ひっそりと群生

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【りんごしゃくしゃく】感想

【男性主人公全年齢】



2012年08月11日発売
』様 ※リンク先公式HP
【りんごしゃくしゃく】(PC)
以下感想です。








一人の少年の失踪事件から始まる想いの一方通行の物語。



『死体探しごっこをしよう。

 藤壺学園で起きた失踪事件。
 個人的な理由から、主人公は事件の真相を探る。
 そこに正義感などはなく、使命感もなく。
 まして犯人を捕まえようなどとすら、思わずに。
 だからこれは、推理ごっこ
 だからこれは、似非ミステリ。
 それでも真実は、存在する――』
(公式より引用)



ルクルさん四作目!
学園で起きた失踪事件と登場人物達の恋愛模様を絡めながら進む本作。
想いは交わる事は無く全員自分の思うままに進む物語は一方通行で空虚でありながら、その片道はどこまでも真っ直ぐで、ある種の情熱も感じました。
似非ミステリとあったのでミステリー部分に能力系が入るか…?と構えていましたが、異能系ではなくミステリーしてて良かったです。


ただ、若干全員の精神面が脆弱だとも感じ…思春期特有の弱さと闇が際立っていてトリック…真相としては「それはちょっと…」と思う部分も確かにありました。
フーダニットやハウダニットというよりも完全にホワイダニットミステリー寄り。
どうしてこの状況になったのか、登場人物達はどうしてその行動を取ったのか、そして文章面から感じられる語り部であり永遠の脇役の千秋君の独特な思想とズレた価値観を楽しむ作品だと思いました。



『システム、演出』
吉里吉里製。
コンフィグは吉里吉里のデフォルト。
ここまでデフォルトが続くと逆に潔く格好良いです。
起動すると速攻で「終了しますか?」「はい」「いいえ」が出てくるのですが…これはバグなのでしょうか…
それとも狙ってなのか…バグの可能性が高いですが、「宴さんなら…」とあえて狙ってる方面も想像してしまうのが怖い所です(笑)


『音楽』
今までの宴作品の集大成のような。
今まで使われてきた音楽と同じ物が使われていました。
ハッとするシーンで止まるべき時にはピタッと止まり、強弱の付け方が相変わらず良かったです。


『絵』
全部で12枚。
宴さんにしては多め?
ただ、今までのイラストの方と違う方みたいですね…
今までの方の絵がとても好みだったのでそこは残念ですが、少女達の儚さや危うさが出ていて良かったと思います。


『物語』
ルクルさんはこう…はみ出し者というか…異端者を描くのが本当に上手だと思います。
千秋君の思想もですが綴の万能感も凄まじく、まさに旧約聖書の蛇でタイトルになるほど…と思いました。
クリアレインのあの人のように圧倒的存在感を放ち勝ち逃げしてく女性大好きなので綴、好きです。
自分は文章の良し悪しは分からない人なのですが、読んでて軽快でキャラクターの思想にどっぷりと浸れて、クルクル変わる真実と思考に翻弄されて楽しいのでルクルさんの文章は好きだなと思います。
いつか商業の方にも触れたいです!!
でも誤字が多いらしいので覚悟します(笑)


『好みのポイント』
万能感で好みが分かれそうですが、綴、凄く好きです。
アニメに出ていたら首をシャフ度に曲げそうですよね…
蛇の甘言から始まり蛇の思惑通りに終わる、そんな物語。
綴、貴女がNo.1だ!!





以下ネタバレ含めての感想です





真相の「絵合さんが実は妹だった」という部分。
実は母親が浮気をしていて相手の男と首を吊ったという描写から、「相手の男の子供なのでは…?」と思っていました。
実の妹が居る上で、浮気相手の男の家にも娘が居てその娘も妹だと認識している…みたいな。
血の繋がりを強調していたのでよく考えたらそれは無いのですが、千秋君ならその娘を妹の代わりにしようとしていても有り得そう…とか思ってました。
なので実の妹は亡くなってて相手の男の娘が絵合さん…と推理していましたが…
見事に外れましたね!流石、迷探偵!!
でも若干当たってたというか…浮気相手の男の娘ではあったんですよね…血は半分ですが。
なのでミステリー要素としては半分不正解で半分正解な気持ちです。


ただ、トリック…というか真相方面は若干「うん…」な気持ちです。
皆ホイホイ死にすぎ!!
なので上記で語ったように今作はホワイダニットミステリーです。
様々な人物の思惑と思想が入り混じり、誰も犯人を探そうなどとしていないミステリーが展開されていきます。
まさに「死体探しごっこ」。
浮橋さんとかね…ヒョイッと事件を引っ掻き回す自己中な人だったり。
クリアレインは友情を重んじる作風だったのに対し、りんごしゃくしゃくの自分優先っぷりが凄いです。
本当に…絵合さんが一番の被害者だ…。


話は短めで真相面での自殺ラッシュには「それはちょっと…」と思う所があり、他の宴作品よりもパンチは少なく、ミステリー物として人物名や様々な箇所で誤字が多いので若干困りましたが、短い中でも異端思想と自己愛と邪悪と悪意が描かれておりルクルさん節を感じました。
最後も…千秋君はどこまでも脇役で語り部なだけなのですね…間違いなく物語の主人公らしくないEDで好きです。
そうですよね…蛇はイブをそそのかしたのだから、彼女が狙うのは絵合さんでもおかしくないんですよね。
どこまでも、どこまでも楽園から追放された場所で好きな妹に嫌われ続けて下さい。


どこまでも、邪道な兄妹愛を感じる事が出来ました。
この徹底して邪悪な感じ、凄く好きです。
風の噂で商業の方でもルクルさんは邪悪な妹(というか邪悪な展開)が居る(有る)とか…
商業に触れてプレイする時に楽しみにしています!!