想です





色々な謎はまだ全然明かされてないですね…
主人公の島に来た夢や「夢見の少年」と呼ばれる部分。
純がおそらく未来予知出来る部分…語られるか分かりませんが美鈴の実家やスクナさん。
そしてこの島の秘密…
解決したのはヒロインの背負った過去や家庭環境など、1stでは謎が深まるばかり…他ヒロインで話がどうなって行くのか、謎がどう纏まっていくのか…?
プロローグの回想部分である通り昔一度島に来た時の事は語られるのか?
おそらくメインヒロインである湊との物語はどうなるのか…とても気になります。



『以下個別ルート感想』



【美鈴ルート】
追加パッチが出るまでは彼女のみの攻略なので選択肢がとてもシンプルでした。
パッチにより追加イベントがあるので純ルートパッチ適応後に攻略でも良いですが、選択肢の数が大幅に増えるのでパッチを当てる前に攻略でも大丈夫かと思います…


帽子選択とヘルメットいい立ち絵の細かい変化が良いと思いました。
あと声は美鈴の方が一番お上手に感じたり。
通常の時も上手だと思っていたのですが、老婆になった時の声優さんの演技など声もとても良かったと思います。


お話に関しては今の所、主人公が夢で未来を見る「夢見」である事が明かされましたが一応まだそれだけかなぁという印象。
夢で先を見て、正解の方が分かった上で洞窟の中で正解の方を選んでいく選択肢はとても良かったと思います。
ぶっつけ本番系の「じゃあ右?左?…残念、ハズレ」みたいな初見殺しの選択肢が苦手なので…


八百比丘尼の話と人魚の話で何となく予感はしてましたが80年近く生きた不老不死の女性。
個人的にお婆ちゃん化は、
「主人公が美鈴の歴史の重みをちゃんと受け入れられるか」
とはいえなんとも…元の彼女に戻った時に「えぇ…」みたいな気持ちにもなりました。
美女と野獣」現象とでも言いますか…
「彼女が彼女だから好きになって、元の時間の姿になり、彼女のその姿も受け入れたけれどもアッサリ元に戻る」
そういう所にご都合主義感を感じたり…
老婆の彼女でもしっかりと受け止めたのに姿が戻る事で逆に、
「彼女の外見だけを見ている」
感が出ていたなぁとも感じました。
ギャルゲーなので反感は買いそうですが、エンディングの一つに、
「老婆の彼女と彼女の余生を共に生きる」
そんなエンディングがあってもいいのでは?とは感じました。


スクナさんもOPで大きく出てる割には出番は最後の方のみで…
と一緒に島に宿る事になりましたが、他のヒロインの物語で大きく関わるのか?
「神の園」やスクナと沖ツ御神、美鈴の神社は星美島と関係があるのか?
などなど色々な謎を残しつつ終わったので是非解明されてほしいです。



【純ルート】
とにかく選択肢が複雑でした。
量も多くエンディングまで行けても、おそらく純のアフターシナリオが相当難しいのでは?と感じました。


イラストはまさかの隼人君にまでスポーツウェアの立ち絵があるとは…
絵に関しては本当に細かいと思います。


話的には…ぶっちゃけてしまえば、
「父ちゃんが豆腐メンタル」
の話だったなぁという印象です。
愛する人を無くして自暴自棄なのは分かりますが、その人との間にできた娘に手を上げちゃいかんだろうと…
お母さんが亡くなった理由が事故などでなら何となく分からなくもないですが病気だったらある程度覚悟の時間はあって、その中できっと「娘の事をお願い」などもあっただろうに、父ちゃんの方が約束を果たせて無いのだろうなと。
その上で選択肢の方向性をみると「男らしい男にしか娘はやれない」みたいな思考なのでどうも…な人です。
純自身が家に戻るのだから仕方ないとしても、
「複雑な事情だから何も出来ない」
ではなくもう少し周りは何とかしようはあるとは感じました。
主人公が父親との口論の際に言った事は正論で、
「今までコレを言う大人は他に居なかったのか?」
とも感じました。


そして
「盛り上がるためにバレーの試合があったけど必要だったかな?」
という印象です。
「お父さんに認めてもらいたい」→「バレーの試合に出て優勝して賞金をあげる」
ではなく、お父さんに認めてもらいたいのなら海に突っ込まずにお手伝いを失敗しない事を優先するべきで…
「お父さんの為に優勝するね」→「賞金が出る」
みたいな構図だと「娘に金の工面までさせた」と娘に手を出す父親なら逆に気にしそうだと感じました。
父の母の死から来る暴力の方を何とかするべきで…つまり父親の方に完全に問題があるので、重苦しい話にしたくなかったからかもしれないのとバレーに優勝した場で先生と父親に再婚して欲しいという場が欲しかったのは分かりますが…
バレーの話よりも、
「父ちゃんとの仲を取り持つ方法を考える」
為に行動するなどの方が納得出来ました。


でも、南の島なのでビーチバレーのスポ根的な展開が欲しかったのかなぁとも感じたり。
純の家の話がこの作品にしては妙に暗かったので、
「娘に暴力を振るう父」
みたいな設定ではなくもっと明るめの…暴力部分を省いて、
「母が亡くなった事で人手的に経営が辛い」
みたいな流れでも良かったのではないかなとは感じました。
その方が「懸賞金が必要」の部分にも納得感が出たので。
この作品の作風が、
「ゆったり温かい人々に囲まれた美しい南の島」
という感じなので、野犬などは分かりますが、
家庭内暴力
があまり結びつかないという感想でした。


ですが、そういう細かい所では違和感を感じつつもサクサク読めました。
雰囲気や見せ方などがとても上手だと思います。



謎の部分では純が未来予知が出来るっぽいのを感じたり。
主人公の「夢見」、純の「未来予知」、巫女の力はもうないけれど美鈴のネックレス。
登場したサキさんが村長さんが行っていた隣の「月美島」出身だったり、「月美島」も何か関係があるのか?
それがどんな形で繋がっていくのか、今後が楽しみです。